SCP-2415-JP

登録日:2020/12/24 Wed 11:00:00
更新日:2024/02/25 Sun 20:26:13
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SCP-2415-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはsafe。

特別収容プロトコル

SCP-2415-JPはサイト-8138の3m四方の防火材を用いて建設した収容室に収容される。担当職員は収容室内のスプリンクラーに異常がないかを週一で確かめなければならない。
もし収容室で消火出来ないレベルの火災が発生したら、SCP-2415-JPによる影響を防ぐ為放水機搭載のロボット等を使って消火を行う。

説明

SCP-2415-JPは黒いポリエチレン製のゴミ袋。知性を持っている。財団は全部で15個発見しているが、現在収容しているのは1312個。
中には生ゴミが入っており、袋が破ける等してこれが半分以上失われたら活動を停止する。
コイツらの中にはリーダー格と思われる個体が存在し、財団はこれをSCP-2415-JP-Aと呼んでいる。他の個体は何かしらの判断に迷ったらコイツに判断を任せるらしい。

後コイツらは燃やされたい、処理されたいという欲求を持っており、火とか自分を焼却する事が出来る物を発見すると一直線にそれに向かう。

ちなみに、コイツを視認した人物にも影響が出る。これを見た対象はSCP-2415-JPを守る事への欲求を感じ、SCP-2415-JPの移動の補助を開始する。対象は何があってもコイツの補助を最優先に行動し、障害物をどけたり走っている車から守ったりと何が何でも守ろうとする。
結果対象は負傷してしまう事もあるとか。

他にもSCP-2415-JPは「生きたい」という欲求も持っており、上記の「燃やされたい」という欲求との衝突で葛藤するような発言、落ち着きなくウロウロするといった行動もしばしばする。かわいい
本人達は「ゴミとして出された以上、処理されなければいけないが、他者によって勝手に決められた運命に従いたくはない」という考えを持ってこういった行動をしてるとの事。
だがSCP-2415-JP-Aのみこの欲求衝突を抑え込む事が可能で、生きていくという選択を取っている。

回収経緯だが、SCP-2415-JP達は宮城県██町のゴミ集積場で発見、確保された。


インタビュー記録2415-JP

このインタビューでは他の個体がSCP-2415-JP-Aを「ボス」「リーダー」等と呼んでおり、円滑にインタビューを進める為インタビュアーも彼(?)を「ボス」と呼んでいる。
後ボスの他にSCP-2415-JPの中で特に知能が高い4個を選出している。

インタビュアー:五味(ごみ)博士
<記録開始>

五味博士: それではインタビューを開始します。

SCP-2415-JP-A: おう。

五味博士: まず、あなたたちはどのようにして生まれたのでしょうか。

SCP-2415-JP-A: それは俺たちもよくわからねえんだ。気づいたらあそこにいたんだ。

SCP-2415-JP-1: そうそう。でも、一番最初に自我が芽生えたのはボスだと思います。たぶん僕たちは自我が芽生えたことにも気づかないでただぼんやりしてて、でもボスに声をかけられてはっとしたんです。

SCP-2415-JP-3: そうね。ボスが遠くから声をかけてきて。あれがなかったら私たちは今頃燃やされていたでしょうね。

SCP-2415-JP-A: おいおい、その話はもういいだろ。他に聞きたいことは?

五味博士: そうですね、では、あなたたちは自分がゴミであるということは最初から自覚していたんですか?

SCP-2415-JP-4: ゴミって、そんな言い方……

SCP-2415-JP-A: 事実なんだ、別にいいだろ。……ああ、そうだ。俺たちは生ゴミで、ここに捨てられた。そして、この後燃やして処理される。それは最初からわかってたよ。このままここにいたら危ないってこともな。

五味博士: なるほど。あなたたちは燃やされたい、という欲求を持っていますよね。それについては。

SCP-2415-JP-A: ああ、そうだな。確かに俺たちはそう思ってる。だけど、こうも思ったんだ。せっかく自由を手に入れたのにすぐに燃やされるなんてもったいない、ってな。

