牧場物語 オリーブタウンと希望の大地

登録日:2024/09/03 (火曜日) 20:37:26
更新日:2024/10/21 Mon 11:42:09
所要時間:約 14 分で読めます




牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』(STORY OF SEASONS: Pioneers of Olive Town)とは、マーベラスから発売されたゲーム作品の一つ。

2021年2月にSwitch向けに発売され、同年9月にSteam版が配信開始、翌2022年7月にDLCを含めた『オリーブタウンと希望の大地 SPECIAL』としてPS4向けにも展開されている。

2016年6月に『3つの里の大切な友だち』が発売されてから約5年ぶりの新作ということで、ファンに心待ちにされていた。
公式からも「シリーズ25周年」「最高傑作」といったキャッチコピーで宣伝されていた。
発売当初、初期版の問題点が複数指摘され、炎上が激しくなったことがある。
現在は色々な要素がアップデートにより改良されている。


おじいさんが仲間と共に開拓した街、オリーブタウン。
大きくなった主人公はオリーブタウンやってきて、荒れてしまった牧場を立て直すことになる。
という、牧場物語ではよくある定番の流れでスタートする。
ちなみに今作では主人公に拒否権は無い。

ゲーム設定

  • 難易度設定
「ふつうモード」「やさしいモード」から選択する。
やさしいモードでは売値が高く、買値が低く、体力が減りにくいなど色々親切になる。

  • キャラメイク
見た目を決める。顔や髪型を含め、かなりバリエーションが豊富。
ボイスも4パターンから選べるが実際に話すのは掛け声程度。
色々悩んで決められない人用に、予め用意されたパターンもある。

名前、誕生日、性別、牧場名はゲームがスタートした直後に
ヴィクトルとの会話の中で決めることになる。
今作では主人公の年齢は20歳*1と、牧場物語にしては珍しくハッキリしている。


牧場生活

開拓

歴代の牧場というよりは、耕作地というか、空地という表現が正しいような場所。
第一~第三エリアまであり、第二・第三エリアは橋を修繕することで行けるようになる。
アップデートにより、自宅前から第三エリアまで、ぶっとぶことができるようになった。
エリアには使われなくなっている設備があるので、そちらも修繕することで使用できるようになる。
お約束の石や草はあちこちにあり、他にも水たまり、樹木、池まである。
道具を使ってそれらを除去することで、素材を入手することができ、毎日再生する。

動物

開拓の途中で壊れた小屋があり、そのそばに野生の動物がいる。
小屋を修繕することで動物を手懐けることができ、以降は街のどうぶつ屋でも追加で購入可能。
放牧は一斉に出てくれるし、戻す手間も不要。ブラシがけや搾乳、毛刈りなども一手で行えるようになった。
今作では病気や寿命といった制度が無いので、エサを与えなくても死んでしまうようなことは無い。

クラフト

素材や、それを加工した材料を使用することで、農作業に便利なアイテムや家具を作ったりすることができる。
作業効率を最優先するか、見た目を最優先するかはプレイヤー次第。
この辺りは、あつ森なんかに通じるものがある。
但しどれだけ綺麗にレイアウトしても、上記の石や草、水たまりといったものは自然に発生するので
日々、景観が損なわれることは避けられない。

住民との交流

会話やイベントでの交流、プレゼントをあげることで友好度を上げることができる。
友好度を上げることで、街が発展するクエストも発生するようになる。
今作では住民の嫌いなアイテムというものが無いので、友好度が下がることが無い。

恋愛~結婚

今作では男女各5名と、DLCで男女各3名の結婚候補がいる。
同性同士でも結婚に相当する「大親友の儀」を交わすことができる。
子どももコロポンから授かるという流れなのだが、なぜか男女で結婚してもコロポンから授かる。



コロポン

過去作で言うコロボックル的な存在。より不思議な生物感が増している。
条件を満たすと、オートで素材や料理、魚などを集めてくれるコロポンの村に行けるようになったり、
見つけたコロポンの数に応じて季節が固定されたエリアに行けるようになったりする。

