小鞠知花(負けヒロインが多すぎる!)

登録日:2024/10/20 (曜日) 03:00:00
更新日:2025/02/19 Wed 17:36:03
所要時間:約 14 分で読めます







「つ、続きちゃんと書け。評価、付け直してやるから」




出典:負けヒロインが多すぎる!、10話『さようならには早すぎる』、2024年7月~9月まで放送。
A-1 Pictures、アニプレックス、小学館「ガガガ文庫」、©雨森たきび、マケイン応援委員会





小鞠知花とは、雨森たきびによるライトノベル作品『負けヒロインが多すぎる!』の登場人物。

【プロフィール】

誕生日…3月29日
身長/体重…148cm/41kg
マイブーム…妹と絵本を作る
好きな豊橋グルメ…うずらの卵(茹でたやつ)*1
子供のころの夢…本を書く人になりたい
CV:柴田芽衣(オーディオブック版)/寺澤百花(アニメ版)


【人物】

本作の顔である「負けヒロイン」の一人。
ツワブキ高校1年→2年で、主人公・温水和彦の所属していることになってた文芸部の仲間。1年時は和彦らとは別クラスだったが、2年生からは檸檬以外とは同じクラスとなった。
自身に優しく接してくれる部活の先輩に恋をし、合宿で告白するも玉砕した「負けヒロイン」で、文芸部の活動に出席するよう和彦のクラスまで呼びに行ったのが出会いのはじまり。

茶と赤の中間くらいの一つ結びをした髪型で、登場人物の中でも特段小柄な少女。
当然杏菜や檸檬等他負けヒロインズよりも目に見えて低く、2歳年下の佳樹には勝っているとはいえそれでも+1cmの僅差。
ついでに普段の制服もシャツをスカートから出しており、より小柄さが目立つようになっている。
小さい身体らしくかなりの小食で、普段の昼食も安くて楽なバターロールや弟妹が食べていたであろう菓子パンの残り等がメイン。
家の事情もあるのか高級品にも縁がないらしく、檸檬の祖母宅では初めてのイクラやアワビに舌鼓を打ち、アニメ最終話では杏菜の一万円札を「初めて見た」とも発していた。*2
登場人物の中でもお小遣い事情がリアルに描かれており、財布と相談をしてどら焼き(アニメではカヌレ)を諦めたり図書カードで買う本を吟味したりと高校生の生々しい買い物姿を見せている。

超が付くほどの人見知りで、人とのコミュニケーション全般を大の苦手をする所謂コミュ障。
それも話しかけられたら最低限の返しは可能な和彦とは違い、話し始めると慌てて言葉が詰まり、ドモって舌足らずになってしまうほど。
さらにコミュ障らしく声量の調節もままならず、デフォルトで声が小さくやや早口…かと思えば急に大量に唾が飛ぶほどの大声になったりする。
口頭で限界になったら、スマホを使い文章を打って会話をし出す。
原作でも知花の台詞には他のキャラと比べ句読点が多く、アニメでも寺澤百花氏の熱演でどもった喋り方が見事に再現されている。
アニヲタ的に言えば数年前に有名人になった某ギタリストよりは0.5段階ほどはマシ…な程度か。
コミュ障であると同時に根っこが臆病なため、動きが怖い夢子や諸々癖がありすぎる小抜先生等に出くわすと野良猫の様に机の下等に逃げて動かなくなる。

そのような事情もあり和彦同様友達が一人もいないぼっち。
知花のクラスの描写が皆無なまま進級したため具体的にどんなポジションだったかは不明だが、少なくとも文化祭のクラス準備の際に、和彦でさえ最低限役割が割り振られていたが知花には終ぞ割り当てられることすらなかった。
さらに、むしろ一人が好きで事なかれ主義な達観系ぼっちな和彦とは違い、知花は一人でいることに心を痛める普通の少女。
教室では居場所がないと感じており、所謂「便所飯」を経験したことも…。和彦にその話をしてからはいつもの非常階段によく来るようになった。
休み時間のたびに学校内を回っているため、和彦同様学校の水道にも詳しい。

