月影の鎖 -錯乱パラノイア-

登録日:2021/03/20 sat 07:57:30
更新日:2024/04/23 Tue 21:01:20
所要時間:約 23分で読めます







――それでも、愛してくれますか?




月影の鎖 -錯乱パラノイア-』は2013年に発売された乙女ゲーム
発売は本業が建設業なのに何故か乙女ゲーも作っているTAKUYO。
ハードはPSP。

街改革をおこなっている大正時代のとある孤島を舞台にして、騒動に巻き込まれてしまうヒロイン・冬浦めぐみの恋を描いた物語。
めぐみちゃんかわいいよめぐみちゃん。

定義上は一応鬱ゲーに分類される。
理由は何よりも、モブキャラの大半がクズどもだから。
言ってしまえばこのゲームの主軸は伝統を盾に理想は高いが具体案を出さないクソ市民VS市民の生活を考えず街の存続ばかりを考えるクソ役所の戦いに巻き込まれためぐみたちの話と言っても過言ではない。
大正時代の孤島という舞台設定もあってか、市民どもは平気で村八分をやるような排他的かつ陰湿な文化であり、ルートごとにあの手この手でプレイヤーの精神を痛めつけてくる。
民度の悪さで言えば数ある乙女ゲーの中でも優勝を狙えるレベル。


そんな本作の最大の特徴は、乙女ゲーは乙女ゲーでもヤンデレ系の乙女ゲーであること。
本作では好感度と依存度の2種類のパラメーターが存在し、依存度が上がる選択肢ばかりを選ぶとヒロインが病んでいく。


ヒロインが病んでいく


いやお前が病むのかって感じだがめぐみちゃんが病む。
ヤンデレ乙女ゲーだが攻略対象ではなくヒロインが病んでいく乙女ゲームである。

めぐみは幼少期のトラウマで愛に飢えている依存体質で、それゆえに普段は平静を装っているがふとしたことで精神のタガが外れてしまうという潜在型ヤンデレっ娘。
酷いときだと「傍にいると言ってくれたのに」という言葉でメッセージウィンドウ全体が埋め尽くされる
当たり前だが乙女ゲーヒロインとしてはかなり癖が強い方。
死神と少女』の紗夜ちゃんもよく言われていたが間違っても主人公=プレイヤーだとは思わない方がいい
娘の成長を見守るお母さんのつもりでプレイしましょう。

ただまあ、彼女がヤンデレになった理由や心理は丁寧に描写されるので「この子怖い……」よりかは「この子手遅れだ……」となる。

サブタイトルの「錯乱パラノイア」とは多分めぐみのこと。

エンディングは2種類あり、純愛エンド依存エンド
純愛エンドではめぐみが自分の脆さに折り合いをつけ、攻略対象と共に成長していく。
依存エンドではめぐみが狂気に蝕まれ壊れていき、攻略対象と共にどこまでも堕ちていく。
依存エンドもものによっては純愛エンドと同じくらい力が入っている。
そのためこっちの方も好きな人はそこそこいる。「めぐみちゃんは光堕ちするより闇堕ちした方美しい」とか言い出す輩は定期的に出てくる。
望月依存エンドの美しさは異常
しかし依存エンドが鬱々しいだけに純愛エンドはマジで「よかったね!」と言いたくなる。

乙女ゲームでまさかのヒロインがヤンデレ……。
しかしメンヘラ、男前、虚無とTAKUYOのヒロインは乙女ゲーム界トップクラスの色物集団であるため割と平常運転扱いされた。
……一応まともな子もいるんですけどね、紗夜ちゃんとか風羽ちゃんとか頭おかしい女が多すぎるんですよ、このメーカー。
柘榴ちゃんに関してはなんでアレを乙女ゲーのヒロインにしようと思ったのか問い詰めたい。


同年12月にはファンディスクが、2016年にはVita移植版が発売された。
ファンディスクの移植版には新規のシナリオと攻略対象が追加されているため今やるならこっちが推奨。

