冬浦めぐみ

登録日:2021/03/20 Sat 08:00:18
更新日:2024/03/18 Mon 15:35:51
所要時間:約 40分で読めます





一人きりになった。
私はこの時間が好きだった
誰にも邪魔されることはない、静まり返った空間
そこには他者がない
息衝くものは己だけ
そう、私だけが存在できる場所
永久にこのままで在りたいとすら思った








冬浦めぐみはTAKUYOの乙女ゲーム月影の鎖 -錯乱パラノイア-』のヒロイン。

紅霞市の外れにある小料理屋『月の畔』で女将として働いている。
現在は血のつながらない兄と二人暮らし。

……ここまでなら普通のヒロインだが、彼女の本質は内面の闇の深さ
TAKUYOヒロインがイカれているのはいつものことだが、その中でも群を抜いて頭がおかしく、ヤンデレ属性の乙女ゲーヒロインという中々稀有な属性を持っている。
一部ルートでヒロインが病むのはまれによくある。殺人鬼に惚れて攻略対象皆殺しにした某女子高生とか。しかし作中一貫して病んでいる人は流石に珍しい。
同じく闇が深い「SWEET CROWN」のヒロインである樫野柘榴ちゃんとは親戚みたいな扱い。
公式曰くめぐみが狐で柘榴が狸。


年齢:17歳
誕生日:10月12日
身長:155cm
血液型:AB型
好きな言葉:『平穏無事』
好きな食べ物:りんご飴
好きなもの:月

【人物像】


「月の畔」の女将。副業としてお使い業も営んでいる。
幼いころに実母が亡くなり、現在の義母である大井川蛍に引き取られた。
1年前に蛍が亡くなったことで「月の畔」の二代目女将となった。

物静かだが大人びていて気立ての良さを持つ少女。一部例外を除き常に敬語口調で話す。
『自分の家にでもいるような心地よさを提供すること』という店の理念を忠実に守っており、来てくれたお客が心地よい時を過ごせることを何よりも大切にしている。
穏やかながらも相手を立てつつ話すセンスが高く、どんな話にも笑顔で付き合ってくれるということで客からの人気も高い。隠れファンも多いのだとか。

店をよくするためには努力は惜しまず、先代女将にはまだまだ到達しない技術があると理解しながら、出来ることからコツコツやっていこうとする向上心も兼ね備えている。

その一方で個人的なお付き合いを求めてくるお客はそれとなくかわし、兄を除くすべての人間と「女将とお客」としての一定の距離を取り、あまりプライベートを明かさないというミステリアスな面を持つ。

唯一兄に対しては年相応の少女らしい砕けた口調で話す。
というか兄に対しては完全に口うるさい妹。護も妹について評するときは褒めつつも最後にしれっと「たまに怖い」と付け加えていた。
めぐみおにいちゃん?(それを聞いて)


このようにお客から好かれる理想的な女将。
……というのは全て彼女の表向きの姿。実際は精神的に不安定な依存体質


【めぐみの過去と本質】


全ての始まりは幼いころ、めぐみの実父が亡くなったことだった。
めぐみの母・雪乃は夫を深く愛するあまり心を壊し、夫が死んだこととめぐみの存在を忘れてしまった
母が大好きなめぐみはなんとか自分を思い出してもらおうとするも、母は思い出さず、むしろ誰だかわからない子供にイラついていき終いには「あなたは誰なの? 迷子の子が勝手に入ってきたの?」と言うほどだった。

このことが原因となりめぐみは自己肯定感が低い子どもになってしまった
そのこともあり心の奥底に「誰かに愛されたい、受け入れられたい、必要とされたい」という大きな欲望を持つようになった。
そして自己肯定感が低いために他人に迷惑をかけることをひどくおそれるようになる。

その後母は亡くなり、彼女の従姉妹である大井川螢に引き取られることになる。
自分に存在価値がないと本気で信じていためぐみは、大井川家で子どもゆえに迷惑をかけることも多くそのたびに「自分なんていなければよかった」と考えてしまっていた。
けれども蛍と護はめぐみを慰め、無償の愛を与えてくれた。


