飯田圭織のバスツアー

登録日:2022/01/22 Sat 00:50:00
更新日:2024/04/20 Sat 23:20:35
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ねぇ、笑って?


飯田圭織のバスツアーとは、2007年7月7日に開催された『飯田圭織・前田有紀の"大人の七夕祭り"日帰りバス旅行』という、今もなお折に触れては鬼畜イベントとして語られるアイドルイベントである。
15年以上を経た現在でも未だに(2024年1月15日時点)「飯田圭織」とGoogle検索しようとしたら「バスツアー」がサジェストの最上段に表示されるくらいには。

ではまず飯田圭織(以下「飯田」)という人物、及び彼女の当時の状況について説明したい。
飯田は1997年に結成されて以来、幾度かのメンバー交代を経つつ2024年現在も活動中の女性アイドルグループ「モーニング娘。」の初代メンバーの1人である。同グループの2代目リーダーを務め、初代メンバーとしては最も長くグループに在籍。「かおりん」「ジョンソン」「飯田さん」などの愛称で親しまれた。
2005年の初めに同グループを卒業後は、ソロアーティストとしてハロー!プロジェクトに在籍していた。
卒業から2年を経たこの頃は、ディナーショーなど比較的ファンとの距離が近いステージ活動を主体としていたようで、本項目で触れるバスツアーもそんなイベントの一環であろう。なお、これには同じハロー!プロジェクト所属の前田有紀も参加している。

……しかし。出発予定日前日の2007年7月6日、夕方にその報せはファンの間を衝撃と共に駆け抜けた。

『速報 元・モー娘。飯田圭織 できちゃった婚を発表!』

現役アイドルの恋愛の是非などについてはここでの言及は避けるが、とにかくバスツアーで飯田に会えることを心待ちにしていたような熱心なファンにとっては最悪のタイミングでマスコミにすっぱ抜かれてしまったのだ。
SNSも今ほど普及していなかった時代、当時の最大手BBSのハロプロファンが集う掲示板は大荒れに荒れた。*1

そして、一部ファンは眠れないまま迎えたバスツアー当日。
意外にも(?)ツアーを当日になってキャンセルするようなファンは少なかったらしく(いなかったとは言っていない)バスツアーは決行。
出発時までシークレットだった目的地は千葉県野田市にある清水公園と明かされ、また到着後から参加客のBBSでの実況で明かされるツアーの全容が「1人19,000円の会費にそぐわないのでは?」と、参加しなかった住民たちに衝撃を与え、そして以下のような現在まで語られるコピペとなっていった。


  • メインはバーベキュー用のソーセージと肉(肉は1人1枚。ソーセージは1人1本。)
  • 8人テーブルに1.5リットルの烏龍茶一本(キッコーマン製)。よくあるサントリーのではなく。
  • デザートはバナナ切り落とし(約7名のテーブルに付き3本分のバナナ切り落としが皿に盛られて用意された)。
  • お楽しみ企画は寂びれた遊園地に在りそうなジャンボ迷路。食後に行われた。
  • 時間が推していた為に、約半数のヲタをジャンボ迷路に放置したまま迷路出口で次のイベント開始。
  • 飯田とヲタで『笹の葉さらさら』を合唱
  • ヲタ、飯田のトーク中に号泣(原因は不明)
  • ビールは別売(一杯500円?)
  • 最後にバスが飯田の周りをぐるっと一周回って帰路につく
  • バナナを1人の割当以上の2本食べたヲタが、スタッフに「人として失格」とか叱られていた

結果、このイベントは上記コピペと共に、あたかも傷心のドルヲタから搾取する鬼畜イベントのように扱われ、後述する「推しロス」したヲタの心情を綴った名文と共に、現在もアイドルの結婚発表や、ファンからも不当とみられるような価格設定のイベント発表時などに引き合いに出される。
クソ邦画に「実写『デビルマン』よりマシ」、クソ主人公に「アトリーム人並にウザい」と喩えるように、クソイベントに「飯田バスツアーの方がヒドイ」といった具合である。

が、真実のように扱われているこのコピペの内容は、実際は面白がっての誇張や掲示板住人によるネタなどが入り、虚実入り乱れたものであることに留意されたい。
実際に参加したファンのブログもわずかながら現存しており、特に問題視されている昼食BBQも

