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更新日:2025/05/03 Sat 00:05:20
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これが本当の“オンナの武器”
ドレスコードは、スリルとスピード
概要
『グラインドハウス』(原題:Grindhouse)は、2007年4月6日にアメリカで公開されたオムニバス映画。
日本では、同年8月24日から31日までの8日間限定でTOHOシネマズ 六本木ヒルズとTOHOシネマズ なんばの2館で公開。
その後、分割版の
『デス・プルーフ in グラインドハウス』(原題:Death Proof)が9月1日に、
『プラネット・テラー in グラインドハウス』(原題:Planet Terror)が9月22日に公開された。
ちなみに北米以外で公開された分割版には本家でカットされていたシーンが加えられている。
カーアクション映画『デス・プルーフ』の監督は
クエンティン・タランティーノ。
ゾンビ映画『プラネット・テラー』の監督は、
ロバート・ロドリゲス。
『デス・プルーフ』は作中の大部分が女の子たちの無駄話で構成されている。
タランティーノ映画に慣れてない方には難易度が高めかもしれないが、それだけにラスト20分の壮絶カーチェイスのカタルシスは爽快そのもの。
また、足フェチで有名なタランティーノ自身が撮影も担当しているだけあって、やたら足やお尻を強調したショットが出てくる。
『プラネット・テラー』はグチャドロのゾンビに加え、登場人物変人ぞろいの痛快ホラーコメディとなっている。
二人がこの企画を思いついたのは、2003年にタランティーノの自宅で予告編を挟んだ2本立て上映会を開いた時のこと。
両者が持っていた『Dragstrip Girl』と『Rock All Night』という映画の2本立て興業のポスターの話題で盛り上がっていると、ロドリゲスがゾンビ映画を撮りたい旨を話した。
曰く、『
パラサイト』の製作中にそのアイデアが浮かんだが、当時ゾンビ映画が下火となっており、どこにその企画を持って行けばわからないまま宙ぶらりんになっていた。
その後ゾンビ映画ブームが起こったことから、この企画を掘り起こすことを決めたのだという。
「せっかくだから2人で2本立てやろうぜェ……」
「いいぜェ……名前は『グラインドハウス』だ!」
グラインドハウスとは、お色気やバイオレンスなどを売りにしたB級映画の2・3本立てを流す場末の映画館のこと。
第二次世界大戦後のベビーブームで、中流階級が広い土地や一戸建ての家を求めて郊外の住宅地に移動したことにより、都市中心部は貧困層が取り残された。
そこにあった映画館はグラインドハウス化し、流す映画は評論家に相手にされないレベル。フィルムは20本程度しかプリントされず、各地で使いまわされるためにボロボロ。
客層もお察しで、中にはハッテン場になっているような映画館も……
そういう所に、若い頃のタランティーノは通い詰めていたのである。
しかし上映されるのは独立系の小規模プロダクションの映画だったために「ヘイズ・コード」と呼ばれる表現規制に縛られず、そこから多くの名優や映画監督が育っていった。
グラインドハウスは60年代後半~70年代に隆盛を極め、レンタルビデオの普及や街の再開発で姿を消していった存在だが、本作は当時の熱気と興奮を現代に蘇らせるべく作られた。
そのため、映像が傷だらけになったり、赤っぽく褪色したり、場面が飛んだりなどもわざわざデジタル技術を使って忠実に再現している。
さらにイーライ・ロス、ロブ・ゾンビ、エドガー・ライトといった有名監督を起用したフェイク予告に、架空のレストランのCMまで混ぜるという凝りようである。
……ちなみにロドリゲスは、B級テイストな作風と裏腹に育ちがいいためにその手の映画を観てこなかったので、タランティーノに教えてもらったらしい。