このような壮絶な過去から生まれてしまったのが現在のめぐみ。
上述の人物像は全て義母である蛍の言動を真似ているだけに過ぎない

きっかけやはり大井川家に引き取られたことだった。実母とのすれ違いで自分の存在価値を失いかけていためぐみ。
そんな彼女が蛍と護に無償の愛を与えられ、感じたことは「二人はこんな私にも居場所をくれた。だから私はせめて誰にも迷惑をかけずに生きていかなければならない。そして私はこの家のために生きていく」というものだった。
つまり「私に存在価値は無いが、居場所を護る私には価値がある」というのがめぐみの根底。
そして自己肯定感が低いがゆえにそれだけが自分が価値のある人間になれる方法だと勘違いしてしまっている。
……この時点で色々と歪んでいるがめぐみちゃんだから仕方がない。

それからめぐみは誰にも迷惑をかけず生きていくために、元々存在価値のない自分が自分のために行動することは大それたことだと考えるようになる。
だから心の奥底にあった「愛されたい」「受け入れられたい」という自分の感情を押し殺すようになっていった。
迷惑をかけずに生きるためには欲望を持った本来の自分は必要ないと考えるようになっていったのである。


「愛されたい」という願いを抱いていたはずなのに、いつの間にかその願いを殺してしまうという大きな矛盾を抱えている。

そうして誰にも迷惑をかけず店のために生きるべく、自分に愛を与え指針となってくれた蛍の理念や言動を模倣するようになった。
このように上述の人物像はめぐみではなく、蛍の人物像を演じているだけ。


自分の居場所を守るために、『居場所』という鎖に縛られ、そして依存している。
自分が生きていれるのは居場所を守っているからであり、そうでなければ自分に存在価値はないと信じて疑わない。
依存しているがために物語開始時の彼女にとってはそれに尽くすのが本望であり、序盤では「自分に与えられた役割を全うするために」とか「私は希薄な感情で生きなければならない」とか口にしていた。
またとあるイベントで「恋に興味はある?」と聞かれるが「はい」と答えると「いつかの将来兄は誰かと結婚する→店は兄の嫁が守ってくれれば言うことはない→だがその時に自分がひとりだと優しい兄は心配する→だから兄を心配させないために恋に興味を持ち恋人をつくらなければならない」という歪な価値観を見せてくれる。
恋自体については「理解できていないので興味を持てない」が本音。



本来のめぐみは女将としてのめぐみとは真逆の根暗で人見知りな少女。
相手に不快を与えない上で一定の距離を保ちプライベートでは好んで人と深く関わろうとはしない。
『自分の家にでもいるような心地よさを提供すること』という理念の為なら、本来は客とは距離の無い付き合いをしていかなければいけないため、めぐみは本質的には理念を理解していないと言える。
自分を押し込めた結果成長できず大人になったため視野が狭く、ただ理念だけに縛られている。


ついでにネグレクトの影響か、人間性が一部ぽっかりと欠落している節がある。
兄と共に実母の墓参りに行ったとき思ったのは、「兄はこんなにも熱心に祈ってくれているのに、自分は何も感じていない」ということだった。


何より「本来のめぐみ」は長い間抑圧されていたために精神的にとても未発達な状態
本来は自己肯定感が低く精神的に脆い自分を見つめなおし成長しなければならなかった。
けれどもめぐみは蛍を模倣し仮初の人格を得てしまったことで自分の弱さから目を背けてしまった。
だから、「本来のめぐみ」は精神的に幼い少女だと言える。
幼いゆえに自分の欲望を制御する術を知らず、その癖蛍の人格を演じることで自分の欲望に無理矢理封をしているという危険な状態。