【あらすじ】


本土から遠く離れた小さな島にある唯一の町『紅霞市』。
風光明媚なこの街は、良質な温泉と華やかな花柳街で賑わう温泉観光地として独自の発展を遂げていた。
しかしそれも昔の話。
大正末期の情勢不安からか、はたまた島を襲った災害のせいか、次第に客足は遠のき始める。
観光産業が主だった資源である島は、財政破綻寸前の危機にまで陥り、住民に暗い影を落としていた。

しかし、彼らには一筋の希望があった。
島の治安と未来を想う若者たちの集団『紅霞青年団』。
特に、その団長である『神楽坂響』、彼の右腕の『望月理也』は、住民たちの期待を一身に受けていた。
他にも、本土から派遣され、災害復興と治安維持にあたっている軍人『猪口渉』。
旅行者であるが、島で何らかの仕事を行っているという謎多き青年『榛名望』。
島を揺るがす問題に、それぞれが自身の正義を掲げ向き合っていた。
そんな中、市長が呼び寄せた男が復唱した『駐屯地誘致案』を巡り、島は混迷を深めていく。

勿論それは、小料理屋『月の畔』の女将である『冬浦めぐみ』も例外ではない。
幼いころに両親を亡くし、大井川家に厄介となった彼女は、兄と呼び慕っている『大井川護』と共に
穏やかな日常を過ごしていた。
彼女は、島を巡る騒動の渦中に巻き込まれていくことを未だに知らない。

これは激動の時代を必死に生きる人々の闘いの記録である。

(公式サイトより)


【用語】


◆紅霞市
本土から離れた残月島にある小さな町。
花柳街と温泉街を中心とした観光産業を主にやっている。
街の区画には商店街があり、花柳街と温泉街の住人をターゲットに商売をしている。主人公・冬浦めぐみも商店街の住人。
大正時代の孤島という風土から村社会の文化が根強く残っている。
元々時代的に花柳街が廃れ始めた上、1年前に大きな震災があったことで客足が遠のいており財政破綻寸前となっている。


◆月の畔
冬浦めぐみが営む小料理屋。元々は彼女の義母である大井川蛍の店だったが、彼女がなくなったことによりめぐみが継いだ。
自分の家にでもいるような心地よさを提供すること』を理念としており、女将の気立ての良さもあり知る人ぞ知る名店となっている。


◆紅霞青年団
紅霞市の防犯や自治活動のために自主的に集まった人々が作った組織。
元々は1年前の災害復興を主だった仕事にしていたが現在は町全体の立て直しを担っている。
長は島外から来た『神楽坂響』

◆紅華楼
紅霞市の花柳街にある一番大きな高級媚館。


◆深海コンサルティング
市の立て直しのために市長が呼び寄せたコンサルティング会社。深海尊人という男が社長。
住民の生活よりも市を優先した政策を立てるため市民からは嫌われている。


◆駐屯地誘致案
深海コンサルティングが掲げている案。紅霞市に駐屯地を置くことにより国からの交付金を得て街を立て直すことを目的にしている。
観光街に軍を置けば客足が遠のく可能性があるため、典型的な「住民より市を優先した政策」と言える。


◆水道税
クソ市民どもが駐屯地誘致案を蹴ったために考えられた新たな案という名の嫌がらせ。
元々紅霞市では風土の関係上水が無料で使えていたが、街を立て直すためにそれに重い税をかけることになった。
水はどんなものにでも使われるため、市ではインフレが起こり、大きな騒ぎとなる。
めぐみも例外ではなく値上げをすればお客の為という理念を裏切ることになるためこれ以上ないくらい苦悩することになる


