SCP-1154-JP

登録日:2022/11/20 Sun 16:14:00
更新日:2025/04/15 Tue 18:36:59
所要時間:約 31 分で読めます






報告書の閲覧が可能な全職員に以下の閲覧が許可されています。


というわけで、ここからは「検閲済み」の財団ロゴに書いてある通りセキュリティクリアランス1以上の職員、要するにほぼすべての職員が見ることのできる情報を載せていく。



SCP-1154-JPとは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクトである。


オブジェクトクラスはSafe。収容ができているオブジェクトに割り当てられる。


概要&特別収容プロトコル


SCP-1154-JPとは「とある特定の人物」が「睡眠中に見る異常な夢」のことである。

この「特定の人物」をSCP-1154-JP-A、「異常な夢」をSCP-1154-JP-Bと呼ぶことにする。SCP-1154-JPとはこの2つの総称となっている。


それでSCP-1154-JP-Bの内容なのだが、普通の夢と同様に非現実的なことが起きる。それでもって非常に怖い夢なのである。

まあ、普通なら怖い夢を見ても数日も経てば忘れられるものだが、SCP-1154-JPは自然に忘れることができない。起きた後も夢の内容は鮮明に覚えている。記憶処理は効くが、精神的ダメージは消せないらしいので無意味。

この夢のせいで現在、精神的に不安定な人が█名、睡眠障害を患った人が█名いるとのことなので相当怖いのだろう。

ちなみにSCP-1154-JP-Aについてだが、SCP-1154-JP-Aから口頭でSCP-1154-JPのことを説明されるとその人もSCP-1154-JP-Aになるという性質がある。要するに伝染するのだ。

特別収容プロトコルは単純で、「SCP-1154-JPに関する情報交換は必ず口頭以外でやってね」のみ。
報告書やこの解説記事は口頭じゃないのでセーフ。


実験記録


ここからは実験記録を見て行こう。
実験は全て、「SCP-1154-JP-A-1」というSCP-1154-JP-Aのひとりを対象に行われた。


実験記録1154-JP-a


この実験はSCP-1154-JP-Bの内容を調査するために行われた。
それで結果だが、SCP-1154-JP-A-1は「包丁を大量に持った人形に追いかけられる」という夢を見たらしい。怖い。

実験記録1154-JP-b


お次もSCP-1154-JP-Bの調査。
SCP-1154-JP-A-1は、「滴のような体に目のついた人懐っこい動物を見た」と説明。どうやら怖くない夢も見るらしい。

実験記録1154-JP-c


お次もSCP-1154-JP-Bの調査。
SCP-1154-JP-A-1は、「人にそっくりな実のなる桃の木を育てており、木を選定しようとしたら木に殴られた」という夢を見たらしい。

実験記録1154-JP-d


お次はSCP-1154-JP-Aに対する記憶処理の効果の検証。起きた直後に記憶処理をした。
SCP-1154-JP-A-1は記憶処理の直前、「性教育をするコウノトリを見た」と言っていたが、記憶処理をほどこすと「ひどく奇妙なものを見て気分が悪くなった」と言った。
記憶処理でも完全には記憶は消えないらしい。

実験記録1154-JP-e


お次もSCP-1154-JP-Aに対する記憶処理の検証。
今回は、就寝前に、SCP-1154-JPに関する記憶の全てを消去した。

すると、その後4日間は夢を見なかった

しかし、5日目にはSCP-1154-JP-Bを見、SCP-1154-JP-A-1は「ソーダ味の焼き芋を食べた」と言っていた。
どうやら、記憶処理によってSCP-1154-JPの効果を抑制できるようだ。


現在、SCP-1154-JP-Bと実在の事柄について、何らかの関連性が指摘されており、もしもセキュリティクリアランスレベル2以下の職員が何かに気づいたら、3以上の職員に知らせること、とのこと。


これを見ているあなたはSCP-1154-JPの担当職員であり、セキュリティクリアランスは当然3以上。


また、ページ下部には以下の文言が。

レベル3以上のセキュリティクリアランスの所有者は、こちらの資料も参照して下さい。

というわけで、その資料とやらを見て行こう。














レベル3以上のセキュリティクリアランスの所有者にのみ以下の閲覧が許可されています。

実はこれまでのSCP-1154-JP報告書は半分ウソ
というわけでここからはレベル3以上の職員しか見れないSCP-1154-JP報告書を見て行く。


まずオブジェクトクラスだが、Safeというのもウソで本当はKeter

というのも実は、SCP-1154-JPに登場するものは全て財団が収容しているオブジェクトであることが判明しているのだ。

例えば「大量の包丁を持った人形」ならSCP-941-JP-2。「滴に目のついた動物」はSCP-131。「人間のような桃の木」ならSCP-101-JP。「性教育をするコウノトリ」はSCP-989-JP、「ソーダ味の焼き芋」ならSCP-598-JPという風に。ちなみに、夢の中で認識災害/ミーム系のオブジェクトを見ても現実に影響はないことがわかっている。