本人はそんなこともお構いなしに封じ続けたため、いつ狂気に蝕まれてもおかしくないことになっている。
もしも何かの弾みで「女将のめぐみ」が崩れれば、「本来のめぐみ」は未発達な幼い子どもであるために自分の欲を押しとどめる手段を持っておらず、「愛されたい」という欲望のままに暴走してしまうことになる
このように愛ゆえに暴走するのがめぐみちゃんがヤンデレヒロインを言われる所以。
実際望月依存エンドでは理性では間違っているとわかっているが、それでも気が付けば望月のことを考えてしまうという欲望を抑えきれない最悪の事態になっていた。


物語では街の事件で居場所を守れなくなってしまうかもしれないこと、
何より初めての恋で押し殺し続けていた「本当の自分を受け入れてほしい」という考えが表に出るようになったことで不安定さを増していく。

こんな彼女がどのような結末を迎えるかはめぐみの選択次第。

純愛エンドでは街での事件に立ち向かう中でようやく自分の心のいびつさに気が付き成長していく。
そうして自らを縛る鎖から抜け出し、恋人と共に幸せな道を歩んでいく。

依存エンドでは逆に成長できないままでめぐみが壊れ、暴走していく。
ルートごとに行動は変わるが、恋人のために殺人の覚悟を決めたり心中しようとしたりアクティブなヤンデレさんになる。
自分を抑圧し続けていた反動か、その言動は歯止めがきかず狂気的になっている。
依存エンドで共通しているのは、愛してくれた相手に対する独占欲

依存エンドも力の入った内容であるためか、ヤンデレに覚醒しためぐみちゃんが印象に残っているプレイヤーも多いらしく、こっちのめぐみが好きという人もそこそこいる。
酷い人だと「めぐみちゃんは[[闇堕ち]]する方が輝いている」と言い出す。

個人差はあるだろうが、各ルートの病み具合は
望月>榛名>神楽坂≧猪口>>>>>>>>兄貴

くらい(無印限定に限る)。
望月依存エンドは割かし長めということもあってめぐみちゃんは完全に錯乱パラノイアしている。

なお依存エンドに到達した場合、攻略対象は高確率で破滅もしくは闇堕ちする。
……とんだ疫病神である。


こんなプロフィールのために意外に感じるかもしれないが、自己肯定感が低いだけで頭は結構よかったりする。
そもそもしれっとやっているが蛍の言動を完コピしている時点で地味におかしい
特に話術に長けており、猪口ルート終盤のスパイ活動でその一端を見ることが出来る。
また榛名ルートでは「才能があった」ということにはなっているがかなり短時間でピッキングを覚えていた。才能がピッキングであるあたりが本当に闇属性のヒロイン。
だが頭が良いせいで自分の闇を周囲に気が付かれないようにしてしまったという意味では、それが仇になっている。


長々と語ったがめぐみの本質的な部分は『月』
一般的な乙女ゲームのヒロインもしくはこの作品の神楽坂や望月のように、みんなを支える太陽にはなれないかもしれない。
けれども、月のように優しく誰かを支えることは出来る。
そしてそんな風に月が必要な人間は決して少なくない。
『本来のめぐみ』は気弱で人見知りする性格ではあるが、同時に優しく責任感の強い少女でもある。


完全に余談だが精神が未成熟な反面、肉体的には成熟しているらしくボンキュッボンであることが示唆されている。


【各ルートでの行動】


◆神楽坂ルート


ふとした縁で神楽坂と祭りを回ることになり、仲を深めていく。

このルートでは深海の策略により神楽坂が軍人であることが明かされ、クソ市民どもは青年団に敵意を示すようになる。
朝のクソ市民ども「神楽坂くんならきっとなんとかしてくれるさ!」
夜のクソ市民ども「神楽坂のせいでこの街はめちゃくちゃになったんだ!」
※同じ日の出来事です。

めぐみの方でも問題が起きていた。水道税について、商店街で利益の集中を防ぐためにすべての店で値段を2割増しすることが義務付けられる。
それは店の理念に反することでありめぐみにはどうしても納得できないことであった。
仕方がなく町内会長と直談判を試みるが、「上げないなら商店街は月の畔を見捨てる」という冷たいものだった。
めぐみは悩みに悩んだ末に値段を据え置くことを決めた。