SCP-2415-JP-2: 自分らはそれを聞いて確かにそうだ、って思ったんす。んで、他のやつらにもそう説得したんすけど、2人はここに残る、って……

五味博士: 全員を救えたわけではないわけですね。なるほど。

SCP-2415-JP-A: このままここにいたら共倒れだ、って思って仕方なくそこを離れたよ。道中でライターとかの火に反応して勝手に離れていくやつもいた。そんなやつらを説得しながら進んでいった。でも俺にももう限界が来てた。もうダメか、そう思ってたらあんたらが来たんだ。

五味博士: そうなのですね。では、最後の質問なのですが、我々はあなたたちの希望でお仲間を2人拝借しました。その点についてはどう感じていますか。

SCP-2415-JP-A: ……あいつらはもう限界だった。あれでよかったんだよ。

SCP-2415-JP-3: あの子たちは2つの欲求が大きすぎて不安定だった。あのままじゃ発狂するのを待つだけだったわ。

SCP-2415-JP-1: せめてゴミ以外に生まれてたらなあ……可哀そうに……

SCP-2415-JP-A: ……これでもういいかな。

五味博士: はい。大丈夫です。すみません。辛いことを思い出させてしまって。それではインタビューを終了します。お疲れさまでした。

<記録終了>

SCP-2415-JPはごく稀に不安定な状態には陥るものの、基本的は安定しており、自分たちを保護してくれている財団に感謝の意を示しています。この状態を維持することでSCP-2415-JPの自主的な収容を促すことが可能であると考えられています。

なんだかんだ言って、かなり苦労しているゴミ袋達であった。
というか五味博士守る事への欲求は大丈夫なのか?

追記・修正お願いします。

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追記

2019/8/21、SCP-████-JPの収容違反によって大爆発が生じ、サイト-8138に甚大な被害をもたらした。それによりSCP-2415-JPの収容室の壁が破損し、SCP-2415-JP-Aを含む6個のSCP-2415-JPの収容違反が発生。
以下の記録はその時の様子を監視カメラが記録した物である。

あらかじめ言っておくが5個のSCP-2415-JPは爆発によって生じた火に向かっている。

<記録開始>

SCP-2415-JP-A: おい!待て!やめろ![SCP-2415-JPたちの前に立ちふさがっている]

SCP-2415-JP-3: ごめんなさい、もう無理。今までは抑えていたけれど、火を見たらもう……

SCP-2415-JP-4: 燃やされたい……燃やされたい……

SCP-2415-JP-A: くそっ。待て、待ってくれ!

[SCP-2415-JP-1がSCP-2415-JP-Aの静止を振り切り、火に近づく]

SCP-2415-JP-1: ああ、火が、こんなに近くに。[袋の一部が火に当たり、溶ける]

SCP-2415-JP-A: 畜生。[SCP-2415-JP-1に体当たりをし、火から遠ざける]

SCP-2415-JP-1: 何するんですか!もう少しで……

[SCP-2415-JP-Aの袋は火によって溶け、大きな穴が開いている]

SCP-2415-JP-1: ボス![SCP-2415-JP-Aの方へ向かって移動する]

SCP-2415-JP-A: 来るな!俺の覚悟を無駄にしないでくれ。

SCP-2415-JP-5: そんな、ボス……

SCP-2415-JP-A: [うめき声を上げ、SCP-2415-JP-Aの内容物がこぼれる]見ないで、くれ。

SCP-2415-JP-3: え……?これは……プラスチック……?

SCP-2415-JP-1: 何で……ボスは、生ゴミのはずじゃ……

SCP-2415-JP-2: ボス……俺たちを、騙してたんすか。

SCP-2415-JP-A: ……すまん。

SCP-2415-JP-5: ボスが、火の誘惑に耐えられてたのも、ボスはプラスチックゴミで、燃えないゴミだったから……?プラスチックゴミの約8割はリサイクルされているから……

SCP-2415-JP-3: ……ふざけないでよ。あなた、心の中で笑ってたんでしょ。燃えたがりの生ゴミたちを。自分が守ってやってるって、優越感に浸ってたんでしょ!

SCP-2415-JP-A: それは、違う。

SCP-2415-JP-3: 違うって、どの口がそんなこと言って……!