そういう性格故か読者目線では十分可愛らしい見た目ではあるが、知花自身は自らにコンプレックスを持っている。
クラスカースト上位且つ中身はともかく見た目は美少女でもある杏菜が文芸部に入部したての頃も複雑な感情を抱いていた。

所謂腐女子でもあり、部室でもそういった作品をよく嗜んでいる。元々好きなのか古都に毒された結果なのかは不明。
知り合いのナマモノでもいけるらしく、作中でも和彦を「受け」として彼が草介や光希に呼び出された際にも腐った妄想を巡らせていた。

部活動は文芸部に所属。それも後から入部した他負けヒロインズと違い、最初から入部していたオリジナルメンバー。
文芸部唯一の1年と言うこともあり、和彦のクラスまで部活へ来るよう通告係を任されたりされるが、部長・副部長の先輩二人からは可愛い後輩として寵愛を受けている。
他負けヒロインズより部活動にも熱心で、文化祭では千早に心から褒められるほどの原稿を執筆していた。
どうやら文芸部員の中でも取り分け文才があるようで、小説投稿サイトへ載せている自身の作品も総合8位にランクインするほど好評を博している。
執筆している作品は短編集、悪役令嬢もの、古都の遺志を一部受け継いで三島と太宰(順番が重要)の異世界転生もの…と文芸部内でもバラエティに富んでいる。
小柄な見た目に諸々の事情でやや幸薄な雰囲気を感じ取るのか、部活では先輩・同級生問わず可愛がられている。

友達がいない知花にとっても文芸部は学校で唯一の居場所と言えるほど大切にしている。
同時に二人がいなくなった後にまた一人になる事を内心恐怖しており、最初の頃は言われてやっと来た和彦や元々クラスの人気者の杏菜・檸檬さえ完全には信頼していなかった。
そのため3年生が引退後の新部長に任命された際には、一人の力でやっていくことに拘るようになる。
しかし任命されたところで元来の人見知りが治るはずもなく、実際は定例会も報告一つ満足にできない状態だった。
活動報告の練習に付き合っていた和彦も心配し代理に立候補するが、溜めていた感情が爆発し和彦の手を拒絶してしまうことに…。

家族構成は現在判明しているのは母・弟進・妹陽奈の4人家族。
可愛らしい見た目とは裏腹に弟と妹がいる長女で、家では仕事に出ている母に変わって幼い弟妹の世話をする良きお姉ちゃんとなる。
知花自身は弟妹を「チビども」と呼んでおり、普段の言動にも絵本の読み聞かせや虫取り等二人の喜ぶことは率先してあげる等非常に可愛がっている。
弟妹の世話をしている故に簡単な料理や怪我の治療もお手の物で、作中でも杏奈の女子力皆無な小麦粉焼きを差し置いてクッキーを作ったり和彦の手をすかさずハンカチで拭き取って絆創膏を付ける等控えめながら女子力を見せる。
過労で倒れた知花を小鞠宅へ送迎した際に和彦とも会っており、最初は初対面故に警戒するものの知花の友達と知ると顔を輝かせ駆け寄って来た。
これを見た和彦も「うわ、なにあの可愛い生物」と素直に可愛らしく思っていた。
父親の存在が全く語られない・母親は仕事をしていて知花が兄弟の面倒を見ている・お小遣い事情がシビアなことから、片親説が濃厚とされている。


