沈黙の絶傑・ルルナイ

登録日:2011/11/29 (Sun) 03:33:11
更新日:2020/12/26 Sat 15:08:41
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音、言葉────消えろ。





沈黙の絶傑・ルルナイとは、デジタルカードゲーム『shadowverse』のカードである。


概要



沈黙の絶傑・ルルナイ
コスト3 3/3(→5/5) フォロワー ネクロマンサー レジェンド
ファンファーレ ネクロマンス3;次の自分のターン開始時まで、相手の手札のスペルのコストを+3する。

第10弾カードパック『十禍絶傑』にて収録。周囲のものを狂わせる怨讐を撒き散らす巨大な鎌「轟」を構えた、長い銀髪と黒いマスクが特徴の細身の男。
同弾は特定のテーマを冠した10の集団(ニュートラルに2つと、各クラスに1つずつ存在)とそのリーダー格である『絶傑』をコンセプトとしており、
ルルナイは『沈黙』を冠する3番目の絶傑にあたる。『沈黙』を冠するカードは基本的に特定の能力へのメタやフォロワーが持っている能力を消し去ることを得意としており、
他のテーマのようにデッキのコンセプトを担うというよりはメタを目当てに個々のカードを採用することを狙ったようなテーマとなっている。狂信者?大型フォロワーへのメタとかだよ多分…
詳しくは絶傑(shadowverse)の沈黙の項を参照。

ルルナイも当然ながら他のカードへのメタ能力を持っており、その対象はスペル
ファンファーレ(手札からコストを支払ってプレイした時に働く能力)でネクロマンス3を発動させることで、次のターンまで相手の手札のスペルすべてのコストを+3出来る。
shadowverseにおいては現在でも珍しい相手の手札に干渉できる能力。スペルを使いこなすことがクラスコンセプトになっているウィッチに特に刺さる能力だが、
実際のところどのクラスにおいてもスペルが全く入らないデッキはそうそうないため、幅広い相手に対してメタを張ることが出来るまさに沈黙の絶傑という肩書きに見合った能力に見える。


評価



このカードの発表時にまず注目されたのは、コスト3にして3/3というスタッツ(攻撃力/体力)である。
というのも、十禍絶傑実装以前はコスト3でデメリットを持たないフォロワーカードのスタッツは最大でも合計5というのが相場であった。
一応ラブリーサキュバス・リリム(1/5)やアーリーブランド・ゼヘク(4/2)といった例外も無くは無かったが、これらはスタッツの歪さが足を引っ張りガチ採用には至らなかった。
原初の竜使い(1/5)とかいう色々噛み合いすぎてナーフされた奴はいたが
そのため単純にそれまで3コスにおける最強スタッツと呼ばれていた3/2/3を上から取れる3/3/3の実装は画期的なものであり、インフレの象徴として否定的な声まで上がるほどだった。

とはいえ3/3/3というだけなら同弾にて豪快な海賊(ロイヤル)や真実の信者(ウィッチ)も実装されているが、ほぼバニラ同然(ていうか豪快な海賊はバニラ)なこれらとは違い
ルルナイは前述のように強力なスペルをメタる能力を持っていた。
特に、同弾にてマナリアの魔導姫・アン*1が発表されたことで実装前から環境入りが予想されたマナリアウィッチに対抗するメタカードとして非常に大きな期待を寄せられ、
そうでなくともそもそも3/3/3という例えバニラでも強いであろうスペック、それに加えて幅広いメタ性能、後半は当時ネクロマンサーの主力だったアーカス*2の能力の対象にもなるという至れり尽くせりの性能で、全てのネクロマンサーデッキに3枚積まれるであろうとほぼ全てのプレイヤーが思っていた。
あと、shadowverseのパクリ元とシステムが似たDCG『Hearthstone』にて、ロウゼブというルルナイに似たカード(こちらは5/5/5で、次の自分のターンまで相手のスペルのコストを+5)が
既に実装されており、こちらが強カードとして活躍していたことも間違いなくルルナイの実装前評価を引き上げた原因と言えるだろう。

そして十禍絶傑の実装後、ネクロマンサーはローテーション環境トップの一角に君臨。
初期はロイヤル・ヴァンパイア・ドラゴンとの4すくみを形成していたが、ナーフによって4クラスまとめて弱体化を受けた後はネクロのナーフが足りなかったためにネクロ1強となった。
アディショナル実装後は若干立ち位置を落としたものの、期を通してネクロマンサーが輝いていた環境だったと言えるだろう。
当然、ルルナイもネクロマンサーデッキの一員として活躍…



















