航宙軍士官、冒険者になる

登録日:2024/09/09 (月) 07:25:46
更新日:2025/04/25 Fri 14:44:09
所要時間:約 4 分で読めます





航宙艦が墜落した先は……剣と魔法の世界!?



概要

『航宙軍士官、冒険者になる』とは『小説家になろう』に連載されている小説。
ファミ通文庫から書籍が発売されている。既刊4巻。
作者は伊藤暖彦。イラストはhimesuz。

コミカライズ化もされており、『カドコミ/ComicWalker』『ニコニコ静画』で連載中。既刊7巻。
作者は『コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー』などの、たくま朋正。


2017年8月10日に『小説家になろう』で連載開始し、書籍化にコミカライズ化と順調に進んでいた本作だが、2020年2月16日更新をもってweb版の連載が停止してしまっている。
これだけなら書籍の方をメインにするということが考えられたが、書籍の方も動きが止まってしまっている。
しかも物凄く先が気になる場所でストップしている。なのでこれからweb版を読む方は、覚悟してから読んでほしい。

なので漫画版も原作に追いついてしまい、連載も終わってしまうと思われたが、
たくま朋正氏はXにて「8巻以降も状況が許す限り、完結まで連載します」と発表。
そしてその言葉通り、原作の更新停止した先のストーリーが漫画で描かれることになった*1


あらすじ

帝国航宙軍兵士アラン・コリントの乗艦する航宙艦は、超空間航行中の未知の攻撃により大破してしまう。
アランは全くの偶然から艦上でたった一人の生存者となってしまった。
大破した航宙艦は航行不能で目前の惑星に落下していく。アランは脱出ポッドで一人惑星に逃れた。

未開の惑星に放り出されたアランとアランに共生しているナノマシン[ナノム]の生存を賭けたサバイバルが始まる。
降り立った惑星には、驚くべきことにアランの遺伝子の系譜に連なる人類が繁栄していた。
剣と魔法のファンタジーな世界に戸惑いつつも、仲間と共に精一杯生きていく。
アランは、この惑星で何を成すのか。

中世を舞台にしたSFファンタジー、ここに開幕。

(公式より引用)

主な登場人物

帝国航宙軍

アサポート星系第3惑星アデルを中心に設立された『人類銀河帝国』の軍隊。
…に所属するギャラクシー級これじゃないよ戦艦『イーリス・コンラート』の生存者たち。
超光速航行中に何らかの攻撃を受けて大破し、唯一耐衝撃区画でコンピューターの整備をしていたアラン・コリント中尉を残してクルーは全滅。
座標不明の宙域にワープアウトしてしまいアレス星軌道上で完全に孤立してしまっている。
無事なコンポーネントを組み直して艦の機能自体は維持できているが、戦艦としての戦闘力は失われてしまっている。

  • アラン・コリント
本作の主人公。帝国航宙軍宙兵隊情報第一小隊所属の中尉→准将。25歳。
趣味は釣りと本で覚えた地球の料理。
謎の攻撃を受け未開の星に辿りついた後、乗組員及び艦の再構成を指揮する権限がないためイーリスの判断によりその場で昇進・艦長に任命された。
脱出後にクレリアとの遭遇を機に剣*2と魔法を習得し冒険者として活躍する。
当初は使えないコンポーネントが投棄されたのを見て艦自体が失われたと思い込んでいたため、セリーナ&シャロンと出会うまでは単にクレリアの手助けだけを考えていたが、
母艦と連絡できたのを機に、惑星アレスの人々の交流を経てこの星に愛着を持ったこともあり、1200年以内に訪れると試算されたバグス襲撃からこの星を守ることを決める。
そのためにはこの星の文化・文明を底上げする必要があり、数世代*3かけてもそれを成し遂げるために、各国を支配して自分とクレリアの代での統一王国の樹立を目論む。
その第一歩として冒険者として名をあげ、国から領地を貰おうとする。
手始めに盗賊の大量摘発に乗り出し、その功によってそれまで危険な魔物が跋扈する未開の地であった「魔の大樹海」を受領。母艦から建設用ドローンを送り込んで秘密裏に要塞都市の建設を進めていた。
ちなみに、自身の基盤作りにスターヴェーク王国を再興したいクレリアを半ば利用する形であり、統一王国樹立を目指すことを明かした際に「共同統治という形でもよい」とクレリアに語ったのだが、
アレスの文化において王と女王による共同統治とはイコール婚姻であることをだいぶ後になってイーリスから教えられて慌てることに。

なお、将来的な外敵の襲来に備え原住種族を守るという目的はあれどやっていることが事実上いち艦長の独断による帝国非加盟惑星への文化汚染・侵略であるという自覚は一応ある。
曰く「本国と連絡が付いたら即処刑される」とのこと。

コミカライズでは原作と違って地球出身であることを伺わせる発言が見られる*4

  • イーリス・コンラート
戦艦『イーリス・コンラート』の制御AI。名誉大尉。
帝国航宙軍は英雄的活躍をした士官の名前を戦艦とそのAIに名付けるという慣習があり、このAIのアバターも実在のイーリスの容姿をしている。

