登録日:2024/10/08 Tue 23:47:04
更新日:2025/05/29 Thu 19:13:44
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巡音ルカとは、クリプトン・フューチャー・メディア(以下、「クリプトン社」と表記)から発売された音声合成DTMソフトウェアの名称。
初音ミク、
鏡音リン&レンに続く「ピアプロキャラクターズ」の一人でもあり、同シリーズでは最後のモデルとなる。
∞概要
2009年1月30日に発売された、キャラクター・ボーカル(CV)シリーズ第三弾。
声の提供は
ワカメの相方でお馴染み浅川悠氏。
初音ミク等と同様、メロディーと歌詞を入力することで簡単にボーカルパートを作ることができる。
第三弾となる本モデルの目玉は、シリーズでは初となる「英語ライブラリと日本語ライブラリ同時対応」。
VOCALOIDは収録した人間のボイスをもとに作られているのだが、そのボイスは「あ、い、う、え、お...」と各音ごとに別々に録っていく必要がある。
このボイスサンプルの種類が少ないと表現できる音の幅が狭くなり、多いと広くなる。
この対応範囲を英語にまで広げた初のピアプロキャラクターが彼女であり、近代の曲には多い「英語まじりのオリジナル曲」に対応できる仕様となっている。
お値段は例によってミクと同額の2万円弱。
2024年8月末には、初音ミクや鏡音ツインズをはじめとしたピアプロキャラクターズ全員が抱き合わせになったパック「ピアプロキャラクターズ・スーパーパック」も2万円ちょっと+aくらいのお値段で発売されており、こちらからでも入手可能である。
約束された勝利、のはずが……?
先代機である初音ミク、鏡音リンレンはユーザーの支持を勝ち取り、「人気ソフトVOCALOID」の地位を不動のものにした。
当然、ルカを発売すればヒットすること間違いなし、であるように見えた。
……であったが、クリプトンはこれにあまりいい顔をしていなかったという。
というのも、この頃のVOCALOIDクリエイターの創作はギャグ曲、ネタ曲に偏りつつあったのだ。
(参考として、「ぽっぴっぽー」や「
VOCALOID2 初音ミクに『Ievan Polkka』歌わせてみた」の発表がこのあたりの時期である)
ネタ曲が増えるのも悪いことではないが、それが行き過ぎて、真面目な曲を作りにくい雰囲気になるとマズい。
実際、担当者はインタビューで以下のようなコメントを残している。
ミクはユーザーの手によってゆっくりとイメージ付けされていき、『はちゅねミク』『ネギ』といったネタもできていった。だがその後に出たリン・レンや、他社の『がくっぽいど』を見ていると、“ネタ化”のスピードが上がっている。ルカが強いネタとなったとき、ガチ曲(まじめな曲)とのバランスが偏ると、どういう見え方になるかが怖かった
そう考えていたクリプトンは、ルカのデザインや設定には敢えて細かくこだわる方針を取った。
長身巨乳で差別化はしつつも、肌は不健康気味の色白にして、エロい印象を与えないようにしたり、公式ブログでイメージについて細かく説明したり。
現在においてルカのネタ曲の曲数はミクやリンレンのそれに比べて少ないが、こういった事情によるものである。
ただ、ひとつだけクリプトンの予想から外れたのが……。
持ち物戦争
初音ミクにネギを持たせた事に端を発する、ユーザー間の論争であった。
「ボカロにアイテムを持たせる」事がウケた結果、ユーザーは新しいボカロが発売されると「何を持たせるか」で議論を交わすようになっていた。
リン&レンはとりあえず「ロードローラー」で確定したが、ルカのそれは大いに紛糾し、決まらない状態が長く続いたという。
そんな争いは、ある一人のユーザーが投稿したイラストによって収束することとなる。
「なら、色々持たせられるように手のほうを増やせばいいじゃない」
そこにはルカの首から上を分離させ、髪をタコ足にした名状しがたき生物「たこルカ」の絵があった。
この妙案によって、ルカの持ち物論争はうやむやになったひとまず終結したという。
クリプトンもこれはこれでよしとしている。
∞プロフィール
性別:女性
年齢:20歳
身長:162cm
体重:45kg
∞バージョン
∞声の特徴
全体的に感情の起伏が抑えめで、抑揚が出しにくい。
良く言えば安定しており、悪く言えばシャウト等の大声に向かないといった感じ。
この安定した声は「気だるげでアダルティな歌」「しっとりした歌」との相性がよく、その用途で本領を発揮する。
また、抑揚が出にくいが故に操作難易度は低く、調声技術をあまり要求しないとされる。