できなかった。

3積み必至の強カードと称されたルルナイは蓋を開けてみればほとんど採用されず、ネクロマンサーの躍進に全く貢献しなかったのである。

実装後評価、及び問題点



前述の通り実装前の評価は非常に高かったルルナイであったが、いざ実装されてみると様々な問題点が露わとなった。

1,3/3/3がそこまで強くなかった


といっても当然3/2/3や3/3/2より強いのは間違いないのだが、言ってしまえば能力を度外視して採用されるほど3/3/3というスタッツに強みは無かったのである。
結局3ダメージ喰らってしまえば倒されるのは2/3と変わらないので…。しかもこの時にネクロと同じく環境上位だったロイヤル・ヴァンパイア・ドラゴンのデッキにはそれぞれ

ロイヤル:簒奪の蛇剣(コスト2スペル。相手フォロワー1体に3ダメージを与え、財宝カードと呼ばれる4種類の1コススペルのうちランダムな1つを手札に加える。)
ヴァンパイア:絡みつく鎖(コスト2スペル。相手フォロワー1体に3ダメージとお互いのリーダーに1ダメージ。)、邪眼の悪魔(アクセラレート2で相手フォロワー1体に3ダメージと自分のリーダーに1ダメージ。)※アクセラレートについては後述
ドラゴン:侮蔑の炎爪(コスト1スペル。お互い1体以上フォロワーがいる時、自分のフォロワー1体に1ダメージと、相手のフォロワー1体に3ダメージ。)

と、コスト2以下で3ダメージ出せるカードが自然に採用されており、ますます3/3/3というスタッツの3/2/3と比べた優位性は薄かった。

とはいえ、バニラ同然の他2枚とは違い、ルルナイには強力なメタ能力が備わっていたはずだったのだが…


2,能力に隙が多い


このカード最大の問題点。
一見テキストを見るとあらゆるスペルに対して刺さるように見えるこの能力であるが、実際は数多くの隙を抱えた能力だったのである。

・エンハンスにほぼ無力
エンハンスとは、「カードをプレイする際、(元のコストより大きい)指定された値以上のPPが残っていれば、そのコストを支払って追加の能力を発動する」というキーワード能力で、
第3弾カードパック『バハムート降臨』で実装されてから現在まで多くのカードに備わっている能力である。
問題はこれが「コストを追加で支払う」のではなく「元のコストの代わりに指定されたコストを支払う」能力なことである。
例えば、当時のロイヤルに採用されていた「ドラゴンナイツ」というスペルは、コスト5で4種類のトークンの内1体を選んで出す能力に加え、エンハンス8で1体ではなく2体選んで出す能力を持っている。
これがルルナイの能力を受けると、コストが5→8になるが、エンハンスのコストは8のまま。そのためPPが8残っている状況だと自動的にエンハンス能力が発動して使えてしまうのである。
もちろんエンハンスが使えるターンでも敢えて先に他のカードをプレイして通常のコストで使いたいという状況は多々あるので完全に無力というわけではないのだが…
ちなみに、前述したロウゼブが存在するHearthstoneにエンハンスにあたる能力はない。事前評価が大きく狂った一因と言える。

・アクセラレートに無力
アクセラレートとは、「フォロワーカードをプレイするのに十分なPPが無く、かつ(元のコストより低い)指定された値以上のPPが残っていれば、
そのコストを支払ってアクセラレート能力のみを働かせるスペルカードとしてプレイできる」キーワード能力で、十禍絶傑の1つ前の弾『蒼空の騎士』にて実装された。
こちらも「コストを少なく支払う」のではなく「元のコストの代わりに指定されたコストを支払う」能力…という以前に、手札にある間はフォロワーカードなのでそもそもルルナイの能力の対象外。
能力の性質上大型フォロワーが持っていることが多い≒レジェンドが持っていることが多い≒汎用性が高いor強力であることが多いため、これに無力なのも痛い。

・能力使用後に引いたスペルに無力
ルルナイの能力はあくまで使用時の相手の手札すべてが対象なので、その後に引いたカードには適用されない。
なので、仮に次のターンに使って欲しくないスペルのコストを上げることができても、その直後に相手が今引きしてしまうと意味が無くなってしまうのである。
また、トークンスペルを手札に加える能力にも当然無力。前述の通りアンの大魔法*3に対するメタカードとして期待された面もあったルルナイだが、
実際はコストが0になったアンを手札に抱えておき、10ターン目にアンを出してしまえばルルナイを出された直後でもアンの大魔法を使えてしまう。
本来コストがそれなりに下がったところで4/4フォロワーとして出しておけるところを温存しなければならないという点を考えれば無力ではないとはいえ、メタカードとしては中途半端と言わざるを得ない。

