四日市あすなろう鉄道内部線/八王子線

登録日:2024/03/18 Mon 22:33:38
更新日:2024/12/26 Thu 23:33:53
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四日市あすなろう鉄道内部(うつべ)線・八王子線とは、四日市あすなろう鉄道の鉄道路線である。
内部線があすなろう四日市~内部間、八王子線が日永~西日野間を結ぶ。

本項では運営会社である四日市あすなろう鉄道についても解説する。

概要

三岐鉄道北勢線・黒部峡谷鉄道本線と並び、現在の日本では数少ない存在762mmの軌間を持つナローゲージ路線である。
どちらも全区間単線で三重県四日市市内に存在する。

八王子線はかつて日永~伊勢八王子間を結んでいたことが路線名の由来。利用客減少と1974年の集中豪雨に伴う天白川の氾濫で全線不通となり廃線の危機を迎えたが、地元住民の反対に遭ったことから日永~西日野間のみ存続することとなった。

元々は北勢線同様近畿日本鉄道(近鉄)の路線だったが、2012年に利用減少から鉄道としては廃止し線路跡地をバス専用道としBRTへ転換することを発表。
しかし、鉄道としての存続を求める市の反発により2013年9月27日に近鉄からは経営分離し、四日市市が設備を保有し民営の鉄道会社が運行を行う公有民営方式で存続させることが発表された。
2014年3月27日より近鉄が75%、四日市市が25%を出資する第三セクター方式で「四日市あすなろう鉄道」が設立。そして2015年4月1日より両線の運営を引き継いだ。
公有民営方式であることから列車の運行や改札業務は四日市あすなろう鉄道が行うが、車両や線路等の設備は四日市市が保有し四日市あすなろう鉄道へ無償で貸与する形となっている。

運行形態

全列車都市型ワンマン運転による普通列車で、あすなろう四日市からは内部行と西日野行が15分おきに交互に発着している。そのため、あすなろう四日市~日永間は15分に1本、日永~内部・西日野間は30分に1本間隔となっている。
日永では八王子線が分岐するため、同駅で内部方面と八王子線の列車が対面接続を図っている。

小古曽を除いた各駅には食券タイプの券売機が設置されており、そこでは乗車券を購入しての精算を行う。
また、2021年8月21日からは全線で全国相互利用可能な交通系ICカードが利用可能になった。

他にも高校受験シーズンには受験票提示者に合格祈願済無料乗車券が配布されたこともある。

車両

  • 260系
近鉄時代の1982年に導入された。ただし中間車の一部には三重交通時代からの車両を改造・編入している。
基本は3両編成だが、265編成のみ2両編成となっていた。

近鉄時代は近鉄マルーンで登場したが、前面窓やドア周りがオレンジ色に塗られていた。2004年からは各車ごとに異なるパステルカラーに変更された。

四日市あすなろう鉄道への移管後は、車両のリニューアルが行われた。
老朽化の激しい部品は新造して交換したほか、前述した三重交通からの編入車両は全て新造車に置き換えられた。
座席は全て交換され車椅子スペースも設置。座席モケットの変更、壁や床板のリニューアルも実施され、そして遂に冷房が搭載。冷房機器の設置に伴い窓のUVカットガラス化とカーテンの撤去が行われた。

塗装もパステルカラーから暫定的に青と白のツートーン(なろうブルー)に変更。2016年には正式なカラーリングが緑と白のツートーン(なろうグリーン)となることが発表された。2019年からは順次なろうグリーン化が進んだが、利用者からの要望で1編成だけブルーのままとなっている。また、車両検査の際にブルーとグリーンの混色編成が見られることも。
行先表示器については側面のみLED式行先表示器が設置され、前面方向幕は撤去され「ワンマン 四日市あすなろう鉄道」の表示で固定し、行先は丸型の板で表示している。

第3編成は一部車両の床が透明板になったシースルー列車で、車内から台車や線路、分岐器が見えるようになっている。
また、公有民営方式のため車内の銘板は四日市市の表記となっている。

2016年鉄道友の会ローレル賞受賞。

駅一覧

内部線

  • あすなろう四日市(よっかいち)
近鉄名古屋線・湯の山線乗り換え(近鉄四日市駅)。
元々近鉄の駅だったが、移管に伴い四日市あすなろう鉄道の駅のみ改称。
県庁所在地を差し置いて三重県最多の人口を誇る四日市市の中心駅。
周辺には商業施設も多くあり栄えている。
近鉄時代にはホームに行灯式の発車標が設置されていたが、経営移管後に撤去された。
関西本線四日市駅とは1km近く離れている。

  • 赤堀(あかほり)
周辺施設では1852年の建物が残る鈴木薬局が見物だった。(現在は取り壊し済み)

  • 日永(ひなが)
「あすなろう中央緑地駅」の副駅名を持つ。
八王子線との分岐駅にして日本唯一のナローゲージの分岐駅。
内部方面と西日野方面のホームは、内部線と八王子線の分岐部分に挟まれる形の島式ホームとなっている。四日市方面は改札口と直結した単式ホーム。
また、八王子線ホームは半径100mの急カーブ上に位置しているため乗降時には足元に注意。
島式ホームにはナローゲージ用台車とナローゲージ・狭軌・標準軌の比較展示が設置されている。
中央緑地公園とは900m程離れている。

  • 南日永(みなみひなが)
イオン系列ではあるが食品は取り扱わない(建物/食品は地元スーパーサンシが運営)珍しいイオンがある、ショッピングセンター日永カヨー最寄り駅。

  • (とまり)
関西本線南四日市駅とは1km程しか離れていないが、イオンタウン四日市泊を中心に商業施設が多くありそちらより栄えている。
東海道日永郷土資料館最寄り駅。

  • 追分(おいわけ)
その名の通り東海道と伊勢街道の追分(分岐点)の近くに位置している。

  • 小古曽(おごそ)
何の変哲もない途中駅だが、あすなろう鉄道の駅では唯一構内に券売機が設置されていない。
そのため当駅で乗車する場合には内部線途中駅及び西日野での降車時には車内で、あすなろう四日市及び内部での降車時には駅窓口で精算を行う。

  • 内部(うつべ)
終点駅。
列車の発着時には地域活性化のため作曲された音楽が流れるようになっている。
構内には車両基地があり、日頃の整備を行っている。尚、重要検査は近鉄塩浜検修車庫へトラックで輸送して行う。

八王子線

  • 西日野(にしひの)
終点駅。
周辺には高校や医療施設、MEGAドン・キ・ホーテ四日市店が立地している。
前述の豪雨からの復帰に際し駅の位置が移設されている。


余談

  • 社名のあすなろう鉄道は、「未来への希望(明日にむかって)」やナローゲージから取られている。
  • 2021年3月18日より鉄道むすめとして追分あすなが登場した。四日市あすなろう鉄道駅係員という設定で、名前は追分駅と社名から取ったもの。ちなみにシリーズでは100人目の記念すべきキャラクターである。


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最終更新:2024年12月26日 23:33