こんな感じで、SCP-1154-JP-Bの内容には別オブジェクトの内容が含まれる。もしかしたら機密レベルのオブジェクトだって出る可能性があるのだ。もしも、それを低クリアランスの職員が知ったら?財団のセキュリティ的にかなりヤバい

そういうわけで、レベル2以下の職員にはカバーストーリー「消えない悪夢」を流布し、「関係性が分かったら報告してね」と書くことで、機密情報を知ってしまった職員を発見して記憶処理できるようにしている。

それで、報告書にはもう一つ、SCP-1154-JPの例が載っている。それは「海底に大きな機械が沈んでいて、おそらく壊れている」というもの。これはSCP-1153-JPだと思われる。


まだSCP-1153-JPを知らないという方は読んできてほしいのだが、SCP-1153-JPはかなりヤバいオブジェクトであり、この先も重要になってくる。


このSCP-1153-JPの記録は財団が確認したものではなく、収容前のSCP-1154-JP-Aが残した手記に書いてあったものだという。


さてさて、このSCP-1154-JPなのだが、蒐集院時代からあるもので、蒐集院の頃は別に存在が隠されることなく蒐集院に属していた人間ならみんなSCP-1154-JPを知っていたという。
だから、当時の職員の生き残りにSCP-1154-JPに関する重大な知識を持つ人がいる可能性が高く、現在調査が進められている。

その他の追加情報はこちら。

  • 追跡調査の結果、財団が収容しているもの以外のSCP-1154-JPは発見されなかったよ。
  • 口頭以外にSCP-1154-JPを伝染させる方法があるみたいだよ。調査中だよ。
  • 現在、記憶処理よりも確実にSCP-1154-JP-Bを止める方法を研究中だよ。

とのこと。



さて、報告書は以上なのだが、またしてもページ下部には以下の文言が。

レベル4以上のセキュリティクリアランスの所有者及びプロジェクト████-███-████に所属する職員は、こちらの資料も参照して下さい。

あなたは担当職員なので、このクリアランスも持っている。その資料とやらを見て行こう。








レベル4以上のセキュリティクリアランスの所有者及びプロジェクト████-███-████に所属する職員のみ以下の閲覧が許可されています。

申し訳ないが、これまでの情報も半分ウソ。カバーストーリーの一環だ。

オブジェクトクラスも、KeterではなくThaumiel
財団が利用している、切り札的なオブジェクトである。

この報告書では、SCP-1154-JPに関するより詳しい情報が載っている。


まず、SCP-1154-JPに登場するオブジェクトについてだが、これはまだ収容されていないオブジェクトが登場する場合もある。

財団はそれを利用してオブジェクトの予知をしている。だからThaumiel。情報漏洩どころか、財団の役にたってるではないか!

そして、SCP-1154-JP-A自体も実は世界で2人しか確認されていない。情報漏洩など起こるはずもない!これは便利!
しかも、夢に出てきたもの限定となるがSCP-1154-JP-Aはその異常存在の認識災害/ミームに耐性ができる!無敵!

で、その2人というのが「D-1154-JP」というDクラス職員と「██博士」という職員の2人。

SCP-1154-JP-Aは伝染するのになぜ2人しかいないかというと、SCP-1154-JP-Aはだいたいすぐ死んでしまうから。

具体的には、SCP-1154-JP-Aとなってしまった人間は、その次の睡眠では一切夢を見ない。しかしながらその次に寝ると、睡眠中に心臓発作で死亡する

そういうわけでSCP-1154-JP-Aとなってしまったら最後、多くの場合は死んでしまうのだが、その例外がD-1154-JPと██博士である。

そもそも、この2人の前に「███ ██」という人物が生存したSCP-1154-JP-Aとして存在していたのだが、██博士にSCP-1154-JPのことを口頭で話した後、別のオブジェクトの収容違反によって死亡している。

D-1154-JPは、自身の優れた文章能力と描画力からSCP-1154-JPの実験に抜擢された。
何度かの実験の後に終了される予定だったが貴重なSCP-1154-JP-Aとしての生存者となってしまったので、現在は財団にこき使われている。