・過剰なコストダウンには無力
例えば運命の導き(コスト5スペル。カードを2枚引く。「スペルブースト コスト-1」の能力を持っており、他のスペルをプレイする度に手札のこのカードのコストが-1される。)は通常
スペルブーストが5回かかった状態だとコストが0になるが、ルルナイの能力下だとコストが3に上がる…が、スペルブーストが8回以上かかっているならルルナイの能力下でもコスト0になる。
これに関してはそりゃそうだろと思わないでもないが、スペルブーストウィッチに対するメタとしての役割を期待していたプレイヤーにとってはさらに評価を下げる一因となった。

このような感じで、そのテキストのシンプルな印象とは裏腹に、コストアップが効かない例外が数多く存在してしまう能力だったのである。


3,能力が効いたかどうかわからない



とはいえ、(アクセラレートは仕方ないとして)エンハンスを持たないスペルの方が多いし、都合よくピンポイントに使われたくないスペルを直後に引かれることなど確率的にそうそうないし、
過剰なコストダウンはそもそも過剰なコストダウンが必要な時点である意味役目は果たせていると言える。全体で見ればこれが刺さる状況というのはそれなりにあるはずなのである。
だが、ここで浮上するのが3つ目の問題点である。

ルルナイを使われて、コスト+3されたスペルをそれでも使うという状況はそうそう無い。
無理やり使うことは3PPを無駄に残すのと同義であり、そのターン可能な動きとしては非常に弱いものとなってしまうからだ。
そのため、使われた相手の対応としてはコストアップしたスペルは温存し、フォロワーやアミュレット、あるいはエンハンス持ちのスペル等で最大限出来ることをすることになるだろう。
しかし、ルルナイを使った側からすれば「ルルナイを使ったからスペルを温存せざるを得なかった」のか、「ルルナイに関係なくこのターンに使うつもりは無かった」のか、
あるいは「そもそも手札に無かった」のかを判断する術はない。それこそアンを出した後の10ターン目とかなら分かり易いが、そんな状況はなかなかあるものではない。
読みが重要なテクニカルなカードと言えば聞こえはいいかもしれないが、前述の不安定さを考えるとそのテクニカルさに見合うリターンとは言い難い。


4,ネクロマンス3


地味ながら、このカードの採用率を下げている一番の要因と言えるかもしれない。
ネクロマンスとはネクロマンサー固有のキーワード能力であり、フォロワーやアミュレットが破壊されたりスペルをプレイしたときに増える「墓場」を消費して発動する能力であるが、
ルルナイのコストアップ能力を発動するには墓場を3消費する必要がある。
ここで問題なのは、このネクロマンス能力が(墓場が3以上あれば)強制的に発動してしまうことである。

そう、前述の通り、隙が多い上に効いたか効いていないのか分からない能力のために墓場が3消費されてしまうのである。

仮にこれがただのファンファーレ能力だったなら、スタッツの高さもあって前述の問題点を無視しても相手に嫌がらせができるかもしれないカードとしてそれなりに採用された可能性はある。
しかし、その「かもしれない」のために対価を払う必要があるとなると話は別である。
同弾には『冥界の闘犬・オルトロス』というコストはルルナイよりも1重い(4/4/3)が、「ファンファーレ ネクロマンス3;相手のフォロワー1体に4ダメージ」という
能力を持ったフォロワーが収録されている。レアリティはシルバー
確実に盤面に干渉出来る能力と、ここまで書き連ねたような多くの隙が存在する効いたか効いてないか分からないような能力、同じ対価を支払うならどちらがいいかは考えるまでも無いであろう。



これらの問題点が露わになったことや、実装前は仮想敵とされてきたマナリアウィッチがこの時点ではそこまで奮わなかったこともあり、
実装前の評価が嘘のように環境では見ないカードとなってしまったのである。


あれ、じゃあなんでネクロマンサーって環境上位になったの?