それからのめぐみの生活は苦しいものになった。
水道税によって材料費と料理の値段が釣り合わず、売れば売るほど赤字になっていく。
もちろん「理念」があるのでお客の前で暗い顔を見せることは許されない。
夜になれば同じ商店街の人々がめぐみを「裏切り者」と糾弾する。
そんな生活が続き、めぐみはついに倒れてしまった

目が覚めるとそこには神楽坂がいた。偶然看病することになったらしい。
彼はめぐみに穏やかに、しかし厳しく諭す。
商店街が疲弊しているのは事実であり、その状況でめぐみの店に客が集中するのは商店街をさらに傷つける行為だと。たしかにめぐみの「理念」は大切なものだがこの場では我儘だったと
この言葉でめぐみは自分を客観的に見つめなおし、自分が店に依存しとらわれていたことに気が付く。
そんなこともあり、このルートのめぐみはあまり病まない。

それからめぐみは自分の行動を少し変えた。
店は続ける。しかしこの期間の売上金全てを迷惑をかけた商店街の人々に渡していく。
本人なりに理念を貫いたつもりだった。
そうして在庫がなくなり、店は閉業することになる。
店を終わらせたにもかかわらず、めぐみの表情はどこか晴れやかだった

その後めぐみは青年団に入ることを決めた。
めぐみは今回の一件で自分の視野の狭さを知った。だからこそ物を知り島を変えていこうとする青年団に協力したいと考えた。
神楽坂からの了承を得て正式に入団が決まった。


……しかしその直後神楽坂が倒れてしまう。
そこでめぐみは望月と共に、医者から火傷の後遺症で彼がもう永くないことを知ってしまう。

このことは極秘事項であるためこのことは胸に抱えめぐみは仕事をすることになる。
そんなある日、町内会会長がめぐみの家を訪問する。彼女に謝りに来たのだ。
神楽坂は演説でめぐみのことを引き合いに出して商店街を非難したのだ。そのことで商店街の面々はようやく自分の行いを理解した。
謝る町内会会長に、自分にも非があったとめぐみも謝罪する。ともかくこれでめぐみは和解することができたのだった。

そして神楽坂の行動によってめぐみは自分の恋心を自覚し、永くない彼の為にも想いを伝えることを決める。
問答の末にその想いは実ることとなった。……このルートのめぐみちゃんはたくましい。
また、彼の家族や火事に関する過去についても教えられる。

次の日、めぐみは青年団として本土にとある手紙を届けるように命じられた。
実は深海は裏では武器商人を担っていた。それについての証拠が集まり本土の有力者に見せるつもりだった。

その仕事は猪口たちの助けもあり困難はあったが成し遂げられた。
深海の罪状が明確となり、深海は警察に連行され、島を追い出されることになる。

深海は倒されたが、まだ終わったわけではない。
むしろ明確な敵がいなくなったこれからが本当の戦いと言える。

しかしそんなつかの間、紅華楼で大火事が起こる
さらに神楽坂が少女をかばい大けがをし、中から出られなくなっていた。
めぐみは兄を振り切り紅華楼へと走る。

ようやく神楽坂を見つけるが、彼はここで死ぬつもりでいた
元々彼は過去に大切な人を助けられなかった体験から死に場所を求めていた。

ここでルート分岐。






◆望月ルート


こちらでは祭りで青年団のために弁当をつくった時、望月と共に運ぶことになり少しずつ仲を深めていく。
自分の存在価値の為に一度は望月と離れようとするも、彼のまっすぐさに惹かれ友達から始めることになる。