◆クソ市民ども
本作のモブたち。そしてこの物語が鬱展開となる半分くらいの理由
一言でいえば楽観的で文句は多いが他人任せな連中。
現在の紅霞市に不満を抱いているが、何をするわけでもなく役所に「なんとかしろ」と文句を言い続けている。具体的な提案を考えないくせに理想はやたらと高い。
現在もカリスマ的な魅力を持つ神楽坂が現れたことで「彼ならきっとなんとかしてくれる」と頼り切り、自分で考えようとしない。
頭が悪いためか流されやすく、メカゴジラ並みの手のひら返しを見せてくれる。神楽坂・望月ルートが顕著。
とある軍人Aが言った「貴方たちは問題を解決するために行動しているわけではない。ただ文句を言って暴れているだけだ」という言葉がこれ以上ないほどに的を射ている。
そもそも財政破綻寸前まで追い詰められたのは、観光で楽に稼げることに味を占めた結果、今更一次産業や二次産業と言った地味でキツイ仕事をすることを嫌がったためである。
ついでに小さな町あるあるの村社会文化であるため、意にそぐわないものは嫌がらせをして追いやろうとする。しかも自分たちが正義だと思っている。
こんなクソ市民であるため、めぐみは全てのルートで何らかの理由で迫害されるためプレイヤーの精神を痛めつけてくる。
↓これが出来ればあなたもクソ市民
  • 罵倒はデフォ
  • 相手を理解しないゆえの罵倒なのにピンポイントに痛いところをついてくる
  • とりあえず村八分
  • 人の店を荒らす
  • 人の家の壁に罵倒を書いた張り紙を貼る
  • 張り紙すらめんどくさくなったのか、家の壁に書きなぐる
  • 観光客は好きだが移住者は嫌い(足かせになるかもしれないので)
  • 時代遅れな考えで異国人を嫌う
  • なんとかしろよ!
  • なに、神楽坂くんならなんとかしてくれるさ
  • この疫病神! お前がいるから街はこんなことになったんだ!
  • そうだそうだ! 出ていけ!
  • 俺が屁理屈だと思ったら屁理屈なんだよ!(名言)
……一応フォローしておくと、元々本土から離れていたこともありこの街ではまともな勉学が出来なかったうえに財政破綻寸前なため、荒んでいたというところはある。
実際良識的な考えを持つ住民や、やらかしたとしても反省する住民も存在する。


【登場人物】


◇メインキャラクター


冬浦めぐみ
CV.なし
この物語の主人公。ゲーム内で既にかなりの美少女という設定。美乳らしい。
仮にも乙女ゲームの主人公でありながら作中の誰よりも病んでいる女
幼いころに母が亡くなったことで、義母・大井川蛍に引き取られる。
現在は亡くなった蛍に代わり「月の畔」を営みながら兄と二人で暮らしていたが、街での事件により彼女の物語は動き出す。
一見大人びた気立ての良い少女であるが、それは飽くまで彼女の表向きの人格であり、内面には深い闇を抱いている。
テーマ、物語的にも本作の中心人物であり、「月影の鎖」とは彼女を描くための物語と言っても過言ではない
人気投票はまさかの2位だった。



