ステアーACR

登録日:2024/11/16 Sat 02:37:39
更新日:2024/11/20 Wed 13:05:00
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ステアーACRとは、1990年代に米国で開発された試作型アサルトライフルである。


▼概要

本銃はアメリカ軍のACR計画に基づき開発された試作型アサルトライフルの1つで、オーストリアの銃器メーカー、シュタイアーマンリッヒャー社が設計開発を担ったもの。

■ACR計画って何だよ

Advanced Combat Rifle programの略。
ベトナム戦争時代の1960年以来米陸軍の主力小銃の座を担ってきたM16自動小銃だが、流石に30年が経ち、耐弾性に優れたケブラー繊維製のボディアーマーが普及した1990年代では5.56x45mm NATO弾を撃つ本銃の性能も陳腐化し始めていた。またM16自体連射速度が900発/分と速めでフルオート時に弾がバラけやすく、遠距離での命中率がいまいちという欠点があった。
ベトナム戦争のように遮蔽物が多く、交戦距離が近くなりがちなジャングルでの撃ち合いならこれでも大丈夫だったのだが、
湾岸戦争以降は戦場も多極化し、特に開けた砂漠のような見通しの良い場所だと単純に射程の長い銃の方が有利になるため遠距離の命中率の悪さはかなり重大な欠点になる。
このため、米陸軍は特に命中精度の向上に重きを置く形でM16の後継銃の開発を企図。次世代戦闘用小銃(Advanced Combat Rifle)開発計画がスタートされる事となった。

▼設計

さて、

●遠距離における良好な命中精度
●ボディアーマーに対する貫通力

という2つの課題の解決を求められたACRなのだが、この2つはある意味矛盾する性質を持っており、解決は容易ではなかった。
それには「弾」が持つ性質が深く関係している。

弾が発揮する破壊力は幾つかの要素が相互に関係し合う事で決まるが、端的に言うと重い弾を高速で発射できればできるほど高い破壊力を発揮できる。いくら速くても紙切れが当たった程度では痛くないし、いくら重くてもゆっくり押し当てられる程度では何のダメージにもならないのだ。

●弾の速さ
弾が速いとどのようなメリットがあるのだろうか?
すぐに分かることだが、同じ重さの物体が衝突する場合、速度が速いほうが当然運動エネルギーが大きいということであり、ぶつかった時の破壊力も高い。
また発射から着弾までの時間が短縮されることで弾道が乱れる前に当たりやすくなり、また動いている相手を撃つと考えた場合でも、相手が大きく動く前に命中させられるようになるため、命中率が高まる。
さらに運動エネルギーに余裕があれば当然遠くまで弾が飛んでいけるということであり、相手に高い命中率で大きなダメージを与えられる射程距離、有効射程が伸びることになる。

●弾の重さ
では弾が重いとどうなるのだろうか?
同じ速さで動くと考えた場合、運動エネルギーは質量×速度の2乗に比例するため、重い方が激突したときの衝撃力が大きくなる。野球ボールを投げつけられるのと、同じ速さで鉄製の砲丸をぶつけられるのとでは破壊力が全く違うことは想像できるだろう。
また空中を飛翔してぶつかる弾丸の場合、弾頭が重いと横風の影響を受けづらく、弾道が乱れにくいという利点もある。

銃においてこれらの要素をより理想に近づける上では、以下の要素が関わってくる。

  • 1:装薬量
何のことはない、火薬の力で飛ばすのだから火薬の量を増やせば放出されるエネルギーが増えるので弾を高速で飛ばせるわけである。しかし無計画に装薬量を増やすと余ったエネルギーは強烈な反動を生じ、連射時の命中精度の悪化や射手へのダメージを招いてしまう。

  • 2:口径
弾の太さ。同じ長さの弾なら、太いほうが当然体積は増えるのでより弾は重くなり破壊力が増す。また火薬の燃焼ガスを受け止められる面積が広くなり、燃焼ガスのエネルギーをより効率よく弾の運動エネルギーに変換できるようになる。さらに薬莢が太くなるため、より装薬量を増やすことができる。*1
一方大きな弾薬は当然マガジンの容量を圧迫するため装弾数は少なくなり連射力は悪化する。
また重い弾を高速で飛ばそうとした場合、反作用によって生じる反動も比例して大きくなってしまう。

  • 3:バレルの長さ
詳細はブルパップを参照。バレルが長くなると火薬の燃焼ガスのエネルギーをより効率よく弾の運動エネルギーに変換できるようになる。一方でバレルが長いと当然取り回しは悪化する。