ちなみに、SCP-1154-JP-Bに出てくるオブジェクトについてだが、その範囲はSCP-1154-JP-Aの日常に関係するとされる。

D-1154-JPは海外への関心がそれほどないため、SCP-1154-JPには日本支部のオブジェクトしか登場しない。しかし██博士は、留学経験があったり財団本部への出向経験があったりと、海外での生活が日常として組み込まれているため、本部のオブジェクトも登場する。

ちなみに今までの実験記録はSCP-1153-JP以外D-1154-JPのもの。SCP-1153-JPは███ ██氏の手記だったようだ。

ちなみにこれ、あまりにも役に立ちすぎて、財団に潜入している要注意団体の諜報員にバレたらまずい。そういうわけでレベル3の職員にはカバーストーリー「オブジェクトの夢」、2以下の職員にはカバーストーリー「消えない悪夢」を流布している。


実験記録


ここからは追加された実験記録を見て行く。

これまで紹介した実験記録の中でもいろいろ情報が加わっているのだが重要ではないので今回は割愛とする。

ここで紹介するのは2つ。いずれも厳密には実験ではなくSCP-1154-JP運用の記録となる。


実験記録1154-JP-Not_Numbered①


D-1154-JPは「琵琶湖の地下深くに、錆びていない大型の機械があり、[削除済]をすることによって地表ごと空に飛んでいく」と説明。

これはSCP-1233-JPと一致。この頃の財団はSCP-1233-JPについてほとんど何も知らず、(SCP-1233-JPをご存じの方は分かると思うが、)このSCP-1154-JP-Bによって財団は大きな情報を得たといえる。


実験記録1154-JP-Not_Numbered②


D-1154-JPは「██県の山中にすべてが箱でできた森があり、中心部に近づくと森以外も箱でしか認識できなくなる。中心部には[削除済]」と説明。

これはSCP-1046-JPと一致。SCP-1046-JPについてもこの頃の財団は知らない情報が多く、SCP-1154-JPから得た情報をもとに調査が進められている。ちなみにSCP-1046-JPもThaumielである。


こんな感じで、SCP-1154-JPは財団にとって非常に役立っているのがわかる。



あとちなみに、口頭での伝達以外にSCP-1154-JP-Aになる方法が発見された。それはSCP-1500-JP-Aの神輿エリアで[編集済]することなのだが、何しろSCP-1500-JP-Aは現在荒れに荒れているためこの方法は現在できなくなっている。


さて、ここまでSCP-1154-JPを便利だ便利だともてはやしてきたが、中にはこう考える人もいるのでは無かろうか。


「SCP-1154-JPで予知ができているのではなく、SCP-1154-JPが異常存在を生み出しているのでは?」


財団職員の中にもこう思う人がいるようで、財団は現在SCP-1154-JPによる現実改変や過去改変について調べている。

それで、既存のSCP-1154-JP-Aが全て死亡した場合に異常存在の発生が減少、或いは無くなるという仮説があるのだが、財団が発見していないSCP-1154-JP-Aが存在するかもしれないこと、SCP-1154-JP-A自体が貴重なものだという理由からこの仮説に関する実験は無期限に停止されている。


さて、報告書は以上なのだが、またしてもページ下部には以下の文言が。

財団日本支部理事会独自のセキュリティクリアランスの所有者は、こちらの資料も参照して下さい。


そういうわけで、またまた見て行こう。









財団日本支部理事会独自のセキュリティクリアランスの所有者にのみ以下の閲覧が許可されています。



エラーが発生しました。

深層認証による再認証を行って下さい。




不明なリクエストを受け付けました


外部サーバーへのバイパスを開始します。



担当職員様、財団日本支部理事会専用サーバー-SCP-1154-JP へようこそ。




さて、あなたがやってきたのは財団日本支部専用サーバー
この日本支部専用サーバーは、アニヲタwikiのようなメインページは存在せず、項目やページの一覧も存在せず、アクセス権によって許可されたページに直接リンクするようになっている。

そして、あなたが持っているのは日本支部理事会独自のクリアランス
これはつまりどういうことかというと、O5でさえも日本支部理事会*1の許可を得なければ見られないということ。
というか、O5達はこれを読めないだろう。これを読めるのは、日本支部理事会のメンバーとごく限られた担当職員のみ。


前置きが長くなったが、ついにあなたはSCP-1154-JP報告書の完全版にたどり着いた。
さっそく見て行こう。

オブジェクトクラスは、変わらずThaumiel


真の概要


まず、SCP-1154-JPは昔、蒐集院の時代には予知夢と呼ばれていた。文字通り、異常存在を予知できるから予知夢。
蒐集院創設以来、日本の転換期にはSCP-1154-JPが重要な役割を果たしていたことが最近になってわかり、SCP-1154-JPは日本国の守護のために蒐集院が作ったものという説も出てきている様子。

