登録日:2022/11/17 Thu 17:14:16
更新日:2025/04/29 Tue 22:38:50
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『ウィザードリィ外伝Ⅰ ~女王の受難~』とは、1991年10月1日にアスキーから発売されたゲームボーイ用ゲームソフトである。
*がいよう*
シナリオ#1-5の家庭用ゲーム機への移植を行ったアスキーが、当時の大人気携帯ゲーム機である
ゲームボーイ用にシナリオとシステム周りを調整して造りあげた3D探索RPGで、所謂「和製ウィズ」と呼ばれるシリーズの先駆け的存在である。
ゲームボーイという携帯機のためハード面やソフト面での制約の多い環境を逆手に取り、シナリオやシステムをシンプルにしながらも堅実に取り込んだなかなかの出来。
SFC版『Ⅴ』に先駆けて導入されたオートマッピングのおかげで、暇さえあれば通勤・通学時間や休憩時間の合間に遊べるお手軽さと、PC版の『Ⅴ』で先駆けて導入されたクリア後のエクストラダンジョン制を導入してクリア後のレアアイテム収集要素も完備と、新旧どちらのファンも取り込むことに成功。
池上明子(現:池上紗京)が手掛けたモンスターやキャラクターのデザインもモノクロながらしっかり表現されており好評で、「FCより性能が劣るGBでまともなウィズがプレイできるのか!?」という不安を払拭することに成功した。
*あらすじ*
『
Ⅱ』で描かれた、ダイヤモンドの騎士をめぐる地下迷宮での死闘からだいぶん経過し、精霊ニルダの加護で繁栄していたリルガミン王家はアイラスという女性の治世となろうとしていた。
しかしアイラスが女王に即位した直後に町は南西よりわきでた黒い雲におおわれ、三日三晩、嵐が吹き荒れ、その間に女王の双子の姉ソークスが失踪してしまう。それとともに何故かニルダの杖の加護が弱体化したびたびモンスターの襲撃に見舞われるようになる。
更にはそれらに対応しているうちに、今度は双子の王女たちの師匠で宮廷魔術師だったタイロッサムが造反し、リルガミン近くの魔人ダバルプスの地下迷宮に身を隠し、魔物を召喚し始めたのだ。
八方塞がりとなった新女王アイラスはリルガミンが危機に見舞われる度に行われる打開策~各地から冒険者を募り迷宮を探索させる~をとり吉報を待つことになる。
*ないよう*
5つの種族と
8種類の職業からなる冒険者たちを訓練所で登録し、酒場でパーティーを編成しダンジョンに潜ってモンスターを倒しつつ冒険者を鍛え上げ少しずつ探索領域を広げていくという点では従来シリーズと同じ。但し、いくつかの点では異なる。
- リルガミンの街に新たに”城”が追加。迷宮であるイベントをこなすたびに城でもイベントが起こる。
- 隊列や射程の概念がつき、槍や弓といった一部の武器は後列からでも攻撃が届くようになった。また敵モンスターにも後列を攻撃してくるモンスターが出てくるようになり、後列だからと言って装備に手を抜くことは自殺行為となった。シナリオ後半では四番目は高栄養の武器を装備しながらもいざとなればタンクも務める前衛職として五番目や六番目は魔法使いか僧侶から転職した司教とか後列でもそれなりに攻撃できるようになった盗賊が担当するのがセオリー。
- PC版『Ⅴ』の影響で、職業別の装備がいじられることになった。侍や僧侶は一部を除くプレートメイルや盾を装備できなくなり防御がやや弱体化した一方で、ロードや戦士に村正に迫る特殊能力のあるエクスカリバーが追加。
ただし、今作では後述のバグの所為で、長射程武器で悪魔特攻を持つファウストハルバートに見劣りすることに。
- 特別なアイテム以外は『D&D』同様に装備名に”±数字”が付いただけの状態だった(ロングソード+1)装備に、いろいろ名前がついた。例:”切り裂きの剣””支えの楯””ますらおの鎧”
- 呪文が調整された。
魔法使いはバスカイアーやロクドといった状態異常呪文やコルツとバコルツといった障壁呪文が追加され窒息即死系のカニト系が消失。
一方の僧侶系は5レベルと6レベルのダメージ系が軒並み消失して回復と即死系のエキスパートとなった。また、呪文をかけるときにSEが設定され、更にはダメージを与えるなどの一部の敵にかける呪文はエフェクトが画面上に表示されるようになった。
- オートマッピング機能が追加され、デュマピックなどによって、現在まで踏破した場所や一方通行ドアが確認できるようになった。
また、マロールが踏破した場所までをカーソルで選択する方式に変更され、打ち間違いによる誤作動が起こらないようになった。