  • 4:空気抵抗
バレルから飛び出したあとは当然空気抵抗を受けて弾は減速してゆく。そのため、空気抵抗を可能な限り減らし、着弾までの運動エネルギーのロスをどれだけ抑えられるかが弾の威力と命中率、射程距離に密接に関係してくる。
この場合、正面から見た場合の面積が狭い小口径弾の方が空気抵抗を受けづらいのでロスが少なく有利になるが、一方弾が小さくなるので破壊力は頭打ちになりがち。


…勘の良い方ならもうお気づきかもしれないが、これらの要素は互いに矛盾し合う関係にある。どれか一つを突き詰めようとすると、必然的に他の要素が犠牲になってしまうのだ。

弾の速さを考えた場合、単純に火薬の量を増やせば速くなるように思える。
しかし火薬が燃焼してから弾が加速し切るまでにはタイムラグがある。弾が加速し切るまで燃焼ガスを封じ込め続けるためには相応に長いバレルが必要になり、取り回しは悪化してしまう。
だがもし装薬量に対しバレルの長さが足りていなければ、弾の加速が不十分になり本来の威力を発揮できないばかりか、余った火薬のエネルギーは強烈な反動とマズルフラッシュになって射手に跳ね返ってくる。
エネルギーロスが生じる事を前提にもっと装薬量を増やせば時間あたりのエネルギー入力量が増加するため加速の問題は解決できるが、その場合前述の余剰エネルギーによる反動が更に悪化し、しかもあまりに強すぎる燃焼ガスの腔圧にバレルが耐えきれず破裂する大事故に繋がる危険性を孕む。単純にパワーでぶっ叩けば良いという物ではないのだ。

なら口径を細くして空気抵抗を減らす方向ならどうか?
たしかに運動エネルギーのロスは抑えられ、高速で発射できるが、今度は逆にエネルギー入力効率の悪化という壁が立ちはだかる。口径の項でも触れたが、バレルの中では弾が太いほうが効率的に燃焼ガスの運動エネルギーを受けられるのだ。
例えば重い荷物の乗った台車があったとして、手のひら全体を使って押し出すのと、指一本だけで押し出すのとどちらが楽だろうか?当然手のひらで押し出す方がより強く力を込められ、短い時間で一気に台車を押し出せるはずだ。指一本で同じことをしようとした場合、ゆっくりと力を込めて時間をかけて少しずつ加速させていくことになるだろう。
これを弾に置き換えてみると、小口径の弾は燃焼ガスを受け止められる面積が狭く、エネルギー入力の効率が悪いということになる。もし小口径の弾を十分に加速させたければ、バレルを長くして加速時間を稼ぐか、あるいは装薬量を増やしてエネルギー総量を増やすしか無い。
しかしそこにも口径を絞ると薬莢が細くなり火薬を詰められる量が減るという矛盾が立ちはだかる。この矛盾を解決しようとした結果、ライフル弾は火薬の入る根本の部分だけ太くなったボトルネック形状の薬莢になったのだ。こうすれば弾頭が細くても大量の火薬を詰めることができ、短い時間で大量のエネルギーを一気に入力するという方法でこの問題を解決できるのである。*2
だがここまでしても、今度は口径が小さいと弾が軽くなって破壊力が頭打ちになるという問題に直面してしまう。

では弾の口径を太くして打撃力を増すのはどうだろうか?
この場合、今度は空気抵抗や重力の影響を受けやすくなり、射程距離や命中率が大幅に低下してしまう。遠くまで弾が届くのが銃のメリットのはずなのだからこの欠点は致命的だ。パワーが高くても敵のところまで持続させられなければ意味がないのである。
また先述の通り、運動エネルギーは質量×速度の2乗に比例するため、運動エネルギーを高めるなら質量を増やすより速度を増したほうが効率が良い。

以上の内容を総合すると、

射程距離と命中率を高めるために高初速の小口径弾を採用しようとすると破壊力がガタ落ちしてしまう。

破壊力を確保するために大口径弾を使おうとすると今度は射程距離と命中率がガタ落ちする

上記の問題を解決するために無闇矢鱈と装薬量を増やすと、今度は強烈な反動による命中精度の悪化や安全面での問題を招いてしまう

↑を補うためにバレルを延長すると今度は取り回しが悪化して更に扱いづらくなる

という矛盾に陥ってしまうのである。本来一般的な銃はこの矛盾を念頭に置いたうえで、各銃が使用されるシーンにおいて最適なパフォーマンスを発揮できるようにバランスを取って設計される。