各種スキル

伐採、料理、コミュニケーションなど主人公の行動それぞれにレベルが設定されている。
上昇するとクラフトできるものが増えたり、店で売られるものが増えたり、素材集めに特化した場所へ行けるようになったりする。
特に素材集めの場所は、牧場ではなかなか手に入りにくい貴重な素材を手に入れることができるので早めに解放したいところ。

街の発展

最初は住民以外に訪れる人も少なく、地味な街と化しているのだが段々と発展させることができる。
発展度を上げる→ヴィクトルが自宅訪問にてクエスト発生→必要なものを市役所に納品
の手順を繰り返す。10段階まで発展させると、一旦そこがエンディングとなる。
発展度を上げる行動は、住民との会話や動物の世話、街での買い物など。上り幅に差はあるが何をしても勝手に上がることが多い。
クエストで求められる品は3パターンあるが、どれを納品してもOK。但し段々と面倒くさいものを要求される。

クエスト

住民が特定のアイテムを欲しがっているので、それを納めることで報酬をもらえるもの。
街の奥にある市役所の掲示板を見ないとクエストの内容が分からず、しかも納品もそこで行う。
翌日になるとクエストの内容が変わってしまうという、まぁまぁ不親切な設計。
上記の一般クエストとは別に、エンディング後に開始する各種住民やコロポンとのイベントは「精霊クエスト」と呼ばれる。
10段階あり、求められるアイテムの難易度がどんどん爆上がりするのだが、
9マスの作物を一気に収穫できるようになったり、自宅→第三エリアまでのルートが作られたりと、見返りが大きい。



初期バージョンにおける問題点

現在はアップデートにより多くが改善されている

動物のことを軽視している会話

  • カレー味のチーズイベント
ダイスキーとのイベント。
「カレー味のチーズとか、あるでしょう、そういうものがー!」
「ウシにカレーを食べさせ続けてー、するとミルクがカレー味になってー、それをチーズにしましたー、みたいな!」
一応、主人公は否定的な返事しか選べないのが救いだが、それに対してさらに「味覚オンチ」と捨て台詞を吐いて去っていく。
※アップデートで、「ウシにカレーを食べさせ続けて~」の部分はカットされた。

  • 三毛猫繁殖イベント
マルコス一家の会話イベント。
オスの三毛猫は希少価値があり、高値で取引されていたという噂をラウルから聞いたマルコスは、
「決めた!ネコを大量に育てて、オスの三毛猫を手に入れる。」
「~飼ってりゃ勝手に繁殖するだろうし~」と名案を思い付く。
が、彼らは漁を生業にしているため、魚を食い尽くされてしまうからという理由でこの計画は中止になる。
※アップデートで、「高値で取引」→「大人気」にされ、繁殖や数字の部分がカットされた。
ただ、話の流れ自体は同じなので、よくよく話を追っていると少し違和感を感じるかもしれない。

財布事件

ララとの1つ目のイベント。
ジャコポに、海に財布を落としてしまった*2ので、探して欲しいと言われる。
当事者であるジャコポは探さずに見ているだけで、主人公は服を着たまま海に入り、溺れてしまう。
ララが助けにきてくれるが、「もう少し遅かったら危なかった」ような状態だったらしい。
にも関わらずジャコポが「俺があとで(主人公を)説教しておいてやるよ。」と部外者のふりをして保身に走る。

ちなみにこのとき、ララが財布も見つけてくれる。
ここでようやくジャコポが、その財布は自分の物だと名乗り出て、事の顛末をララが理解し、
ジャコポはララに怒られる*3のだが、最後までジャコポが主人公に謝ってくれることは無いままイベントが終了。
ちなみにララと結婚するとこの時の話になり、ララは「大丈夫かなぁこの人」と思ったらしい。
※このイベント以外でも、ジャコポがいい加減で頼りないキャラとしての位置づけのためか、アップデートでも得に変更はされていない。

超絶に長いロード時間

牧場と街を行き来するだけで、20秒程度のロード時間が発生していた。
道具の改造や動物の購入、住民との交流など、街への用事はいくらでもあるため、
そのたびに20秒ものロード時間が発生するのは精神衛生上よろしくなかった。
ちなみに長時間ロードに加えて、フリーズも発生するという鬼畜なコンボも起きていた。
※アップデートでかなり改善された。牧場と街の出入りは若干ロードが発生するが、街の建物を出入りする分にはほぼロード無しに。

