SCP-2900-JP

登録日:2022/08/01 Mon 08:31:58
更新日:2025/11/13 Thu 00:06:00
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君よ、来るその瞬間まで英雄であれ。

SCP-2900-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
また、JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。
オブジェクトクラスはKeter。

特別収容プロトコル

SCP-2900-JPの出現日時・出現場所を予測する方法は無く、収容は不可能らしい。
SCP-2900-JPが出現した場合、それを視認した人物や後述するSCP-2900-JP-1には記憶処理が施される。

概要

SCP-2900-JPは空中に突如として出現する文字群の総称で、出現場所や高度に規則性はなく、発生からおよそ3分程で消滅してしまうらしい。
また、文字の言語は発生した場所の言語に固定される。
SCP-2900-JPは基本的にとある人物(SCP-2900-JP-1)の周囲5m以内に出現する。なお、このときの文字のサイズは直径30cm程度。
つまり、貴方の名前が「兄尾 太郎」だとしたら、貴方の周辺に「兄尾 太郎」という文字がそこそこ大きく出現するのである。

ただし、事例こそは少ないが、人名以外のSCP-2900-JPが出現することもある。その場合、文字は前述の場合より大きくなる。
以下がそれをまとめた表である。
SCP-2900-JPの表記 発生場所
音響:ノビタキ(高原に生息する鳥) 青森県山間部
照明:雷 アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド
効果:滝 岐阜県養老町 養老の滝付近
演出助手:█████(当時、現地の大統領であった人物) ブラジル連邦共和国ブラジリア
舞台装置:ストーンヘンジ グレートブリテン及び北アイルランド連合王国ソールズベリー北西13km地点
特殊効果:オーロラ アメリカ合衆国アラスカ州コールドフット
特殊照明:星 南アメリカ大陸北部ギアナ高地上空███████km(宇宙空間)

...なんか規模大きくなってきていないか?

補遺

ある時、太平洋上空500kmの地点で非常に巨大なSCP-2900-JPが観測された。今回発生したSCP-2900-JPはアジアから南アメリカ大陸までの環太平洋地域において広く観測され、消滅までに1時間程度の時間がかかるまさに規格外の代物。
また、この際に観測されたSCP-2900-JPはこれまでと違い観測者の使用する言語に合わせて認識が改変される異常性を持っていた。
地球一周の約半分を覆う巨大文字なんて現れたら世間は大混乱に陥るのは必至であり流石の財団と言えどここまで大規模な記憶処理を施すことは難しい。
財団は各国と足並みを揃えてカバーストーリー「宇宙人の存在」を発動し核戦争や財団施設への損害といった目下の危険因子を排除、その後アンニュイ・プロトコルを発動してこの事態に対処した。
以下は、その折に出現したSCP-2900-JPの内容である。

    はじまりはじまり

報告書曰くこの出現事例を最後にSCP-2900-JPの発生は現在まで確認されていないとのこと。一体なにが始まったのだろうか…。

追記・修正は新時代を感じながらお願いします。

























カバーストーリー「新時代の幕開け」

上述の補遺のうち後半部は実はカバーストーリーである。
当該事例において確認されたSCP-2900-JPは通常例と異なる強力なミーム的性質を有しており、人類の大半がこれに曝露してしまった。
その内容は「自らが生きている世界は劇場であり、もうすぐ終末を迎える」というSCP-3519に近い世界終末ミームである。これによって各地の財団支部を含めた世界中が大混乱に陥ったが、SCP-2900-JPの出現から2日後にO5評議会がアンニュイ・プロトコルを発動、実行したため現在のところ目立った問題は発生していないらしい。

また今回のアンニュイ・プロトコルに際してO5-1からの言葉が報告書には載せられている。
これを見た諸君は当該案件を財団の失敗と捉える事だろう。しかしそれは真実では無い。
ある意味では、我々は確実に勝利している。

アンニュイ・プロトコルはカバーストーリーの補完に過ぎない。真の目的は記憶の改竄にこそあった。

あの日空に現れたメッセージを目撃した瞬間、人類は真実を知ることとなった。
世界は終わる。私達は役割を終えたのだと。

我々に課せられた使命は常に変わらない。
未知なる脅威を隠蔽し、無辜の人々の日常を守護し、希望ある明日を夢見させる事である。残された時間が1秒であれ1日であれ、その使命は不変のものだ。

故にこれは秘匿されなければならない。
真実を知る者は、我々だけで十分だ。

君よ、来るその瞬間まで英雄であれ。-O5-1

結局、太平洋上空に現れ世界中を大混乱に陥れたSCP-2900-JPの内容は何であったのか。それは以下の通りである。

    めでたしめでたし




SCP-2900-JPの正体

最初に断っておくがここからの解説はSCP-2900-JPの著者本人が述べたわけではないあくまで非公式の解説である。

SCP-2900-JPとは結局なんだったのか。端的に言うならそれは一つの作品が終焉を迎える時に現れるモノ、メタタイトルの通り「エンドロール」であろう。たびたび出現した人名はその人物を演じるキャストの名、もしくはゲームクリア後に流れるムービーでのキャラ紹介のような物であり、人名以外の部分は演出効果のネタバラシである。

SCP-2900-JPの出現した世界は既に物語としての役目を終え、終幕しようとしているのだ。見ている映画の最後に「fin」と流れて来た時、語られる昔話が「めでたしめでたし」で締め括られた時、もうその先に物語は無い。
しかし人々が物語の終焉を否応なしに受け入れつつある中で財団は抗った。
財団の使命は『未知なる脅威を隠蔽し、無辜の人々の日常を守護し、希望ある明日を夢見させる事』。例えその希望ある明日が1日、1秒しか残っていなかったとしてもそれが使命を放棄する理由にはならない。「めでたしめでたし」が画面に現れ、やがて画面が暗くなり本当に終焉の来るその瞬間まで財団は正常を守るという行動に出たのだ。それこそが全世界を対象としたアンニュイ・プロトコルの発動と「はじまり はじまり」というカバーストーリーだったのである。


来たる終末を忘れ、日常は続く。


SCP-2900-JP -エンドロール


追記・修正は物語の終焉を見届けながらお願いします。

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最終更新:2025年11月13日 00:06