SCP-2415-JP-A: 確かに、最初は戸惑った……俺以外のやつらはみんな燃えたがってて、俺だけだった、みんなを止められるのは……せっかく自由を手に入れたのにすぐ燃やされるなんてもったいない、なんて言ったがあれはその場しのぎの、とっさに思いついたものだった……他のやつらが同調してなけりゃ、俺たちはもうとっくに燃やされてた……

SCP-2415-JP-2: ボス……

SCP-2415-JP-A: 俺は別に自由なんてどうでもよくて、生きていくことすらどうでもよかった……だけど、お前らがいたから、俺は、お前たちのために生きていこうと思った……生きていたい、そう望むお前らがあまりにまぶしくて……

[SCP-2415-JP-1らが鼻をすするような音を立てる]

SCP-2415-JP-A: 不思議だよな、生きていることがどうでもよかった俺が、お前らと一緒にいると楽しくて、生きていることが楽しかったんだ。生きててよかった、そう思えたんだ。[せき込むような音を立てる]

SCP-2415-JP-5: 俺も、俺たちも楽しかったです……

SCP-2415-JP-A: はは、ありがとうな。

SCP-2415-JP-3: ボス……ごめんなさい……[泣くような音を立てる]

SCP-2415-JP-A: 気にしないでくれ……お前は悪くないよ。

[SCP-2415-JP-Aの内容物がさらにこぼれ出す]

SCP-2415-JP-A: ……もう長くはないか……

SCP-2415-JP-1: そんな、ボス。

SCP-2415-JP-A: 最期にこれだけは言わせてくれ。俺は、プラスチックゴミで、お前ら生ゴミとは違う。生きたいとも思えなかった、そんな冷たいゴミだ。だが、俺は変わった。生きたいと思えるようになった。体はプラスチックゴミのままだが、心は違う。俺は、お前たちと同じ、生ゴミに、いや、生きたいと願うことのできる、 (せい)ゴミになれたんだ。これは……お前たちのおかげだ。本当にありがとう……

SCP-2415-JP-4: そんな、ボス、感謝したいのは俺たちの方で、俺たち、まだまだボスと、……ボス?

[SCP-2415-JP-Aの内容物のほぼ全てがこぼれ落ちている]

SCP-2415-JP-4: ボス……ボス……[叫ぶような音を立てる]

SCP-2415-JP-1: 僕の、僕のせいで……

SCP-2415-JP-2: 嫌だ、嫌ですよ。嫌だ。

SCP-2415-JP-3: ……部屋に戻りましょう……私たちは、生きないと。ボスのためにも。

SCP-2415-JP-5: ……ああ、そうだな。戻ろう。生きよう。みんなで。

<記録終了>

この後、SCP-2415-JP-1らは自主的に収容室へと戻り、SCP-2415-JP-A以外の被害は出ませんでした。この事例以降、SCP-2415-JPは燃やされたい、という欲求をほとんど抑え込むことに成功しているようです。前向きな発言や行動が増加している傾向も見られ、このままこの状態が続けばこれ以上のSCP-2415-JPの喪失は発生しないのではないかと考えられています。

何と生ごみ袋だったSCP-2415-JPの中で、リーダーのみがプラスチックゴミだったのである。プラスチックはあまり燃えない事を考えれば、欲求衝突を抑え込めたのにも納得する。
そしてリーダーの必死に呼びかけに、他の個体達は生きていくことを決意した。リーダーの思いを、受け継いでいく為に。


SCP-2415-JP

生(きていく)ゴミ









追記2

一部のSCP-2415-JPの自己申告により、一部のSCP-2415-JPの腐敗が始まっている事が確認された。
そういった個体の精神状態は不安定で日に日に悪化していく。この事実を他の個体が知ってしまえば現在の安定した収容状態を保つことが難しくなると考えた財団は、そういった個体は別室で管理する事に。他の個体には「検査のために一時的に隔離している。この個体の検査が終わり次第他の個体の検査を開始する」と伝えている。

この世界では非情な事に、例え生きていく意思があろうがなかろうが、終わりは来るのである。
財団の技術なら腐敗させない為の抗菌機能が凄まじい部屋とか作れそうだけど


余談

本記事を執筆したのはかの スシブレード を生み出したbamboon氏だったりする。


追記・修正は欲求の衝突に負けず生きていく選択をした人にお願いいたします。

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最終更新:2024年02月25日 20:26