先輩はおとこのこ

登録日:2024/09/03 tue 23:52:00
更新日:2025/04/24 Thu 23:50:19
所要時間:約 4 分で読めます




出典:『先輩はおとこのこ』第1話『先輩はおとこのこ』より
2024年7月~9月project No9©pom・JOYNET/LINE Digital Frontier・「先輩はおとこのこ」製作委員会


“普通“じゃなくても、好きでいたい

先輩はおとこのこ』は、ぽむによる漫画作品である。
2019年より『LINEマンガ』にて連載スタート。2021年まで連載された。
既刊9巻。
略称は「ぱいのこ

【概要】

最初作者は本作を執筆するにあたって、「可愛い女の子」を描く漫画を描きたいと思い、百合漫画を執筆しようと考えていた。
その後、女装をする男の子との恋愛ならどうかというアドバイスをもらい、執筆をスタートさせた。

多様性”が叫ばれる中で、いわゆる「可愛いものが好きな」男子、「心が女性な」男子の繊細な心境を丁寧に描いているのが特徴。こうした描写もある意味時代の流れであるとも言えるだろう。
題材が題材だけあり周囲の偏見や陰口も描かれているが、陰湿な描写にならないようにしている。
むしろ、こうした多様性に関する問題を含め、「主人公たちが目の前に降りかかる問題」や「恋愛感情」に対して、どう折り合いをつけていくのか、どう解決していくのかに力点が置かれている。
そうした問題の解決を通じて成長していく様子を青春マンガらしく瑞々しく描いている。

こうした描写も人気を得て「第5回アニメ化して欲しいランキング」1位を記録。「LINEマンガ」でも1億8000万ビューを記録した。

本作の前日譚にあたる『先輩はおとこのこ 出会い編』が2023年より連載されている。
また、2024年7月よりフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されている。

【あらすじ】

男だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。
ある日の放課後、まことは、“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲に告白をされる。
「実は自分は男の子なのだ」と打ち明け、告白を断るまこと。
しかしまことの予想に反し、咲はあきらめるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションアップ!
さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言して……。
(アニメ公式HPより引用)

【キャラクター】

・花岡まこと
CV:梅田修一朗
「僕はただ好きなものを好きなままでいたい」
本作の主人公。
幼少期の頃より可愛いものが好きで、心は女の子寄りという意識があった。
しかし、男らしくあって欲しいという母親の気持ちもあり、そうした気持ちをなかなか表に出せなかった。
父親の提案で、彼の気持ちに応えてくれる高校に入学。学校にいる時は女の子の恰好をしても良いと配慮してくれることになった。
ロッカーも彼が女装できるように専用のロッカーを用意してくれた。*1
ロングヘア―のウイッグとセーラー服を身に纏って学校生活を過ごしている。
中性的な顔立ちのおかげか、女装していても本当に女の子だと見間違うほどに容姿端麗である。

女装しているということで周囲から奇異な目で見られることもあったが、だんだんと理解者を増やしていったおかげで、友達の輪も広がっていくことになる。
一方で進路や恋愛といった様々な問題に直面していく中で、自分はどうあるべきか考え成長していくことになる。
バスケが得意で助っ人に呼ばれるレベル。

・蒼井咲
CV:関根明良
「男の娘、最高じゃないですか!」
物語冒頭、まことに告白して来た1年後輩の少女。明るく天真爛漫で、誰とでも仲良くなれる。
しかし、これに関しては、嫌われないようにする八方美人を演じることで、周囲の嫌な感情を自ら飲み込んでしまっていたという複雑な事情もある。
まことに告白をしたが、彼が女装をしている所謂「男の娘」であることを知っても、持ち前の明るい性格で猪突猛進に猛アタックしてくる*2