例えば短機関銃なら接近戦で使う関係上、過剰な射程距離や破壊力は不要になるため、それらを切り捨てて低反動で扱いやすい弾を採用し、取り回しを優先した短いバレルを有している。
逆に狙撃銃や重機関銃などはとにかく破壊力が求められる上に基本的に持ったまま撃ち合いをすることは想定する必要がないので、装薬量の多い大口径弾とその強みを活かせる長大なバレルを採用している。

アサルトライフルはちょうどその中間に当たる銃種であり、どっちか一方に尖った設計にすればいい上記の銃と違って、破壊力と命中率を両方ともバランスよく備えていなければならない。設計するうえで非常に繊細なバランス取りが求められるカテゴリなのだ。

遠距離で良好な命中精度を備え、さりとて破壊力も確保したい。この矛盾した要求を満たすために、シュタイアー社はある弾薬に答えを求めた。

▼APFSDS弾

APFSDS弾、日本語に訳すと装弾筒付翼安定徹甲弾とは、文字通りサボット(装弾筒)に包まれた安定翼を有した徹甲弾である。弾頭単体だと弾の尾部に空中姿勢を安定させるための翼がついた非常に細長い矢かダーツのような形状*3をしており、サボットごと発射され、バレルを飛び出すと空気抵抗によりサボットはパカッと割れるように外れて、そのまま矢状の弾頭部分だけが飛んでゆく構造になっている。

なぜこのような構造になったのかというと、それには前項でも述べた、「弾の口径と空気抵抗」が大きく関わってくる。
サボットに包まれた弾はバレルの中では「太い弾薬」として振る舞う。つまり燃焼ガスを受けられる面積が広くなることで燃焼ガスのエネルギーを効率よく受け止め、弾の初速を大幅に高めることができる。
一方でサボットは発射されたあとすぐに弾から外れ、その後は矢弾がむき出しになる。矢弾は非常に細いため前方からの空気抵抗を受けづらく、高い運動速度を保ち続けることで遠距離の相手にも高速で激突させることができる。
つまり「大口径の弾薬のエネルギー入力効率の高さ」と「小口径高速弾のエネルギーロスの少なさと命中安定性」を両立できる理想的な構造なのだ。*4
もともとこれは戦車装甲を貫通して破壊するための砲弾用の徹甲弾頭として1960年代頃に開発されたものだったのだが、シュタイアー社はこの砲弾を小銃弾サイズまでダウンスケーリングして採用するというトンデモ設計に活路を見出す。

▼特徴

外観はシュタイアー社が以前開発していたブルパップ式アサルトライフルのAUGに酷似した外観だが、非常に特殊な弾を使うため内部構造は全くもって違う異様なものとなっている。
作動方式はガス圧利用方式のショートストロークピストン式というありふれたものだが、細長い矢弾を発射する関係上どうしても弾が前後に長くなるので、チャンバーに当たる部分がまるでエレベーターのように上下しながら排莢と装填を繰り返すという非常に気持ち悪いシステムを採用してスペースの問題を解決している。
つまりチャンバーとボルトが同一軸上になく、閉鎖がボルトではなくチャンバー側の機構によって行われる*5
空薬莢は後ろからボルトによって押し出されてきた次弾によって押し出され、斜め下方向に排莢される
単射と3点バーストが切り替えられ、バースト射撃時の連射速度は1200発/mと非常に高速。弾頭初速も1450m/sと非常に高速で、これはM16に使用される5.56x45mm弾比で実に1.5倍という速さ。
またAUGと同じくポリマー素材を採用し、全長を短縮できるブルパップ方式と相まって軽量で取り回しも良好だった。


肝心の性能だが、結論から言うとシュタイアー社の目論見は成功した
フレシェット弾は高い初速と細い形状によりかなりの遠距離からでも命中しさえすれば極めて高強度のボディアーマーを貫通して殺傷する性能を発揮してみせたのだった。


















だったのだが…

▼山積する問題


もともと戦車のような非常に大口径の砲で扱い、ターゲットも主力戦車の装甲という鋼の鎧をブチ抜くことを前提に作られていたフレシェット弾をそのまま小銃弾にダウンスケーリングしたことで様々な問題が発生してしまう。

