六獣番人試合

登録日:2020/07/31 Fri 10:56:45
更新日:2024/04/07 Sun 13:50:20
所要時間:約 9 分で読めます




六獣番人試合(アニマル・デスマッチ)とは、『闘将!!拉麺男』に登場したデスマッチである。獣なのか人なのかどっちかはっきりせい

わざわざ単独記事が立っている時点でお察しだろうが、同試合は『闘将!!拉麺男』のゆでイズムを象徴するが如き怒涛のツッコミどころ数を誇り、ページを跨ぐたびに首を傾げる描写・展開が次々と襲ってくる。
たまに拉麺男の話題が出るにつけ、筋肉拳蛮暴狼や全然似てないクローン・ラーメンマンランボーと並んでネタにされやすい回でもある。

登場は単行本7巻、文庫本5巻。ここまでついてこられた読み進めてきた読者に贈られる、『闘将!!拉麺男』のハイライトである。

事の顛末

拉麺男を度々苦しめる悪党・破壊鬼玉王*1が、超人拳法を悪用した事で処刑された「暗鬼五点星」を蘇らせようとした折、
それを阻止せんと拉麺男は「拳聖五歌仙」を率いて戦いを挑んだ。
拉麺男以外の4人はいつものように死んでしまい、拉麺男は死者を蘇らせるそんなのいつも通りじゃん為に
龍神の持つ命の石を集めようとするも、石は5つしかない。
つまり、暗鬼五点星をやっつけないと五歌仙は生き返れないのである。
それを知ったドSな龍神様は5対5の御前試合を思いつき、拳聖五歌仙と暗鬼五点星が戦うこととなった。

第1試合は拉麺男VS暗鬼五点星・金剛。激戦の末に拉麺男は金剛を下すが、試合会場は破壊されてしまった。
これを見て龍神様が次なる試合として選んだのが六獣番人試合である。
拳聖五歌仙側はムエタイ使いのチューチャイを、暗鬼五点星側は使いの炎劉を繰り出した。


概要

ハッキリ言って狂気の産物としか言いようがない。

試合会場はスッカスカの金網が敷いてあるだけで床は無く、下には薄い壁に仕切られた6つの穴ボコがある。
穴にはそれぞれ猛獣が満員電車の如く詰め込まれており、それぞれ獅子・大毒蛇・ワニ・象・ゴリラが入っている。
この時点で

  • ライオンやゴリラがゾウとほぼ同じ大きさ
    • そんな大きさのライオンが肩幅程度しかない網目を胴体ごとすり抜ける
  • アナコンダ級にでかい蛇なのに、どう見てもコブラ科じゃない*2
  • ゾウの歯の位置がおかしい
  • どう見てもゴリラの穴にクマらしき影が映っている
  • 当然のように話の前後で動物の位置が変わっている

など、ツッコミどころ満載である。
ちなみに「1回戦の時はずっとこいつら埋まってたのかよ」という誰もが思う指摘は、
続く3回戦で会場を別の所からワープさせていたので突っ込んではいけない。

下の猛獣たちは龍神様が餌を抜いていたため、上にいる闘技者に襲い掛かってくる。そしてなぜか共食いや他の動物の襲撃はしない
つまり敵だけではなく猛獣も相手にしないといけないわけである。一体これに何の意味があるのだろうか。
龍神様、さては命の石を使いたくないから共倒れを狙っているんじゃねえか?