【主な人間関係】

■温水和彦

本作の主人公にして、同じ中学出身で1年時のクラスメイト。
読者的には杏菜といる場面を多く見ているため勘違いしがちだが、実際には教室では殆ど絡まず部室も毎日来ているわけではなく非常階段にも杏菜が呼んだ場合しか一緒にいない。
そのため実質的にはほぼ毎日部室に顔を出し、非常階段にも頻繁に来ている知花の方が和彦といる時間が長いことになる。
ぼっちな陰キャ同士と言うことで、サワガニだのクワガタだの妙なところで波長が合う場面も多々ある。
和彦の小説も毎回しっかり読んでおり、辛口ではあるものの律儀に評価と感想も怠らない。
今まで異性に言い寄られたことがないのか和彦への反応が特に敏感で、和彦の何気ない言動にも頻繁に顔を赤くさせ「うなっ?!」「ふぇっ?!」と可愛い(by和彦)悲鳴を上げる。
同時に、容赦なくデリカシーに欠ける発言をかまされては「し、死ね!」と悪態を付くのもお約束と化している。
…とまぁ実際は絵に描いたようなツンデレで、悪態は付きながらも心の中では心配していたり、小説に感想を書いたりと強い信頼を見せたりしている。

前述の新部長になって初めて出席する定例会の練習中に口論となり和彦の言葉に拒絶してしまい、定例会当日に見せた和彦のとある捨て身の策にさえ怒りをぶつけてその場を後にする。
その後追いかけた先の非常階段で知花の積もり積もった涙混じりの感情全てを聞くこととなり、和彦も知花に自身の本音を打ち明けることに。
二人が文芸部のグループトークで話していたことから意図せず杏菜・檸檬にも聞かれることになるが、二人の想いは無事お互いに伝わり、はにかんだ笑顔を見せるのだった。

恋愛方面では本人は否定しているが、一つ命令できる際に自身の頭を撫でさせたり『友達どまりの彼に、あなたを死ぬほど意識させる本』『地味な顔立ちでも気付かれずに変身できる ~60日のメイクレッスン』なる本を買ったりと確実に意識はしている。
バレンタインには、温水邸で作ったものとは違う「赤いハート形」のチョコを「試食」させている。
本人曰く慎太郎のときとは違うらしいが、それを聞いた檸檬は「それ、好きとは違うの?」と素直に疑問に思った模様。
また、恋愛方面とは別に和彦が誰かから言い寄られたり連行される姿を見ては腐った妄想を巡らせ、ナマモノの同人誌にも手を出している。
なお、知花的には和彦は『受け』とのこと。


■八奈見杏菜

文芸部の仲間にして負けヒロイン仲間その1。
初対面時こそ文芸部部長且つ古都の幼馴染の慎太郎に恋をしていたことから「泥棒猫」呼ばわりされたが、合宿を通してすぐに打ち解ける。
その後も先輩らが引退、檸檬は陸上部、和彦は別件と言う形で部室に取り残される場面も多々あり、2人で行動することも比例して多くなる。
特段目立った絡みは無いが、何だかんだ同じ負けヒロイン文芸部員として仲良くやっており、2年生になった頃には2人でエアホッケー対決に興じたり温水邸まで赴き和彦に詰め寄ったりと意外と気が合う場面を見せている。
同時に、杏菜の常軌を逸した食欲や謎理論にツッコミを入れがち。


■焼塩檸檬

文芸部の仲間にして負けヒロイン仲間その2。
入部のきっかけになった玉砕時は場の空気を察して即帰ったため、その後の合宿が初絡みとなる。
杏菜と和彦が一緒に行動することが多いからか、必然的に檸檬と知花も一緒になる場面が多々ある。
初対面の時点で一回も海に入ってない知花を背負って海に飛び込んだり、焼塩メソッドなる脳筋プランニングを叩き込まれながら走りに付き合ったりと、檸檬のアグレッシブさにへとへとになりがち。
しかし接していくうちに打ち解けていき、今ではお互いに大切な友達と認識している模様。
さらに和彦と退部を賭けた競走をすることになっても、勝手に勝負をすることに関しては怒りながらも「友達、だから!」の一言で檸檬の応援を取る友達想いな一面も見せる。*3


