登録日:2024/03/30 Sat 22:34:30
更新日:2024/12/02 Mon 13:06:10
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ガンビット(Gambit)とは、米MARVEL社のヒーローコミックス『
X-MEN』の登場人物の一人。
本名はレミー・ルポー(レミー・エチエンナ・ルポー)。
ニュー・オリンズ出身のケイジャン(フランス系移民の末裔)で、英語と仏語の混ざった(ケイジャン・フレンチ)甘い言葉を得意とする謎めいたプレイボーイ。
コードネームの“Gambit”とは
チェスの奇策的な定石のことで、その“何が飛び出すのかわからない”性格から名付けられた。
初登場は1990年の『UNCANNY
X-MEN ANNUAL』で、そのままレギュラーとして定着して90年代の『X-MEN』に於いては主力メンバーの一人として活躍していた。
【人物】
元々は身寄りのない孤児で、生きるために窃盗やスリをして生活していた。
ある日のこと、ニュー・オリンズの顔役の一人であるジャン=リュック・ルポーの財布をスろうとして失敗。
しかし、捕まえたレミーのことを気に入ったジャンは彼を養子に迎えてルポーの家名に加えた。
ジャンはニュー・オリンズの盗賊ギルドの親分であり、レミーもギルドの一員、後継者として生きることになる。
ガンビットが折々に自らを指して「盗賊」と誇らしげに語るのはこの過去があるからである。
尚、同じニュー・オリンズにて盗賊ギルドと覇権を争う組織として暗殺者ギルドが存在しており長年に渡り対立していたのだが、その暗殺者ギルドの長の娘であるベラドンナ・プードローと恋仲となり、両方の組織の和睦の為にも若くして結婚していた過去がある。
レミーとベラドンナの間には確かな愛があったが、ベラドンナの兄であるユリアンはどうしても認めることが出来ずにレミーに決闘を申し込むことに。
決闘自体はレミーが勝利したものの勢い余ってユリアンは命を落としてしまい、これが身内の血縁者は傷つけないというギルドの掟に反する、としてレミーはせっかくの和睦を結んだ両方のギルドの顔を立てるべく故郷を捨てて放浪の旅へ出たのだった。
そして、その中で子供の姿に退行していたストームと出会い意気投合して保護(助けられることも多かったが)。
そのままストームを追うシャドウキングやジェノーシャでの戦いに身を投じ、ストームが大人に戻りX-MENに帰還したのに伴い、済し崩し的にレミーことガンビットもX-MENの一員となったのだった。
基本的に軽口ばかりだが同じ軽口でも自分を安売りするかのようにして道化を装っていた昔のアイスマン(ボビー・ドレイク)とは違い、多彩な語彙や皮肉を用いたものが多く、当初は得体の知れなさから警戒していた、元諜報員のバンシーあたりからは「相手のことは何でも聞き出そうとするのに一切の本心を明かさない」と分析されていた。
つまりは、この軽口というか話術もガンビットのスキルの一つだったのだろう。
女性陣に対しては自然に口説き文句になるような有り様であるが、軽薄に見えて案外と本命に対しては真面目であり、当初は前述のようにX-MEN加入のきっかけとなったストーム(オロロ・マンロー)に気が合ったようなのだが、奔放だった子供の時とは違い、大人になったストームが真面目系であった為か程なくしてローグに乗り換えると共に惚れ込み相思相愛に。
しかし、ローグの能力の問題もあってか一線を越えられないという事態が続くことに。
また、殆ど同時期に加入したX-MENの全滅した未来世界からやって来たビショップからは“唯一人の生き残りになっていた”という理由だけで、ジーンがメッセージとして残していた“X-MENを全滅に導いた裏切り者”として長々と疑われるなんてこともあった。
そして、そんな中でMARVEL世界が崩壊する(『エイジ・オブ・アポカリプス』の引き金となる)事件が発生。
世界の終わりの前にローグはガンビットにキスをするが、このことでレミーが“新しいファミリー”と思う程に信頼を寄せるまでになっていたX-MENメンバー達にもひた隠しにしていた“後ろ暗い過去”を知られることになり、その後に並行世界での自分達の活躍により世界が元に戻されるもローグとは疎遠になってしまう。
