タローマン(登場キャラクター)

登録日:2022/08/27 Sat 22:16:48
更新日:2025/06/17 Tue 09:43:00
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なんだこれは。

そう、芸術の巨人・タローマンである!


「タローマン」とは、特撮テレビドラマ『TAROMAN』の登場キャラクターである。

CV:岡本太郎(ライブラリ音声)
スーツアクター:岡村渉

【概要】

シュールレアリズム星からやってきた宇宙人
高層ビルに匹敵する巨躯の持ち主で、その顔は岡本太郎の作品・『若い太陽の塔』を思わせる仏頂面の太陽のレリーフのようなものになっている。
尚、太陽の輝きを表す角のような部分は取り外しが可能で、中には「太郎汁」という液体で満たされており、時折タローマン本人もそれを飲んでいる。
体は銀色をベースとし、両側部に赤いラインが走る他、両腕の肘から下にかけても同色の輪が幾つか連なり、腕を囲んでいる。
胸と両掌には、目のマークが描かれている。

でたらめでべらぼうな怪生物・『奇獣』これではないが出現した1970年代の日本に降り立ち、奇獣達と激闘を繰り広げる。


【人物(?)像】

技を発動する以外で言葉は一切話さず、表情も変わることがない為、その感情を外部から判断することはほぼ不可能。
加えて、タローマンの方から地球人とコミュニケーションを取ろうとすることも無い為、意思の疎通すらも困難という、ある意味ではヒーローならではとも言える神秘性と不気味さを醸している。

そんなタローマンだが、彼が何より重視しているのは、正義や人類の平和……なんかではなく、岡本太郎の思想。
大衆や常識に迎合することを何より嫌い、常に独創性や出鱈目さを描き出すことに心血を注ぎ、その行動そのものを自分の戦闘力にしている。
その為、ハッキリ言ってしまえば平和や人類を守ることは彼に取って二の次三の次であり、自分の出鱈目さを演出する為ならば、不必要な破壊も辞さない……それどころか嬉々としてそれに取り組むこともある。
実際、登場の度にシーンを流用しているせいで毎回タンクローリーを踏みつぶしている上、戦いと何ら関係ない動作や悪ふざけでビルを破壊するのは最早日常茶飯事。
加えて、その出鱈目さが戦闘力に直結している都合上、逆に出鱈目さを失ったり、自分の行動がパターン化してしまうとと途端に弱体化してしまい、そうなるとわざと負けようとしにいく。
ここまで正義や平和に無頓着なヒーローはそうそういないだろう。
おかげで「レッドマンって容赦ないだけで曲がりなりにも正義のヒーローだったんだな」と何故かタローマンと比較する意見も多い。

ここまででも物凄く難儀な性格をしているタローマンだが、厄介なことに他者にもその岡本太郎イズムを強要布教する傾向がある上にその為なら手段を一切選ばず、CBGのマミ隊員が容姿のことで悩んでいた際には、タローマンなりにそれを払拭しようとしていたのかもしれないが、地球人には見分けがつかないの奇獣・『見つめ合う愛』の住む惑星に連れて行こうとして、生身のマミ隊員をそのまま握って宇宙を航空したり、軽い趣味として絵画を嗜む男性に対して、何らかの洗脳を施して趣味に熱狂的にする等、最早その所業はヒーローの肩書が疑わしくなるレベルのものばかりである。

こんな有様なので、地球人からの印象はお世辞にも良いとは言えず、始めはヒーローとして応援されつつも、トンチキな行動に走る度に失望されてボロカスに言われるのが常。
……まあ、迎合を嫌うタローマンにとっては、寧ろ願ったり叶ったりであるのだが。

【スペック】

身長:55m
体重:5万2000t
出身地:シュールレアリズム星
出鱈目さを失わない限りは大抵の奇獣と互角以上に渡り合うことができる高い実力の持ち主。
一応苦戦したり、何度か窮地に陥ったこともあるのだが、それも大抵はタローマンがわざと負けに行ったことが原因であり、純粋に敵の強さに圧倒されたのは、ラスボスである『太陽の塔』戦ぐらいである。
身体能力も高く、超スピードを持つ『疾走する眼』と同等の素早さを持ち、その電磁バリケードも突破するパワーを誇る。

使用技

  • 芸術は爆発だ
両掌を開いたまま両目を覆うように顔の前に持っていき、一気に両側に開いて顔を押し出すことで、色とりどりのエネルギーを発射し、相手を多色の絵の具のように変えて粉砕するタローマンの得意技。
決まれば大抵の敵を葬ってしまう文字通りの一撃必殺だが、その瞬間瞬間に全存在を懸けた命を消耗させる技なので、タローマン自身の生命力を大量に消費してしまい、気軽に連射出来ないのが難点という割にはそれが語られた最終回で連発しているうえにそこまで消耗したように見えなかったりする