■温水佳樹

和彦の妹。初対面はバレンタイン用チョコを温水邸には訪れた際と結構遅め。
文化祭時に和彦と回っている姿を目にし、杏菜との関係を確認するつもりが知花との関係にも注目を始めた。
佳樹自身も「守ってあげたくなる女子に心惹かれないとも限りません」と二人の関係を分析していた。
前述の温水邸に訪れる途中で豊橋鬼祭*4の粉を浴びてしまい、急遽温水邸でお風呂に入るイベントが発生する。
そして佳樹の策略により、着替えとして和彦好みのゴスロリファッションを着せられることに。


■玉木慎太郎

文芸部部長にして知花の想い人でもある3年生の先輩。
先輩らしく知花には一貫して優しく、慎太郎自身もたびたび頭を撫でるほど可愛がっていた。
日頃から想いを募らせていたが、合宿の際に花火から身を挺して自身を守ってくれた際に想いが爆発し告白。
「少し考えさせてくれ」と一旦保留にするが、その間に古都が帰ってしまうのを呼び止め、去年のクリスマスのすれ違いを解いて古都と結ばれることに。
その後知花には改めて断りを入れに来て玉砕。負けヒロインに仲間入りとなった。
知花もかすれた声で涙を流しながらの痩せ我慢混じりではあるものの「部長が考えて、くれた。私と、つ、付き合うこと真剣に考えて、くれた」告白そのものは真摯に受け止めてくれたこと自体には感謝していた。
文化祭終了時の教室での和彦との会話でも「──部長のこと、好きになって良かった」と心から言えるようになり、告白したことも振られたことも後悔してないことが見て取れる。
以降は受験勉強に集中しているのもあり出番と絡みが減少するが、慎太郎が国立に合格した際には泣きながら和彦のクラスまで伝えに来た。


■月之木古都

文芸部副部長にして慎太郎の幼馴染兼恋人でもある3年生の先輩。
唯一の後輩と言うこともあってか知花のことは溺愛しており、知花も趣向が合い積極的に絡んでくる古都には懐いている。
また、普段から腐女子談義をする悪友のような仲でもあり、様々なカップリング論争をしているが攻め受けの好みはあまり一致することが無い。
知花の告白後に慎太郎と打ち解けて交際することになる、言ってしまえばその場で知花の想い人を奪っていったことになるが、知花自身は古都を全く怨んでいない。
慎太郎に振られた際にも「ちょっとの間だけ、月之木先輩に、勝った」と言っていたことから、自身が古都に勝てないことはある程度察していたのかもしれない。
告白翌日の朝にはバツが悪そうな古都に「あ、あの、明日からも部室、来てください。せ、先輩いないと、寂しい」と吐露。
二人とも慎太郎を好いていたのは事実だが、例え目の前でそれを奪われる形になっても、知花にとっては古都も大事な存在であることには変わりなかった。
その後も本長篠へのドライブや和彦・檸檬デートの尾行等相変わらず知花とは仲良くやっている。
この人も受験生なはずなんだが…

余談だが、慎太郎自身は見た目・中身ともに中々の好青年で本来は女子からもかなりモテるのだが、古都が周りでブイブイ言わせてたようで他の女子を寄り付かせないようにしていた。
おかげで慎太郎も自身がモテないと勘違いしていた。


■志喜屋夢子

生徒会書記の屍系ギャル先輩。直接話すこと自体は少なく、夢子がちょくちょく文芸部に来るときに顔を合わせる程度。
知花は彼女に対して大層恐怖心を抱いており、上述の通り野良猫の様に机の下等に逃げて動かなくなる。
とある事情で二人きりになってしまった際には固まってしまい、そこに夢子と因縁のある古都とも出くわしてしまい…。


■姫宮華恋

杏菜の親友にして怨敵の勝ちヒロイン。知花とは別クラスで対極の位置にいる陽キャなため初絡みも6巻と遅め。
和彦が檸檬と何かあったと早合点し、杏菜と共にいつものファミレスまで連れて行かれた際に杏奈に3人目の裁判官として呼ばれた際に初顔合わせとなった。
最初はいつもの人見知りが発動し観葉植物の陰に隠れていたが、和彦に連れられて同席させられることに。
案の定華恋のキラキラオーラに萎縮しまともに会話にならなかった。ついでに呼び出した杏菜への好感度もスマホ越しでの会話になるほど下がった。
と言うか和彦と檸檬の問題なのに完全に部外者の華恋がいること自体疑問があったようで、和彦にスマホのメッセで『なんでこの人、ここにいるの?』とツッコんでいた。
2年進級時に同じクラスになり、杏菜も合わせた3人でじゃれ合っていた。