その後、煮え切らない想いを抱えたままで出て行ったローグを待っていた所でローグが若返った
マグニートー(ジョセフ)を連れ帰ってきてしまい、プレイボーイの名が廃るような横恋慕状態に。
せっかく『オンスロート』事件にてX-MENファミリーは師チャールズ・エグゼビアとの敵対まさか、この程度は皮切りなんてことになるなんてという結成以来の最大の窮地を迎える一方で、自身にかけられていた未来での“裏切り者”の汚名を雪ぐことは出来たのに、レミーにとっては最も大事な存在を殆ど失うことになってしまったのだった。
一応、この時点ではローグが得た情報も断片的なものであり二人のやり取りから完全に関係が切れた訳でもなかったのだが、続く『ゼロ・トレランス』事件の最中に銀河の果てのシ・アー帝国が機械生命体ファランクスに襲われているという情報がデスバード自身より知らされることになり、ローグを中心としたメンバーが別働隊として向かうことに。
見事にファランクスを倒して南極へと帰還したのだが、そこに現れたのは復活を果たした本物のマグニートーだった。
ここで、マグニートーより隠していた過去の真実=Mr.シニスターの指揮の下でレミーこそが暗殺集団マローダーズを結成した張本人であり、X-MENにとっても最も忌まわしい出来事の一つとして記憶されていた地下に棲むミュータント種族モーロックの大量虐殺事件に関わっていた事実を暴露されてしまい、そのまま南極に置き去りにされてしまったのだった。
……その後、なんとか生還は出来たレミーはX-MEN離脱後もヒーロー側で活動してはいるしX-MENファミリーとも共闘しているのだが、居心地の悪さからか二度とレギュラーに定着出来ずに放置された状態が続くことに。
しかし、コロッサス(ピーター・ラスプーチン)とシャドウキャット(キティ・プライド)の結婚式に出席した際のドタバタ(キティが土壇場で逃げた)にてドサクサ紛れにフリーになってたローグ本質は奔放なのに能力のせいで男と触れられないおぼこ娘だったがマグ様に女にされコロッサスとも付き合ってたにプロポーズ。
シニスターと関わっていた件についてもフォローが入り、やっとこさ幸せを掴んだのだった。いつまで持つかな?
【能力】
ミュータントパワーとされているのは、手にした物体に破壊エネルギー
「キネティックエナジー」を込められること。
基本的には得意のカード投げと組み合わせてトランプにエネルギーを込めて、これを投げる攻撃
「キネティックカード」を得意とする。
因みに、手にした物体が大きく(重く)なる程に破壊力が増していき、カード一枚だと
手榴弾程度の破壊力だが、カード一束だとスーパーマン級の能力者(というかパロディ)であるグラディエーターをも昏倒させる程の威力になる。
エネルギーを込められれば何でもよく、石ころ(レミー曰く「
トランプより威力が高い」)や、手が触れているなら床なんかでもOK。
床はオンスロートのテレパシーで全員が金縛り状態にされていたのから脱出するために使用したものだったが、演出の都合とはいえ全員で爆死とかじゃなかったのは規模が大きすぎて爆発がバラけたとかだろうか。
尚、エネルギーを込める対象が大きくなればなる程にチャージまでに時間を擁したり、生命体にはエネルギーを込められないという制約がある。
この他、ミュータント能力では無い筈なのだが、余りに優れ過ぎててパワー扱いされているのが運動能力の異常な高さ。
ニンジャも真っ青で、ウルヴァリン曰く「ロングショット並に速い」とのこと。
その高い身体能力を活かした棒術も得意としており、至近距離から銃撃されても全ての弾丸を素ではたき落としてしまった。
また、此方は明確にミュータントパワーかも?と疑われているのが「魅力能力」。
ガンビットの不思議な目(赤い光を放つ黒目のみの瞳)に見つめられた状態で彼の甘い言葉を聞いていると、相手は何でもガンビットの言う事を聞きたくなってしまう。
基本的には女性相手(人外含む)にしか使わないが性別に関係なく効果がある模様。アッー
【Mr.シニスターとの関係】
X-MENの中でも中核メンバーとして信頼されるに至っていたガンビットことレミーが全てを失う原因となったのがX-MENの宿敵であるシニスターとの口外できない関係であった。
実は、レミーの故郷であるニュー・オリンズはシニスターの実験場であり、盗賊ギルドや暗殺者ギルドにミュータントが多かったのもその実験の影響だったりする。