離婚システム

結婚後に、祠でお願いすることによって婚姻関係を解消できる。
ゲーム的には結婚前の状態に、人間関係を巻き戻すシステムなので、厳密には離婚とは言えない。
ただ、子供がいれば抹消されるし、結婚していた相手も綺麗さっぱり記憶喪失になってしまうため
ほのぼのゲームにそぐわない、心の痛みをプレイヤーに与える。

これはゲーム上の仕様ということもあってか、アップデートでも削除などの対応はされていない。
ちなみに『再会のミネラルタウン』もそうだが、「恋人関係」は複数の候補と同時になれる。
他の作品では、恋人・結婚状態で青い羽を他の人に見せると、ハートがガタ落ちする要素*4もあっただけに、なぜこのような真逆に走るシステムになってしまったのか……

その他

その他にも、炎上と言うにはほど遠いものだが、問題視されるものは散見されている。
  • レストランで食事ができるのだが、デザートを頼もうが、カレーを頼もうが、魚定食が表示される。
  • 牧場物語のお約束ともいえる品評会イベントが無いため、作物や動物のランクを上昇させる意義が乏しい。
  • キャラクターの話にバリエーションが少ない。婚約状態になって自宅にいる恋人ですら「こんにちは。」とか言ってくるレベル。
  • 過去作にあった立ち絵(上半身のイラスト)が無いため、表情を感じにくい。キャラクターを覚えられない、愛着が持てないとの意見も。
  • 声優に専門学生を起用した*5
  • メーカー*61つから、材料を1個しか作れなかった。牧場は畑そっちのけでメーカーで埋め尽くす必要があり、工場物語と揶揄された。
  • その他細かいバグ(博物館に料理が浮かんでいたり、自宅が地面に埋まってしまったり…笑ってしまうようなバグが散見された)
※品評会と声優に関しては改善しようがないのでそのままだが、それ以外は改善されている。立ち絵に関しては、立ち絵そのものは無いが、相手キャラにカメラが寄ってアップになるようになった。

余談

  • 発売から数週間後にはAmazonのカスタマーレビューが閉鎖された*7
  • プロデューサーのTwitterアカウントから一時プロフィール欄の「ゲームプロデューサー」という文言と牧場物語関連のツイートが削除されたことがあった。
  • 発売翌月の3月に、発表されたプロデューサーレター内で謝罪が行われた。
  • さらに次の4月発表のプロデューサーレターでは、新たなシナリオライターを起用するというお知らせがされた。
  • 公式の謝罪とアップデートを経て、バグや問題はだいぶ解消された。その対応に関しては前向きに捉えるユーザーが多く、ゲーム自体の評価も他の作品と同程度にまで回復している。
  • 攻略本の内容がアップデート後の仕様とズレてしまっている。*8


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最終更新:2024年10月21日 11:42

*1 ヴィクトルの会話で、20年前に生まれた…と言われている

*2 食べ終わったバナナの皮と間違えて財布を投げてしまったとのこと。そもそもバナナの皮を海に投げ捨てるんじゃない。

*3 海に勝手に入ったことを怒られるだけであって、自分は手伝わず主人公だけを海に入らせた点に関してはノータッチ。

*4 ご丁寧に専用の、なかなかに怒ったセリフが用意されている。

*5 これ自体は問題無いのだが、「なぜ25周年と大々的に宣伝した作品でわざわざ学生を起用したのか」「声優の人件費を抑えておきながらゲームそのものはこのクオリティか」などの意見が出ていた

*6 鉄鉱石→鉄 のように、素材を材料に加工してくれる設置品。

*7 当時は☆2台という牧場物語シリーズとしては低い評価だった。また、単に低評価をつけるだけでなく、長文で低評価の理由を書き込んでいるものが多かった

*8 頻繁にアップデートが繰り返されることにより、本の内容が現在のシステムにどんどん沿わないものになってしまうため