オリジナルはコロニーの生存者を逃がすために自ら囮となり、両腕を貪られながらも艦を敵艦隊ごと自爆させて果てた。
指示を出していた相手に聞き覚えのある名前があったのは内緒

  • セリーナ・コンラート&シャロン・コンラート
イーリスによって派遣されてきたアランの部下。双子の姉妹。実年齢数か月(成長中の教育はVRを用いて行われた)。
宗教上の理由から戦艦にはその名のモデルとなった英雄の体組織が保管されるという伝統があり、イーリスがアランの「戦力維持」という命令から作成したクローン人間。
セリーナとシャロンという名前は実在のイーリスの娘から拝借されている。

  • グローリア
現地徴用された一等兵…それもドラゴンである。
アランとの遭遇時に他の個体と戦って負傷し、治療がてらナノムを投与されたことでそれを介してアランとセリーナ&シャロン、イーリスとは意思疎通が可能となった。
命を助けられたことで掟によりアランの氏族に加わることになるため、形式上帝国宇宙軍に入隊したことになっている。
ドラゴンを一体討伐し*5もう一体を従えたことがアランの地位を大きく引き上げた一因となった。

スターヴェーク王国

  • クレリア・スターヴァイン
本作のヒロイン。スターヴェーク王国の王女。
162年前にスターヴェーク王国に吸収合併されたアロイス王国が、先日謀反を起こし国を追われてしまった。
この逃走劇で幼いころから付き従っていた老臣や幼なじみも死んでしまい、自身も片足を失う大怪我を負ってしまったところをアランに助けられる。
以降は外国人と思われるアランに常識を教えたりしながら、国を取り戻す下地を作るために一緒に冒険者として活動する。
その後王国遺臣たちと合流した際にアランから新国家樹立を目指すことを告げられ、当初4人だったクランは彼らや孤児たちも加えて急速に大所帯となっていった。

コミカライズで継続している部分にてついにクランごとアラン領への移住を決行。クレリア自身も「新スターヴェーク王城」でもある中枢施設に入ることとなる。
皆がただただ超先進技術に驚く中、長くアランを見てきたこともあってこれらの技術が単に大陸の外というだけでなくこの世界のものですらないことに感づきつつあるが…

  • エルナ・ノリアン
スターヴェーク王国に仕える女騎士。
祖国を脱出した際にクレリアを逃がすために囮になった小隊の一員だった。
クレリアと別れた後は小隊は親戚国であるベルタ王国に救援を求めるべく、クレリアとの連絡役としてエルナをセシリオ王国を残し出発。しかし隊は道中捕まってしまったらしい。
捕縛を運よく免れたエルナは冒険者に扮しながらクレリアが来るのを待っており、合流後はクレリアの指揮下に入った。


用語

  • バグス
帝国暦1254年に人類が遭遇した知的生命体。昆虫をデカくしたような姿をしている。
残虐性が高いうえに人肉が好物という人類の天敵と言える生態をしており、人類の星を攻めむさぼり食う際に一部を捕虜にして家畜化してまで食っている。
人類以上の戦闘力と宇宙に進出できる技術を持っているが、科学技術自体は人類に一歩劣るようだ。
特筆すべきは物量であり、バグスの母星を落とさなければ戦争は終わらないとされる。

ただし、将来的にアレス星に襲来すると予測はされているが本編ははるか未来に起こるであろうそれに備える話であるため、回想か会話の中にしか出てこない。

  • ナノム
航宙軍兵士の体内で共生している軍用ナノマシン。
身体能力の強化、AI機能、体内のモニター、医療・修復機能、五感への完全なアクセス、短距離の通信機能などを備えている。宿主との意思疎通も可能。
アランが惑星アレスの住民と言葉を交わせるのもナノムが言葉を解析してくれたから。

  • 人類に連なる者
人類と同じ姿と遺伝子構造をしている異星人たちの事。
作中時点で地球を含む多くの星系が帝国に加盟している
アサポート星系第3惑星アデルが宇宙に進出して様々な人類が居住可能な惑星に訪れると、そこには何故か母星と似た動植物と人類がいた。
そこで大昔「第三者」が人類が居住可能な星の環境を整えたうえで人類をそこへ放っていったのではないか、という説が有力視される。
そのため遺伝子構造が同じ人類を『人類に連なる者』と呼ぶようになった。
なお、地球は加盟惑星の中で文明レベルは遅れている(現代程度?)ものの、それを上手く利用したのか観光地として人気を博し外貨を稼いでいるという。
地球の文化について記した書籍も多く出版されているらしく、アランの料理のレパートリーは基本そこから来ている。
また、クレリア達に着せるパーティー用の服装としてイーリスがコスプレにしか見えないメイド服を用意するなど影響力は強い様子。



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最終更新:2025年04月25日 14:44

*1 更新停止しているところの手前から原作にない描写が挟まれ始めている。

*2 ただし以前からVRゲームで剣自体は触れることがあった

*3 イーリスは通信装置の建造に数百年かかると試算している

*4 原作における地球は帝国が接触した時点で恒星間航行技術を持っていない様子だった。

*5 実際に倒したのはグローリアであるが