ゴドー(逆転裁判)

登録日:2010/04/25 Sun 01:17:19
更新日:2025/04/21 Mon 22:43:00
所要時間:約 7 分で読めます






ウソを1つ聞かされるたび カップのコーヒーを1杯、飲みほす‥‥
そして、ウソをついたクソ野郎に カップを1杯飲ませる‥‥
‥‥そいつが、オレのルールだぜ。




ゴドーとは、『逆転裁判シリーズ』に登場するキャラクター。
逆転裁判3』におけるライバル検事。
キャッチフレーズは「煮詰めたコーヒーよりもホロ苦い過去を持つ、ハードボイルド検事」。

CV:神谷英樹(3本編)/小山力也(成歩堂セレクションドラマCD・パチンコ版)/平田広明(テレビアニメ)


■概要

ボサボサの白髪と顔の半分を覆う赤いバイザーの入った仮面(ゴーグル)が特徴的な、コーヒーをこよなく愛すハードボイルドな男。
その存在感と影響力は大きく、彼が来てからイトノコ刑事のいる所轄署でコーヒーがブームになるほど。
「クッ……」「~だぜ」が口癖。
彼が度々口にする独特の言い回しやたとえ話は、ファンから人気。
言ってしまえば「カッコよすぎて変な人」だが、大抵の事には動じず、どんな人間相手でも黙らせる圧倒的な威圧感と貫禄も持ち合わせている。
そこがまたカッコいい。

肩書は「新米検事」だが実力は非常に高く、明らかに場数を踏んできたプロであることがうかがえる。
またこれまでの検事とは違い、「有罪」よりも「真実」を求める正々堂々とした戦いで成歩堂を追い詰めていく。
本名・国籍・年齢など素性は一切不明で、研修中の新人検事の情報を把握している御剣ですらその存在を知らなかった。
成歩堂に対して何故か一方的な強い怒りを抱いており、何度訂正しても「まるほどう」と呼んで目の敵にしている。

そして、カフェイン中毒と言わんばかりのコーヒー愛飲家。
法廷内に自作の「ゴドーブレンド」を持ち込み、審理中だろうとお構いなしにゴクゴク飲んでいる。苦ェと評している辺り、恐らくブラック派なのだろう。
コーヒーは一つの審理中に17杯までと決めているらしいが、通常カップ一杯のコーヒーは約180mLであり、17杯だと3060mL。
つまり審理ごとに約3Lのコーヒーを飲み干している計算になる。
5話では審理前のモーニングコーヒーの時点で8杯(後に13杯に訂正)も飲んでいることが発覚し、サイバンチョからは「胃に穴が空きますよ」とツッコまれている。

モーションもコーヒー絡みのものが多く、おごりと称してコーヒーカップ(コーヒー入り)を成歩堂に投げつけることも。
ダメージを受けた時はコーヒーをひたすらあおるか吹き出す。時にはわざわざコーヒーを飲んでから吹き出す。
明らかに飲み干したとしか思えない動作をしておきながらカップをテーブルに叩き付けると中のコーヒーが一瞬噴き出す、
検事席には彼しかいないのにどこからともなくコーヒーの入ったカップがスライドされてくる*1など、モーションにはとにかくツッコミが絶えない。
一方で彼に誤った証拠品を突きつけると、「微笑みながら首を横に振る→コーヒーを飲む→再び微笑みながら首を横に振る」とやたらと間をおいてから「……で?」と突っ込むという、
テンポの悪さとペナルティの二重ダメージをプレイヤーに叩き付けてくる迷惑な要素もある。

また、意外にも物真似が得意で、姉御肌な怪人の奥さんやウエイトレス好きな頑固親父の真似をした時には真宵から絶賛されていた。
オカマコックの洒落*2でつい笑ってしまった事も。

テーマ曲は「珈琲は闇色の香り」。ちなみに自身の携帯の着信音もこの曲である。
ゲーム版のボイスは上記の通り、「Devil May Cry」や「大神」などで知られるゲームデザイナーの神谷英樹氏が担当している。


総じて、そのハードボイルドなキャラクターと数々の名言、法廷内全ての人間がビビった芝九蔵を一喝する漢っぷりや、
ラストに待ち受ける一騎討ちなどから、登場作品は『3』のみであるにもかかわらずその人気は非常に高い。





ここから先は、本編に関わる最重要ネタバレってヤツが待ってるぜ。
未プレイ、またはプレイ予定者は回れ右しておくことだ。




























クッ‥‥!
言っただろう?まるほどう。
“知らない”ってのは、大きな≪罪≫なんだ、と‥‥。


本名は神乃木(かみのぎ) 荘龍(そうりゅう)

