赤羽骨子のボディガード

登録日:2024/08/17 Sat 09:33:53
更新日:2025/01/16 Thu 19:51:17
所要時間:約 6 分で読めます






赤羽骨子は、命にかえても俺たちが守る。



『赤羽骨子のボディガード』とは、講談社刊行の週刊少年マガジンにて2022年第43号から2024年51号まで連載された漫画。著者は丹月正光。


概要


暴力団組長の隠し子である少女を、彼女に気づかれずに殺し屋達から守る使命を与えられた不良上がりの少年の物語……と言えば、「マガジン」によくある作品と言えるかもしれない。
だが、更に一味違うのは、少年と少女以外のクラスメイト全員が、少女の「ボディガード」だったこと。
少女を守るため、時に反目しながらも団結し、一丸となって刺客と戦いを繰り広げる23人の生徒。
このような、アクション満載の本筋に、ラブコメ要素を散りばめた痛快エンターテインメントである。

主人公とヒロインだけでなく、他のクラスメイトや敵キャラも個性豊かで強烈なキャラクターを持っており、彼らの人間模様にもスポットが当てられている。

2024年8月2日には松竹配給で実写映画化された。
こちらは根本の設定が大きく変更されており、「キャラクター原案のみ用いた別物」と見ると楽しめる。
また、プロモーションの一環として「原作第1話の荒邦の顔全てを、錦鯉・長谷川雅紀(当時53歳)のものに差し替える」というぶっとんだ施策が行われた*1


ストーリー


高校3年生の威吹荒邦は、ある日、暴力団「尽宮組」の組長の尽宮正人の突然の訪問を受ける。
その要件は「自分の隠し子である赤羽骨子を守ってほしい」というものだった。
組長の隠し子であることが突然知れ渡り、相続争いとして命を狙われる羽目になったのだ。
荒邦は骨子の幼馴染で、彼女を最もよく知る人間として白羽の矢が立ったのだという。
そしてその条件は、骨子には裏稼業のことは秘密にすること。

骨子への恋心を隠しながら、組長の依頼を承諾する荒邦。
だが、更に驚くべき事実が明かされる。なんと、荒邦と骨子の所属する3年4組のクラスメイトは、全員が尽宮組に育てられた「ボディガード」だったのだ。
様々なプロフェッショナル達に囲まれながら、荒邦は彼らと力を合わせて骨子を守り抜く決意をする。
その間も次から次へと現れる刺客。果たして、彼らは無事全員高校卒業を迎えられるのか?



登場人物


錚々児高校3年4組


  • 威吹(いぶき) 荒邦(あらくに)
演:ラウール(Snow Man)
今作の主人公。
高校2年生までは金物店の一人息子で普通のヤンキーだったが、3年への進級時に尽宮正人に赤羽骨子のボディガードになるよう依頼を受ける。
幼馴染の骨子に密かに恋心を抱いており、彼女を大切に想う一心でボディガードの役目を果たそうとするが、自分を遥かに上回るクラスのボディガード仲間に圧倒され、彼らに追いつこうと必死に足掻くことに。
同時に、正人からは4組内に潜む裏切り者の調査も任されている。
やがて、骨子と同様にクラスメイト達のことも大切になり、気がつけばクラスの中心的存在となっていく。


  • 赤羽(あかばね) 骨子(ほねこ)
演:出口夏希
本作のメインヒロイン。3年4組の「護衛対象」。
弁護士の家系に育ち、自身も正義感の強い優等生として成長。学校の生徒会長も務めている。
他人の本質を見抜くことに長けており、ヤンキーである荒邦の内面の優しさを察し、差別することなく接して、彼から恋心を抱かれていた。
そして彼女は知らなかったが、実は尽宮組組長の正人の隠し子であり、その情報が何者かによって漏らされて以来、命を狙われることに。
しかし、クラスメイト達の奮闘のおかげでそれに気づくことなく、平穏な学園生活を送ると同時に、荒邦への想いも自覚していく。

  • 染島(そめじま) 澄彦(すみひこ)
演:奥平大兼
3年4組の「司令塔」。
一見、童顔で大人しそうな美少年だが、クラス一の凄腕ボディガードにして、あらゆる戦術に通じた参謀役。
任務に対して忠実なだけでなく、4組の全員を家族のように思っており、誰よりも責任感が強い性格。
1年生の頃、カツアゲから助けた荒邦に可能性を見出し、彼を新しいボディガードに推薦する。その思惑通り、彼の一途な想いがクラスメイト達に変革をもたらし、強い一目を置く。


  • 棘屋(とげや) (ねい)
演:髙橋ひかる
3年4組の「空手家」。
空手のプロフェッショナルで、格闘戦ならば(澄彦を除いて)クラス随一。
クラスでは骨子と一番仲が良く、当初はただの「護衛対象」として上辺だけの付き合いだったが、内心騙していることに罪悪感を抱き、荒邦の後押しもあって本当の親友となる。