これからも宜しくな

◆大井川護
CV.三浦祥朗
新聞記者で19歳。蛍の息子でめぐみの義理の兄にあたる。非攻略対象
歳の割には明るくやや子供っぽい性格。一応兄であるが家事全般はめぐみに任せているためどっちが兄であるかよく分からなくなる。ちなみに本作では数少ないめぐみがタメ口を利く人物でもある。
新聞記者としての能力がどの程度かは割と微妙。締め切りギリギリまで書けてないこともあり部屋でカンヅメをしてめぐみを呆れさせることも。しかし新聞記者としてのポリシーは持ちたとえ妹相手でも守秘義務はちゃんとする。なんだかんだで新聞社では愛されているらしい。
一見三枚目ではあるが、本質的にはクソ真面目で大人。何よりめぐみのことを大切に考えている
めぐみのことは妹として愛している。特に本来は長男であるはずの自分が「月の畔」を継ぐべきだったにもかかわらず、めぐみが継いでくれたおかげで、自分は夢であった新聞記者になることができたため彼女には感謝してもし足りない。またあるルートでめぐみがクソ市民に迫害されたときには「自分は妹が大好きだから関係ない」と毅然とした態度で返していた。
めぐみが闇を抱えていることをそれとなく理解しており、なんとか彼女を変えてやりたいと考えている。その反面まだ若く未熟な自分には難しいことも分かっており妹を変えてくれる人間が現れることを渇望している。
こんないい男だがルートは無し。……正確にはあるし、彼への愛情度と依存度も存在する。しかしぶっちゃけおまけシナリオで10分程度あれば終わるし2つのエピローグも最後のセリフが変わるくらい。依存エンドもせいぜいヤンデレというよりブラコンこじらせたようにしか見えん。しかし依存エンドで「ずっと私を護ってお兄ちゃん」と言いだすめぐみちゃんはとてもかわいかったです。
やっぱりというかなんというか、ファンディスクで攻略対象に昇格
ちなみに兄貴目線で見ためぐみは普段はしっかり者だがヤンデレ気味な血のつながらない妹というそれなんてエロゲ? な設定をしている。




今宵の月は美しいなと思ったのだよ

◆神楽坂響
CV.新垣樽助
紅霞青年団のリーダー。年齢含め経歴は不明。若く見えるが中年らしい。一応本作のメインヒーロー。
元々は地元民ではなく旅行者であった。1年前に起きた震災の際にうろたえる役人に代わって的確な指示を出し、被害を最小限に抑えたことで紅霞市では英雄視されている。それ以来頼られるようになり、街を変えていく「紅霞青年団」のリーダーになった。
リーダーシップにあふれた太陽のような存在。常に冷静沈着で正義感を持った好人物。知らないことがないのではないかと思うほどの博識で、さらに詭弁の多い深海の言葉にすぐ返せるほど頭の回転も速い。まさに「英雄」とでも呼ぶべき人物。
しかしプライベートでは意外とお茶目。特に反応が面白い望月のことをよくからかっている。……たまにからかいすぎて望月を拗ねさせるが。また、私生活は意外とずぼらなところがあるらしい。
そのような頼もしさから市民からは「神楽坂くん」と呼ばれ親しまれている。その反面本来は市民が何とかするべき問題を自分に依存されていることに想うことがあるようである。
現在は老夫婦の営むだんご屋で居候している。本人も団子が大好き。というかだんご狂いであり「月の畔」ではたいていだんごを頼んでいることから望月に呆れられている。
経歴は本当に不明な点が多い。額と首元にきつく包帯を巻いているが、この下には惨いやけどの跡がある。どのような経緯でこのような大やけどをしたのかは不明。
また震災復興は既に終わっており、現在は深海を倒すことにシフトしているが、観光客に過ぎない彼が何故ここまで尽力しているのかという謎もある。これには本人も口を閉ざしている。ただ、榛名との会話では「返すべき義理は無いが果たすべき義理はある」という含みのある発言をしていた。
人気投票は4位。



