ゲームボーイ

登録日:2009/05/26 Tue 19:32:46
更新日:2025/04/10 Thu 14:13:38
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\ピコーン/

Nintendo®



\ピコーン/

GAME BOY

Nintendo®


ゲームボーイとは、任天堂が1989年4月21日に発売した携帯ゲーム機にして、全世界で1億台以上を売り上げた驚異のハード。略称はGB。
ゲーム史に残る名作を多数生み出したと同時に、ファミコンと同じくクソゲーが量産されたハードとしても有名である。ぶっちゃけどのゲームハードでもクソゲーは出るもんだが





概要


電源は単3電池4本と大食らいだが、持続時間はアルカリ電池でメーカー公称は35時間、バッテリ残量ギリギリまで起動が可能である。
通信ケーブルが別売りされ、対応ソフトでは対戦やデータの交換ができ、何台もまとめて持っている人も珍しくなかった。
外装は床に叩きつけても壊れないほど分厚く、内部構造もかなり頑丈である。
その丈夫さは、かの湾岸戦争で、倒壊した建物から出てきた焼け焦げたゲームボーイが液晶を交換しただけで問題なく動作したという逸話があるくらいである。
その機体は、かつてニューヨークの任天堂直営店にて展示されていた。*1つまり、伝説的な事実である。

画面はモノクロ4階調で表示される。初期モデルは深緑の画面が特徴的。
この時点でカラー液晶の搭載は技術的にも可能であったが、開発者の横井軍平氏はコストや消費電力の観点からモノクロで出すという決断を行った。
その後、セガからフルカラー携帯機のゲームギア、NECからPCエンジンGTがリリースされたが…結果はみんな知っての通りである。
そう、カラー表示という技術よりも小型化や省電力、そして低価格を選んだのがゲームボーイであり、「携帯ゲーム機」ならではの判断といえよう。
横井氏曰く『他所がカラーを出したらウチの勝ち』とのこと。
そして初代モデル発売から9年以上が経ち、カラー液晶を低コストで搭載できる環境が整った時にゲームボーイのカラー化に踏み切ったという一連の流れは、横井氏の理念である『枯れた技術の水平思考』の一環と言えるだろう。

通信ケーブルを用いた通信機能も備わっており、様々なゲームで通信対戦やデータ引継ぎなどに使われ、特にポケットモンスターの大ヒットの一因にもなった。
マイナーチェンジはあれど、ゲームボーイ市場は10年以上も続いたという異例の長寿ハードとなったのである。


ロゴ


ページ上部のNintendo®のロゴは、ゲームボーイ起動時に出てくるものなのだが、
ソフト未挿入時には®以外の文字部分が塗りつぶしたような ■■■■■■■® になり、接触が悪いとロゴの形がEiШlLH■l® みたいな感じに崩れてしまう。
ファミコンとは違って、接触が悪い状況でもバグった画面でソフトが起動するという事はまず起こらない。

実はコレ、ソフトの方にロゴの画像が入っており、この画像が正しくないと本体がソフトが起動できない仕組みになっている。
言ってしまえば、ソフトに入っているロゴ画像自体がゲームボーイでソフトを起動するためのカギとなっているのだ。
たかがドットで作ったロゴの画像、コピーするなり手打ちで作るなりすればいいと思うかもしれないが、言うまでもなくNintendo®は登録商標であり、許可なしに不正に使用してしまえば商標権の侵害で訴えることが出来てしまうという仕組みになっている。
マジコンが問題になるはるか前、ファミコンでもダビングソフトがあったがそこまでの問題になってなかった時代、なかなかに工夫された仕掛けである。
なお、一部サードパーティソフトではソフトリセット時にこのロゴがサードパーティのものになるという小ネタを持ったものもある。


開発の苦労とトラブル


元々は偶然に偶然が重なった結果出て任天堂を建て直したゲーム&ウオッチの売り上げが落ち込んできたため、ファミコンの様にソフト入れ替えができるよう企画されたプロジェクトだった。
ファミコンと比べ、カラーでこそないものの部品が減る訳でもないし、モニターもつけなくてはならないのに、ユーザーからしてみれば「なんで携帯ゲームが据え置きより高いの」と不満を持たれる事から、価格はファミコンより安くなることに決定。
……と、しょっぱなから大変な目にあっているのだが試作品段階でとんでもないトラブルが発生。
縦長のゲームボーイと横長のゲーム&ウォッチでは視点が違うのだが、横井氏はゲーム&ウォッチの視点で見えるようにしてしまったのだ。
試作機を見た任天堂ラスボス社長・山内博氏は『見えへんやないか』と一言。
協力会社のシャープはすでに40億円を投資して工場を建設中で、それらが一気に無駄になりかねない恐怖の事態に、横井氏は不安で半月ほど不眠の上に食事が喉を通らなくなり、病院の検査で『今どき栄養失調なんて聞いたことがない』と言われるほどの体調悪化を起こしてしまった。
だが栄養失調は顔見知りの料理人の出してくれた中華風冷ややっこが支えてくれ、画面についてもシャープの技術部門が当初性能が悪く選外としていた液晶に対し、横井氏が無理にお願いをした結果、予想外にうまくいったことで解決へと向かっていった。


