甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis

登録日:2020/08/16 Sun 18:45:00
更新日:2025/02/06 Thu 15:33:26
所要時間:約 4 分で読めます




《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》とは、MTGにおいてモダン以下の環境に直接新カードを供給するための特殊セット、『モダンホライゾン』という名のモダン環境を破壊し尽くしたセットで登場した黒緑の伝説のクリーチャー。レアリティはレア。


性能


Hogaak, Arisen Necropolis / 甦る死滅都市、ホガーク (5)(黒/)(黒/)
伝説のクリーチャー — アバター
あなたは、この呪文を唱えるためにマナを支払うことはできない。
召集、探査(この呪文を唱える段階で、あなたがタップした各クリーチャーは、それぞれ(1)かそのクリーチャーの色のマナ1点を支払う。あなたがあなたの墓地から追放した各カードは、それぞれ(1)を支払う。)
あなたはあなたの墓地から甦る死滅都市、ホガークを唱えてもよい。
トランプル
8/8

フレーバー的には場のクリーチャーの力を借りつつ、墓地の霊魂達を吸収合体して一体のデカブツとして蘇るカードなのだろう。

肝心のカードとしての性能は、
クリーチャーとしては8/8のトランプルという単純なデカブツで、それだけなら7マナの伝説のクリーチャーとしては混成マナであることと墓地から唱えられることを踏まえても物足りないぐらいの性能。

しかもまず目につく特徴でもあるこのクリーチャーを召喚するためにマナを使えない制約がある。つまり、土地などをタップしてマナを出し、そのマナで呪文を唱えるという普段の方法ではこの呪文を唱えられないのだ。
とはいえ代替手段が自前で用意されており、このクリーチャーには召集と探査というマナの支払いを代替する2つの能力があるためこれを活用していくことになる。
召集はクリーチャーを土地のようにタップしてマナの支払いに使えるという能力。探査は墓地のカード1枚追放につき(1)を支払えるこいつ以外にも禁止カードが存在する問題児的な能力。

召集と探査でいくらずつ払うかは自由だが、色マナ部分は召集でしか払えないため戦場に緑か黒のクリーチャーが必ず2体必要になる。
墓地は有限のリソースのため、召集に使えるクリーチャーが多いほどいいだろう。

さらに「蘇る」という異名通り、墓地からも唱えることができるという点は、探査のための墓地肥やしの過程でホガーク本人が墓地に落ちても問題ないどころかむしろサーチとしても機能する点が嬉しい能力。
嫌な予感がする?き、気のせいじゃないですかね…

それではこのクリーチャーを入れたデッキを使ってみよう。
こちらの先手で1ターン目、まずは黒マナの出る土地を置いて《縫い師への供給者》を唱えよう。

Stitcher's Supplier / 縫い師への供給者 (黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie)
縫い師への供給者が戦場に出るか死亡したとき、カードを3枚切削する
1/1

「切削」とはデッキトップから指定された枚数分墓地に置く能力である。
ともあれこれで場にクリーチャー1体と墓地にカード3枚でターンエンドだ。
相手はこちらへの干渉がないクリーチャーを出したとしよう。
そしてこちらの2ターン目、今度は緑マナの出る土地を置いて《サテュロスの道探し》を唱える。

Satyr Wayfinder / サテュロスの道探し (1)(緑)
クリーチャー — サテュロス(Satyr)
サテュロスの道探しが戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から4枚のカードを公開する。あなたは、それらの中から土地カードを1枚あなたの手札に加えてもよい。残りをあなたの墓地に置く
1/1

手札に土地を加え、墓地にはホガークと適当なカード2枚が落ちたとしよう。
この時点で戦場にクリーチャー2体と、墓地にホガーク以外のカードが5枚。モダンお馴染みのフェッチランドを使っていれば追加で1,2枚だ。
はい、2ターン目のこの時点でホガークを出せてしまう

そう、モダン以下の環境における豊富な墓地肥やし手段を利用すれば、8/8トランプルというサイズからは想像もできないほどの速度で出てこれてしまうのだ。
上記の例は最速パターンだが、多少出るターンが遅くて3~4ターン目でも8/8トランプルというデカさなら十分だし、加えて後述のカードの存在まである。

墓地から唱えられるため、墓地利用デッキの常連である《復讐蔦》*1や《恐血鬼》*2、《黄泉からの橋》*3を墓地に送る過程で自然に唱えられるようになり、かつこれらのクリーチャーでホガークの召集によるコスト支払いができると相互にシナジーする。
しかも墓地から蘇る仕様上、単に破壊されただけではいずれ蘇ってくるので、完全に対処するには追放除去や墓地対策が必須。