序盤は神楽坂ルートと同じ流れ。つまりクソ市民どもが青年団に疑惑を持ち、めぐみが店の値段を据え置きする。
話が神楽坂ルートから変わってくるのは、めぐみが過労で倒れてから。
望月と仲が良かったこともあり、めぐみは紅華楼にかくまわれ、暮らすことになる。
……だがこちらでは神楽坂の助言がないために立ち直ることができず、自身が店を破滅に導いたという事実がめぐみの胸にのしかかっていく
ついには自分を「役立たず」とののしるほど心に深い傷を負っていた。

そんな中、望月はめぐみの世話をしてくれた。
話し相手になってくれ、彼女が出来る仕事を探し、散歩に付き合ってくれた。
何より「あなたの顔が見たいから」と言ってくれた。
めぐみは少しずつ望月に想いを寄せていき、彼のために何かをしたいと考えるようになっていく
愛を知らずに生きてきためぐみにとって誰かに想ってもらえることは何よりもうれしいことだった。

……だが紅華楼で起きたのは嬉しいことだけではなかった。
めぐみは気が付けば望月の愛を求めるようになる。けれども、望月はいつでも「友人」として一歩引いた線引きをしていた。
さらに望月に片思いをする紅華楼の少女・サエに一方的に罵倒をされる。

不安に思っためぐみはさらに望月のためになろうとする。

しかし望月は真逆のことを考えていた。
めぐみは望月のために生きようとしている。言い換えれば、自分のせいでめぐみを縛り付けていた。それを優しい望月は良しとしなかった。
だからこそ、善意でめぐみが紅華楼以外で働けないかと提案した。

もちろん望月の近くにいたいめぐみにとっては拒みたいことだった。
しかし彼の善意であると考えると断ることはできなかった。


そんな時、事件が起きる。暴徒と化した市民に青年団たちが襲われるようになったのだ。
望月はまだ帰っていなかった。心配になっためぐみは、無理を言って彼を探しに行く。
だが理性を失った市民たちによってめぐみは監禁されてしまう。

そこで気味の悪い青年に見張りをつけられるめぐみ。
そしてその青年は……あろうことか、めぐみを犯そうとした

逃げ続け、すんでのところで駆け付けた望月に何とか助けられた。


もちろんこの出来事はめぐみのトラウマとして残ることになる。
この時点での依存度と愛情度によりルート分岐。








◆猪口ルート


猪口とはノアをかばったことで縁が生まれ仲良くなっていった。
祭りの日、アクシデントが重なったことで2人で楽しむことになる。
そんな中猪口は「ノアのためにも差別のない平等な世界をつくりたい」と口にする。
それを聞きめぐみはまっすぐな猪口に感銘を受けると同時に、自分も存在価値のない人間ではなく他人のために出来ることがあるのではないかと考えるようになる。
こんな経緯から猪口ルートのめぐみはあまり病まずまっすぐな性格をしている。

そうしてめぐみは猪口とノアで遊ぶ機会が増えていった。
そんなある日事件が起きる。ノアが「月の畔」にいるのを市民に見つけられる。
さらに、本人には伝えられなかったがノアが迫害されているのは外国人差別などではなく、猪口家が村八分を受けているからであると言われる。先代の猪口家で起きたことは、今でも島で根強く残っていたのだ。
めぐみに猪口家とは縁を切ること、そして切らないのであればめぐみたちも村八分の対象になることを伝えると去っていった。

めぐみに迷惑をかけることを良しとしない猪口は、もう自分たちに会わないように言う。
けれどもめぐみはそれに対して食い下がる。
自分に生きる希望を与えてくれた猪口のためにも、こんな志半ば終わることはしたくないと。
兄の後押しもあり村八分を受けてでも猪口たちと会い続けるということを決める。
……このルートのめぐみちゃんは比較的たくましい。

しかし村八分というのは彼女の想像以上に厳しいものであった。
まず商店会から除名されているため市場で物を買うことができない。当然「月の畔」を開店することも難しい。
さらに変わりゆく街に市民はめぐみを悪意の矛先にしており、街を歩くだけで「疫病神」と罵られ、その上連日家を荒らされる。