元は「星影法律事務所」のNo.1弁護士で、成歩堂の師匠・綾里千尋の先輩であり恋人だった。
弁護士時代は4歳年下の後輩の千尋を「コネコちゃん」と呼び可愛がっており、後のゴドーの発言から恋人としても深く愛していた事がうかがえる。
千尋にとっても神乃木は憧れの先輩であり、目標とする弁護士でもあった様子。
千尋曰く神乃木は「ちょっぴりキザ」とのことだが、どのへんが“ちょっぴり”なのだろうか。


千尋の初法廷*3に立ち会ったのも彼である。
しかし彼らはその法廷で依頼人を死なせてしまい、審理中に現れた最有力容疑者……美柳ちなみも証拠不十分で罪に問うことが出来なかった。

この決着にどうしても納得出来なかった2人は、独自に美柳ちなみについて調査を開始。
そんな折、神乃木は遂に彼女と裁判所内のカフェで2人きりで話を聞く機会を得る。
だがそれは前々から2人を疎ましく感じていた彼女の罠だった。
ちなみは彼のコーヒーに毒を盛り、神乃木は昏睡状態に陥ってしまう*4

奇跡的に一命は取り留めたものの、髪は諸白髪に、ゴツいゴーグルが必需品になるほど視神経もズタボロになった。
更に「こんなでかいメガネをぶら下げていても完全には見えねえ」と発言しており、ゴーグルを装着しても尚、赤い色だけは認識できなくなった。
実際、裁判においても3話のエプロンに付いた赤いケチャップや5話の灯篭に付いた血文字を視認できておらず、これらが後の伏線となっている。

そして、5年の眠りから覚めた彼は更なる絶望を味わう事となる。
自分がのうのうと眠っている間に、最愛の人である千尋が殺されていた*5のだ。


彼は成歩堂龍一を憎んだ。
自分を陥れた人間に手を貸し、一番大切な人の一番側にいながら、それでも彼女を守れなかったくせに、彼女の後継者を名乗って一流の弁護士を気取っていたのだから。
無論本人も成歩堂がただ巻き込まれただけであることと、千尋の死に関しても成歩堂に非がある訳ではないことは理解している。
しかし、彼が目を覚ました時には既に美柳ちなみは死刑宣告を受けており、復讐すべき相手も存在しなくなったため、行き場のない怒りと哀しみを成歩堂にぶつけるしかなかったのである。
そうして全ての生きる目的を失ってしまった彼は、愛する人へのせめてもの償いとして、彼女のたったひとりの妹・綾里真宵を守ることを己に誓う。

そんな折、『逆転裁判2』において、綾里家次期家元である真宵が、自分の娘を家元にしたがった伯母のキミ子の罠によって陥れられた事があった。
成歩堂の弁護によって無罪は証明され、キミ子も共犯として逮捕されたが、その事件を知った神乃木はキミ子が必ず次の手を仕掛けてくると確信していた。
神乃木は獄中のキミ子を監視するため、そして成歩堂を試すため、検事になる事を決意。
「神乃木荘龍」という名前を捨て、経歴不詳の謎の検事「ゴドー」となった…。*6


彼が千尋に教えた「弁護士はピンチの時ほどふてぶてしく笑うもの」というスタイル(ハッタリ)は、そのまま成歩堂に受け継がれている。




以下、更なるネタバレ



















第5話『華麗なる逆転』にて発生した天流斎エリス殺害事件の犯人。つまり逆転裁判3のラスボスである。


彼は素性不明の絵本作家・天流斎エリスとして登場した綾里舞子に姉のキミ子が真宵の殺害を諦めていない事を教えており、
彼女と協力してキミ子の企みを阻止するべく行動していた。ゴドーが舞子と接触できたのは、警察が裏で常に彼女をマークしていたため。

① 舞子の役目は、キミ子の計画で美柳ちなみを霊媒する事になっていた春美の足止め。万が一の時のために刀が仕込まれた杖も用意していた。
② だが、奥の院での荒行に挑む真宵の事が心配になった春美がこっそり真宵の様子を見に奥の院へ行くという想定外の事態が起きてしまう。
③ 「春美(に霊媒されたちなみ)が真宵を殺す」という最悪の事態を回避するため、舞子は春美を守るためにも止むを得ず春美より先にちなみを霊媒。
④ 舞子に霊媒されたちなみは彼女の体を借り、葉桜院に預けられていた双子の妹・葉桜院あやめに成りすまして真宵に襲い掛かる。
⑤ 予め奥の院に潜んでいたゴドーによって阻止されるが、ちなみは背後から舞子の刀で刺されて致命傷を負い、その体の持ち主である舞子はそのまま命を落としてしまう…。