その一方で、ボコーダーなどのエフェクトで極端な変調を掛けても破綻しにくいという特徴もあり、
所謂「全部ボカロ」系のアレンジ曲などにおけるベースやパーカッション要員としても需要は高い。
∞主なオリジナル曲
巡音ルカの代名詞。
「ダメダメよ★」から始まり、ルカが画面の中から語りかけてくる言わば巡音ルカ版「みくみくにしてあげる」ともいうべき楽曲。
「右から左へと言葉が流れる」など、ニコニコを彷彿させる歌詞も印象的。
samfree氏の代表曲となったのだが、同氏は2015年9月24日に息を引き取っている。
セルフカバーならぬセルフバカーとして「たこルカ★マグロフィーバー」が存在する。
優しい応援ソング。
「腕を振り回すので離れていてください」というギャグみたいなフレーズで誤魔化しつつも、曲の中身は周りと比べてしまう屈折した心理、うまく生きられない悲しみに寄り添う良曲である。
……曲自体は大真面目な一方、MVはルカがなんとも言えない表情で腕を振り回しながら空を飛び回るシュール極まる絵面の為、涙と笑いが同時に込み上げてくる罪な楽曲でもある。
特に公開当時はニコニコ動画の仕様により、一時停止ボタンを押してもルカが回り続けるようになっていた。
また、MVには曲名の元ネタと思われる技の使い手である
市長と
赤きサイクロンも出演している。
巡音ルカと初音ミクのデュエット曲。
生きづらい世の中に対する思いを、高速高音でまくし立てる。
作者のwowaka氏が(おそらく唯一)巡音ルカを使用した楽曲であり、同氏の死後には巡音ルカ使用楽曲初のVOCALOID神話入りを達成している。
SPARTA LOCALSのパクリと言われた。
「魔女裁判」をモチーフにした歌劇曲。
がくぽと恋仲になったことを妬んだミクの手で「魔女」として十字架にかけられたことで人間に絶望し、本物の魔女になってしまった悲劇の女・ルカを、叙事詩のような筆致で描く。
サビの、ラテン語で「悔い改めよ!」が繰り返される場面が重苦しいながらもついつい頭に残るスルメ曲でもある。
戦争をテーマにした、激しくも荒々しいメタル曲。
脳髄を直に刺激するシビれる音使いも魅力だが、もうひとつの特徴はハイクオリティのMVが存在すること。
この曲をバックに、ぽっと出の妹と激しい撃ち合いをするルカの姿は必見。
別れたカップルの男の視点で、離れていった元カノとの思い出を涙ながらに歌い上げるリズム・アンド・ブルース。
繊細で悲しげな歌詞と爽やかなメロディのコントラストが印象的で、聴いた後にはどことなくすっきりするはず。
NHKの「みんなのうた」を思わせる、ほんわかした曲調のマーチ。
「トエト」とは、「えっと、えと……」の略であり、曲中に登場する少女の名前でもある。
このトエトの「恥ずかしがり屋で思ってはいるけれど口に出せない」という悩みを吐露したのがこの曲。
そのキュートであたたかな世界感が人気を呼び、後に沿岸バスの駅メロに採用されることに。
ミク、GUMI、IA、リンとの合唱曲。
ルカの本領である「気だるく妖艶な歌声」をフル発揮した、アダルトな楽曲。
冒頭で喘ぎ声が挟まるので、視聴の際には周りに注意。
昭和の風情を漂わせる、オシャレでクールな演歌。
和の世界感全開の曲調とルカの歌声が見事にマッチしており、ハマれば正に「聞き惚れる」感覚を味わえる。
ちなみに、ボカロ曲で演歌系の楽曲というのは非常に珍しく、その中で特に人気なのがこの曲である。
∞外部出演
不遇。
例にもれず「初音ミクのバーター」として他所に連れられていくパターンが大半であり、巡音ルカ個人が注目される機会はごく少ない。
そのうえ、初音ミクとのコラボがうまくいった時の2番手にはたいてい鏡音リン&鏡音レンが選ばれる為、その枠でもあぶれがち。
そのため、彼女が登場するイベントは「ピアプロキャラクターズ」としての登用がほとんど。
初音ミクコラボの二回目に実装された。
二番手になりがちなリンレンは初回コラボ時から実装されている。
また、レアキャラクターにネコがコスプレをしたネコルカがいる。某曲を意識してかマグロを持っている。
バスの到着時メロディが「トエト」になる、「トエトのレトロなメロディバス」が運行されていた。
VOCALOIDコラボでミクと同時に実装された…のだが、プレイアブルではなくボス敵としての実装。VOCALOIDコラボの楽曲では必ずボス敵として登場する。
背景のみの出演であるMEIKOやKAITOに比べたら扱いは良いのかも知れない。逆にルカは背景出演がない
本作オリジナルアレンジの衣装で登場、トランペットやホルンからノーツを発射する。タコ型ノーツもあるよ、やったね!
