変態笛泥棒(浦安鉄筋家族)

登録日:2022/09/09(土) 18:38:56
更新日:2025/01/09 Thu 10:22:30
所要時間:約 14 分で読めます









笛ちょーだい







「変態笛泥棒」は浜岡賢次の漫画作品「浦安鉄筋家族」の登場人物。
第3シリーズ「毎度!浦安鉄筋家族」において登場したキャラクターであり、直接登場回は5回と少なめであるものの、そのエピソード内で見せる異常行動の数々により読者に強烈なインパクトを与え、見方によっては同作を代表するキャラの一人ともいえる存在である。

本名は不明で項目名はのり子が付けたあだ名(といっても使われたのは1度きりだが)。ファンブック「ALLキャラ図鑑」でもこの呼称が使われている。
作者は「(ふえ)(おとこ)」と呼称しており、読者からも通称としてこの呼称が使われている。

【人物ちょーだい】

いかにも変質者チックな小太りの中年男性。口元にホクロがあり、頭髪は後退して禿げ上がっている。

放課後の小学校に侵入しては女子児童のリコーダーを盗んで吹く危険人物で、登場する度西川のり子をはじめとした小鉄の級友の女子児童と遭遇、なんらかの形で制裁されるのがお決まりとなっていた。(一部の回を除く)
特にのり子に関しては極めて高頻度で遭遇しており、完全に標的にされていると思わしき描写もある。
制裁時の効果音として、時折「ロリドーン」という表現が使われる。

……とここまで書けばまだ比較的「浦安鉄筋家族」にはよくいる「変な大人」の類で済むところだが、彼の最大の特徴はそのデザインや振る舞いにあり、ギョロリとした魚のような目常に口を半開きにしたぼんやりとした無表情と時折見せる不気味な笑顔頭を突き出した際に現れるニュッと飛び出る首「あのたーあのたー」という子供じみた言動……と出てくる漫画を間違えてるような気持ち悪い変質者を体現しており、見方によっては人ならざる怪異ともいえるデザインをしている。
この特徴に加えて上述した怪行動がさらに拍車をかけており、作者も巻末の作品評で「キモ過ぎてゴメン」と言うほど。

「おっちゃんキモーイ」と言われて赤面したり「ブ男」と言われニヤリとするなどマゾの気があると思われる。
大量のうんこで災害を出す国会議員や「1」に固執するあまり周囲に迷惑をかける難波湾など、「浦安鉄筋家族」には現実的に考えればある意味怖い存在であるキャラが色々といるが、「ギャグとホラーは紙一重」という言葉があるように、変態笛泥棒はそうしたギャグ漫画の「へんてこな大人」のギャグ性をエスカレートさせた結果、ホラーに転じた存在であるといえる。

初登場以降、忘れたぐらいの頃の頻度で登場していたのだが、ホラー同然の扱いや小学生を巻き込む変質者という現実的に考えればシャレにならない構図に原因があったのか否か、「毎度」343キンポを最後に登場はしていない。

【怪行動ちょーだい】

◆76キンポ「たまには2人でPART7」(「毎度」6巻収録)

初登場回。遭遇したのはあかねとのり子。
「元祖」の頃から続く特定のキャラ2人だけで話を展開するシリーズ「たまには2人で」の一つのオチ要員として登場したのが最初である。
(作者曰く中盤以降の展開が思いつかなかった故のものだとか)

放課後教室に残ってジャレあうのり子とあかねの前に現れ、教師のフリをしたのか「もう遅いから帰りなさい」と言う。
のり子とあかねも新しく入った先生と思って言う通りに教室から出たのだが直後、複数の笛を持って教室から現れ笛を全て口に加えた状態で二人を追いかけ始める。
しかしのり子とあかねから二人がこの少し前にやっていたブリっ子アピールを「おっちゃんキモーイ」という発言と共に食らわされ興奮。そのスキを突いた二人の強烈なキックをロリドーンと受けて壁に激突、失神した。
あかねは警察に通報、のり子はサッカーキックを股間にかけようとするところで話が終わっており、描写はされていないが悶絶しながら警察に連行されたであろうことは想像に難くない。

◆96キンポ「なんだチミはー」(7巻収録)

遭遇したのはのり子と。「変態笛泥棒」の呼称が(唯一)使われた回である。
前回の後も小鉄のクラスに人知れず侵入していたようで、ある日に教室後ろの掃除用具入れの後ろに隠れていたところを小鉄に目撃されるも特に何かされることもなくそのまま見逃される。
その話が出た日に涙が確認したが、足跡があるだけであった。