撮影開始から1年。「各々60分ほどの作品を併せて公開」だったはずが結局90分以上にオーバー。
フェイク予告も入れると上映時間は
3時間以上……
加えて、コンセプトが
あまりにもニッチすぎたせいか、初登場4位というまさかの結果に。
3週目には早々にトップ10から姿を消し、各地の劇場で次々と打ち切られていった。
そのため、カンヌ国際映画祭では『デス・プルーフ』のみ出品、以降海外はもとより全米での2次興行もバラ売りに。
つまり、日本で本来の『グラインドハウス』を劇場で観れた方は、非常に幸運と言える。
何たって、
当時の映画館の文化や経験をそのまま伝えるというコンセプト上、劇場で観た方がいい作品なのだから。
あらすじ
※『ホーボー・ウィズ・ショットガン』以外、実際に上映された順に並べています
「神は慈悲深い。俺は違う」
「悪党を殺すためマチェーテを雇うなら、注意するがいい。自分が悪党にならないように……」
ロドリゲス作品でおなじみの悪役俳優ダニー・トレホ主演で贈る、バイオレンスアクション映画。
主人公の名前は『
スパイキッズ』のマチェッティおじさんと同じである。
脚本そのものは1993年に書かれており、本作公開から3年後の2010年に映画化。
続編として『マチェーテ・キルズ』も制作されている。
プラネット・テラー 監督:ロバート・ロドリゲス
テキサス州の軍事基地。
そこでは、マルドゥーン中尉と、科学者のアビーとの間で取引が行われようとしていた。
だが交渉は決裂。銃撃戦の果てに、細菌兵器DC2(コードネーム「プロジェクト・テラー」)のガスが噴き出した。
おかげで街の病院は原因不明の体調悪化に見舞われた患者で溢れかえり、次々とゾンビに変異していく。
一方、ナイトクラブを退職したダンサーのチェリーは、元カレのエル・レイと再会するも、ドライブの最中にゾンビに襲われ右脚を食いちぎられてしまう。
絶望に打ちひしがれる彼女だったが、レイから椅子の足を装着され、病院を脱出。
かくして、ゾンビ軍団との生き残りをかけた壮絶な戦いが始まった……!
予告 ナチ親衛隊の狼女 監督:ロブ・ゾンビ
グラインドハウス全盛期のみに存在したジャンル、ナチ拷問映画を蘇らせたホラー映画。
出演者がやたら豪華で、将校役はドイツの怪優ウド・キアー、女拷問人は女囚映画『チェーンヒート』のシビル・ダニング、そしてフー・マンチュー役は何とニコラス・ケイジ……
ちなみにロブ・ゾンビは実際にナチ拷問映画に出演していた女優、ダイアン・ソーンにもお伺いを立てていたが、都合がつかなかったという。
予告 Don't/ドント 監督:エドガー・ライト
ホラー映画の老舗ハマー・フィルムや幽霊屋敷を舞台にしたオカルト映画『ヘルハウス』のパロディ。
その内容はタイトル通り「Don't!」を連呼するというインパクトあるもの。
また、エドガー・ライト作品の常連サイモン・ペッグとニック・フロストも出演している。
予告 サンクスギビング 監督:イーライ・ロス
アメリカには祝日をテーマにしたホラー映画のジャンルがあるが、これは感謝祭(サンクスギビング)を舞台にしたスプラッター映画。
「
クリスマスや
ハロウィン、
バレンタインはもちろん、エイプリルフールや独立記念日にさえあるのに、何で感謝祭だけスラッシャー映画がないんだろ?」
と疑問に思ったイーライがタランティーノに聞いたところ、
「じゃあ、お前が作ればいいじゃん」ということで作られたのが本作。
そして本作公開から実に16年後の2023年に監督により映画化され、続編制作も発表されている。
デス・プルーフ 監督:クエンティン・タランティーノ
テキサス州オースティン。
ラジオDJジャングル・ジュリアの誕生日を祝うため、友人たちはレストランや酒場でおしゃべりし続けていた。
しかし彼女たちは不幸にも、黒塗りの改造車に後をつけられていた。
車の主はスタントマン・マイク。その正体は、車が凶器の殺人鬼だった……!