突進攻撃はまるで抱きつきに来るように見えるので思わず受け止めたくなるが、接触するとダメージを受けてしまうのでしっかり迎撃しなければならない。
VOCALOIDコラボ第二弾ではルカを使用した楽曲「Someday'z Coming」が実装された。
追記・修正は、渾身のエンジェル・スープレックスを耐えきってからお願いします。
- たこルカからの『讃えよ!海産物(主にタコを)』 -- 名無しさん (2024-10-09 01:05:08)
- 代表曲にナイトフィーバーとマグロフィーバーは入れてもいいかしら? -- 名無しさん (2024-10-09 08:10:56)
- スーパーパック版のパッケージでは何故か胸が一部露出した衣装デザインになった。 -- 名無しさん (2024-10-09 08:44:16)
- 令和の世になって漸く記事出来たのマジ? -- 名無しさん (2024-10-09 10:31:22)
- ライダーさん?(中の人繋がり) -- 名無しさん (2024-10-09 11:49:30)
- アニヲタwikiのボカロの項目は東北ずん子関係が妙に充実しててクリプトン製はミク以外項目がないという状況だった -- 名無しさん (2024-10-09 11:56:57)
- オリジナル曲だと時のオルゴールが大好きなんだけどなあ -- 名無しさん (2024-10-09 13:59:15)
- 今調べてみたら声の主たる浅川悠さんも項目なかったわ、ミクやリンレンの中の人より長くやられてる方なのに -- 名無しさん (2024-10-09 14:13:28)
- ↑確か前までは項目あったけど文字数不足で消された。 -- 名無しさん (2024-10-09 16:30:33)
- 持ち物はマグロで決まったものなんかと思ってた。 -- 名無しさん (2024-10-09 17:51:57)
- 登場した頃にモデルの中の人が離婚したという悲しきニュースからジョジョのキャラからのネーミングで涙目ルカと呼ばれてた歴史 -- 名無しさん (2024-10-09 18:26:50)
- アームカバーにYAMAHAのシンセサイザー・VL1&VP1の意匠が見られる。マシンの内部で自然楽器の発音構造を再現し、リアルな音を出すバーチャルアコースティックな機材。さらにはトランペットのマウスピースとバイオリン弦・胴体を合体する……といった実在しない架空の音まで鳴らせたりできる代物。ちなみに販売当時からお値段は超高価 -- 名無しさん (2024-10-09 21:06:43)
- ↑あれだよね、物理モデリング音源だよね?PCMサンプリング音源に比べて音のリアルさも容量の軽さでも勝っているという一見すると夢のような規格だったが、指摘のとおり値段が高いのと操作が難しかったのとで全然普及しなかったっていう…。今の時代なら、物理モデリングを用いた音源やエフェクターはもう結構当たり前になっちゃったのかな。 -- 名無しさん (2024-10-10 01:19:29)
- 巡姫舞踊曲もルカの代表曲だと思ってたけど違うのか… -- 名無しさん (2024-10-10 11:25:54)
- 作者のwowaka氏が(おそらく唯一)巡音ルカを使用した楽曲であり、←アルバムにミクルカ曲がまだあったりする -- 名無しさん (2024-10-25 11:34:54)
最終更新:2025年05月29日 19:13