ここに、蒐集院の文章の現代語訳を転載する。


この記録は、予知夢の継承時にのみ開いて良い物とする。

予知夢は、蒐集院に於いて代々語り継がれている、蒐集物*2を夢見する力である。
この力は、蒐集院、延いては皇国の護持に絶対不可欠な物であり、断じて絶やしてはならない
また、院外の者に吐露してもならない。

蒐集院[判読不能]代目院長[判読不能]


[著しく破損しており、判読不能]
[判読不能]陛下に[判読不能]せられ[判読不能]るも、力及ばず[判読不能]
[判読不能]に残された神宝(かんだから)たる[判読不能]見、大王(おおきみ)あらせられぬ世に[判読不能]民を護り、大地を護り、大空を護る為、この[判読不能]現れるより前に[判読不能]

我々は、戦わねばならぬ。天孫、大王より開かれたこの世の為に。我々は、護らねばならぬ。この、賜った武器を、この[判読不能]
[判読不能]だ努める者にのみ、報いあら[判読不能]]


要するにSCP-1154-JPは蒐集院時代から使われてきた日本国を守るための武器ということ。

もちろん「SCP-1154-JPがオブジェクトを生み出している」という可能性は拭いきれないのだが、SCP-1154-JP-Aが非常に重要な職員であること、まだ未確認のSCP-1154-JP-Aが存在する可能性があることから、SCP-1154-JP-Aを全員終了するのは禁止されている。

まあ、SCP-1154-JP-BでSCP-1154-JPが出てきた場合は何か重要なことがわかるかもしれないが、その場合でもSCP-1154-JP-Aの終了はしない、とされている。


さて、現在発見されているSCP-1154-JP-Aは実は4人だけ
その4人とは「D-1154-JP」「██博士」「日本支部理事”鵺”」「日本支部理事”千鳥”」。

日本支部理事は、O5のように番号ではなく、それぞれ襲名制の名前を名乗る。
それで、“鵺”は、旧蒐集院のメンバーであり、SCP-1154-JP-Aのひとりでもあった初代“鵺”から継承する形でSCP-1154-JPに、残りの3人は実験的にSCP-1154-JP-Aとなった。██博士がSCP-1154-JP-Aとなる過程はウソで、実際は現在の“鵺”から実験的に伝染したと思われる。

それで現在4人の身元は全て隠されている。それも、日本支部理事会独自クリアランスで守られているから知る人は数少ない。(通常のクリアランスだと要注意団体に破られてしまう可能性があるから、とのこと。)

それで「じゃああのD-1154-JPの身元は?」というと、あれは影武者である。
実際のD-1154-JPは、エージェント2名の護衛のもと[削除済]という偽名で一般人と同様に暮らしている
本物のD-1154-JPにSCP-1154-JP-Aの説明をさせた後、影武者に同じ説明をさせているらしい。


さて、蒐集院において大事にされてきたSCP-1154-JP-Aの存在だが、「口頭で情報交換してSCP-1154-JP-Aを伝染させる」という継承の方法は実は非正規ルート。簡単な方法だが、高確率で継承先の人間が死亡してしまう、いわば危険な賭けのようなもの。蒐集院時代には「イヌキ(鋳抜き)」と呼ばれていた。

それで正規ルートはどんなものかというと、それがこのSCP-1500-JPを使う儀式である。これはSCP-1500-JPにいる桜主と蒐集院の契約であり、正規ルートの名前も「契約」という。

どうもこの儀式は、「桜主さん!異常存在収容するから予知夢見させて!」とお願いするものらしい。
そして、もしも予知夢で見た異常存在に対して収容などを行わなかった場合は「桜主の怒りを買う」らしいのだが詳細は不明。財団としても変なことが起こっては嫌なので、SCP-1154-JP-Bで出てきたオブジェクトについては積極的に収容活動を行うように励んでいる。

ちなみに、「契約」の儀式のうち、主要な部分が報告書に載っている。ここに引用する。


1. SCP-1500-JP-Aヘ進入、神輿エリア中央に位置する樹木の目の前へ移動する。
2. 花見をしている人型実体群を退避させる。
3. 樹木に貼り付けられているSCP-052-JP*3を1枚剥がす。
4. 付近一帯に火を放ち、以下の出出しで始まる祝詞を2時間に渡り読み上げる。
よみぬゆめみゆ あかめのひめよ (世見ぬ幽冥見ゆ 閼伽女の媛よ"、或いは"夜見ぬ夢見ゆ 紅目の姫よ"の意)
やすきゆめのき あすはやみ ("安き夢の樹 褪すは闇"、或いは"易き夢退き 浅すは已み"の意)


