四字熟語

登録日:2022/04/12 (火曜日) 05:55:35
更新日:2023/05/09 Tue 09:38:21
所要時間:約 3 分で読めます





グ愚…く苦苦苦ォォ悪悪悪オ…


さよう!
愚にして戯なる民どもに我が高邁なる御霊など、理解不能
貴殿らの暴戻不遜なる罵詈雑言は、悪逆無道にして人面獣心なる蛮行!

阿鼻叫喚悪人正機百鬼夜行的蒙昧夜郎自大阿修羅道悪人正機なる
満身創痍神出鬼没美人薄命信賞必罰夜露死苦四捨五入東西南北四字熟語

さあれ! 我を蔑むがいい!
迷探偵にして不可解人たる我をッ!

殺人者!脅迫者!
魑魅魍魎たる我は闇を跳梁跋扈する孤高の奇人!

あーっはっはっはっはっはっはっ!
笑いとばしていただきたいッ…!



四字熟語とは、上記文章の赤文字のように漢字四文字で構成された熟語の事を指す。


概要

定義として上のようには書いたものの、実のところ四字熟語の定義は人によってまちまち。
単に漢字が四つ連なっていればそれは四字熟語だと言う人もいる。
一方で、単に既存の熟語を繋げただけのものを「四字熟語」扱いすることに難色を示す人も一定数いる。

一般的には「ことわざや慣用句として広く知られている」ものを四字熟語と認識していることが多いのではないだろうか。

一例として「一石二鳥」という言葉がある。
文字だけを見れば「一つの石と二羽の鳥」、少しイメージを膨らませて「一つの石で二羽の鳥を仕留める」といったところだが、
そのような状況に限らず「一つの行為で二つの利益を得る」ことを指す言葉として世間一般に使われている。

また、四字熟語に関する定番のネタとして
「『空欄を埋めて四字熟語を完成させよ』という問題で『□肉□食』を『焼肉定食』と答える」というものがある。
想定される正答はもちろん「弱肉強食」で、「弱い者の肉を強い者が食らう」、すなわち「弱者が淘汰され、勝ち残った者が栄える」ことを表した言葉である。
対して「焼肉定食」の方は読んで字のごとく「焼肉を主とした定食」であり、字面以上の特別な意味を持っているわけでもない。
当然国語のテストとしては不正解である。
このあたりが「四字熟語」と「単なる漢字四文字の組み合わせ」とを分ける一つのラインとなるのかもしれない。


ことわざや慣用句には、歴史上の出来事や文献、古くからの言い伝えに由来するものも多い。
このような故事をもとにしてできた言葉は特に「故事成語」と呼ばれる。

ひとつ例を挙げると「鶏口牛後(けいこうぎゅうご)」という四字熟語がある。
この四字熟語には「大きなチーム/集団の下っ端になるよりは、小さな組織でも旗頭になるべきだ」という意味がある。
これの由来は中国歴史書「史記」の中にある「蘇秦伝」。

遡ること中国戦国時代、韓の恵宣王は強国の秦の走狗になるか立ち向かうか悩んでいた。
その時に遊説家の蘇秦が説いた言葉が「寧為鶏口、無為牛後」。
日本語に直せば「鶏口*1でいましょう、牛後*2にはなってはなりません」となる。
そしてこれが日本にも伝わり、「鶏口牛後」という四字熟語として今日まで用いられている。

これ以外にも、故事成語である四字熟語は数多く存在する。
前述の「弱肉強食」も、中国・唐の時代の文学者・思想家である韓愈によるもので、調べてみれば意外な言葉に出典があったりも。
もちろん「四字熟語ではない故事成語*3」「故事成語ではない四字熟語」はどちらも存在しうる。



フィクションにおいて

漫画・アニメなどの物語作品において、四字熟語の出番はそこそこある。
普通の会話セリフにも勿論出てくるが、特に以下の2つで印象に残りやすい。

1つ目は聡明アピール。
頭脳明晰という設定のキャラクターが、賢さアピールの一環として四字熟語を多用する光景がしばしばある。
これはキャラクター本人が他のキャラへの賢さアピールの場合もあるが、ゲーム「蒼き雷霆 ガンヴォルト爪」の敵キャラであるテンジアン*4のように、頭脳明晰であることを読み手に印象付けるためのキャラ設定として四字熟語を多用しているに過ぎず、キャラクター本人がその頭脳明晰さを他のキャラにひけらかす意図はない場合もある。
この時は、一般的に流布してるものだけでなくまず日常会話で登場しないマイナーものまで使用していることが多い。
逆に言うと一見田舎者で知識が無さそうに見えるキャラでも四字熟語を使うとあら不思議、一気に「それなりに学があるキャラ」に早変わりしてしまう。*5