  • 嘉柄(かがら) (じょう)
演:松岡広大
3年4組の「運転手」。
自動車の運転が上手く、無茶なドラテクも難なくこなせる。
以前はボディガードのリーダー格だったが、訓練生時代に起こした事故により降格し、以来自信を失って澄彦のサポート役に徹していた。
しかし、荒邦の叱咤により以前の自信を取り戻す。


  • 首藤(しゅとう) 孔蘭(くらん)
演:詩羽(水曜日のカンパネラ)
3年4組の「賭け師(ギャンブラー)」。
ツインテールが特徴的な美少女。
あらゆる勝負事に強い「豪運」の持ち主であり、運任せで成功を勝ち取っている。


  • 日暮(ひぐれ) 弥美姫(やみひめ)
演:山本千尋
3年4組の「剣士」。
日本刀を自在に操り、凄まじい剣戟で相手を打倒する。
母親からの指導と称した虐待を受けたことがトラウマとなっており、自分の声が母親に似ていることに気付いてからは声を発さなくなっていたが、荒邦と骨子の激励で克服した。


  • 海代(うみしろ) 朱雀(すざく)
演:芝大輔(モグライダー)
3年4組の「詐欺師」。
甘いマスクと巧みな話術で数々の女性を虜にし、情報を何でも聞き出す。


  • 糸踏(いとふみ) 忠也(ちゅうや)
演:倉悠貴
3年4組の「ハッカー」。
気弱な性格だが、電子戦のエキスパートで、あらゆるシステムに侵入する。
素の記憶力も桁違いで、一度目にした情報は決して忘れない。


  • 大叢井(おおむらい) (いわお)
演:木村昴
3年4組の「柔道家」。
大柄な体格を持った怪力の持ち主。
クラスの最年長で年齢は28歳の妻子持ち。年長らしく紳士的な性格。


  • 那木(なき) うずめ
演:中田青渚
3年4組の「調教師」。
引っ込み思案で目立ちたがらない性格。
あらゆる動物の調教をするのが得意で、どんな猛獣をも敵にけしかけて翻弄させる。


  • 愛満(あいまん) 斗々(とと)
演:長井短
3年4組の「罠師」。
陰気で爪を噛むのが癖の少女。周囲に様々なトラップを仕込み、敵を活動不能にさせる。


  • 天貫(あまぬき) 与一(よいち)
演:三浦獠太
3年4組の「スナイパー」。
見た目はチャラチャラしているが、射撃とあらば百発百中の腕前を誇る。


  • (はた) 一平(いっぺい)
演:有輝(土佐兄弟)
3年4組の「潜水士(ダイバー)」。
主に水中工作を専門としている。


  • 杜窪(もりくぼ) 章介(しょうすけ)
演:橘優輝
3年4組の「医師」(無免許)。
外科医としての腕は抜群で、主に敵味方問わず怪我人の治療を担当。(そして作中では無事全員回復している)


  • 千坂(せんざか) 時規(ときのり)
演:坂口涼太郎
3年4組の「変装家(ディスガイザー)」。
普段は恥ずかしがり屋で挙動不審だが、完璧で誰にも見抜かれない変装術を身に着けている。


  • 吉信(きっしん) 滝丸(たきまる)
演:髙橋大翔
3年4組の「鍵師」。
ピッキングの達人で、どんな鍵でもこじ開けられる。
実は弥美姫の異母兄弟で、喋れない彼女の通訳を担当している。


  • 迅来(じんらい) 風太(ふうた)
演:戸塚純貴
3年4組の「忍者」。
隠密行動と様々な暗器を使った戦闘が得意。


  • 夏野(なつの) 真凪(まなぎ)
演:安斉星来
3年4組の「新体操」。
底抜けに明るい少女で、新体操の技を駆使して敵を倒す。


  • 黒雲(くろぐも) 字音(あざね)
演:大久保桜子
3年4組の「スプリンター」。
陸上部所属で足が速い。生真面目で若干融通が利かないところも。


  • 小樽(おたる) (くぬぎ)
演:工藤美桜
3年4組の「鑑識官」。
主に現場の証拠探しを担当し、いかなる敵の痕跡も見逃さない。


  • 敷本(しきもと) 奈々穂(ななほ)
演:かなで(3時のヒロイン)
3年4組の「技師(メカニック)」。
作戦で使用するメカの製造や改造を担当する。
映画版では演者にアクションをさせるのが難しいと判断されたためか、着ぐるみ型パワードスーツで格闘を行うという形になった。


  • 霧宮(きりみや) 茶虎(ちゃこ)
演:あの
3年4組の「配信者(ストリーマー)」。
動画配信のスペシャリストであり、4組の資金調達も担当している。
映画版では授業にも出ておらず、PCやスマホの画面越しに登場する*2


  • (わん) 可世子(かよこ)
演:鳴海唯
3年4組の「拷問官」。
常ににこやかな笑顔を絶やさないが、本性は拷問大好きなドS。
殺しはしないが数々の精神的苦痛を与え相手を"ダメ"にする手法を用意している。