これを行うと、実行した人はSCP-1154-JP-Aとなり、おまけに強い愛国心が生じる。これは一種の洗脳のようなものらしいが、そりゃ桜主との「日本を守るための」契約なのだから当然だろう。

対して、「イヌキ」でSCP-1154-JPとなった場合は愛国心が発生しない。

それと、SCP-1500-JPが出来る前は「契約」がもっと複雑だったらしい。
蒐集院がSCP-1500-JPを作ったのは、「契約」を簡単にしたいという思惑もあった可能性がある。


ここで少し昔話をしよう。

戦後、財団がアメリカから日本にやってきた当初、財団による蒐集院の合併に反対したのはSCP-1154-JP-Aを中心とする勢力
財団は蒐集院と比べて国家を重視していない。そのため、財団は桜主との契約を履行できないのではないか、と考えたのだ。

それで、SCP-1500-JPを現在の状態にしてしまった人物は「不明」となっていたが、実は財団のエージェントだったことが判明。それ以外の情報は依然不明なのだが、どうやら財団本部は

SCP-1154-JP-Aが抵抗するならSCP-1154-JP-Aを絶滅させよう!

という超安直な考えをし、「契約」ができないようにSCP-1500-JPを荒らしたらしい。当時の財団は桜主を軽視していたようだ。

この事実は財団本部の警戒意識の低さを露呈するものであり、もし公開したら財団本部と日本支部の関係が悪くなってしまう。
また、財団本部が抹消した記録を日本支部が持っている状態も良くない。

そうしてこの事実は、またもや日本支部理事会独自クリアランスで守られることになった。


またまた昔話となるが、財団が日本にやってきた頃、蒐集院の儀式的なやり方を科学に変えよう!という意見があったらしいのだが、初代"鵺"が確認した[ 編集済、財団日本支部理事"鵺"にのみ全文の閲覧が許可されます。]の一件を受け、やっぱり蒐集院のやり方を受け継ごう!という風になった。

いちおう財団も財団でSCP-1154-JPの実験をしたのだが、特に有用な結果は出ず、そのまま蒐集院時代と同じような契約の仕方をしている。


さて、ここまで長々と話してきたが、ここからが本番である。

SCP-1154-JPがThaumiel認定されているのは、「オブジェクトを予知してK-クラスシナリオや収容違反を防ぐため」なのであるが、その一番のターゲットがSCP-1153-JPである。
先に言ってしまうが、日本支部はSCP-1153-JPの正体を知っているのだ。なぜならSCP-1154-JP-BにSCP-1153-JPが出てきたから。
そしておまけに財団日本支部は対Qクラス記憶処理装置を開発。もうSCP-1153-JP報告書など覗き放題だ。

そういうわけで、財団日本支部はSCP-1153-JPの発動を阻止するタヂカラ計画を実行している。



イワト・プログラム


タヂカラ計画を見て行く前に、まずはD・I・G計画の元となった計画「イワト・プログラム」を見て行こう。

もちろんこの説明は日本支部視点の説明となる。なんてったってイワト・プログラムはO5の最高機密。以下に紹介するのは、SCP-1154-JPと、日本支部の諜報から手に入れた断片的な情報となる。


まず、イワト・プログラムというのは「日本全体を大きな収容エリアもしくは大規模破壊兵器にして、K-クラスシナリオや収容違反に対処しよう!」というもの。

これが後にD・I・G計画になるのだが、こういった計画が考えられたのは、日本そのものへの警戒心や恐怖が原因だと考えられている。

そもそも、世界や、古くから存在する文明というのは現実改変者によって作られたことが広く知られている。
そして時が経つにつれ、その現実改変の影響は希釈されて、現在は現実改変の影響は一切ない。

しかし、例外がこの日本。
日本にはSCP-1154-JPやSCP-1111-JP、SCP-1501-JPといったように古くから存在するオブジェクトも多く、現実改変の影響が未だ残っている

O5達はこれに対し、現実改変の影響が海外へ拡散したり、日本国内の未知のオブジェクトが世界を滅ぼしたりすることを危惧しており、最初は、「日本国内の影響を強制的に希釈する」ことで対処しようとしていたようだが、「ついでにオブジェクトの収容もできるのでは!?」ということでイワト・プログラムが制定された。


蒐集院と財団が対立したワケ


戦後、日本にやってきた財団と蒐集院が対立したのにはもう一つワケがある。

先ほど、財団に反抗したのは主にSCP-1154-JP-A達だったという話をしたが、なんとこの時点でSCP-1154-JP-A達はSCP-1153-JPの存在を知っていた