名前の由来は、岡本太郎氏の名言から。「一瞬の内に全エネルギーを発散・昇華する」という特性も、氏が同発言の解説として残した言葉(後述)に由来するものだろう。

  • コントルポアン
手を突き出し、波状光弾を放つ。

名前の由来は同名の岡本太郎氏の絵画作品から。
元は違った旋律どうしを同時に組み合わせる「対位法」という作曲技法の事であり、転じて「異なるモチーフを対比する」芸術技法の名前にもなっている。
この技法は岡本氏も好んで使ったものであり、もちろん同じ名を冠する絵画「コントルポアン」にも用いられている。

  • 明日の神話
両腕を横側に連続で突き出す独特なモーションの後、仰け反った体勢からエネルギーを放つ。

名前は同名の岡本太郎氏の絵画(壁画)作品から。
長らく行方知れずになっていたが、消息の絶った地であったメキシコで再発見され、現在は修復の上で渋谷駅のJR線と井の頭線間通路に恒久展示されている。

  • 千手
両手を合わせて手遊びのようなモーション後、指先から光弾を放つ。

モデルは、同名の岡本太郎氏の絵画作品から。

  • 雷人
左側に大きく傾き、右手を胸に、左腕を伸ばした体勢からエネルギーを注入する。

モデルは、同名の岡本太郎氏の絵画作品から。
氏が亡くなる間際まで向き合っていた、絶筆の絵画である。

【最終回では】

最強の奇獣・太陽の塔を相手に、あらゆる技が通じず、敵の増殖を許してしまうタローマン。
人々も、最初はタローマンの勝利を祈っていたが、むやみやたらに攻撃してばかりのタローマンに痺れを切らし、罵声を浴びせ始める。
その光景を見たタローマンは、大量に増えた太陽の塔をそのままに地球の外まで飛び出す。
そして……








地球に向けて「芸術は爆発だ」を発動。

地球は例の如く、絵の具になって消滅してしまった。


そうして、地球諸共太陽の塔を消し去ったタローマンは、何事もなかったように飛び去って行くのだった。



精神を開き切ること、それが若さと健康のもとだ。

人類全体の運命もいつかは消える――それで良いのだ。

無目的に膨らみ、輝いて最後に爆発する。

そして平然と人類がこの世から去るとしたら、それがぼくには栄光だと思える。

──そう、岡本太郎も言っていた。

【余談】

◆モチーフは、若い太陽の塔とウルトラマン
隠すつもりもないレベルのパロディ具合だが一応製作に円谷プロも関わっている(マジ)ので公認と言えなくもない。
なお、この番組の再々放送という設定の時期が時期なので、2022年に公開され大ヒットを記録した劇場映画『シン・ウルトラマン』の公開に便乗したと思われるかもしれないが、監督は『シン・ウルトラマン』を観て頭を抱えた事が語られているので、同映画の度重なる公開延期の事も踏まえると恐らく偶然である。
独創を謳うヒーローがパロディの塊とは何とも皮肉な話である

◆タローマンの着ぐるみは通気性の類などはほぼ全く絶無であり、照明のライト下で長時間撮影しているとアクターさんの汗が靴底に溜まるほどであったという。


【本当の『芸術は爆発だ』】

岡本太郎氏が世を去られてからすでに年月が経ち、氏を詳しく知る人も少なくなった現在。
それでも「芸術は爆発だ」という言葉は、今でも多くの人が知っている強烈なインパクトを持ち続けている。
しかしタローマンや某忍者のせいで、爆薬的な意味合いでこの言葉をイメージしている人のために解説しておくと、それは間違いである。
岡本太郎がいつから「芸術は爆発だ」と言い始めたかは定かではないが、戦後に彼が有名になり始めたあたりではすでに使っていたと思われる。
その頃から、岡本太郎=爆発、のイメージは出来上がっていたが、「爆発とは穏やかではない」と言われた時には太郎はこう答えていた。
「爆発というと、みんなドカーンと音がして、物が飛び散ったり、壊れたり、また血が流れたりする暴力的なテロを考える。僕の爆発はそういうんじゃないんだ。音もなく、宇宙に向かって精神が、命がぱあっと開く。無条件に、それが爆発だ」
つまり、本来の「芸術は爆発だ」とは精神の解放を意味する言葉である。それを攻撃に使っているのは、岡本太郎の思想の真逆と言ってもいい。
とはいえ、そうした決めつけを太郎が嫌っていたのもまた事実。タローマンを岡本太郎に殉じる本物ととるか偽物ととるか、それは皆さんの判断にゆだねられる。


追記修正お願いします。
そう、岡本太郎も言っていた。

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最終更新:2025年06月17日 09:43