尽宮組関係者


  • 尽宮(じんぐう) 正人(まさひと)
演:遠藤憲一
尽宮組組長。
ヤクザの頭ではあるが、仁義に篤く堅気には手を出さない義理堅い人物。
赤羽骨子の「実の父親」であり、娘を堅気の道に歩ませるために弁護士の家庭に養子に出し、陰ながら彼女を見守ってきた。
だが、ある日骨子の情報が裏社会に流出し、命を狙われるようになったため、組で育成していた3年4組の生徒達と、彼女の幼馴染である荒邦をボディガードに任命する。


  • 尽宮(じんぐう) 正親(まさちか)
演:土屋太鳳
尽宮正人の第一子。普段は男装しているがれっきとした女性。25歳
右目に眼帯を巻いたクールそうな見た目だが、回を重ねるごとにポンコツな素性が露呈していった。
正人が自分よりも特別目をかけている骨子に嫉妬し、彼女の命を狙っていたが、危機を脱するために荒邦にキスをされて以来、彼の虜になってしまう。
その後、尽宮組を破門にされ、荒邦と結婚するために何度もアタックを繰り返し、やがては荒邦と志を同じくして骨子を守るべく、3年4組の手助けをする。
PVでは宮村優子が声を当てた。


  • 威吹(いぶき) 丈夫(たけお)
演:津田健次郎
威吹荒邦の父。現在は金物店の店主だが、かつては尽宮組の幹部で、引退した現在でも「暴れ桜」の異名で恐れられる武闘派。
妻を敵対組織に親の借金で脅された中学生に殺されたことを機に、組を脱退している。
3年4組のクラスメイト達をスペシャリストに育て上げた張本人であり、訓練は超過酷。
だが、厳しくも優しく彼らを見守り、同時に堅気とは遠い生き方をさせていることへの罪悪感を抱いている。



尾嚙組


  • 尾嚙(おがみ) 零一(れいいち)
尽宮組の二次団体「尾嚙組」の組長。正人の制御が効かない札付きの極道。
数多の闇興行を主催し、いかなる人間をも蹂躙することに躊躇がないサディスト。
自分の命を張らなければ気が済まないスリルジャンキーで、自らが主宰する闇興行に乱入することもしばしば。


  • 独濃(どくだみ) 雁楽(がんらく)
尾嚙組専属の殺し屋部隊「猟犬商会」のリーダー。
管のついた注射器を口のマスクから触手のように生やした特異な見た目をしている。
触手に仕込んだ様々な毒薬を活用し、相手の弱体化と自分の強化を行う『毒殺活法』(ケミストキシン)という戦法を使うが、本人曰く、実力は商会でも大したものではない。
「リーダーとは誰よりも泥臭くあがき続ける者」という考えの持ち主で、勝利のためなら数手先の計略を練る執念深い策略家。

  • モラル
猟犬商会の構成員、派手なパフォーマンスを好む。
荒邦曰く、動きに殺意がない。


呑頭会


  • 呑頭(のず) 尤言(ゆうげん)
尽宮組の二次団体「呑頭会」の会長。尾嚙と同じく、正人にさえ制御できない存在。
カルト教団の教祖であり、自身を絶対的神として崇めることを強要させる。


  • 真名上(まながみ) 朋恵(ともえ)
呑頭会専属の殺し屋部隊「救世葬苑」の「社長」。
凄腕の剣士であり、日暮弥美姫の実の母親。
自分を苦難から救ってくれた呑頭に絶対的服従を誓っている。
呑頭の期待に答える子供を作るため弥美姫に虐待じみた指導をしたが。
娘との戦いを通して和解した。

  • 紫炎(しえん)
救世葬苑の幹部。
澄彦と同等の実力を持つ剣士で、痛覚が存在しない。


孤堂一家


  • 孤堂(こどう) 惣慈(そうじ)
元尽宮組の若頭。組を継ぐはずだったものの、何者かに殺害された。
犯人は尾嚙か呑頭のどちらかと目されており、黒幕が判明するまで後継者の決定が保留されていたところに、「裏切り者」によって骨子の存在が裏社会に知れ渡った。







実写映画版の相違点


  • 尽宮正人は暴力団組長ではなく、「(裏社会との繋がりを持つ)日本の国家安全保障庁の長官」となっており、ヤクザ要素が作品から撤廃されている。骨子が殺し屋に命を狙われる理由も「組の跡目争い」から「100億の賞金首」になっている。
  • 威吹丈夫は正人のボディガードであり、本編前に死亡している。このため、ラスボスと荒邦との因縁が強まっている。
  • 尽宮正親は「本来は普通の女性だが、破壊工作員の男として育てられた人物」になっている。
  • 裏切り者の正体の変更。このため、クラスメイトの何人かの役割が大きく異なる。
  • 骨子はダンス部に所属している。ラストバトルがこのダンス大会の会場となっている。
  • 物語の主軸が「荒邦と澄彦の関係」に焦点を当てており、澄彦の性格も若干変更されている。






追記・修正はクラス一丸となってお願いします。


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最終更新:2025年01月16日 19:51

*1 理由は「学生服のデザインが長谷川氏の衣装とそっくりだったから」ただそれだけなのだが、広告代理店の猛プッシュで実現した。

*2 演者が多忙なため自然な形で別録りをするための工夫と思われる。