スコット(サイク)とジーンへの長期に渡るストーカー等、X-MENとも数々の因縁を持つシニスターだが、そのシニスターが引き起こした最も忌まわしい事件が地下を根城とするミュータント集団モーロックスを対象とした大量虐殺事件であり、それを引き起こしたミュータントチームが、あのセイバートゥースも参加していたマローダーズであり、そのマローダーズのスポンサーがシニスターであったのだ。
この事件は直接の当事者では無いとはいえミュータントの未来の為に戦うX-MENにとっては口に出すのも憚れる程の大犯罪……であった訳なのだが、実はそのマローダーズをシニスターの命で結成したのがガンビットことレミー・ルポー当人だったのだ。
一応、この設定はポッと出的なものではなく数年をかけて張られていた伏線となっており、レミーをシニスターやセイバートゥースが知っている理由となっていた。
一応、レミー自身は道案内をしたのみで直接の虐殺に関わっていた訳ではなかったとされる等、後には多少なりとも名誉を回復させている(『MVC2』にも出てた骨を武器にするモーロック出身の少女マロウを何とか助けて外に連れ出したのはレミー)。
尚、レミーがシニスターに従ったのは元々は能力が不安定だったことから脳の一部を切除する手術を受けて能力を安定させてやる、という甘言に乗ったためで、このことからレミーもまたシニスターがニュー・オリンズで作り上げた実験体の一つだった可能性が高いとの考察も。というか、シニスターが作った→シニスターと言えば→エネルギーを操る能力→実はスコットのクローン……なんて説もあったりする。
【余談】
- ウルヴァリンとは仲が良く(悪く)チーム加入当時は喧嘩というか子供っぽい争いばかりしていた。
……ジュビリーのことも取り合ってたしな!(違う)
遂にはキャラ被りしてるから実写映画似出ないんだ……とまで言われていたが、そのウルヴァリンの単独シリーズの方の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』に登場。
演じているのはテイラー・キッチュ。また、チャニング・テイタムで単独主演作の予定もあったが頓挫。チャニングは「トラウマになった」と語っていたが…
- 『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の登場人物、四乃森蒼紫が着用しているロングコートは彼のロングコートをモチーフにしている。
なお、TVシリーズのX-MENで吹き替えを担当した安原義人氏は旧アニメ版で四乃森蒼紫の声を担当していた。
そして、それより以前にもガンビットその物も初期の強敵の一人である鵜堂刃衛としてパ……デザインをオマージュされていた。
追記修正頼むぜメザミ。
いや、どうせなら見目麗しいアンタに頼みたいなモン・シェリ。
- 旧アニメ版でのフェニックスジーンで、ジーンがX-MENの面々に名指しで感謝を伝える際に顔は出てたのに省かれてたのが可哀相だったわ -- 名無しさん (2024-03-31 05:35:04)
- るろうに剣心の鵜堂刃衛の元ネタ。同じX-MENのオメガレッドが元ネタの赤末有人がかませの雑魚なのに対してストーリーのボスだったりチャームを剣心レベルの気を放って相手を縛る催眠術としてオマージュしてたりとめちゃくちゃ優遇されてる。マヴカプ登場時は渋い見た目とスタイリッシュな動きでとても人気…だったんだけど、近年は実写映画出演がポシャったりゲームとかのメディアミックスにも出なかったりで近年の日本では知る人ぞ知るマイナーキャラ的な扱いになってるのが残念でならない -- 名無しさん (2024-03-31 12:49:59)
- 97年アニメだとレギュラーだけど、コミックだとジュビリーともども所属している期間が短めの人たち -- 名無しさん (2024-04-01 09:09:32)
- テレ東版の声が渋カッコいい。こんだけスタイリッシュでカッコいいのにライターからの扱いがすこぶる悪いのはなぜ? -- 名無しさん (2024-04-01 20:38:40)
- 概要見るとどう考えても被害者サイドじゃねぇか -- 名無しさん (2024-04-03 23:28:11)
最終更新:2024年12月02日 13:06