それで、当時蒐集院と財団との連絡を仲介していたのは“管理者”というO5よりも偉い人であり、蒐集院はSCP-1153-JPについて“管理者”に問い合わせたものの“管理者”はそれを拒否。

そして“管理者”が「こっちは蒐集院を滅ぼせる勢力持ってんだぞ!SCP-1153-JPを止めてほしけりゃおとなしく財団に吸収されろ!」と脅しをかけたため、結局蒐集院は財団日本支部という形で吸収されることになった。

もちろん財団日本支部のトップには旧蒐集院のメンバーも多い。彼らは敢えて財団の一員となることでSCP-1153-JPを止めようとした。

ただ、SCP-1153-JP報告書はQクラス記憶処理で守られていることか、O5に直接交渉するのは早々に断念。これを受け、タヂカラ計画の前身となる「神国防衛計画」が計画された。

その後、SCP-1154-JPによって、イワト・プログラムに由来するいろいろなオブジェクトが見つかり、その全ての発動阻止を目指すべく、今から説明するダヂカラ計画が計画された。


タヂカラ計画


タヂカラ計画とは、日本国、並びに国家としての日本防衛計画である。

主にSCP-1153-JP阻止のために計画されており、具体的には以下のことをする。

  • SCP-1154-JPを活用したオブジェクトの早期、効率的収容。
  • SCP-1154-JP-Aの独占による高度な独自裁量権の要求交渉。
  • 複数のThaumielクラスオブジェクトを日本国内に確保する事による日本破壊の牽制

また、タヂカラ計画はできるだけ多くの人々を救うことが目的であり、決して財団本部と敵対することが目的ではない。

しかし、財団本部は、日本支部は諜報・防諜意識が非常に低い……すなわち平和ボケしていると勘違いしているため、これはタヂカラ計画にとって非常に有利なものとなる。

そういうわけで、これからタヂカラ計画の成果をいくつか紹介させてもらう。


SCP-1154-JPの独占


タヂカラ計画の中心はSCP-1154-JP。
だから、本部の手元にSCP-1154-JP-Aが居るとマズいのだが、日本支部は「イヌキ危険だから!あとSCP-1154-JP-Bがオブジェクトの根源かもしれないから!」と言って拒否している。


日本国内への米軍の駐留


財団本部はアメリカ政府と密接な関係にある。そのため、アメリカ政府に不利なことはやりづらいという性質がある。

これを利用し、財団日本支部は「日本支部が困ったとき助けてね!!」と言って米軍の駐留を決定させた。安保同盟というのはカバーストーリーに過ぎない。

これで、財団本部はSCP-1153-JPを起動しにくくなったわけだ。ちなみにこの交渉の時、「日本の防衛について深い知識がある人が交渉したほうがいいよね!」と言って財団本部が交渉に介入することを防いだ。


SCP-1046-JPの確保。


SCP-1046-JPが未読な方は読んできていただきたいのだが、実はこのSCP-1046-JPは移動できる

もともと、████博士がSCP-1046-JPについての情報を得る前にSCP-1154-JPによってSCP-1046-JPの細かな情報は入手出来ていた。その中にSCP-1046-JPが移動できるという情報もあった。

だから████博士がSCP-1046-JPの情報を得た時に、その情報にSCP-1046-JPが移動できることが入ってなかったことは非常に幸運と言える。もし入ってたら、本部もこの情報を知っていただろう。

なぜ幸運だったかって、SCP-1046-JPが日本国内にあるとSCP-1153-JPを起動した後に“再反転イベント”をやられるかもしれないから。SCP-1046-JPは宇宙丸ごと箱のなかに閉じ込める、というもの。
本来は世界全体でどうしようもないK-クラスシナリオが発生したときに使うものだから、日本以外なんでもないときに使われるのはなんとしても避けたい

そういうわけでこの時点でSCP-1153-JP起動阻止はほぼ成功したといっても過言ではない。
もちろん「SCP-1046-JPが移動できる」情報が漏れるとまずいが、きっとこれも日本支部理事会独自クリアランスで守られているからきっと大丈夫だ。


SCP-280-JPの正確な特性の把握・日本国内での確保


ついでに言うとSCP-280-JPも動かせる

SCP-280-JPは過去に向かって拡大するブラックホールなのだが、周囲の時間と空間を固定することで動かすことができると予想されている。サラッととんでもないことしてますねぇ…