バリエーション


ゲームボーイブロス

1994年11月21日発売。初期型ゲームボーイのカラーバリエーション群の総称。
全6色。しかもそのうち1つとしてスケルトンカラーを、ブームの火付け役であるiMac(1998年発売)よりもいち早く採用していた。
ゲームギアさん「実はカラバリ展開も、スケルトンカラー(半透明ブラックのスモーク)も先なんですけど…。」

ゲームボーイポケット

1996年7月21日発売。本体サイズがスリムになり、液晶も改良されたゲームボーイ。
また、通信ケーブルの形状が変更されており*2、初期型と通信するには専用の変換コネクタが必須。開発当初は下記のコスト削減の一環で通信コネクタも廃止しようという案もあったようだが、ソフトメーカー側の反対によって見送りとなったそうな。
また、コストの削減も行われており、電池残量のランプの廃止(後期型で復活)の他に、使用する電池も単3電池4本から単4電池2本へ変更されている。特に使用電池の種類や本数の変更により、電池寿命が初期型よりも減るという難点があった。
ゲームボーイポケット互換規格の製品には本体下部に電源端子があり、AC電源アダプタや充電式バッテリーパックを接続することで電池を使わずに遊ぶこともできた。
一般販売されたカラーバリエーションは発売当初は5色だったが、のちに9色まで増えた。

ゲームボーイライト

1998年4月14日発売。ゲームボーイポケットをベースに、バックライト機能を搭載。
使用する電池も単4から単3に戻されており、バックライトをつけたままでもポケットよりも電池持ちが良くなっている。
ゲームボーイカラーの僅か半年前に発売されたためか、流通量も少なく、ゲームボーイシリーズで唯一海外で発売されていない。
一般販売されたカラーバリエーションは金・銀の計2色。

ゲームボーイカラー

1998年10月21日発売。画面がカラーになり、性能もパワーアップしている。略称は「GBC」。
一般販売されたカラーバリエーションは計6色。限定カラーも含めるとさらに増える。

ゲームボーイの画面をカラー液晶にするという案は1990年代初頭の時点であったが、上述の通り生産コストや電池寿命の問題もあって見送りとなっていた。*3
ソフトの規格として新たに『カラー共通』と『カラー専用』が追加。後者はライト以前の機体で起動すると警告文が表示されるのみで動作しない。
初期型ゲームボーイではカートリッジと干渉してスイッチが入れられないため、起動すらできない。
また、後継機ゲームボーイアドバンスに引き継がれなかった独自の要素として赤外線通信機能が備わっており、ソフトによっては簡単なデータのやり取りに使われる。専用デバイスを赤外線通信で連動しないと遊べない故に、物理的な意味でカラー専用のソフトも存在している。
カラー液晶は最大56色まで同時発色が可能。従来のゲームボーイソフトもカラー表示となり、起動時のコマンド入力で色のパターンを選択できる。
しかし、ソフトや選択している色によってはスプライトが本来意図した見え方ではなくなってしまうことも。分かりやすい例は下画像を参照。

画像出典:『星のカービィ2』任天堂 HAL研究所 1995年3月21日発売

いずれも「星のカービィ2」を「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」で起動したもので、左がゲームボーイポケット準拠のカラー、右がゲームボーイカラー準拠のデフォルトカラーである。
注目したいのはウィスピーウッズの口元であり、胴体の木の幹は背景として描写されているのに対し、口元はカービィや吐息と同様にスプライトとして描写されているため、ゲームボーイカラーだと色が赤になっている。同様の理由でウィスピーウッズの目もスプライトであるため、水色となっている。
他にも顕著なのが第一世代のポケモン。『緑』は緑色の背景に赤のスプライトなのでまだ普通だが、『赤』の方はというと赤い背景に緑色のスプライトなので画面がほぼ赤一色と化す。『青』も青い背景に赤いスプライト、『ピカチュウ』だと黄色と赤のミックスと『赤』以上に目によろしくない配色となってしまう。
だが一方でこの仕様の恩恵が大きいものもあり、キャラクターと背景が同化して画面が見づらいことでも有名な「スーパードンキーコングGB」は自機や敵キャラ等が背景とは違う色で描写されるため、モノクロの機種よりも遊びやすくなっている。