「何とでも言うがいい」


猛獣に苦戦するチューチャイは、ゾウのオリの上なら草食だから食われはしないだろうと穴の上に向かう。
ゴリラも肉食じゃないと思うのだが、この時代のタイ人はそもそもゴリラ知らないからいいや、もう。
だがゾウは他の猛獣たちと同じようにチューチャイに襲い掛かってくるではないか。
龍神曰く、ゾウのオリには草を一切与えず、生きた動物だけを与えて食わせることで肉食に改造したんだとか。
……そんなもんで草食動物が肉食へ簡単に変化するんだろうか。世界樹の迷宮じゃないんだから。
もはや動物虐待以外の何物でもないし、そもそもこんな環境で育てればストレスですぐ死ぬと思うのだが(だいたい糞は誰が片付けるんだ)。
この扱いに対し拉麺男(と多くの読者)は「それでもあなたは神の使いですか!」「血なまぐさい戦いを好む悪魔にしか見えない!」と憤慨。
それに対しての龍神様の答えはこうである。


「何とでも言うがいい」


うーむ所詮は爬虫類であったか…。
しかも動物への仕打ちの話から生命の石の話(≒どんな血なまぐさい戦いになろうとお前らは石を賭けて戦うしかない)へとすり替える不誠実な反論であったが、結局拉麺男はこの詭弁に丸め込まれてしまう。

さて、我機を得たりとばかりに悪行超人炎劉は大暴れ。
そりゃそうだろう、炎劉は身一つで火を起こせるんだから、動物に襲われるわけがない(説明文が無駄に多い本作だが、なぜかこの事は説明されず)。
を得たとなった炎劉は、象の鼻に絡め取られたチューチャイめがけて炎を剣として飛ばす「紅蓮竜鳳剣」で仕留めにかかる。
なすすべなく食らってしまうそしてその傷が消えたり再び現れたりするチューチャイだが、炎劉を扇動して2回目の紅蓮竜鳳剣を撃たせ、それをチューチャイに自分を縛る象の鼻で防がせるという拉麺男の策によって拘束から脱出、「チューチャイ三段蹴り」で反撃し炎劉をダウンさせる。
だがこれは「紅蓮這わせ蜘蛛」へ引き込む炎劉の罠だった。炎を纏う毒蜘蛛・閻魔蜘蛛をさきほどの炎の剣と同じ幻術だと油断したチューチャイは、その実本物だった閻魔蜘蛛に噛まれてを負ってしまう。
鼻に食らった象が激痛でチューチャイを放していたけれど、さっきの剣は幻術です。いいね?
毒が回りながらも反撃するチューチャイだったがついに炎劉に捕まり、金網を突き破って獣の群れの中へと叩き落されてしまう!

が、チューチャイはかろうじて金網を掴んでおり落下を免れていた!
なんで破れた金網にしがみつけるのか、いや金網がいつの間にか修復されているとか、金網越しでも平然と襲ってくる獣達がなぜかスルーしているとか、たくさん突っ込み所はあるがともかく無事だった!
しかも幼い頃からコブラの毒を混ぜた砂で身体を慣らしたチューチャイには閻魔蜘蛛の毒も効いていないようだ。
そのままチューチャイ直接叩き落せばいいものを、生半可な毒ではチューチャイを殺せないと判断した炎劉は、どこからともなく壺を取り出す。その足思いっきり網の隙間に突っ込んでるぞ
この壺は大量の有毒生物を詰め込んだ「蠱毒の壺」であり、炎劉はその中にお気に入りの閻魔蜘蛛・林九を投下。
他の有毒生物を食って成長した林九は通常の10倍の体格と100倍の毒を有する巨大蜘蛛となって壺から飛び出してきた。
この林九にしれっと復帰していたチューチャイは大苦戦。蛇のオリから毒蛇を引きずり出して応戦するも一噛みで蛇は殺されてしまい、最早手詰まりかに見えた。

だが、ここで五歌仙側はハタと不自然な点に気付く(上記のツッコミどころは無視したのにか?)。
穴は6つあるのに、1つだけ猛獣が見えない穴があるではないか。もしやこれは安全地帯なのではないか…?
読者の多くが「そんなわけねえだろ」と思い、龍神すら「この龍神を随分買いかぶってくれるのォ」と不敵に笑うが、この際イチかバチかにかけるしかない。
チューチャイは林九をかわし、6番目の穴に飛び込むが…。

