美柳ちなみ

登録日:2012/09/11 Tue 19:30:29
更新日:2025/10/06 Mon 18:58:24
所要時間:約 7 分で読めます




お名前は、美柳 ちなみと申しますわ。


逆転裁判』シリーズの3作目『逆転裁判3』の登場人物。

CV:?(パチンコ版)、佐藤利奈(TVアニメ)

◆概要

第1話「思い出の逆転」にて登場したナルホド君の恋人である。事件当時20歳。
勇盟大学文学部の3年生であり、川柳の研究をしているらしい。
その様はさながらお嬢様。愛称は「ちいちゃん」。
屋内だろうと日傘を差し、証言中には周りに蝶が飛び交い、敬語の使い方がおかしいなどツッコミ所も多い。
その美貌でオジサマ達を虜にする。

3-1は成歩堂が被告人となった話であるが、目撃者として登場。
事件の半年前までは被害者となった別の男と付き合っていたことまで判明する。





以下ネタバレ注意











本編での活躍












案の定、呑田殺人事件の真犯人だった。



事件の真相は彼女がプレゼントしたペンダントを返すどころか見せびらかす成歩堂に業を煮やし、薬学部から毒を盗み彼の毒殺を図ろうとするも、
感づいた元彼・呑田菊三の忠告によりこのままでは自分が疑われると計画を変更し、偶然にも老朽化で切れていた電線に呑田を触れさせ感電死させるというものだった。

というか『3』の第1話は前2作と違い、冒頭でプレイヤーに真犯人ネタバラシをしていないが、
登場人物が少ない(司法関係者を除くと成歩堂とちなみしか出ない)関係で、消去法で彼女が犯人だと辿り着いたプレイヤーも多かったのでは。
そして下手をすれば成歩堂すら死んでいたかもしれない。

犯行が暴かれるや否や、あれだけ取り入っていた裁判長も「私は最初から怪しいと思っていました」と手の平を返す態度をとり、成歩堂には無罪判決が下される。
これ以降、彼は美人の証人に対しては法の番人として慎重に扱うようになる。











ここまで読んだ人は、いつもの「1話の真犯人」くらいのものだとお思いのことだろう。


しかしながら、その一年前の事件となる第4話「始まりの逆転」では無久井里子というそっくりさんが登場。
そんでもって 美柳ちなみ自身はそれ以前に死亡した と言われている。このからくりは一体…?





ここから先は、第4話および第5話の致命的なネタバレがございますの。
それでも見たいという方は、ご覧になってくださいな。






















先に結論を述べておくと、彼女は 綾里キミ子の実の娘 である。


つまり千尋真宵の従姉妹に当たる(が、面識はなく当人達もそれを知らなかった)。
あやめ双子の姉であるが、春美とは異父姉妹。そして父親は宝石商。
更に母のキミ子同様、綾里出身であるにもかかわらずあやめ共々霊媒の力を持っていない。

元々は千尋や真宵同様に倉院の里で暮らしていたそうだが、「DL6号事件」で綾里の名声が地に落ちたことをきっかけに両親が離婚。
霊媒の力‥‥というよりは綾里家の霊力がもたらす富や名声を得られなくなったことが原因であり、姉妹は父親に連れられ倉院の里を出ていくこととなる。


父親が再婚したことで新しい生活が始まるが、義理の姉の勇希、実の妹のあやめ(彼女は葉桜院に引き取られていた)、
そして家庭教師の尾並田美散と協力して、実の父親から2億円相当のダイヤを奪うという狂言誘拐を企てる。
しかし直前で尾並田を裏切り罪をかぶせ、自分は吾童川へ身を投げ行方をくらまし、無久井里子と名乗って生きていた。
(この時の人物ファイル上の顔写真は、「無久井里子」がちいちゃんのままで、「美柳ちなみ」がニュース番組のようなシルエットで描かれている)

その5年後(3-4「はじまりの逆転」)、脱獄した尾並田と罪の意識に耐えかねた勇希によって計画がバレそうになったため、口封じに勇希を刺殺。
勇希刺殺に関する裁判では尾並田に罪を着せようとするも、担当弁護士の神乃木荘龍・綾里千尋によって真実がバレそうになったため、ちなみに対する尾並田の純粋な想いを利用して彼に自殺を唆す
結果、法廷内で尾並田は毒をあおり死亡。被告人不在のため裁判は閉廷となり、追及を免れることとなる。


その半年後、独自に捜査を続けていた神乃木弁護士によって法廷の地下カフェに呼び出される。
神乃木の捜査により有罪あと一歩というところまで来たが、それを疎ましく思ったちなみは神乃木弁護士のコーヒーに毒を盛って毒殺する。
(ただし実際には毒殺にまでは至らなかった。ゴドー検事参照)

過去の事件との関連性から当然ちなみが疑われることになるが、
その時たまたま裁判所に居た成歩堂に一目惚れしたと告げ、(毒の入れ物となった)ペンダントを運命の出会いの記念にプレゼントという形で押しつけ、
証拠不十分としてまたもや捜査の手を逃れる。