予告 ホーボー・ウィズ・ショットガン 監督:ジェイソン・アイズナー
カナダなど一部の劇場でのみ流されていたレア予告。
それもそのはず、これはフェイク予告の中で唯一、本作のプロモ用コンテストで優勝した作品なのである。
2011年に、ルトガー・ハウアー主演で映画化された。
プラネット・テラーの登場人物
演:ローズ・マッゴーワン
吹替:岡本麻弥
ナイトクラブに勤めていた元ゴーゴー・ダンサー。
レイからはかつて「パロミータ」と呼ばれていた。
かつては医者になることに憧れており、退職後は周りから面白いと言われているのでスタンダップ・コメディアンになろうとしていたが、ゾンビに襲われ右脚を失ってしまう。
絶望に打ちひしがれるも、義足としてエル・レイに着けてもらった椅子の脚で再起。
軍に捕まった後はレイプ魔を撃退、さらにその後義足をマシンガンに代えてもらい無双タイムを披露。
どうやって引き金を引いているのかツッコんではいけない
しかもラストではガトリングガンにまで進化している。
チェリーの元カレの自称解体屋。
前科があるらしく、ヘイグ保安官に目の敵にされている。
作中屈指の強キャラで、中盤は病院やレストランのゾンビ軍団相手に無双し、右脚を失ったチェリーに椅子の脚を装着。
「これで両足揃ったぜ!」
さらに「ボーン・シャック」から脱出するときは、トニーの子供用ミニバイクでウィリーしながら逃げていた。
異常な強さばかりかなぜか細菌兵器について知っていたり、ヘイグから「お前があのエル・レイだったとはな……」と驚かれているが、その理由はフィルムが紛失したため一切不明。
演:ジョシュ・ブローリン
吹替:手塚秀彰
病院でゾンビ化した患者を診た医師。
しかし患者にできた潰瘍を押しつぶして顔面に膿を食らったり、ゾンビ化した患者に膿を塗りつけられたりと、医師と思えないほど詰めが甘い。
妻の浮気を疑っており、脳を食われた犠牲者の姿を見た彼女がショックを受けるのを見て、それを確信。
彼女の注射器で麻酔をかけた後殺害しようとするが、部下に呼ばれたことで未遂に終わる。
ゾンビ化した後も、しつこくダコタをつけ狙う。
演:マーリー・シェルトン
吹替:玉川砂記子
ブロック医師の妻の女医。
注射器を「私のお友達」と呼んでおり、黄色いお友達は痛みを取り、青いお友達は感覚を取り、そして赤いお友達は「もう二度と会わなくなる」。
実は元カノと不倫しているバイセクシャルで、夫との仲は冷え切っている。しかも病院のメモをよく見ると「Kill BiLL」の文字が……
浮気を知った夫に殺されかけるも脱出したが、麻酔で手を動かせず、車のドアを開けようとした時に足を滑らせ手首を骨折してしまう。
その後生き残った町民共々軍に捕らえられるが、チェリーといい感じの仲になり、注射器でゾンビ化した兵士に反撃する活躍を見せる。
「女友達が言ってたわ……誰しも人生のある時点で、無駄な才能が全部役立つ時が来るって。点が結ばれて線になるように」
演:レベル・ロドリゲス
ダコタの一人息子。
ペットに
亀はともかく
タランチュラにサソリと、かなり尖った感性をお持ちのようである。
ゾンビや頭のイカれた双子のシッターから彼を守ろうとする母から護身用の銃を渡され、「自分を撃っちゃダメよ」と言われたのだが……
演じているのはロドリゲスの息子。
愛息子にこんな役をやらせるとか鬼すぎる。
タランティーノやロドリゲス作品によく登場する保安官。娘のダコタとは確執があるらしい。
妻は長年の喫煙により肺癌で死の淵にいたが、彼女もまたゾンビ化していた……
その後自宅から娘共々脱出し、生き残った住民たちを「ボーン・シャック」へ避難させた。
『デス・プルーフ』では、娘のダコタと息子のエドガーと共に再登場する。
演:ジェフ・フェイヒー
吹替:小川真司
開店25周年のバーベキューレストラン「ボーン・シャック」の店長。
テキサスで一番うまい店を自称しており、完璧なソースの研究中だが、弟からの家賃値上げに悩まされている。