  • 1:弾の強度
同じ太さの短い棒と長い棒があったとする。棒を地面に垂直に立てて上側を手で握り、地面に向けて力を加えたとき、どちらのほうが簡単に折れるだろうか?
おそらく長い棒のほうが簡単に折れることだろう。テコの原理により力の掛かる力点(握っている手)と支点(地面と接している棒の先端)の間の距離が長いほど作用点となる中央により大きな力がかかるからだ。
フレシェット弾は細長い形状のため、太く短い通常の弾頭に比べてこの問題に直面しやすかった。
戦車砲で使われるような太い弾なら剛性が高いためこの問題はあまり気にならなかったのだが、小銃弾サイズに収まる細さにすると一転、細すぎて弾の剛性が足りず、折れてしまうという問題が発生した。
ステアーACRのフレシェット弾の直径は1.6mm。なんとあの世界最小の拳銃であるコリブリ2.7mm拳銃よりも細いのだ。もはや何も言うまい。

  • 2:殺傷能力が足りない
確かに高初速と空気抵抗の低減を両立することで貫通力を高めることには成功したのだが、問題は貫通力が高すぎたことだった。貫通力が高すぎて人体に当たっても突き抜けてしまうのである。
弾が持つ運動エネルギーの余りが対象に当たった時の破壊力になるのだから、突き抜けるという事は運動エネルギーを使い切れなかったという事であり、当然エネルギーに無駄が生じた分だけ破壊力は劣る。*6
さらに細くすると当然体積が減るため弾体が軽くなり、破壊力を発揮するための運動エネルギーが不足するという問題もあった。戦車砲で使われるような太い弾なら弾体の質量が大きいためこの問題はあまり気にならなかったのだが、小銃弾サイズに収まる細さにすると(ry
弾の役割はただ撃ち抜くだけではなく、自身の持つ運動エネルギーを対象への衝撃力として無駄なく使い切り、確実にターゲットを殺害する事も求められる。装甲への貫徹力を重視したフレシェット弾だが、貫通力と破壊力は別問題であるという欠点が顕になってしまったのである。
しかもこの問題は貫通した弾が意図しない別の物、最悪敵の向こう側に立っていた味方に被弾する最悪の事故を引き起こしかねない危険性まで孕んでいる。
上記の問題を解決するためには、タングステンやタンタルといった非常に固く、しかも重い金属を弾頭の素材にすればいいわけなのだが、これが後述するさらなる悲劇を巻き起こすこととなる。

  • 3:命中精度
確かに弾速を高めれば命中精度を高めることはできるのだが、フレシェット弾はその細長い形状が災いして横風をモロに受けてしまい飛翔安定性を欠くという致命的な欠陥があった。
またフレシェット弾の特徴である安定翼も飛翔時に回転してしまうと左右非対称になってしまいバランスが崩れるため、そもそもライフリングを設けて弾体を回転させ、ジャイロ効果で弾道を安定させるライフル銃と致命的に相性が悪く、更に広い安定翼はこれまた横風にも弱く、弾の前後で重さに偏りがあるせいで横転しやすいという欠点が合わさった結果弾速とは別の問題が生じたことで却って遠距離での命中精度がガタ落ちするという本末転倒な結果になってしまった。戦車砲で使われるような太い弾ならこの問題はあまり気にならなかったのだが、小銃弾サイズに収まる細さにすると(ry*7

  • 4:サボットの問題
アサルトライフルで戦う以上周囲には当然味方兵がいるわけだが、銃口からアッツアツのサボットが飛び出して周囲に散らばるというのでは危険極まりない。
戦車砲なら当然味方兵は戦車の内側にいるのだから問題はないのだがアサルトライフルの運用方法でこれでは(ry
また発射時にサボットがうまく外れない不具合が発生したり、逆に外れたサボットに安定翼が接触してしまい弾道が狂うといった副次的な問題まで生じてしまった。

もうお分かりだろう。上記4つの問題はすべて戦車砲サイズで運用することを前提に開発されていたフレシェット弾を無理やり小銃弾サイズに落とし込んだことに端を発している。そしてこれらの問題はフレシェット弾である限り決して避けては通れない。




ステアーACRは詰んでいたのだ。

初めから。




そしてこの銃がお蔵入りとなる最後の決定的な欠陥が…








  • 5:高い
この銃を制式装備として運用する上で一番の問題。製造コストが高すぎるのだ。
前述の通り1、2の問題を解決するうえではタングステンやタンタルといった重金属を弾頭の素材とする必要がある。
しかしこれらの素材は産出量が限られ、同じ量の鋼鉄に比べても遥かに高コストな代物だった。おまけに硬すぎて普通の設備で切削加工することはまず無理*8な上に融点が非常に高い*9ため鋳造も不可能。こんなものを大量生産しようとした暁には一体どれほどのコストがかかることやら。
大元がウラン濃縮でできる残滓のため原価が安く、重量もタングステンに近い劣化ウランも適した材料になるといえる*10のだが、微量だが放射能を持っていたり、加工性の問題で加工費が高く付くのでタングステン弾と比べてもそこまで安くはならないという問題が発生する。