それからはペンダントを取り戻すために(仕方なく)成歩堂と交際することになり、
妹のあやめに自分のフリをさせてペンダントを回収しようとさせる。*1
しかし、なかなか返してくれないどころかペンダントをやたらと見せびらかす成歩堂に痺れを切らし、風邪薬に毒を混ぜることで毒殺を図る。
その下準備(というか毒を手に入れるため)として薬学部所属の呑田とも交際していた。
そこで彼に自分の計画や真意がバレそうなことに勘づき、さらには彼の死を成歩堂に押し付けようとして‥‥というのが3-1の真相である

しかし千尋の奮闘によりちなみが殺したことが明らかになり、また過去の罪状含めて全てバレてしまった。
そのため有罪判決を受け、死刑になった。これだけ罪状があれば死刑もやむなしと言ったところか*2

こうして美柳ちなみはこの世からいなくなり、全てに決着が付いた。











それで、すべては終わった。少なくとも、ぼくはそう思った。


しかし…そうではなかったことを、ぼくは今、


あれから5年もたった今、再び思い知らされることになる。













話はまだ終わっていなかった。早く終わらせてくれ‥‥

第5話「華麗なる逆転」にて、なんと悪霊として登場。
キミ子の綾里家において権力をふるう為に邪魔な真宵を抹殺するという策略で、
(実際は霊媒師の素質が十二分にある春美を家元にさせるというものだが、まだ幼いので母として家元同然の権力を握れる)
春美が既に死者となっているちなみを霊媒して呼び出すことになった。

生前にキミ子と獄中で再会していたが、母娘の仲はすでに無いに等しいものであった。
しかし、千尋への個人的な恨みもあってちなみは積極的に計画に乗り、計画実行日に小刀を片手に真宵を追い詰めるが、
先回りしていたゴドーによって逆に殺され、一旦霊界に戻る。
(なお、この時ちなみの霊を呼び出していたのは春美ではなく、キミ子の行動を予期していた天流斎エリス=綾里舞子であった。そのため死体として発見されたのは舞子である)


その後「ちなみの霊を自身の体で呼び出すことで自分の身を守る」ために真宵に呼び出された後、あやめとすり替わり法廷に出頭。
当然ながら当のちなみは誰に呼び出されたかなど微塵も気にしておらず、偽の証言をして真宵に罪を着せるつもりだったが、言動の矛盾を突かれて正体がバレる。

その際に自らの職業を死者とし、「自分は既に死人だから法律で裁くことは不可能」と開き直るが、
同じく霊媒によって姿を現した千尋によって自分の計画が失敗していたことを思い知らされ、
プライドをズタズタに傷つけられ、断末魔の叫びを上げながら消滅していった。
(つきつけられたトドメの一言は千尋さんの項目を参照)







以上の通り、『逆転裁判』シリーズでも類を見ないほどの悪女(千尋さんに至っては「悪魔」とまで言い切っている)として名高く、その強烈な悪意を目の当たりにした多くのプレイヤーにトラウマを与えた人物であり、『逆転裁判3』のラスボスと言っても過言ではない。
10~20代と言う若さにして狂言誘拐1件、殺人2件(自殺に追いやった人物を加算すると3件)、殺人未遂2件(死後の犯行を含めると3件)と言う多くの罪を重ねた恐るべき凶悪犯である。

初登場時は物腰が柔らかなお嬢様だったが、1章終盤には本性を現し成歩堂へ「クズが!」と罵倒し、
罪が完全に暴かれた時には、(成歩堂曰く)悪魔のような形相で千尋を睨みつけていた(この時の顔は本性を現した母親とよく似ているという伏線もある)。

そして5章で霊媒という形で再登場した際には、もはやお嬢様の仮面を捨て、終始醜悪な笑みを浮かべる女となっていた。 
消滅後、裁判長から「あの霊はもう二度と呼ばない方がいいでしょう」という結論が出され、もはや誰一人として彼女に与する者はなかった。



こうして無事に悪霊も退散出来たことだし、100%安堵したサイバンチョは無罪判決を出そうとするも…

余談

漫画版にも1コマだけだが登場しており、成歩堂が遊園地のキャラクターショーに出ていたキャストの女性を見てちなみをイメージしている。
プレイヤーに強烈なインパクトを残した彼女だが、それと同時にかなり謎の多い人物でもあったりする。



ふつつかな項目ですが追記・修正をお願いしますわ、アニヲタ様。

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最終更新:2025年10月06日 18:58

*1 つまりちなみ自身は成歩堂とは最初の出会い、事件の時、裁判中しか会っていない

*2 余談ではあるが、弁護士YouTuberのこたけ氏が「現実の法廷に当てはめて真犯人弁護を行った際には、第一話の事件は殆どが証拠不十分で窃盗のみ、第四話の事件は控訴棄却」という結論になっている。