店の周りをゾンビにうろつかれても正体に気づかず、街中ゾンビパニックを起こしてもソースの味にこだわるという、胆力があるのか鈍いのかよく分からない人。
「俺のソースに必要なのは塩だったんだ!」
演:マイケル・ビーン
吹替:佐々木勝彦
エル・レイを目の敵にする保安官。J.T.の弟。
チェリーの脚がゾンビに奪われた件を信じずに彼を逮捕するが、次々に巻き起こるゾンビパニックを目の当たりにして対応に当たる。
「自分を撃つなよ!互いに撃ち合うな。何よりも……俺を撃つな」
なお、フィルムが焼けた後のシーンでトロに誤射された模様
また、兄のレシピにご執心な様子。
演:トム・サヴィーニ
ヘイグの部下の副保安官。既婚者。
ゾンビに襲われ指を食いちぎられる。
その後も患者やヘイグを誤射するというトロさを見せつけている。
演:ナヴィーン・アンドリュース
吹替:江川央生
限定地域の人間抹殺用の細菌兵器DC2をマルドゥーンに売った科学者にして実業家。
金玉コレクターであり、DC2の交渉の際、被験者3名を逃がしたロミーの金玉を切り取って殺害。
さらにマルドゥーンとの取引の最中、DC2を軍事基地に貯蔵していることがバレて殺されそうになった彼は、それの入ったタンクを撃ちガスを噴き出させた。
こうして見るとすべての元凶なのだが、エル・レイたちに協力する。
演:ブルース・ウィリス
吹替:内田直哉
DC2を求めて取引にやって来た軍人。
かつてアフガニスタンの国境付近でビン・ラディンを殺害するという功績を上げたが認められず、代わりに彼の部隊は口封じのためにDC2を浴びせられてしまった。
アビーの売ったDC2を一定量吸い続けることで進行を抑えているが、感染者を増やせば治療法の研究が進むため、生き残った町民を捕らえる。
演:クエンティン・タランティーノ
吹替:青山穣
身も蓋もない役名の兵士。
チェリーとダコタを連れ去りオタ知識を披露しつつ脅迫、チェリーをレイプしようとするが……
義足にしていた椅子の脚を目にぶっ刺されるわ、金玉が腐って溶け落ちるわの散々すぎる末路を辿った。
こんな役を嬉々として演じたタランティーノは、自作『デス・プルーフ』ではバーの店主役を演じている。
デス・プルーフの登場人物
演:カート・ラッセル
吹替:菅生隆之
黒塗りにドクロマークで、スタント用に耐死仕様(デス・プルーフ)に改造されたシボレー・ノヴァ(1970年型)を駆り、女たちをつけ狙う中年男。
名前の通り元スタントマンで、顔に傷を負うまではゲイリー・クラークにそっくりだったらしい。
仕事には深い誇りを持っているが、彼の出ていた映画やドラマはどれも大昔のものばかりで女の子たちは誰も知らなかった。
しかしその中身は女性の乗った車に激突することがセックスの代替行為となっている異常者で、パム、ジュリア、アーリーン、シャナ、ラナの5人を死に至らしめた。
自身も大怪我を負ったが罪には問われず、14か月後懲りずにテネシー州レバノンで映画関係者の一行に狙いを定める。
この時車はダッジ・チャージャー(1969年型)に変更され、ドクロマークもなくなっている。
念願のダッジ・チャレンジャーを手に入れ過激なスタントを楽しむ一行に襲いかかるが、「最高によかったぜ!」と煽ったのが運の尽き。
やられるばかりと思っていた彼女たちが一転攻勢に出てきたことにより、情けない声を上げながら逃げ回る羽目になるのだった……
演:シドニー・タミア・ポワチエ
吹替:佐古真弓
街に看板が立つほど有名なラジオDJ。お尻の良さが自慢で、レコード・レーベルを持つのが夢。
幼馴染のパム曰く、子供の時から長身で乱暴な性格だったらしい。
朝のラジオでアーリーンについて紹介しており、ロバート・フロストの詩「雪の降る夕方森に寄って」の一節を諳んじれば、無料でラップダンスをしてもらえるという予告を出していた。
なお、『プラネット・テラー』ではカーラジオから「今は亡きジャングル・ジュリアの思い出に捧げるナンバー」と流れている場面がある。
よって、『プラネット・テラー』の時系列は『デス・プルーフ』の最初の事件後ということになる。