■白玉リコ

2年生に進級した後に文芸部に仮入部した、1年生の後輩にして新たな負けヒロイン。
いつも通り人見知りが発動し暫くは会話もままならず、イオンモール豊川での買い物時もあたふたしていた。
当然人見知りな知花がまともに話せるはずもなく、面談の際も自ら入室すらできず碌に会話しないまま退室した。
私怨と嫉妬心丸出しでリコに懐疑的だった杏菜とは違い、リコの1年生からの評判や停学の理由を聞いた上で「で、でも、悪い子じゃなさそう……」「て、停学は終わったし、そこにこだわるのはあんまりよくない──」と意外にも客観的にフォローできる視野の広さを持ち合わせている。
後にリコの計画に付き合うことになり、現場の結婚式場の観察和彦等が窮地に陥った際の捨て身を仕掛けることに。


【主な台詞】

・「お、大人の人生、つらい…」

・「ぶ、文芸部、可愛い子が、く、来る部活、違う」

・「わ、私……ご、強引にグイグイ来られると、な、なんか断れない……」

・「す、少しくらいは、褒めさせろ」

・「ゾ、ゾウミジンコ……ボルボックス……カ、カンピロバクター……ふ、ふふ……」

・「ぬ、温水。お前は、いつも人のことばかり心配してる、から」「だ、だから、お前のことは──私に心配、させろ」

・「わ、私たちを裏切ってまで!そこまでして、欲しいものがあるんなら!手伝う、だろ!友達、だから!」

・「も、モテてから言え」

・「ね、猫にわびろ」

・「こ、こっちこい、コレ!」

・「さ、殺意を、こめろ」


【余談】

作者の雨森たきび氏によると、杏菜・檸檬とは明確に差別化するために生み出されたキャラクターとのこと。
前述の2人が中身以外は正統派の美少女なので、どもって喋ったり、毒舌だったりと少し癖のある負けヒロインに加えたかったらしい。
どちらかと言えば和彦寄りのキャラなため、女版主人公とも言える存在かもしれない。


追記・修正は小説家になろうで総合8位を取ったことある人でお願いします。

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最終更新:2025年02月19日 17:36
添付ファイル

*1 豊橋市はうずら卵の全国有数の名産地でもある。愛知県自体が全国の約70%、豊橋市はそのうち約85%、実質的に全国シェアの約50%を占めている。元々豊橋では養鶏自体が盛んで、うずらを育てる環境も全国でトップクラスに整っている。

*2 ただし杏菜が出したのはアニメ放映時期に発行開始された渋沢栄一肖像の新一万円札だったため、一万円全般ではなくあくまで「新一万円札」を初めて見ただけと言う可能性もある。

*3 当然二人が抜ければ人数が不足気味な文芸部の維持は難しくなってしまう。それはせっかくできた知花の居場所を壊しかねない行為であると強い罪悪感を抱いており、知花が会いに来るまでまとも向き合えなかったほど。本人は罵倒されることも覚悟していたようだが、知花の言葉を聞いて涙を流していた。

*4 豊橋の安久美神戸神明社にて毎年2月10日・11日に亘って行われる、国指定重要無形民俗文化財にも指定されている祭り。鬼に扮した人が小麦粉やタンキリ飴をばら撒きながら歩いていき、この粉を浴びて飴を食べると無病息災のご利益があると伝えられている。タンキリ飴とは大豆・胡麻・生姜などを混ぜた固飴を平たく薄く引き延ばし、長さ約2cmに切ったもの。