・大我竜二
CV:内田雄馬
「お前絶対にまことに言うなよ。言ったらただじゃおかねえからな!」
まことの幼なじみである。幼少期より彼の側にいた気心知れる存在。
彼が女装していたり、可愛いもの好きであったりすることも理解を示している。
まことの相談相手でもあるように面倒見は良いが、一方で彼への恋心も自覚している。
しかしながら、まことは女装しているとは言え、男子である。その感情は本当の恋なのか、悩む日々を過ごしている。

咲からは幼少期の頃のまことを知っているためか、「師匠」と呼ばれ付きまとわれている。

・花岡美香
CV:中原麻衣
まことの母親。
まことが可愛いものを持っていたり、女の子らしくあろうとしたりすると極端に拒絶する態度をとる。
それがなければ普段はよき母親であるのだが、どうも何か理由があるようだ。

・花岡孝浩
CV:四宮豪
まことの父親。
母親がまことの女装関連の嗜好に拒絶感を抱いているのに対して一定の理解を示している様子。
彼が女装しても良いような高校に入れたのも、知り合いがその高校に勤務しており、その人に掛け合ってくれたためであり、まことのためなら尽力してくれる理解のある父親である。

・大我小夏
CV:前田佳織里
竜二の妹。ダウナー系な性格。
まこととお顔なじみで、一緒に遊んできた仲である。

・羽川楓
CV:葵あずさ
まことのクラスメイト。創立記念パーティーでは彼と一緒に踊ることになった。登場当初は目が描かれておらず、モブであるかのような描写がされた。
その後まことの人柄を知り、彼が女装することに対して理解を示した時に表情が描かれる演出がなされた。それ以降は彼の理解者かつ友達になった。

・早瀬藍
CV:加隈亜衣
まことのクラスメイトでメガネをかけた大人しそうな容姿の生徒。*3
高校に入学したての際、まこととは仲が良い友達だったが、まことが男子で女装していたのが発覚した際、周囲に流されるように疎遠になってしまった。*4
本人はそのことをずっと後悔しており、まことと仲直りしてまた友達になりたいと思っていた様子。
修学旅行でまことと自由行動をすることになったが、竜二や楓の後押しのおかげでまことに謝罪して改めて友達になることが出来た。うれしさのあまり涙を流す程であった。

【テレビアニメ版】

2024年7月から9月までテレビアニメが放送。
監督は柳伸亮。コミカルに描きつつも登場するキャラクターの心情を細かくアニメに落とし込めればという旨の話をしている。
アニメーション制作はproject No9
フジテレビ「ノイタミナ」枠での放送。
完全に余談だが、過去にこの枠のアニメは女の子になりたい男の子を主人公にしたアニメを放映したり、女装男子について有名キャラを輩出したりしたことがある。

(主題歌)

OP:「我がまま」
くじらによるオープニングテーマ。原作を読んでいる際、まことへ感情移入をしつつ、そうした心境を追っているうちに楽曲が出来上がったという。

ED:「あれが恋だったのかな feat. にしな」
くじらfeat.にしなによるエンディングテーマ。
常識や固定観念にとらわれないことという本作にも通じるテーマを意識しながら楽曲製作にあたったという。
「わがまま」って一体何だったのかということも考えながら作り上げた。

【劇場版】

テレビアニメ最終話で劇場版の告知がなされた。
先輩はおとこのこ あめのち晴れ』のタイトルで2025年2月に公開予定である。


追記・修正は可愛いものが好きな男子の気持ちに共感出来た時にお願いします。

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最終更新:2025年04月24日 23:50

*1 一方で家では母親に配慮して、男子の姿のままでいる。可愛いもの、女の子が身につけていそうなグッズも家には持ち込まず、全て学校のロッカーに預けている。

*2 まことのあらぬ姿を目撃してしまうとよく鼻血を出すことが多い。

*3 ちなみに眼鏡をはずすと整った顔立ちが分かるくらいに綺麗な容姿

*4 なお、本人が直接まことを拒絶したわけではない。どう声をかけていいか分からず、悩んでいるうちに他の友達やクラスメイトに言われるがまま距離を取る形になってしまった。