2つ目は技の名称や口上。
ぱっと見でゴツい印象があり、端的な迫力があるので技名として抜擢しやすい。
例えばゲーム「ロックマンゼクス」のボスキャラフィストレオ・ザ・プレデトロイドは、技名のほぼすべてに四字熟語が含まれている。
ポケットモンスターシリーズの技名やとくせいなんかにも「でんこうせっか(電光石火)」「へんげんじざい(変幻自在)」など割と積極的に採用されるため、大きくなってから「アレ四字熟語か!」と気づいたアニヲタ諸君も多かろう。

この場合、知性は平均的かそれ以上のキャラクターが使うことが多い。
前述のフィストレオも、残忍な要素はあれど計画的な行動から、それは窺える。
冒頭の狂言をぶっぱした人物も、狡猾で頭脳明晰な男であることは疑いようもない。
ただし稀に知性の低いキャラが見栄っ張りのために四字熟語などの難解用語を多用する光景もある。
その際に絶妙な間違え方をして仲間にツッコまれるのもまたお約束と言えよう。

また、技名として使用するにあたりアレンジが効くこともある。
疾風迅雷(しっぷうじんらい)*6あたりはそのまま使ってもカッコイイが、千客万来(せんきゃくばんらい)*7というどう解釈しても戦闘とは無縁の言葉を、旋脚伴雷(せんきゃくばんらい)とアレンジすることでなんか雷を纏った回し蹴りみたいな技になる。

新しい四字熟語  四字熟語

上述の通り、四字熟語について厳密な定義は存在しない。そのため、原点が古典である必要はなく、最近の作品を元に新しい四字熟語が生まれることがある。
このwikiでも一転攻勢(いってんこうせい)*8といった比較的最近になって生まれた言葉の項目がある。
何阪関無(なんはんかんな)*9なんてのもあるか。

…それが根付くかどうかはともかくとして。


四字熟語使用の注意

前述したメディア作品での出番、或いは自然発生的に「カッコいい」という印象を抱いて日常的に無闇矢鱈と四字熟語を使おうとするのは誰もが通る道。

こうした四字熟語に限らず一般的に使用されない言葉の乱発は褒められたものではない。
理由は何より「相手に話が伝わりにくいから」。
会話にしろ文書のやりとりにしろ、相手が理解しやすい(理解に割く負担が少ない)方法で伝えることはコミュニケーションの大原則。
言ってしまえば意思疎通が円滑に行えないコミュニケーションに価値は無い。
ともすれば、月下氷人(げっかひょうじん)*10など、字面からは意味が推測できず有名でもない言葉を使うことで変な誤解を招き、トラブルの原因になることもありうる。月華氷刃ってアレンジするとカッコイイよね。

それでも「面白いことを言いたい」等々納得いかない人はこう考えてほしい。
記事冒頭の言葉をみて「面白い」よりも「理解不能」と思ったら、滅多矢鱈に偏屈な言葉を使うのはやめよう。
きっと相手も同じように「面白い」ではなく「理解不能」と思うので。


追記修正(ついきしゅうせい)*11お願いします。

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最終更新:2023年05月09日 09:38

*1 ニワトリの嘴、小さい集団の長のこと

*2 牛の尻、大きい集団に従い使われる物のこと

*3 「矛盾」「五十歩百歩」など

*4 ちなみにテンジアンも中国の貧民街出身である。

*5 そのおかげかリメイク版では四字熟語関係の台詞はオミットされた

*6 意味:素早く激しい様

*7 意味:客が多く店が繁盛していること

*8 意味;相手に追い込まれた状況から、逆に相手に対して強気の姿勢・行動をとること。反転攻勢の類語

*9 意味:他人の過去の敗北・失敗について何度も言及・指摘してはいけないという戒め。なんでや!阪神関係無いやろ!

*10 意味:仲人、または男女の縁を取り持つ人のこと

*11 意味:間違っている文は直し、不足している情報があれば書き加える事。加筆修正の類語