そんな中でも猪口の部下や榛名が手助けをしてくれた。
そして榛名の言葉によってめぐみは自分がまっすぐな猪口に恋心を抱いていることに気が付く。

そうして日々を耐えていく中、兄と榛名がある事実をつかむ。
それは深海が裏では武器商人をやっており、駐屯地誘致計画はそのため。そしてこの計画を実行するために軍の上官と組んで不正をしていると。

深海を倒すため猪口たちは作戦を組む。
まずは本土にいる、黒幕らしき上官を島に呼ぶ。そうして適当な方便で紅華楼で宴会を開き、上官を酔わせて話の裏を取り、深海を追放するというものだった。
そして話術のうまさと話を核心まで理解しているということから、上官の酌の相手はめぐみが務めることになった。

しかしめぐみは猪口の助けになりたいと考える反面、悩んでいた。
もしこの作戦に間違いがあれば猪口は夢である軍人を除名されるかもしれないのだから

ここでルート分岐。







◆榛名ルート


元々榛名と出会ったのは母の墓参りの帰り道だった。
兄が熱心に祈っている傍らで、自分は何も想っておらず形を取り繕っているだけ
空っぽの自分の心がどうしようもなく嫌で、一人夜の港をうろついていた。
そんな時出会ったのが榛名だった。
榛名はとりとめもなく、自分の内心を口にする。だがその内心とはまるでめぐみの心を見透かしたように彼女と瓜二つの物だった。ふたりはお互いに興味を抱いていく。
そして榛名はめぐみの店の常連客になった。

お互いに似ているとは感じていたが、あえて常連客と女将の関係を保ち続けていた。

このルートで話が大きく動き出すことになるのは客同士が税金を巡って喧嘩を始めるシーンから。
仲裁するめぐみだが、客は何を思ったのかめぐみにまで因縁をつけ始める。しかもめぐみが貰われっ子であることや、新しい税金の始まる前日に偶然買いだめしたことなど全く関係のないことを持ち出して。ホント死ねよクソ市民ども……
それに対して怒りを露わにしたのが榛名だった。彼は客に対して、正論で相手の甘さを糾弾していく。
……しかしそれは火に油を注ぐに等しいことであり、次の日からめぐみは村八分に近い扱いを受けるようになった。
本当にめぐみのためを思うなら、事態を小火で終わらせるために、口出ししてはいけなかったと悔やむ榛名。
まあめぐみは全ルートで迫害されているので榛名がどう行動しようともこうなる気はするが。

ある日紅市へ買い出しに向かったが店での一件は既に広まっておりめぐみは市民たちから糾弾を受ける。
それをまた救ったのが榛名。榛名はめぐみを連れて市民たちから逃げ出す。そして「安全なところがある」と言ってめぐみをとある場所に連れて行った。
それはまさかの深海コンサルティングだった。めぐみは彼が深海の会社の一員であることを知らされる。

この会社に入った経緯、そして自らの過去を話す榛名。
それを聞き、めぐみは自分たちがやはり似ていると感じると同時に、自分を受け入れてくれる榛名への愛を自覚するのだった。
……しかし榛名はこれから会わずにいた方がいいと言い出す。
めぐみの現状は元をただせば榛名が原因であるともいえる。そのことを榛名は悔やんでいた。
なし崩しに二人は会わないこととなる。


それからしばらくして。
めぐみはほとぼりが冷めるまで店から出てはいけないと神楽坂に忠告されていた。
けれども孤独、何より自分を受け入れてくれた榛名に出会えないことはめぐみにとって何よりも苦しいことだった。
そうして店先まで足を運ぶと、そこには偶然榛名がいた。ふたりは共に港まで足を運ぶ。
そこでめぐみは初めて自分の内面を話す。「女将の仮面」を被った自分の内面を。めぐみにとっては卑しいと思っていた内面だったが、それでも榛名は受け入れてくれた。
そして榛名は何事もないように言う。「もう生きていても苦しいだけだから心中しないか」と。