ゲームボーイアドバンス

2001年3月21日に発売された、ゲームボーイの後継機。詳細は個別項目を参照。略称は「GBA」。
従来のゲームボーイとの後方互換を備えており、「今持っているゲームがそのまま遊べる」という強みがGBAが飛躍的に普及した要因のひとつとなった。
ニンテンドーDSではアドバンス用ソフトのみ(※DSiはDS用ソフトだけ)、ニンテンドー3DSはDS用ソフトのみと、互換性はシフトしている。


現在ではゲームボーイと名のつく機種の修理サポートは全て終了しているので、今持っているものは大事にしよう。


主な周辺機器

通信ケーブル

言わずと知れた、ゲームボーイ同士を通信する際に使われるケーブル。
コネクタの形状が初期型とポケット以降で異なり、双方を通信するには変換コネクタが必須となる。
また、4人通信プレイの際に使用する「4人用アダプタ」というものもあるが、対応ソフトがごく僅かしか存在せず、コネクタの形状も初期型ゲームボーイ用のものしかない。
他プレイヤーとのやり取りが本体1台+ソフト1本で済む据え置き機のファミコンと違い、携帯機のゲームボーイは本体2台+ソフト2本+通信ケーブルを必要とするために当初はさほど売れなかったようだが、『ポケットモンスター』の登場により売れ行きが増大した代物。

ポケットプリンタ

ゲームボーイ本体と通信ケーブルで接続し、ソフト内にあるデータをプリントできる。ポケットカメラと同時に発売された。
専用のプリント用紙はシール状になっている。
対応ソフトの中でもとくに有名なのがポケットモンスターシリーズであり、「ピカチュウ」以降の作品では図鑑データや自身のポケモンのステータス画面などを印刷できたりした。
しかし印刷品質がお世辞にも良くないことや、稼働に単3電池6本使用というコスパの悪さなどが相まって、あまり普及しなかった。

ライトボーイ

任天堂純正の周辺機器ではなく、サードパーティーから発売された中でも特に有名な任天堂ライセンス商品*4
初期型・ポケット(ライトと兼用)・カラー・GBA用にそれぞれ発売されており、装着することで画面が電球で照らされ暗闇でもゲームができるようになっているほか、拡大鏡で視認性の向上に繋がるという優れもの。

スーパーゲームボーイ


\シュゥ~ン シャラリーン/


s u p e r
GAME BOYTM

Nintendo®
●●
Nintendo GAME BOYTM
電源 aniwota ▲押-開


厳密にはスーパーファミコンの周辺機器であるが、便宜上ここに記載する。
1994年6月14日発売。ゲームボーイソフトがスーパーファミコンとテレビで遊べる周辺機器。後発規格のカラー共通ソフトは使えるが、カラー専用ソフトは使えない。
モノクロ4階調に任意の4色を割り当てる疑似カラー化、ゲームボーイの画面周囲を飾るフレームの表示選択機能を持つ。
色ペンで絵や文字が書けるフレームもあり、友達や家族のゲーム中に画面への落書きでちょっかいを出すのはお約束。ちなみにSFCマウスも使用可。
スーパーゲームボーイ対応ソフトでは最大13色による画面のカラー化と固有フレームの表示、さらにソフトによってはSFCコントローラによる2人同時プレイ、SFC音源によるSEやボイス・サウンド再生などの特殊機能も付く。

ただ固有カラーはソフト側で4階調に色を割り当てた物が大多数で、場面ごとにその色が切り替わればいい方。13色フルカラーを実現しているものはほぼ見かけない。
4色を超える多色カラーは「画面を8ドット単位のマスで区切り各々に4色を指定する」という仕様で、背景とスプライトの区別はできない。レトロな例えとなるが手法は白黒画面の上から色付きセロハンを貼り付けたスペースインベーダーに近い。
この仕様による制約のため、画面スクロールのないパズルやテーブルゲームで見栄えが良くなる傾向にある。しかしタイトル画面やメニューではきれいなあざやかカラーに見えてもゲームに進むとそうでもない……というソフトも多い。
特にゲームボーイカラー発売後はモノクロがソフト固有カラーなど、露骨に手抜きするソフトも目立った。