それから放課後、宿題をやって帰ると言って教室に残っていたのり子の前に突如現れ、のり子が以前遭遇した二人の女の子うちのそれほど可愛くない方片割れだと気づき以前やったブリっ子アピールを要求する。
のり子は前回と違って一人だったためか怖気づいて涙目になってしまい要求にもしぶしぶ従ってやってあげたが「やっぱりもう一人の方が全然可愛い」と評されてしまった。
改めて笛を要求したところ、わけあって後ろの棚の中でふてくされた末寝てしまっていた涙が登場、状況を把握した涙にあかねの笛を渡され「エポー」くっそキモく喜び(?)吹きまくり、のり子と涙はスキを突いて校舎からの脱出に成功する。
しかし渡された笛はあかねではなく小鉄のもの(しかも数時間前におならで吹かしたもの)であり、笛泥棒がいる教室に校舎の壁をよじ上って近づいてくる大巨人の姿があった……。

大巨人は小鉄の笛を吹いた者に従うため笛泥棒が大巨人に攻撃された可能性は低く、二人がどうなったかは誰にもわからない。
なお涙が用具入れの後ろを確認した後の数コマをよく見ると用具入れに接した方の教室の戸が少し開き笛泥棒が入っていく様子がさりげなく描かれている。

◆154キンポ「ちぐはぐラバーソール」(11巻収録)

わけあってのり子が靴を脱いで裸足で通学路を歩く中、そばの壁に向かって立ちションをしている人物が1コマだけ描かれている。
顔はわからず頭にも帽子を被っているので笛泥棒かどうかは不明だが、後髪の描かれ方や服装、体型が一致するため大方の読者からは笛泥棒であると認識されている。

◆184キンポ「ナツ・ヤス&ミー」(13巻収録)

遭遇したのは勇子、のり子、中田(田中)。(明確に対面したのは勇子のみ)
76キンポ同様、メインでの扱いではなく、様々な人物のパートが描かれるうちの勇子の視点のパートで登場する。

終業日の日に音楽室に潜んでいた。のり子が自身のリコーダーが見つからないと言い出し、頼まれたのか音楽室に探しに来た勇子の前に姿を現す。
置いたままにしていたのを見つけたのか教室から盗んだのかはわからないがのり子のリコーダーを手にしており、教師が見つけてくれたと思ったのか勇子から礼を言われて受け取ろうとするが直後に口にし、さらに勇子のリコーダーも要求する。
あっさりと承諾され不気味に笑みを浮かべた直後、勇子にリコーダーによる制裁を受け血反吐を吐いて気絶。
そこへのり子と中田が登場、のり子がさらなる追い打ちを食らわせる横で中田が警察に通報する場面でオチ。そのまま2度目のお縄となったと思われる。
その後190キンポでNYAの和江が聞いた話によると、床についた笛泥棒の吐いた血のシミが消えないという……。

◆233キンポ「ナツ・ヤス&ミー2」(16巻収録)

こちらもオチ要員としての登場。遭遇したのはのり子と順子

終業日の放課後にリコーダーを求めて教室を漁っていたところ、絵の具セットを取りに引き返してきたのり子と3度目の遭遇をする。
またも二人だけの状況に涙目になり震えるのり子に「笛がない」と言って迫る中、小鉄が紙飛行機にして飛ばした通知表を追ってきた順子と遭遇。
即座に「担任です」と苦し紛れの嘘を言うが、のり子の反応から状況を把握した順子によってほうきで頭を叩き割られ頭部から血を飛ばしながらノックアウトされた。

◆343キンポ「1973年8月18日」(23巻収録)

現時点で最後の登場。遭遇したのはのり子。
ハロウィンの日にのり子の家の前に風船を持ったピエロの恰好*1で現れ、ドアを開けようと中にいたのり子と格闘する。

諦めたのか玄関から姿を消すも、今度は意図して姿を見せるようなことはせずのり子が大沢木家に行ったところで無人になった西川家の中に侵入した。
その後、二階の窓から大沢木家玄関前にいたのり子、順子、晴郎を見ていることにのり子が気付き、順子と晴郎が屋内を捜索するが見つかることはなかった。
荒らされた形跡もなかったため、のり子は何かの見間違いだろうと思いつつあったのだが……

ある夜、浦安フジの休憩所の上で狂ったようにのり子のリコーダーと思わしき笛を吹いているピエロ姿の笛泥棒がいたのだった。

なお、のり子は最後までピエロの男が笛泥棒であることに気づかなかった。

◆67ミャオ「弁天岩」(「あっぱれ!」5巻収録)