めぐみにとっては嬉しい誘いだった。けれど結局価値のない人間は自分だけであり榛名は死ぬべきではないと考えた。
だからめぐみは榛名の手を払い、自分だけ海に飛び込んだ。ちょっとアクティブ過ぎませんかねぇ
めぐみちゃん基本的に「これだけはやるな」って場面で一番アクティブになるので……
海に沈んでいくめぐみ。それを榛名は必死で助け上げる。
結局二人は心中をするべきではないと考え、共に想いを寄せ合うことになる。


だがそれから榛名は仕事の関係でめぐみと会えない日が続いていた。
めぐみは考えた末に深海の会社に向かう。彼の会社で働き、榛名を支えられるように。
深海の会社は実質的なワンマン経営だったため、掃除や雑用から始めることになったが。


だが深海の会社で働いていたある日、事件が起きる。
掃除の途中に深海の引き出しから武器の発注書を見つけてしまう。深海は武器商人としてこの島で活動しているのだった。
しかし書類には深海が関わっているという部分だけが消され、何より深海本人はこれがあったところで2人には何もできないと暗に脅してきた。
深海を信じていた榛名にとって、この事実は裏切られたに等しく深く傷つけられることになる。
……しかし考えた末に2人は深海を倒すことを考える。今は傷つくとしても、未来で幸せになるために

2人は紆余曲折の末に青年団たちと協力して深海と戦うことになる。
そのためにも、例の書類を手に入れる必要があった。

めぐみにピッキングの才能があるとわかったこともあり、榛名と2人で会社に潜入することになる。
書類がある可能性がある部屋は2つ。そのためめぐみたちは二手に分かれることになる。
めぐみが向かったのはどちらかと言えば確率の低い部屋。
めぐみが部屋に入ると……そこには書類を持った深海が立ちふさがっていた。
榛名たちの作戦はバレていたのだった。

そこで深海はめぐみに疑惑を植え付ける。「青年団は榛名たちを裏切るつもりである」と。
元々榛名は深海側の人間である。何より混乱する紅霞市を鎮静化するためには誰かに罪を被せるのが一番効率的だった。そのためにも青年団はめぐみ、榛名、深海を島から追放する気であると。
つまり、深海を倒したとしてもめぐみたちには居場所がなくなる。
それは2人の未来のために戦ってきためぐみにとっては、行動が根底から崩されるものだった
深海はもしめぐみたちが自分たちにつくのであれば2人だけで愛し合える場所を与えると提案する。

ここでのめぐみの選択によって分岐。










【余談】


公式人気投票ではまさかの2位
当たり前だが乙女ゲームの主人公としてはかなり高い順位。
なんだかんだで理解はともかく同情できるタイプのキャラであったため順位が高かったとか言われている。
??「ちなみに私は『彼氏にしたいキャラ投票』で2位でした(ドヤァァァ)


月影の鎖メインキャラ全員に言えるがツイッターアカウント持ち。
既に更新は止まっているがアカウント自体は残っている。
月の畔での日常をツイートしてフォロワーを和ませたり、唐突にヤンデレツイートをしてフォロワーを心配させたりしていた。
なお攻略対象たちのアカウントはゲームのスチルを使った「彼氏と○○なうに使っていいですよ」という企画をやっていた。
めぐみちゃんもあったのだがまさかの描きおろしイラストだったうえに何故か丑の刻参りの衣装を身にまとった「彼女と丑の刻参りなうに使って良いですよ」というイラストだった。
使いたいけど使い道が限定され過ぎてませんかね……。
それにしても描きおろしが丑の刻参りであるあたりが相変わらず闇属性のヒロイン。

ファンディスクにて新ルートがIF展開の物も含めて8つ追加された。
そしてこの8つすべてに依存エンドが存在している。
実質的に兄貴が病んでいる護依存エンドは除外するにしても、めぐみちゃんは11の病み方を持っていることになる。

病みすぎだろ……











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