演者は父に黒人俳優の先駆けの一人にしてオスカー俳優のシドニー・ポワチエ、母に『冒険者たち』のジョアンナ・シムカスを持っている。
ジュリアの友人の一人。
メキシカンレストラン「グエロ」で黒塗りの車に後をつけられていることに気づき、「テキサス・チリ・パーラー」のポーチにタバコを吸いに出た時にもその車がいるのを見つけて戦慄する。
なおその後、彼氏のネイトとカーセックスに行っている
その後、スタントマン・マイクが「雪の降る夕方森に寄って」の一節を諳んじたのを見て言い逃れしようとするが、見破られたり丸め込まれたりで、ラップダンスを披露した。
演:ジョーダン・ラッド
吹替:斉藤梨絵
ジュリアの友人の一人。
「ショーナ」とよく名前を呼び間違えられているらしい。
彼女の父親は湖に別荘を所有しており、一行はそこでバカンスを取るつもりだった。
演:マーシー・ハリエル
「グエロ」にいたジュリアの友人で俳優。
ジュリアのラジオでバタフライを知ったイケメンを演じた。
演:ローズ・マッゴーワン
吹替:岡本麻弥
ジュリアの幼なじみ。
彼氏にデートをすっぽかされた挙句、土砂降りで「テキサス・チリ・パーラー」で立ち往生していた所、スタントマン・マイクに助け舟を出される。
しかし彼の車に乗った後、本性をあらわにした彼によって哀れ犠牲者第一号となった。
耐死仕様なのは、運転席だけだったのだ。
演:モニカ・スタッグス
「テキサス・チリ・パーラー」で待ち合わせていたジュリアの友人。
遅れて到着した後はマリファナパーティをやっていた。
演:本人
吹替:唐沢潤
『
キル・ビル』のユマ・サーマンの吹き替えスタントを務めたことで知られる、ニュージーランド出身のスタントウーマン。
好きな映画は『バニシング・ポイント』。
フィリピンで撮影をしていた時、ふざけて深さ2mの溝に落ちたことがあるが無傷だったらしい。
休暇の目的は、1970年型・440エンジンのダッジ・チャレンジャーをカッ飛ばすこと。そしてシップ・マスト(ベルトを使ったカースタント)をやること。
念願かなってダッジ・チャレンジャーを手に入れた時には、走る車の窓から屋根に上り、そのまま
ボンネットに滑り下りてカーサーフィンを披露した。
こうしてカースタントを楽しむ一行だったが、その様子をスタントマン・マイクが見ていた……
が、彼に何度も追突され吹っ飛ばされるも無傷という強運っぷりを見せつけ、反撃に出ることを決意する。
演:トレイシー・トムズ
吹替:高乃麗
こちらもスタントウーマン。
自分の身は自分で守る派で、銃を携帯している。
ゾーイが他人の車でシップ・マストをやりたいと言い出した時は反対したが、結局丸め込まれた。とはいえ満更でもない様子。
スタントマン・マイクに煽られた時銃撃したことが一転攻勢の呼び水となり、逃げ惑うスタントマン・マイクを煽り散らかしながら壮絶なカーチェイスを繰り広げる。
演:ロザリオ・ドーソン
吹替:高山佳音里
メイクアップアーティスト。
元夫は現在担当中の映画の監督で、彼女の誕生日にダリル・ハンナの代役と寝ていたらしい。
コンビニの駐車場でキムを待っている間、スタントマン・マイクから足を触られるというセクハラを受けていた。
その後ゾーイとキムにダッジ・チャレンジャーに乗るための担保にされそうになっていたが、交渉を買って出る。
演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド
吹替:加藤優子
女優で、現在チアリーダー映画の撮影のためチアリーダーの格好をしている。
元カレは装置係だったが、彼女が小便する所を見るのが大好きな変態で、現在の彼氏は
ロック様似の電気技師らしい。
ダッジ・チャレンジャーに試乗するための担保として、ジャスパーの元に置いて行かれる。
演:ジョナサン・ローラン
ゾーイの憧れ1970年型・440エンジンのダッジ・チャレンジャーの売主。
交渉の後、担保として置いてかれたリーに対し気持ち悪い笑い声を上げていた。
……その後のリーの運命はお察しだろう。
余談
