『3』のヒーローモード中盤。バンカラ街にほど近いクレーターの下にあった謎の施設「オルタナ」においてボス2名を倒し、行方不明になったアタリメ司令と繋がった通信に、謎の人物が割り込んでくる。
クマサン
何かしらの黒幕なのではないか、という予想が薄々あった『2』において、ついにその正体が語られることはなかったクマサン。
しかし、ここで明かされたのは衝撃の真実であった。
囚われたアタリメ司令を救出するべく、オルタナ中央にある「オルタナ宇宙センター」にカチコミをかけるNew!カラストンビ部隊とすりみ連合。
その道中において、クマサンの真の目的が語られることになる。
今は世界がバランスを失っているんだ
哺乳類と魚介類…入れ替わってしまった者たちを あるべきカタチに してあげなくてはね
「エネルギー資源になる金イクラを集める」というクマサン商会の目的に噓偽りは無かった。
しかし、これが全てではなかった。
その真の目的とは、「金イクラのエネルギーからケバインクを作り出し、それを宇宙から地上に向けて散布するロケット「あんぜんフロンティア号」を打ち上げ、地上の支配種となった魚介類をケバインクで哺乳類に変えること」であった。
ケバインクとはヒーローモードを実際にプレイしてもらえば分かるが、要は「イカやタコが触れると全身毛むくじゃらの謎の生物に変化させる」という物質。
それを精製するための金イクラを、メインターゲットたるイカタコに集めさせていたのである。
つまりクマサンにとってはバイトの成功・失敗は関係なく、金イクラさえ集まればよかったのだ。
またロケットの発射動力にはバンカラ街から盗み出されたオオデンチナマズが使われていた。
ヒーローモード最序盤のDJタコワサ将軍との戦闘において、オオデンチナマズの行方を問い詰めた際に「オオデンチナマズ ナンテ シラナイゾ!」と言っており、行方を知らなかったのは本当であったことがここで発覚する。
ロケット発射台の最上段に辿り着いた時、そこにアタリメ司令の姿はなく……否、アタリメ司令「だった」スルメが落ちていた。
この直前、クマサンによってケバインクを完全なものとするべく、長く生き知識を蓄えていたアタリメ司令のエキスが吸い取られてしまっていたのだ。
上官が原型を留めない姿になってしまったことに呆然とするNew!カラストンビ部隊の目前に、巨大な影が迫る……。
そこにいたのは巨大な熊。しかし身体の一部がケバインクに置き換わっていた。
気にすることはない… これからすべて元通りになるんだ
クマサンのところまで辿り着いたものの、時すでに遅し。ロケットは発射フェーズに入っていた。
打ち上がるロケット…機体に掴まったクマサンは発射台を見下ろしながら、こう告げる。
なに、天からケバインクを降らせて 世界のバランスを正すだけさ
万事休すかと思われたがすりみ連合のアシストもあり、なんとかロケットに追いついた新3号とコジャケ。
背後には青い惑星、地球。舞台は宇宙空間へと移った。
しかしロケットには誰もいない……と思いきや、ケバインクの塊からクマサンが姿を現す。
ヒーローモードのラスボス「クマサン」との戦闘になる。
ロケットの至る所に落ちている金イクラを集め、フィールド上に広がるケバインクをコジャケに食べてもらいながらクマサンの撃破を目指すことになる。
道中ではケバオクタリアンの妨害に加え、クマサンからの爪を模した斬撃にトリプルトルネードが飛んでくる。特にクマサンからの攻撃はいずれもアーマーを一撃で割るレベルの攻撃なため注意。
戦闘BGMのタイトルは「クマサンからのおねがい」。
一聴すると、クマサン商会のロビーで流れる「カガヤクンデス・マーチ」をマーチングバンド風にアレンジした楽曲だが、音同士がズレたメチャクチャなリズムのまま曲が進行する奇怪な構成であり、Splatoonの楽曲の中で唯一「ノれない」曲となっている。
弱点はクマサンの体にある色の変わった部分。そこにメインを当て続け、ケバインクのコアをコジャケに食べてもらわなければならない。
なお近づいてしばらく経つと、覆い被さるように両腕を叩きつけてくる。被弾してしまうとアーマーを一撃で割られる上に後ろに向かって大きく吹き飛ばされてしまう。
第2段階からはクマサンが丸まり、転がってロケットそのものを回転させて新3号とコジャケを振り落とそうとしてくる。
回転に追い付けなかったり、逆に追い越してしまうと場外に落ちゲームオーバーとなるため、程よいスピードで回ってこらえなければならない。
第3段階からはこれまでの攻撃に加え、チャージしてから初代メガホンレーザーに似た極太衝撃波を放ってくるようになる。
その範囲もかなり広めだが、大きく避けようとしても場外に落ちたりケバインクに捕まってしまうため程よく回避すべし。
クマサンをロケット先端まで追い詰め、3つ全ての弱点を破壊しクマサンを撃退。のように思われたが……
クマサンの咆哮とともにロケットが大爆発。それに巻き込まれ、新3号とコジャケは宇宙空間に放り出される……
駆け付けたのはタコツボキングに乗り込んだDJタコワサ将軍。新3号とコジャケは甲板にしがみついて事なきを得、再びクマサンと対峙する。
さあさあ お立ち合い! 立ち上がりしは イカしたツワモノ!