今日、貴方に逢えて良かったです

◆望月理也
CV.松岡禎丞
青年団として働く神楽坂の右腕。とある理由からめぐみには序盤から好意的。
年齢は19歳。童顔なので間違われやすいが19歳。兄貴と同い年だし榛名の2つ上。身長低いのは気にしており牛乳は欠かせない。
礼儀正しくしっかり者で常識人。常に優しく周囲のことを立てられる気立ての良さを持つ。そんなことから青年団の中でも特に女性人気が高いらしい。その反面まだ若いためにその善意で人を傷つけてしまうことも。
同時に常識人故にツッコミ気質で苦労人。年の割に童顔低身長というイジリやすい特徴のためかよく青年団のメンツにからかわれている。特に神楽坂に至っては望月をからかうことがライフワークになっている節がある。意外とボケの多い神楽坂に遊ばれている。
青年団として武闘派であり、腕っぷしはかなり強い。純粋に筋力も優れてるし、ケンカにも慣れている。とあるシーンでは青年団が暴徒に追われ「ここは俺に任せて先に言ってください!」と分かりやすい死亡フラグを立てておきながら、暴徒をナチュラルに返り討ちにして、ついでに暴徒を差し向けた黒幕のところに特攻を仕掛けていた。強すぎる……。
実は花街の生まれである。青年団に入るまでは男衆として働いていた。ケンカの強さはここでの生活故。生まれが花街ということは女と客が不貞を成したということであり、両親は不明。ただ菖蒲さん曰く望まれた存在であったらしい。そんな過去から花街で働く者は尊敬するが花街自体は嫌いでありここに来る客の気持ちが分からないと複雑な思いを抱いている。
そのような生活の中、神楽坂と出会い彼に希望を感じて青年団入りした。しかし当初は地道な活動をする神楽坂にイラつくこともあったようだ。そんな時、物語冒頭でめぐみに出会い彼女の「出来ることからやっていく」という言葉に感銘を受け少しずつ変わっていった。神楽坂の言葉の意味を考えたり、町直しについて自分で勉強したり。そのおかげか最近は無意味に焦ることもなくなっていった。このように向上心を持って変わっていくのが望月の魅力。そんなこともありめぐみに対しては序盤から好感度が高い。なおめぐみはその言葉をあまり覚えていなかった。本当に何気なくの言葉だし、それ以前に女将としてのめぐみの言葉だし。
人気投票は1位。おめでとう!



……やっと少し素直になったな

◆猪口渉
CV.浅沼晋太郎
22歳の軍人。紅霞市を発展させた有力者・猪口家の長男。まあ猪口家は現在没落しているが。
猪口家は元々没落気味であったが、当時の長男(渉の父)が異国の女性(長男の再婚相手)と結ばれ島に戻ってきたことでさらに状況が悪くなる。もともと足枷になる移住者を嫌う上、村社会であるため外国人はもっと嫌っていた。その後渉の父が行方不明になったことでその女性と、その間の子であり渉の異母兄弟にあたるノアは街で差別を受けている。
渉本人は軍人になるために本土に渡った時に勘当同然の扱いを受けたが、結局紅霞市の震災復興でこの島に派遣されて戻ってきた。
誠実でまっすぐな考えを持つ、いい意味で日本男児らしさを持つ青年。困って入れる人や悩んでいる人がいれば自然と手を差し伸べようとしてしまうタイプ。光属性が多い攻略対象の中でも特に光属性。そのため部下からは結構慕われている。
また年の割には精神年齢も高く周囲の人間の精神状態にも敏い。彼の周りにはめぐみや榛名と言った精神的に不安定な人間が多いため、その特性は活かされている。めぐみも彼のまっすぐさに感化されていった。そのため彼のルートのめぐみはあまり病まない。むしろ勇ましい。
弟のノアは血のつながらない家族であるが、それでも自分の弟として溺愛している。その反面ノアがハーフというだけで差別を受けており、会うたびに彼の笑顔がぎこちなくなってしまっていることに苦しんでいる。そのため「軍人として差別のない平等な世界を作っていきたい」という願いを持っている。叶えるのが難しいということは理解し苦悩もしているが、ノアの為にも出来ることからやっていきたいと考えている。
人気投票は6位でメインキャラ中最下位。いい奴すぎると逆に票が伸びないという乙女ゲームあるある現象。