〇OP、チェリーのポールダンスを舐めるように映し出すカメラだが、よく見るとカメラや撮影クルーの姿がそのまま背後の鏡に写りこんでしまっている。
もちろんこの詰めの甘さも演出の一つである。
ちなみにチェリーは初期案では、開始早々に脚を失う設定だったらしい。
〇IMDbのトリビアによると、本作のプレミア上映に『
ブルース・ブラザース』や『
大逆転』の監督ジョン・ランディスが出席していた。
ランディスは『トワイライトゾーン/超次元の体験』にて
ヘリコプター事故を起こし、俳優ヴィック・モローと子役二人を死亡させるという悲惨な経験をしていた。
が、『プラネット・テラー』では
よりによってヘリのメインローターでゾンビの群れを斬首しまくるシーンがあったため場の空気が凍りつき、観客は一斉にランディスの方を見ていたという……
〇ローズ・マッゴーワンは、本作、そしてハリウッドを代表する映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ被害者の一人だった。
彼女は『
シン・シティ』が上映された映画祭の打ち上げの時、ロドリゲスからどうしてオーディションを受けなかったのかと聞かれ、
ワインスタインのブラックリストに入っているため出られなかったと告白。
さらにその7年前にセクハラ被害を受けていたことを打ち明けた。
「誰にも言ってないの?多くの人が味方するよ。俺だったら少なくともハーヴェイをぶっ飛ばしに行くよ!」
「君は俺の映画のブラックリストには入っていないし、キャスティングで彼に口出しさせない」
こうしてロドリゲスはワインスタインへの“復讐”として『プラネット・テラー』の主演に彼女を起用、男を上げたのだった。
……ここで話が終わっていたら美談だったのだが、その後がマズかった。
ロドリゲスはローズとデキてしまい、長年連れ添ったプロデューサーのエリザベス・アヴェランと離婚。
さらに2009年には結局ローズとも破局。彼の家族視点では散々な話である……
〇耐死仕様のアイデアは、交通事故死を恐れたタランティーノが頑丈なボルボの車を買おうとした時、友人のショーン・ペンから、
「2万ドルもあれば車をスタント部に持ち込んで、耐死仕様にしてもらえる」
と教わったことから着想を得ている。
〇冒頭に「ディメンション・ピクチャーズ提供」とロゴが出るが、本作を製作したディメンション・フィルムとは無関係。
ディメンション・ピクチャーズは70年代当時のB級映画配給会社であり、名前が似ていることから拝借された。
また、OPでは『デス・プルーフ』のタイトル前に一瞬『THUNDER BOLT』のタイトルが出ているが、これは昔のB級映画は不入りならタイトルを変え別の館で上映していたことのオマージュ。
しかし編集が粗悪だったため、一瞬旧タイトルが映ってしまうこともままあったという。
〇「テキサス・チリ・パーラー」は実在の店で、そこに貼ってあるポスターやジュークボックスは、全部タランティーノの私物。
特にジュークボックスには、「エイミーちゃん」と名前を付けており、収録曲のリストも彼が手書きした。
また、ジャングル・ジュリアの名前は、彼のガールフレンドの名前が由来。
〇アーリーンがラップダンスを踊る時に流された曲はザ・コースターズの「ダウン・イン・メキシコ」。
実は本作で使用されたレコードは1973年に再録音された激レア版で、タランティーノのコレクションの中でも最もレアな逸品らしい。
追記・修正は、当時のグラインドハウスを知る方にお願いします。
- 世界一爆笑した「THE END」が見れる映画。 -- 名無しさん (2024-01-19 07:17:31)
- デス・プルーフのオチでクソほど笑った -- 名無しさん (2024-01-19 08:05:18)
- 両方とも名作なのが凄い。デスプルーフのサスペンスからアクションに切り替わるあの瞬間は忘れられない。 -- 名無しさん (2025-05-03 00:05:20)
最終更新:2025年05月03日 00:05