これが第5話の事件の全容である。殺人事件の犯人ではあるが、やっていることは正当防衛に近い。
ただし事前に犯行計画について知っていたので『急迫性』が認められず、正当防衛とは言えない
ゴドーが1日目の法廷に姿を現さないのは、本堂と奥の院を繋ぐ吊り橋が炎上*7したことで、奥の院から戻れなくなっていたため。

成歩堂とゴドーによってちなみとキミ子の計画は暴かれ、真宵の無罪が証明されるが、真相に気付いた真宵はゴドーを庇おうとする。
同じく真相に近づいていた成歩堂は、それでも真実を明らかにするために、ゴドーとの最後の一騎打ちに挑む。

前述の通りゴドーが赤色を視認できないこと、そして犯行の際にちなみに顔を切られてゴーグルが飛び、
その時上げた悲鳴を真宵に聞かれていたことから、最後は犯行を立証された。
なお、3話の犯人のブレイクモーションの演出で停電になった際、ゴドーのゴーグルは暗闇の中でも赤く発光することが判明しており、これも犯人を当てるための伏線になっている。*8


全てが終わった後、

「自分が本当に許せなかったのは、成歩堂ではなく千尋を守れなかった自分自身だった」
「本当に真宵を救いたかったのなら、まず成歩堂に協力を仰ぐべきだと分かっていたのに、自分のためにそれをしなかった」
「舞子(=ちなみ)を殺したのも、真宵を助けるためだったのか自身の復讐のためだったのか今となっては分からない」

という自身の想いを吐露し、彼は《》が存在しない*9世界の中、静かに《(なみだ)》を流した。


今まで、いったい何杯の《闇》をあおったか、おぼえていねえ‥‥
しかし‥‥ 今日、この1杯こそは‥‥何よりも、すばらしい。
アンタもそう思うだろう? ‥‥成歩堂 龍一


最後にゴドーは自前のコーヒーを入れたカップの1つを成歩堂に託し、互いにそれを嗜むのであった。

ED後の矢張の絵には亡くなった綾里千尋や舞子と共に描かれているが、
「ゲーム中ではゴドーのその後は語られていないので、プレイヤーの想像にお任せします」とスタッフはコメントしている。



■余談

逆転シリーズ公式人気投票においては御剣、成歩堂に続いて3位。しかも神乃木荘龍とは別票扱いである(神乃木は13位)。
またカプコンに送られてきたバレンタインチョコ宛名ランキングでは、2位を獲得している(1位は星威岳哀牙、3位は成歩堂)。

彼が成歩堂を「まるほどう」と呼んでいた理由については明らかにされていない。
最後には成歩堂と呼ぶようになったところから、彼を認めることが出来なかったが故に本名で呼ぶのを避けていたと思われる。
ちなみに海外版における成歩堂の渾名は"Trite"となっている。これは「ありふれた」や「平凡な」と言った意味を持つ形容詞であり、
ゴドーが成歩堂を一人前の弁護士として認めていなかったことを表しているのだと思われる。

ゴドーという名前の由来は千尋の因縁の相手となったちなみが起こした事件の舞台である吾童川からと思われるが、具体的にその名を自らにつけた理由は劇中では明かされていない。
設定上の名前の由来は戯曲「ゴドーを待ちながら」である(ゴドーの英語表記もそれに合わせてGodotとなる)。劇中の登場人物の2人がゴドーと言う人物をただただ待ち続ける話なのだが、
このゴドーが一体何者なのかが不明のまま物語が終わる。素性の知れない謎の検事であった彼にはピッタリの名前である。



立った項目は追記・修正する‥‥そいつが、Wiki篭りのルールだぜ。

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最終更新:2025年04月21日 22:43

*1 もし仮に投げている人物がいるとするならば、毎回ゴドーの指先に取っ手が当たるよう正確にスライドさせつつ、かつ中のコーヒーをこぼさないよう力も加減するという、相当な技術の持ち主である。

*2 「そんな大きな鏡、一人で持てたんですか?」→「お姉さんモテモテだから」

*3 逆転裁判3『始まりの逆転』

*4 この時、ちなみは偶然裁判所に来ていた成歩堂を利用して追及を逃れている。

*5 逆転裁判『逆転姉妹』

*6 『3』開始時点での年齢は33歳。イトノコ刑事よりも年上である。

*7 この件は裁判で「燃えたのは偶然だったし、燃やす予定なかったでしょう」という指摘がある、

*8 しかし、この時成歩堂はゴドーが投げたコーヒーを浴びていたせいでそれを視認できなかったのか、このシーンが伏線回収として回想されることはない。

*9 この時「モノクロにすれば見える」と言っていた。