一方でGBソフトに収録されたSFCソフトのプログラムを起動・実行するという驚くべき機能もある。
日本未発売の「Space Invaders」*5では、スーパーゲームボーイで起動するとカラー化されたGB版に加え、アーケード版と称したSFC版も遊ぶことができた。*6

初期型には通信コネクタが搭載されておらず、ソフトの動作速度も実際より少し速くなる*7という難点があったが、1998年にポケット用の通信コネクタが付き、動作速度も改善された「スーパーゲームボーイ2」も発売された。

また、開発にはホリが関わっており、同社からは通常のコントローラーでは使用できない速度調整機能を使えるようになるコントローラーの「SGBコマンダー」も発売された。
「ゲームで発見!!たまごっち」の発売後には「たまごっちの育つ速さが変えられるよ!!」との宣伝シールを箱に貼り付け販売した。余っていたのか?
しっかりバンダイの許諾も得ているようで、文中にはたまごっちのロゴが流用されている。


主なソフト(GBCまで)


テトリス
ポケットモンスターシリーズ
スーパーマリオランドシリーズ
ワリオランドシリーズ
ゼルダの伝説 夢をみる島
魔界塔士Sa・Gaシリーズ
星のカービィシリーズ
カービィのピンボール
ドラゴンクエストモンスターズシリーズ
ゲームボーイウォーズ
スーパーロボット大戦
トレード&バトル カードヒーロー
メダロットシリーズ
聖剣伝説 FF外伝
カエルの為に鐘は鳴る
平安京エイリアン
バトルドッジボール
もんすたあレース
ロックマンワールドシリーズ
ポケットファミリー
機動戦艦ナデシコ ルリルリ麻雀
ハイパーロードランナー
SDガンダム外伝 ラクロアンヒーローズ
ドラゴンスレイヤー外伝 眠りの王冠
かこむん蛇
テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン
Piaキャロットへようこそ!2.2
スターオーシャン ブルースフィア
ポヨンのダンジョンルーム
ロボットポンコッツ
ぐるぐるガラクターズ
カンヅメモンスター
桃太郎電鉄


余談


ゲームボーイ対応ソフトの中には、内蔵電池の経年劣化によりセーブ機能が失われたものも多い。
メーカーでも対応してくれないので、民間の修理業者に頼るか、自分で電池交換技術を身につけよう。
交換自体は先の尖ったペンチ(ケースを固定している特殊ねじを外す為)と、細いマイナスドライバー(電池をハンダから剥がす為)と、ビニールテープがあれば十分。
ただし金具や端子を壊さないよう、作業にはやや細かさが求められる。

ファミコンにはないステレオサウンドをアピールするためか、最初期のゲームボーイ本体セットには専用ステレオヘッドホンが付属していた。
専用ヘッドホンとはいうものの、他の家電やゲーム機にも使いまわせるごく一般的なミニプラグの汎用品で、耳穴に突っ込むタイプのいわゆるイヤホンである。
黒をベース色に、左右の識別兼アクセントとしてイヤホン部には青色と赤色の部品を組みこみ、ささやかながら玩具感をアピールしている。
この2色の色合いは後のNintendo Switchのイメージカラーそのまんま。ここから採ったのだろうか。

なお説明書によると、ヘッドホン端子にはこの専用ステレオヘッドホン以外繋いではいけないらしい。
が、価格改定に伴いセットから外されたこともあり、律儀にその注意書きを守っていた人は皆無であろう。
にもかかわらず専用品以外の使用を禁止した表記はカラーまで延々と掲載され続けており、アドバンスでやっと市販品の利用可能が明記された。


ついき しゅうせい よろしく おねか゛い します。



\ピコーン/

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  • トラブルもいっぱい
  • 秀逸な項目
最終更新:2025年04月10日 14:13

*1 展示が終了した現在は任天堂本社にて保管されている。

*2 この規格の通信ケーブルは後継機ゲームボーイアドバンス(SPも含む)まで使用可能。

*3 特に電池寿命の短さは、冒頭でもさらっと触れたゲームギアPCエンジンGT(共に1990年発売)が抱えていた問題でもあった。

*4 ゲームメーカーの基準を満たし、開発・販売が正式に許諾された商品のこと。純正品と同等の品質が確保されている。

*5 1994年に任天堂より発売。1990年にタイトーが日本で発売した「スペースインべーダーズ」のスーパーゲームボーイ対応版。

*6 当時日本で販売されていたSFCソフト「スペースインベーダー The Original Game」から対戦モードを除いた翻訳版。

*7 このため他機種よりBGMが少し速く高く聴こえる