やっぱり君の笑顔より物憂い顔が好みかな

◆榛名望
CV.成瀬誠
5か月前から島に観光に来ている本土の住人で「月の畔」の常連客。そのためか彼だけ服装が現代チック。17歳。自称猪口渉の親友。
やや軽薄な青年で、めぐみとは会うたびに口説いているが毎回躱される。頭がよく文学をたしなんでいるらしく、文学的で抽象的な表現を好む。
猪口との出会いは5年前の本土でだった。当時12歳の榛名は家が嫌いで夜中に外をうろついていた時に、偶然士官学校時代の猪口と出会う。それが縁となりなんとなくの付き合いを続けるようになり友達になった。
実は深海コンサルティングの社員。島に来たのは観光ではなく仕事の為。
彼は元々家で悲惨な扱いを受けていた。両親ともに浮気ばかりで榛名には目もくれず、家の中で浮気相手とヤッているというひどい状況で、幼いころから自分の存在価値を見出せないでいた。そんな時猪口と出会い友達になってくれたことで少し自分の価値を見出せるようになった。その出来事から「人を助けられる仕事をしたい」と考えるようになったのがこの会社に入った理由。
このような過去から心に闇を抱えており、自己肯定感が低く誰かに受け入れられたいという想いがある。そのため猪口やめぐみなど自分を受け入れてくれた者には依存しがちな面がある。そして奇しくもこの特徴はめぐみと瓜二つであり、彼女を口説くのは自分に似ているからという部分があったらしい。ゆえにめぐみと榛名はお互いを受け入れ愛し合い、やがて傷つけることすら愛になるという共依存関係になりかねない脆さのあるカップルと言える。
このように心にに闇を抱えているためか、紅霞青年団の特に神楽坂や望月など光属性の人間に対して攻撃的な姿勢を見せる。そのためめぐみが青年団側のルートに入った場合は「今の君の目、好みじゃない」と冷たくあしらうようになる。
また凄惨な過去から斜めに構えた言動が多いがまだ17歳の子どもであるため非情になりきれないところがある。実際紅霞青年団ルートの場合でも思うところはあるのか「月の畔」に通い続けていた。
……色々とあるが、本質的には望月の言った「面倒くさい人」が彼の本質を表していると思う。
人気投票では3位。ツイッターでいろいろと頑張っていた。


◇サブキャラクター


◆大井川蛍
めぐみの義母。女手一つで「月の畔」を経営していた。物語1年前に亡くなっている。
『自分の家にでもいるような心地よさを提供すること』をモットーとしており店に来てくれた人が安らげる場をつくることを何より大事にしている。
優しい女性であり、精神的に危うかった幼いめぐみに存在価値を与え、良くも悪くもめぐみの指標となった。


◆深海尊人
CV.桐本琢也
「深海コンサルティング」の社長。54歳。紅霞市の財政立て直しのために市長に呼ばれた。全ルートでのラスボスと言える存在。
現在は紅霞市に駐屯地を置き国からの支援金をもらう政策を取り進めている。しかし観光地である紅霞市に駐屯地を置けば、観光客は縮小する可能性もある強硬策であり、それを無理矢理進めようとしていることから市民からは蜥蜴のように嫌われている。
非情に冷徹で他人を小ばかにしたような言動が目立つ悪漢。それでいて頭の回転が速く相手を混乱させる話術を得意とする。そのような頭の良さから強硬策に出ているにもかかわらず長い間島から追い出すことができなかった。
その正体は武器商人。駐屯地を置けば国から支援金が出るというのは真っ赤な嘘であり、武器商人として活動するために置こうとしていたにすぎない。この事実を知ったことが全ルートで彼を倒すためのきっかけとなる。
そんな経緯とは別に何故か花街を嫌っているようだが……。


◆菖蒲
CV.進藤尚美
紅華楼に済む38歳の女性。現在は教育係を任されている。
快活で姉御肌な女性。それでいて面倒見がよく、どのルートでもめぐみは世話になることになる。
花街で育ったためか達観しており、時折独特の価値観を見せてくれる。
とあるエンドで望月を「理也」と呼んだことから彼の行方不明の母親説がある。というかクリア後に見れるプロフィールに「息子が男衆として働いている」と書いているためほぼ確定的。


◆猪口ノア
CV.広橋涼
猪口渉の腹違いの弟であり混血児。
紅霞市には排他的な異国人差別があるために迫害されており、歩くだけで噂されるため、兄と共に夜しか出歩くことを許されない。
こんな扱いであるため陰のある少年だが本来は明るく無邪気な性格。