  • 確かに肉とソーセージは確かに一枚・一本ずつだった。が、前者は一般的なステーキサイズ(それなら一枚で事足りる。食いしん坊の人は我慢して)。
  • ピーマンタマネギ、ナス、トウモロコシ、カボチャジャガイモ等の野菜もついていたし、飯田と前田が各グループのテーブルまでおにぎりを持って回っており、その際には多少交流もできた。
  • ビールは中瓶1本500円。一杯ではない

と記述されており、バナナを食べすぎて失格と言われたというのもネタの可能性が高い。でもバナナの数とキッコーマンの烏龍茶は事実だった。

また「未だに迷路に取り残された飯田ヲタがいる」なんてネタもある迷路についても

  • 途中のチェックポイントに簡単なクイズがあって、正解者には後日写真が贈られる。
  • そもそも子供向け迷路。ギブアップドアもあるし、大声で助けを呼べばスタッフが迎えに来る。

というものだった。「大人の七夕」なんて銘打たれたツアーでやることかはともかく。

最後にバスが飯田の周りをぐるっと一周したというのも、駐車場で手を振り見送る飯田の前をまずバスが横切り、先でUターンしてもう一度前を通ることで左右両側の席の人間を平等に見送る趣向だったのが、どこかでUターンが一周と間違って解釈されたものと思われる。ただし『笹の葉さらさら』合唱は事実だった。

しかし中には

  • 最初に結婚について発表したのが行きの車内のバスガイド。
  • ファンから見ても微妙なデザインのシャツやタオルなどの物販は全部セットで9,000円。
  • BBQ会場は貸切ではなかったので周りの家族連れから見られて、席も一部屋根からはみ出していた。
  • 迷路後のイベントが行われる特設ステージが商店街の福引レベル。
  • ステージ開始前に飲料水が配布されたが、まさかの前の席から後ろに回す学校のプリント方式(さすがに飯田と前田が止めて手渡ししていった。)
  • ミニライブの楽曲に「泣かずにいられない私です」

といったコピペにはない問題点も見て取れる。

その後、飯田は無事男児を出産するが、残念なことに生後半年で早逝してしまい、そこから彼女らの側がこのバスツアーについて詳細を語ることがなくなったこともまた、色々脚色されていった理由の一つかもしれない……。*2


名文


夜短冊を飾ってたら
ガイドが「七夕は一年に一度織姫様と彦星が会える日なんです」
とかいってさ、ファンの皆さんも飯田さんに会えて良かったですね、なんて言うんだよ

そしたら誰かが急にちいさいこえで「彦星様見つかってよかったねカオリン」なんて言って
みんながざわざわしてから口々におめでとうを言い始めた
俺はそんなこと言えるわけないから下向いて唾飲んでたんだ

どんなバカヤロウがそんな偽善ぬかしてるのかと隣みたらさ
おめでとうとかいってるオッサンがみんな泣いてた
俺も泣いた

ファンの心境を表した名文。
だが元のレスはツアー当日、集合時間前に投下されたもので、また実際のイベントと内容にも相違がある*3ので、これは創作である。

解散して帰宅の電車に一人で乗った途端に嗚咽してしまった
他の乗客の視線を意識してみっともないとは思ったが涙も泣き声も止まらない
席から立ち上がる気力もなく家の最寄り駅を大分過ぎてから漸く下車した
今だに家に帰る気持ちにはなれずホームのベンチにへたり込んでいる
こんな惨めで虚しくて情けない気持ちになったのは生まれて初めてだ
電車が入線してくる度いっそホームに飛び込もうかとも思ってしまう
帰りのバスの車内では十年間応援し続けてきた人間に対して
最後にこの仕打ちは酷過ぎるとも憤ってもいたが今はどうでも良い
本当にもう何もかもどうでも良い

こちらもファンの心境を表しているが、どうやら別の声優結婚時のものを改変したものらしい。つまりこれもほぼ創作である。あと線路じゃなくてホームに飛び込んでもまず死なない。

3 名前:飯田圭織の運命の皇子様はこのボクです。 :2007/07/06(金) 21:44:23.23 0
でもこうなる日がいつか来るとは思ってた。

5 名前:飯田圭織の運命の皇子様はこのボクです。 :2007/07/06(金) 21:48:46.89 0
でも本気だったんだよ?
みんなは笑うけどずっと本気で好きだったんだよ。