忘れられがちだが、このカードは墓地から唱えることもできるだけで、召集・探査コストさえ用意出来れば普通に手札から唱えることもできる。
《墓掘りの檻》などを貼られて墓地から出せなくなっていると油断していると、蘇るならぬ《現れる死滅都市》として手札から飛び出て蹂躙されてしまうだろう。

一応、明確な欠点としてホガーク自体は伝説持ちのため複数並べることはできないが、
じゃあダブったら完全に腐るのかというとそういうわけでもなく、
探査コストに充てるなり、旅立ってしまった場合の予備要員にしてしまえばいい。
盤面と墓地が十分なら攻撃後に2体目を出して疑似警戒のように扱うなんて荒業もできる。

これらの性質が墓地利用メインのデッキと相性が良すぎた結果、【ブリッジ・ヴァイン】*4や【ドレッジ】*5の名を改めて「ホガーク」の名が付くほどに大幅強化。
最終的にメインから外科的摘出を始めとする墓地対策カードを積むのを強制されホガークの夏と称されるまでに大暴れした。


総合すると、マナ以外でマナコストを支払うというコンセプト自体は面白いものの、
モダンの墓地肥やしの容易さから禁止された《宝船の巡航》や《時を越えた探索》*6と同じ過ちを繰り返してしまったカード。
あちらはスタンダード環境を想定した故に仕方ない面もあったが、
こちらは最初から想定されていた筈のモダン向けのカードだったのがより問題である。
せめてサイズがもっと小さいとか、召集でしか支払えない色付きシンボルが多いとか性能が相応に抑えられていれば、今ほどは暴れなかったのかもしれない。


環境において


モダン

詳細は○○の冬参照。

最終的に2019年8月30日付でメタゲームを大きく歪めていたとして、同じく墓地利用デッキの要だった《信仰無き物あさり》とともに禁止カードに指定された。
ちなみに後に《信仰無き物あさり》は帰ってきたが、公式の禁止解除告知でホガークはきっちりネタにされた。

この頃には並大抵の墓地対策カードはおろか、《虚空の力線》*7という相応のリスクがある墓地対策ですらメイン採用が当然になる程歪みに歪んだ環境になっていた。

モダンのためのカードだったんだけどなぁ。R.I.P *8


エターナル

レガシーでもモダン同様の【ホガーク・ヴァイン】が多くのパーツを流用しつつ存在している。こちらでは《黄泉からの橋》も《信仰無き物あさり》も現役なので、ホガークが使いたければこちらのフォーマットで活かすといいだろう。
【ステージデプス】などのコンボパーツが少ない上に墓地肥やしもできるデッキに追加で採用されることもある。
とはいえ当然周りのデッキパワーも高いが。あとデュアルランドがめちゃくちゃ高い。

ヴィンテージでも【ホガーク】というアーキタイプを形成。《Bazaar of Baghdad》と《日を浴びるルートワラ》から1ターン目に召喚されることもある。


余談


このカードの対策の一環として規制された《黄泉からの橋》だが、このカードは『未来予知』という、将来収録されるかもしれないカードを見通して収録したという設定のユニークなセット出身。
つまり、本来収録されるタイミングの遥か前に禁止カードに指定された前代未聞のカードとなった。あくまでも設定だけど


追記・修整はホガークを外科的摘出で根こそぎ追放されてからお願いします。

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最終更新:2025年02月06日 15:33

*1 ターン中2つ目のクリーチャー呪文を唱えると墓地から戻ってくる速攻クリーチャー

*2 土地が出ると墓地から戦場に戻ってくるクリーチャー

*3 墓地にある時に非トークンの自クリーチャーが墓地に送られると黒のゾンビ・トークンを生成するエンチャント。ただし相手のクリーチャーが墓地に置かれると自身が追放される

*4 復讐蔦や黄泉からの橋を誘発させて殴り勝つデッキ

*5 発掘という能力を活かした墓地利用デッキ

*6 いずれも探査持ちのドローカード。下の環境では墓地肥やしが容易すぎて暴れまわった挙句多くのフォーマットで禁止指定された

*7 4マナだが、ゲーム開始時に手札にあればタダで出せる墓地対策エンチャント。

*8 ちなみに《安らかなる眠り/Rest in Peace》という名前のカードがある。墓地のカードを徹底的に追放する2マナの墓地対策エンチャント。ホガーク対策でも採用されたカードだが、これを置くより早くホガークが出てくることも多かった