それで、SCP-1154-JPのおかげでSCP-280-JPの真の性質、すなわち過去に向かって拡大する過去改変特性も財団日本支部は知ることができた。

これを受け、財団はSCP-280-JPを封印し、運搬できることを本部に隠すことがタヂカラ計画に組み込まれた。


SCP-1233-JPの直轄管理


SCP-1233-JPの存在はSCP-1154-JP-Bに現れるより前から認知されてはいたものの、技術的な問題から確認はされていなかった。

それで技術が進歩してSCP-1233-JPを発見した時、同時に発見された手記の内容から財団本部の介入を排した調査を行うことができた。

それで、「特別退避プロトコル“ノア”」と「ゲネシス・プロトコル」の基本方針が定まったタイミングで財団本部にSCP-1233-JPの情報を開示。その結果、「特別退避プロトコル“ノア”」の実行に必要不可欠な全ての設備を日本国内に置くことに成功した。

また、財団本部から「地球脱出した後に住む環境を整える技術開発して!」と言われたが、日本支部はそれを拒否。その代わりにSCP-1154-JP-Bにより存在が確認されていた表象サーバーの開発を開始した。


表象サーバーの開発


日本支部は、SCP-1233-JPで地球を脱出した後、住む環境を整えられるようにするための手順として「空間再構成手順(Spatial Comprising Procedure)」を策定。
その一環として、環境改変装置としても使える表象サーバーの開発を始めた。

表象サーバーの情報はSCP-1154-JPによって以前から認知されており、その中で「表象サーバーがK-クラスシナリオを引き起こすかもしれない」ことが示唆されたために表象サーバーの開発は凍結されていたのだが、これを機にまた開発が開始された。そして十束と草薙に全ての表象を入れ、表象サーバーを見事完成させた。

それで、財団内にカバーストーリー「オルメイヤー計画」を流布して、草薙を用いた実験を行ったのだが、そこで不慮の事故が発生。草薙をSCP-1000-JPと認定することとなってしまった。

ちなみに財団は、草薙がSCP-1154-JP-Bに出てきたようなSCP-1000-JPとならないようにあらゆる対策を行った。しかしSCP-1154-JPで予想された通りにSCP-1000-JPが発生してしまったことは特筆すべきである。
現在、表象サーバーの量産は見送られており、財団本部から「閲覧制限: Level4/Exodus-1権限が必要です。に応用できるかもしれないから技術を共有しようよ!」と言われたが、異常に高度な専門性を理由に断った。

表象サーバーの技術を独占することにより、SCP-1154-JP-Aの独占や、日本支部理事会の独自裁量権要求への大きな交渉材料になっている。


日本全体の高ヒューム値の維持






タヂカラ計画の成果は以上である。
SCP-1153-JPも、SCP-1111-JPも、SCP-1046-JPも、SCP-1233-JPも、SCP-1000-JPも、裏にはSCP-1154-JPが絡んでいたことがおわかりいただけただろうか。


現在、タヂカラ計画はおおよそ達成されたとされ、SCP-1154-JPの運用は専ら既知のオブジェクトの効率的収容、未知のオブジェクトの早期発見の為に行われる。

タヂカラ計画が完遂された場合、もしくはダヂカラ計画関連報告書に何らかの不正アクセスがあった場合にはタヂカラ計画に関する情報をすべて削除し、タヂカラ計画を放棄する。

タヂカラ計画の芯はSCP-1154-JPであるため、このSCP-1154-JP報告書が漏洩したり、4人のSCP-1154-JPの誰かから聞き出したり、そもそも財団本部がSCP-1154-JP-Aを手に入れたらマズいのだが、「イヌキ」に必要とされる条件からその可能性は少ないとされる。

ただ念のため、SCP-1154-JP-Aである4人には尋問・拷問されても何も答えないような催眠を掛けている。


ちなみにSCP-1154-JPの歴史だが、最も古い資料では7██年にSCP-1154-JPが登場する。なんでも物部氏の祖とされる宇摩志麻遅命より伝わるとされているのだが、詳細は不明。
現代から遡ってSCP-1154-JP-Aを追っても、███年前のSCP-1154-JP-Aを最期に確認はできていない。

そもそもSCP-1154-JP-Aの身分・人数は蒐集院の最重要機密であり、蒐集院の頃に何人SCP-1154-JPがいたのかはわかっていない。唯一分かっているのが初代“鵺”を務めたSCP-1154-JP-Aだけ。
だから、現在潜伏している蒐集院の残党の中にSCP-1154-JP-Aが居る可能性だってある。
蒐集院の外でありかつ現在は存命ではないものの、土御門家という家系にてSCP-1154-JP-Aが受け継がれていた、という事例だってあるくらいだ。潜伏している残党の中に1人くらいSCP-1154-JP-Aがいてもおかしくないだろう。