11 名前:飯田圭織の運命の皇子様はこのボクです。 :2007/07/06(金) 21:56:13.79 0
運命っちゃ運命なんだよね。
飯田さん相手に永遠に片想いし続ける運命なんだよ。

20 名前:飯田圭織の運命の皇子様はこのボクです。 :2007/07/06(金) 22:07:33.68 0
今すぐ何もかも消えてなくなれ。

23 名前:飯田圭織の運命の皇子様はこのボクです。 :2007/07/06(金) 22:09:41.14 0
自殺する勇気がないから殺して惜しい

25 名前:飯田圭織の運命の皇子様はこのボクです。 :2007/07/06(金) 22:11:58.85 0
祝福なんてだきるかよ!
好きな人の幸せを願うのは当然でも自分の不幸まで願えるか!

結婚発表直後のクソコテ魂の叫び。
22時以降のタイプミス交じりの悲痛な叫びは、多かれ少なかれ推しロス経験のあるヲタの胸を打った。
これだけ熱狂的なファンだけあって当然ツアーに参加したようで、ツアー終了後にもレスを書き込んでいる。
ちなみにその後彼は新たな推しに出会いまたクソコテとして活動したという。


漫画化?

それから3年後の2010年。『週刊少年チャンピオン』で連載されていた『キガタガキタ!~「恐怖新聞」より~』にて、このバスツアーが元になったと思われるエピソードが掲載される。
ある巨大迷路に挑むことになった鬼形たち。迷路の中、参加者の一人がここが「とんでもなく非道い伝説の『アイドル七夕ツアー』が行われた呪いの迷路」であることに気付く。
その後そのツアーの様子が回想されるのだが、食事のメニューが「肉一片、バナナ1/3、ウインナー1本」と、明らかにバスツアーコピペを意識しているとわかるものだった。*4
バスツアーの惨状を画像一枚で説明しやすい事もあってか、飯田圭織のバスツアーの話が出る際にはこの漫画の画像も一緒に貼られる事が多い。
一方この漫画でのアイドルは報道前にいきなりファンに向けて妊娠を発表し煽るように高笑いするなどかなりの鬼畜として描かれている。もちろん現実の飯田はそんな色々舐め腐った態度は取っていない。


キッコーマンの烏龍茶

コピペが広がる中、目にした者たちの間で「醬油メーカーとして知られるキッコーマンが、目にしたことないラベルのペットボトル烏龍茶を販売している」ということに注目する者が増え始める。
確かに当時キッコーマンは業務用としてこの烏龍茶を販売していたという(既に販売終了)。というのも、会場の清水公園は同社のお膝元にあり非常に縁深いので、一般客にも販売していたBBQセットのドリンクとして焼き肉のタレと一緒に烏龍茶を卸していたものと推測される。


そして現在……

このバスツアーの参加者にはある種の結束が生まれたようで、中でも一部ファンはその後毎年7月に清水公園で飯田の結婚記念日のお祝いも兼ねて「成婚○周年記念」と銘打ったオフ会BBQを開き続けているとか。
2020年には問題の迷路も老朽化を理由に閉鎖された*5が、変わらずオフ会は続けられているらしい。更に、既に廃盤であるキッコーマンのあの烏龍茶のラベルまで再現しているという。
ひとえに愛のなせる業というやつか……。


追記修正は公平な目線で、ウソと事実とをハッキリ区別して行ってください。

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最終更新:2024年04月20日 23:20

*1 というか、ハロプロ全体で見ても2006年からここまでで、ロリ系で人気だった某メンバーの未成年喫煙報道からの活動休止、そのメンバーの相方的存在の同じくロリ系アイドルが未成年でありながらイケメンヒーロー俳優とできちゃった婚、5代目リーダーが就任後1ヶ月で人気芸人との熱愛報道からの突如の脱退などかなり荒れている時期ではあった。

*2 飯田は後に2人の子供を出産し、命を落とすことなく無事に育っている。

*3 「夜……」と書かれているが、このイベントは「日帰りバス旅行」で、夕方にイベントは終了していげ夜には出発地点の東京に戻って解散するだけ。

*4 劇中のアイドルの衣装は飯田のモーニング娘。卒業シングル「THE マンパワー!!!」のそれに酷似している。

*5 2022年7月1日にリニューアルされて再開した。