【月影の鎖 -狂爛モラトリアム-】


『月影の鎖』のファンディスク。
パッケージが示す通りめぐみの兄・大井川護が主役の物語であり、「なぜ彼は攻略対象ではないのか?」をはじめとした前作の護についての様々な疑問の補完・アンサーになっている。
……正直これやると色々な意味で兄貴を見る目が変わる。

オープニングがやたら鬱々しいことでも有名。映像もアレなため連続で見ていると不安定な気分になる。
だがそれがいい。


◆大井川ルゥト
ということで本作の目玉であるルート。
前作の時系列で彼が攻略対象になった場合の物語が描かれる。
やっぱりというかなんというか、このルートでクソ市民どもがめぐみを迫害する理由は「兄妹でいちゃつくなんて気持ち悪い」である。
ぶっちゃけプレイする前からこうなると思っていた人は多いと思う。
そして前作で好評だったということで、このルートにもしっかり依存エンドが実装されている。まあ、兄貴が病むんだけどな!


◆GOODアフター
ファンディスクお馴染み、前作エンディング後の物語を楽しむことができる。
設定が設定だったので神楽坂アフターがどうなるか心配だったプレイヤーもいたが、斜め上の方法で乗り越えてきた。


◆アナザールゥト
前作と違った場合のIFの世界の恋愛劇が描かれる。
違った出会い方をしていたり、そもそも紅霞青年団がなかったりとどれくらいIFのであるかはルートによって異なる。
短い物語であり、こっちは依存エンドはナシ。
……と思わせておいて何を思ったのか、本当に何を思ってしまったのか榛名のみ前作依存エンドのアフターストーリーになっている


◆紅霞市案内
攻略対象+兄貴で紅霞市の案内をする物語。めぐみがいないので絵のついたファンディスクという感じ。
榛名のクソ市民disは笑うところではない


◆藤堂兄弟ルート
本作のVita移植版に追加された新キャラクターによるルートであり、
紅霞市を立て直すためにやってきた呉服屋の兄弟との恋模様が描かれる。
ファンディスクの、しかも移植版で突っ込まれた新キャラであるが、『月影の鎖』の世界観によく馴染んでいるとして評価が高い。
なおこの物語は恋愛物語なので、みんな大好き依存エンドも実装されている
完全に余談だが移植版はこの兄弟を中心とした新規パッケージが描かれたのだが、そのパッケージのめぐみちゃんは妙になまめかしいことに定評がある。よくみるとおっぱいの谷間が見えているし。


◆GOODアフター(大井川ルゥト)
こちらもVita移植要素。その名の通り兄貴ルートのエンディング後の物語。


◆花柳街アナザー
これもVita移植要素。そして『月影の鎖』最大の問題作
ざっくりとしたあらすじとしては、街復興のひとつとして紅華楼を盛り上げるために商店街と温泉街の売り上げの悪い店を強制閉店させ、若い女性を紅華楼ではたらかせるという政策が行われることになった話。当然めぐみも『月の畔』を閉店することになり、紅華楼で料理番として働くことになる。
ルートは攻略対象+兄貴で5つ。
……居場所に依存しているめぐみちゃんが、初手で居場所を奪われるという最初からクライマックスすぎるストーリー。そのためもちろん話も鬱展開。というかストーリーは短いながらも『月影の鎖』の集大成として今までの物語の鬱部分を凝縮している。ファンディスクという比較的明るめの物語でこんなもの出したスタッフは頭おかしい(誉め言葉)。
そして何を思ったのか、本当に何を思ってしまったのか新規で5つ分依存エンドがある。本当に何を思ってしまったのだろうか。
物語自体が鬱展開であるため、本編より依存エンドが鬱な人も。兄貴テメエのことだよ










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最終更新:2024年04月23日 21:01