ちなみに少し前、SCP-1154-JPは夢の中に出てきたオブジェクトのみミーム・認識災害へ耐性を持つという話があったが、財団はそれを利用してSCP-040-JPや、あのSCP-444-JPさえ収容してしまったらしい。
とにかく強い。SCP-1154-JP。


では最後に日本支部理事会理事であり、SCP-1154-JP-Aでもある“鵺”と“千鳥”からのメッセージを引用させていただく。


私達に残された"武器"は、何の変わった強みも無く、余りにも小さい

だが私達には、この"武器"を扱うだけの技量がある。なければならない。

私達が望む物は敵対ではない。共存だ。

しかし、理想に刃を向ける者がいるならば、私達は立ち上がらねばならない。たとえ、相手が財団であったとしても

私達の家族。罪無き無知な人々。私達を信じ従う財団日本支部職員達。彼らを守りきるのは困難かも知れない。だが、彼らを"意図的に"犠牲にするなど、あってはならない

私達は、財団である前に、人でなければならないのだ。

―財団日本支部理事"千鳥"


本部の人間は、この日本に対して、恐怖にも似た感情を持っている。そして、犠牲にしても構わないとの判断に繋がっている。

そんな判断を、我々財団日本支部は、決して認めない。見捨てられた犠牲ではなく、"作られた"犠牲の上に立つ平和など、財団が目指すべき世界ではない

可能な限り多くの人間を救い、最悪の場合にのみ、選ばれた人間を救い、人類の再起を図る。それが、財団の在り方ではなかったのか。

確保、収容、保護。そこに、犠牲の二文字は存在しない。

―財団日本支部理事"鵺"










緊急連絡



現在、財団日本支部理事会の決定により、本ページの削除、タヂカラ計画の放棄が許可されています。








閲覧後、必ず下記の簡易コードをクリックし、本サーバーとの接続を完全に解除して下さい。




























リンクが失効しています。

現在編集者権限によりページが削除されています

削除後ページへの更新を行います。







404 Not Found: ページが存在しません。



削除後ページに記されたのは、“鵺”からあなたへのメッセージ。


タヂカラ計画は完遂された。礼を言う。

我々は、不毛な戦いを続けて来た。それも、これで終わりだ。

我々の行ってきた事は、全て、正しいと思っての事だ。そこに疑いの余地は無い

或いは、財団本部に仕組まれた事だったのかも知れないが……今となっては、最早誰も知らぬ事だ。"管理者"を除けば、だが。

言わば財団日本支部理事会は、SCP-1154-JPを使う為"だけ"に存在した様な物だ。

さながら、蒐集院の亡霊。我々がタヂカラ計画を続けている限り、そこには蒐集院が生き続けていた

これより我々は、財団日本支部の監督者に成り下がる。"日本の守護者"ではなくなる。

だが、それで良いのだ。財団は、内部で争いをしているべきではない。

これからは、日本ではなく、世界を、人類を守る事になろう

確保、収容、保護。

―"鵺"




【接続解除】




































404 Not Found: ページが存在しません。







【接続解除】



















こうして、SCP-1153-JPとSCP-1154-JP、そして蒐集院や日本支部理事会を巻き込んだ大騒動は幕を閉じた。

SCP-1153-JPが発動されることはなくなり、人々は“犠牲”になどならずに平和に生きてゆく。

そもそもSCP-1154-JPは“桜主”との契約
イヌキでは愛国心の植え付けは発生しないものの、それでも「日本国を守ろう」というSCP-1154-JPの本能のようなものが日本を、SCP-1153-JPの魔の手から救ったのかもしれない。



SCP-1154-JP - 見られるべき夢




SCP-1153-JPなど許されない。そういった意味でも、SCP-1154-JPは「見られるべき」だったのだろう。


追記・修正はSCP-1154-JP-Aがお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SCP Foundation
  • SCP-JP
  • 日本支部
  • Thaumiel
  • 蒐集院
  • SCP財団
  • 日本支部理事会
  • SCP-1153-JP
  • 所要時間30分以上の項目
  • falsehood
  • 予知夢
  • ベンチャーコンテスト
  • 愛国心
  • 完結編
  • SCP-1046-JP
  • 抵抗
  • 燃えるSCP
  • Thaumiel VS. Thaumiel
  • 見られるべき夢
  • 感動系SCP
最終更新:2025年04月15日 18:36

*1 日本支部のO5的な存在で7人いる。旧蒐集院でのリーダーだった人が多い。

*2 財団における「SCPオブジェクト」に相当

*3 異常存在を遠ざけることのできるお札。