われらが 3号さんによる…オオグマ退治の時間じゃ!
今日も スミからスミまで ずずずい~っと 塗ってみせやしょう!
地上からは新3号を応援する歌が、タコツボキングからはリズムを刻むワサビが擦られ……
ヒーローモード恒例のシオカラ節が流れると同時に、コジャケの体が魚介類の力を集めて青く輝き始め、巨大化する。
天より降りし三つの光、渦を作りて 災ひ ぬぐひ去れり…
ケバインクを取り込み巨大化したクマサンと、それと並ぶサイズにまで巨大化したコジャケ。
しかしロケットは地球に向かって落ち始める。
軟体世紀の終焉……そして哺乳類復権までのカウントダウンがついに始まってしまったのだ。
なんでプレイヤーは自分属する種族復活するのにこんな焦らないといけないんだろう
地球に着くまで あと3分33秒しかないよ! 3号… お願いッ!!
ファイナルバトルは制限時間3分33秒以内に、タコツボキングを操縦しクマサンの体表にある4つのケバインクのコアを備え付けのキューインキで吸い込んで破壊すること。
ただし途中からケバオクタリアンがタコツボキングに乗り込んできたり、当たったり吸い込んでしまうとダメージを受け大きく吹っ飛ばされる偽物のコアで妨害してくるため、都度甲板に出て排除したり回避しなければならない。
コア全部キューインしても 止まらないよ! どーしよー!!
トドメにキューインしたケバインクのエネルギーをクマサンに一定時間照射し続けなければならないが、操作不能になるまでを3分33秒以内にこなさなければならない。時間に余裕を持たせるならばここまでの過程を迅速かつ効率的にしなければならず、まさにヒーローモードの集大成となる腕の見せ所。
渾身のビームをクマサンにお見舞いしてやろう。
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エンディング1:213秒の果て |
時間以内に撃破に失敗、あるいは最終決戦でやられてしまった場合のエンディング。
天からはケバインクが雨のように降り注ぎ、地上にいたイカタコは毛むくじゃらの謎の生物へと変化し、地球は徐々にケバインクに浸食され……
オルタナのコンピューター「イルカ」の無機質なアナウンスとともに、地上の生物は全滅。
オクト・エキスパンションを除いて初となるバッドエンドである。
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エンディング2:213秒の死闘 |
過去を想うように強く 今と未来を見つめるのは 実に…実に難しいものだ
ロケットは地球到達前に爆発。クマサンもまた爆炎の中に消え、ここに地球の平和は守られたのであった。
この後はエンディングになるのだが、ムービーをよく見るとクマサンが丸まりながら地球の周りの宇宙空間を漂っているのがわかる。
さらにクリア後にクマサン商会に行くと、スピーカーの形が「鮭を咥えた木彫りの熊」から「熊を咥えた木彫りの鮭」に変わっている。しかしクリア前と変わらない声や口調でバイトは続いているが、スピーカーの向こう側にいるのは一体誰なのだろうか……?
なお元の置物はオルタナのシオカラキャンプに置かれており、話しかけることで過去を思い出す形で宇宙センターからクマサン戦までを再プレイできるようになっている。
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隠しステージのネタバレにつきさらに折り畳み |
ヒーローモード最難関を誇る最凶ステージ「 オルタナの、その先へ。」をクリアすることで閲覧可能になるオルタナログには、クマサンの経歴について書かれていた。
クマサンの真の名前はメインストーリー中でも記載されていた通り「実験体 熊三号」。
種族は正真正銘の哺乳類、本物の熊であった。
旧時代の地球の人類が滅亡寸前に宇宙への避難のために飛ばした宇宙船「ポラリス」でコールドスリープされていたが、ポラリスの宇宙飛行はデブリとの衝突で頓挫、立て直しのための地球への帰還もあと一歩のところで燃料切れとなり立ち往生、そのまま1万年あまり地球の周回軌道上を漂流した後地球へ墜落。
その過程で人間を始めとする乗っていた生物は死に絶えてしまったが、奇跡的に唯一生き残った熊三号は、コールドスリープ中も思考を重ねていたことでヒトに並ぶ非常に高い知能を手に入れていた。
自身の降り立った星が新天地ではなく地球のなれの果てであることに気づいた熊三号は、哺乳類……「ニンゲン」の遺産であるオルタナを発見し、そこを拠点に研究を重ね、遺された技術と自らの体毛からあらゆる生物を哺乳類に変える「ケバインク」を発明。ロケットを使って宇宙から地球に散布して哺乳類を再び地上の支配者にする計画を立てる。
そのエネルギー源となるのが「金イクラ」であった。
熊三号は一計を案じて「クマサン」を名乗り、金イクラ集めを目的とする「クマサン商会」を設立。恐るべき計画など知る由もないイカタコに金イクラを集めさせていた、というのがクマサン及びクマサン商会の顛末である。
とはいえ最後にはケバインクと同化したり、宇宙空間でも生存できていたため、クマサンはもはや「純粋な哺乳類」では無くなっていたのかもしれない。
さらにクリア報酬としてもらえるアタマのギア「クマノミミ」のメインギアパワーは「カムバック」。
ブランドはアタリメイドだが、これにはどんな意味が込められているのだろうか……?
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