- 表ダンジョンを地下六階まで踏破しタイロッサムを倒した後、今度は奥にあるワープゲートから異次元にある裏ダンジョンに移動。表と裏はマロールでは行き来できない。
*おもなモンスター・キャラクター*
即位した直後に親しい人が次々と自分の傍から離れ、更には王国がモンスターに悩まされるようになった苦労人。
結構美人な
修道女。「銀の鍵」を渡すとともに、タイロッサムから女王アイラスへの伝言を告げ、いずこかへ去っていく。
ダイヤモンドの騎士に出てくる”ディンク”という小柄な老人姿の雑魚を彷彿とさせる、迷宮内を徘徊する謎めいた男。宝箱の職人らしい。
王国に暗雲が立ち込めた直後から造反し、地下六階で魔物を召喚し始めた宮廷魔術師。しかしいざ踏破して相まみえてみると「わしを見事倒して見せよ!」とあえて試練を買って出たような言動をとるが……。
重要アイテム、オーディンの瞳を守る泉の番人。彼を倒すとその場所はMP回復用の泉となる。
今回の騒動の元凶でシナリオのラスボス。動機は「世界を破壊するため。」
裏の地下一階でパーティーたちを待ち受ける。魔に触れたためか、僧魔両方の最高位呪文を使うほか、直接攻撃に毒と2レベルドレインとクリティカルが付与される。
「この世界は一度滅ぼさなければならない」としかゲームでは語られないためそこに至った理由はさっぱりわからないのだが、
吉本正彦による双葉ファンタジーノベル版ではこのあたりの事情もしっかり開示されている。
数年前、邪教の教祖クォ―スによってソークスは呪いをかけられ、これを解呪できなかったため即位を辞退したという過去があった。
しかしアイラスが女王に即位した折、クォースは呪いによってソークスを操り、彼女を呪い穴の最奥に引きずり込んでしまう。
唯一事態に気付いたタイロッサムが追撃するも重傷を負い、自身の召喚した怪物でクォースの召喚した魔物を封じ込めるので精一杯となった。
そのため事情を知らない人々は「タイロッサムがソークスを攫って呪い穴の奥で怪物を召喚している」と誤認してしまったのだ。
真実を知った冒険者たちは呪い穴の「裏」の領域でソークスと対峙するが、時すでに遅し。
ソークスは完全にクォースに……否、クォースがソークスの内に召喚した邪神によって乗っ取られてしまっていた。
世界を滅ぼさんとする野望を食い止め、ソークスの魂を救うため、冒険者たちは最後の戦いに挑むのであった。
- バンパイアロード・マイルフィック・アイボール・ホーンドデビル・アークデーモン
裏地下6階に出る強敵。ちなみにアイボールは大きな目玉の上に小さな触手付きの目玉をたくさん持つ魔物で、ホーンドデビルは骨の姿だがアンデッドではなく悪魔。
*ばぐ*
TRPGを下敷きとする本作では、1Hitあたりのダメージが「aDb+c」(b個の目を持ったサイコロをa回振り、その合計にcを足す)という形式で計算される。ところがこのゲームでは、そのcの値が実際の計算時に常に0として計算されてしまう。そのせいで一部の武器の性能の逆転現象が起こり、ゲームバランスに多大な影響を与えている。
また、敵のオートヒーリングがHPではなくレベルが増えるようになっており、長期戦になるとどれだけACをさげても敵の攻撃を回避できなくなる。結局こちらのヒーリングバグはゲームボーイの三部作では治らず、SFCにハードを移行した『~外伝4』でようやく解消された。
但し、いずれのバグも致命的に進められなくなるというわけではなく、ゲームとしてはきちんと成立している。
追記・修正は姉姫の行方を特定してからお願いします。
- この武器計算バグのせいで、シリーズ恒例のカシナートや村正があまり強くなく、悪魔特攻で射程が長いファウストハルバードが最強になっている。総じてゲームとしてはバランスは悪くなか仕上がっているが、物理攻撃がとにかく弱く呪文に頼ることが多いゲームだった。グラフィックは美麗の一言。姫様のグラは一見の価値あり -- 名無しさん (2022-11-18 00:44:04)
- 裏ダンジョンでリトフェイトをかけているとミーミルの泉にたどり着けない。半年ほど引っかかった。 -- 名無しさん (2022-11-18 01:54:44)
- 攻撃呪文のエフェクトがゲームスタジオ製wizシリーズで登場した作品でもあるね。モンスターのグラフィックの砕け散るティルトウエイトに驚いたな -- 名無しさん (2022-11-18 21:20:11)
最終更新:2025年04月29日 22:38