明確な登場はしていないが、稲川ジューンが撮ったインチキ心霊写真の中にマンションのベランダにつかまっている笛泥棒らしき人物が写っていた。
写真を見せられた小鉄たちからも「墓地に映っている幽霊(本当はマネキンの頭)」そっちのけで注目された。
「あっぱれ!」になって以降、明確な登場こそ無くなったものの、相変わらず浦安のあちこちで奇行を続けているようである。

【遭遇した人物ちょーだい】

◆西川のり子

作中で最初に笛泥棒に遭遇した主要キャラにして最大の被害者。遭遇したのは(笛泥棒の気絶中も含めれば)全5回中全て。
笛泥棒には「それほど可愛くない」と気に入られてなさそうな感じであったが、むしろそれが本人には「よかった」のか184キンポからは完全にターゲットとされてしまい、何かとのり子の笛を持ち歩き、挙句の果てには彼女の家を特定・侵入してきた。
のり子はあかねや勇子など友人が近くにいる時はいつものノリで対抗できるが一人だけの状態の際は涙目になって震えて怖気づいてしまっている。
もしかするとこうした(作中の)浦安女子の中では珍しい普通の少女らしい反応が笛泥棒にターゲットにされた要因だったりするのかもしれない。

◆菊池あかね

同じく最初に笛泥棒と遭遇した人物。
遭遇したのは76キンポのみ。のり子と一緒にブリッ子アピールを行い笛泥棒のスキをこじ開けた。
作中でも「美少女」扱いされているだけあって笛泥棒ものり子と比較する形で「全然可愛い」と評しており、涙から小鉄のリコーダーを彼女のものと偽られて渡された際にもテンションを上げて喜ぶようなリアクションをしている。
のり子がターゲットとして定着したためか否か、76キンポ以降は笛泥棒の被害にあったりする描写は無い。

◆梅星涙

遭遇したのは96キンポ。
千葉ロッテマリーンズの不調にいじけて教室後ろの棚に放課後まで引きこもっていたことでのり子の危機に遭遇、事前に用具入れ裏の謎の人物の話を聞いていたこともあってかすぐに状況を理解し機転を利かした行動で笛泥棒を騙し、のり子に逃がすチャンスを与えた同エピソードの功労者である。
もしいじけることなく教室を後にしていたら……と思うとゾッするばかりである。

◆佐渡勇子

遭遇したのは184キンポ。
無くなったのり子の笛を探しに音楽室に来たところ侵入していた笛泥棒と遭遇。
怖気づくのり子と異なり単身笛泥棒をリコーダーでぶん殴る肝の座りっぷりを見せた。
「吹かすか変態ロリ糞野郎オオオ!!!!」ロリドーン

◆中田(田中)

遭遇したのは184キンポ。
勇子に殴られて失神している笛泥棒を目撃。警察に通報した。

◆大沢木順子

遭遇したのは233キンポ。
小鉄が紙飛行機にして遠くへと投げた通知表が3年2組の教室に入り、その流れで教室内にいる笛泥棒とのり子と遭遇、ほうきを使ってほうきが真っ二つになるぐらいの力で笛泥棒の頭をカチ割りのり子の窮地を救った。
343キンポではのり子から怪しいピエロ男の存在を聞いてレザーフェイスのコスプレをした晴郎を引き連れ西川家を捜索するが結局対面することは無かった。

【余談ちょーだい】

315キンポ「浦安サランドラ」(21巻収録)は「小鉄が跳び箱の中に謎の人物が入っていたと証言する話から始まり、その後放課後の体育館でのり子が跳び箱の中に入った不審者に追い掛け回される」という96キンポとよく似たパターンのエピソードだが、笛泥棒とは無関係である。
作者は当初笛泥棒ということにするつもりではあったらしく、気持ち悪すぎるということで別人にしたそうである。

ちなみに笛ネタは無印の頃から存在しており、183発目「新へっぴり」(「無印」13巻・「アニメ第1期」DVD下巻収録)では小鉄が放課後の教室に侵入してこっそりあかねの笛を吹いていたという事実が地獄新聞に暴露されたほか、251発目「細長いカレー」(「無印」17巻収録)でも大巨人を目覚めさせる笛をめぐる小鉄とタイガー軍団の争奪戦の中であかね(とのり子)の笛がタケシの犠牲になった。










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最終更新:2025年01月09日 10:22

*1 恐らく当時公開された映画「IT」のペニーワイズのパロディと思われる