六番目の猛獣王

6番目の穴は他よりもずっと深く、林九の毒を受けていたチューチャイは落下のショックで気を失っていたが、
拉麺男の冷や汗を受けて目覚める(そこは涙でいいだろ)。

その奥底でチューチャイを待ち構えていたのは…。

「こ…こいつは…」


ア ル マ ジ ロ


そう、アルマジロであった。
しかも身の丈3m、口にはビッシリキバを生やし、爛々と目を輝かせた怪物アルマジロ!
アルマジロは夜行性だから、横穴に隠れていたので上から見えなかったのだという。

…地の文には「貧歯目」ってあるのに、なんでこいつ牙を生やしてるの? 龍神様がバイオテクノロジーか何かを使ったの?
もうツッコむのも馬鹿らしいが、ダメ押しとばかりに本来大人しく危険性は少ないはずのアルマジロが、なぜか平然とチューチャイを襲う。
どうやら龍神様は大人しい動物であるアルマジロを「百獣の王」と呼ぶに相応しい獣へと強化すべくわざわざ凶暴性を植え付けたらしい。何でそんなことを思いつくのか。
とにもかくにも、チューチャイは最早動物虐待を通り越して生命の冒涜としか言いようがないこのアルマジロのバケモノと戦わざるを得なくなってしまった。
重ねて言うがこの作品は『闘将!!拉麺男』である。『世界樹の迷宮』ではない。

だが巨体と怪力に加え、鉄のような装甲を持つアルマジロには、チューチャイの猛攻もまるで通じない。
苦しむチューチャイを見かねて五歌仙は各自の愛用の武器(拉麺男:三節棍、蛾蛇虫:如意槍、砲岩:赤龍刀、犬操:飛抓。なお、それらが今まで漫画内で使用されたシーンは無い)を渡そうとするも、龍神様は反則だと言い張り妨害。
しかし陳老師から超人拳法一〇二芸の一つ「雷燕物体移動術」の話を聞いた拉麺男は
  • 手で武器を投げ込むと反則になる
  • 雷燕物体移動術を使うと、雷雲を媒介として遠くの相手に武器をワープさせることができる
  • 落雷ならば自然現象になるから、手渡したんじゃないよな。よし、これはルールの穴を突けるぞ
というわけわからん理論に達する。

こうして漢字の形をした雷(本当に「赤龍刀」「如意槍」と書いた雷なのである。原理?聞くな)が穴の中に落ちていき、
チューチャイは仲間から託された武器でアルマジロを打ち据える。
そんなことができるなら直接雷を落としてアルマジロを感電させた方がいいような気もするが
原理はどうあれ仲間に武器を渡していることには変わりが無いので当然炎劉は抗議するが、拉麺男の理屈を支持した竜神様は、


「まあ待て炎劉よ 確かに直接の武器の手渡しは反則になるかも知れんが」
「しかし今のケースは自然現象による雷が無数に網目(ネット)武道殿下のチューチャイの元へ落下し
「それがたまたま武器に変化してしまっただけでラーメンマンの直接の手渡しとは言えんからのう」

というパチンコとかソープランドみてぇな言い草の裁定で抗議を退けた。

猛攻を受けて両目を潰されたアルマジロは暴れ狂い、岩壁に向かって走り頭をぶつけてしまう。
それを見たチューチャイはアルマジロの気を引き、アルマジロの突撃で地震を起こす。(その程度で起きてるなら、ゾウのオリはどうなんだよ)
チューチャイは偶然見つけた穴の心柱をアルマジロに破壊させ、遂に穴ボコは崩落
どう見ても壁より体積が多い土砂で猛獣部屋はすべて埋まってしまう。
哀れ、チューチャイも土に埋もれし屍となってしまったのか…?

「チューチャイ復活脚~!」

そんなわけありませんでしたとさ、チャンチャン。
この後まあ、チューチャイと炎劉の激戦が繰り広げられるんだけど、もう金網も動物も関係ないので省略する。








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最終更新:2024年04月07日 13:50

*1 初期の版では屠殺鬼玉王

*2 毒蛇は毒で身を守れるのでキングコブラ以外はそれほど大きくない