ちゃんと解説しようと思うとこの記事が蒼空の騎士から十禍絶傑にかけてのミッドレンジネクロの解説になってしまうので簡単に言うと、

冥界の番犬・ケルベロス
コスト5 3/3(→5/5) フォロワー ネクロマンサー レジェンド
ファンファーレ 番犬の右腕・ミミ1体と番犬の左腕・ココ1体を出す。
進化時 自分の他のフォロワーすべては「ラストワード ランダムな相手のフォロワー1体に1ダメージ」を持つ。

番犬の右腕・ミミ
コスト1 2/1(→4/3) フォロワー ネクロマンサー トークン
ラストワード 相手のリーダーに2ダメージ。

番犬の左腕・ココ
コスト1 1/2(→3/4) フォロワー ネクロマンサー トークン
ラストワード 自分のリーダーを2回復。

飢餓の絶傑・ギルネリーゼ
コスト7 3/5(→5/7) フォロワー ニュートラル レジェンド
潜伏
ドレイン
自分のターン開始時、このターンが10ターン目かそれ以降なら、おたがいのリーダーはカードを5枚引く。
ファンファーレ 自分の他のフォロワーすべてを+2/+0する。

この2枚のカードによる功績が大きい。
前者はルルナイと同様十禍絶傑のネクロマンサーのレジェンドなのだが、そのスペックは
  • トークン含め5コストにして合計スタッツ12(当時のコスト5フォロワーの相場は10)
  • しかもそのトークンが顔面2点バーン&2点回復のラストワード持ち
  • 進化時は通常通り+2/+2されるにも関わらず、自分で出したトークン含めた他の味方フォロワー全てにラストワード付与
という冗談抜きに産まれる時期を1年以上間違えているハイスペックなカードの実装によって、それまでの不安要素だった中盤の盤面が盤石なものになった。

後者は名前を見ればわかる通り、ルルナイと同じく『絶傑』の1人である。ニュートラルの。
ニュートラルということで全クラスが使用可能なのだが、ミッドレンジネクロ的にはファンファーレの能力を買われ、グレモリー(1/1/1。エンハンス6で自分の他のフォロワーすべてを進化させる。
前述の一斉ナーフの際にエンハンス7になった。)を実質6枚積める体制となり、自らも潜伏によってダメージ源になれることもあって終盤のバースト力を大きく引き上げた。
そのため、本当のネクロの絶傑はギルネリーゼだと(ネタで)言うプレイヤーも多い。


余談


ここまでどちらかと言うと弱いカードとして紹介されてきたルルナイだが、実は大会にてガチ採用された時期もある。
 第11弾カードパック『次元歪曲』実装後のRAGE予選にて、決勝進出者のうち2人がミッドレンジネクロを使用していたのだが、その両方にルルナイが採用されていた。(片方は2枚、もう片方は1枚)
 この時期の環境トップがマナリアウィッチだったため、なんやかんやでアンの大魔法によるリーサルを1ターンずらせるのが同じく10ターン目に即死コンボがあるミッドレンジネクロに
 ピッタリだったのと、十禍絶傑のアディショナルにて実装されたオシリスのリアニメイト3の対象としてうってつけだったことが原因と思われる。

十禍絶傑の実装当時、ルルナイ同様あまり使われなかった絶傑として真実の絶傑・ライオ*4とエズディア*5がいたが、その後ライオは真実の狂信者など相性がいいカードが実装されて環境入りし,エズディアも第11弾カードパック『鋼鉄の反逆者』にて至高の戦神・オーディン(7/4/3疾走。10ターン目以降のターン開始時、自分のフォロワーが合計6回以上進化していたならデッキから直接場に出る。)と組み合わせてEPが1以上残っていればワンショットキルが狙えるようになり環境入りしたため、晴れてルルナイは最弱の絶傑になってしまった。
 …というように語られることがたまにあるが、ぶっちゃけ半分は間違っている。ライオの環境入りは事実だが、エズディアはあくまで相性がいいカードが実装されたというだけで、エズディアがローテーションで使えた期間に進化エルフが環境上位にいたことなど一度もない。前述の通りルルナイはガチ大会での採用実績もあるため、少なくともそういう意味では最弱扱いを受ける謂れはない。

ジェムオブフォーチュンでは墓場が溜まりやすい上に手札にため込んでたジェムが全部コスト3になってしまうため構築から一転して猛威を奮う…と言いたい所だが、結局その後引いた0コスのジェムを起点にされるため構築同様「思ったほどの強さではない」という評価になってしまう。ただし構築と違って相手がジェムを貯めこんでいることは非常にわかりやすいため、特にエルフやウィッチに対して適切なタイミングで使えれば強いカードではある。



追記・修正は沈黙の試練を乗り越えてからお願いします。

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最終更新:2020年12月26日 15:08