このような数々の問題を解決したうえで製品化するとなると果てしなく高いコストが掛かることが懸念される。そのくせ肝心のフレシェット弾の有効性はボロクソとなっては目も当てられない。
結果、ステアーACRは同計画で提出された他社のACRもろともM16を置き換えられるだけの有効性は認められないとしてお蔵入りと相成り、ACR計画は頓挫することになったのであった。


▼余談


■他社製品

ACR計画では他にも
  • ケースレス弾を採用したH&K G11
  • 同じくフレシェット弾に着目したAAI社製ACR
  • 普通のM16のように見えるが1つの薬莢に前後2つの弾頭が詰まったトンデモ設計のデュプレックス弾を発射するコルトACR
  • その他詳細不明で1次選考時点で脱落したアレス社、マクダネル・ダグラス社←!?*11の謎ACR
といった面々が一同に会しており、変態銃の見本市のような状態だった。

■懲りない

実はACR計画以前にもアメリカ軍はフレシェット弾の可能性に目をつけていたらしく、サルボー計画、ニブリック計画という計画をブチ上げて失敗するという黒歴史を残している。つまりこれで三度目。えぇ…

■フィクションにて

本銃をモデルにしたと思われる「エヴァンゲリオン専用大口径209mm小銃」通称パレットガン・パレットライフルが登場。
実は火薬銃ではなくレールガンであり、劣化ウラン弾を電磁射出するというこれもまた変わった銃となっている。
見た目もだが、案外中身もリスペクトが入っているのだろうか。
なお後部は弾倉部も含め電磁加速用の機械室となっており、だいたいが使い切りで捨てられている。

追記・修正は机上の空論に陥らないようにお願いします。

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最終更新:2024年11月20日 13:05

*1 ただし同じ量の火薬を燃やすと考えた場合、口径が小さい方が狭い範囲に圧力が集中し腔圧が高くなるので、小口径の弾の方が初速自体は高くなる。あくまで運動エネルギーが=運動速度というわけではない事に注意。

*2 無論その代わり使いきれなかった燃焼ガスのエネルギーが反動として射手に跳ね返ってくるという問題が生じることになるのだが。大口径の拳銃弾よりも小口径の小銃弾のほうがはるかに反動が強いのはこれが理由だったりする。

*3 この特徴的な形状の弾頭からフランス語で「フレシェット(小さな釘)」と呼ばれるようになり、それが通称として定着している。

*4 実際にはこれ以外にも工学的に特に硬い装甲に対して有効になる理由があったりするのだが、それはこの銃とは直接関係がないので割愛

*5 ボルトアクションの銃を見れば分かるが、一般的にボルトはチャンバーの同軸上を前後に動く物である。これはボルトがチャンバーの閉鎖(火薬の燃焼ガスを閉じ込める)と撃発(薬莢の後ろにある雷管を叩いて火薬を発火させる)、空薬莢をチャンバーから後ろに引き抜く役割を持つ部品だからだ。しかしフレシェット弾は非常に長い弾薬であるため、この方式だとチャンバーの後方に長い薬莢が入るためのスペースを確保しなくてはならなくなる上、ストロークの距離が伸びてしまうので発射サイクルが遅くなってしまう。上下移動なら移動距離は弾の口径の分だけで済むため、発射サイクルを高めつつスペースの切り詰めが出来るのだ。

*6 キレイに貫通してしまうと傷が塞がりやすくなってしまい、急所を的確に狙わない限り却って致命傷を与えづらくなってしまうが、弾が体内で止まれば残った運動エネルギーは全て対象への衝撃力へと変換されるため、着弾点を中心に破裂するように非常に大きな損傷を与えられ、致命傷を与えられる確率も高まる。ホローポイント弾はこの現象をより起こしやすくするため、着弾時に弾頭が潰れて食い込むように弾頭部分を柔らかい金属で作り、潰れやすいように中央が窪んだ形になっている。

*7 戦車砲の大口径の弾ならそもそも弾頭重量が重く横風の影響を受けにくい。また当然安定翼の面積も比較にならないほど広いためしっかりと空力安定効果を発揮してくれる。そのため現代の戦車の砲はライフリングのない滑腔砲になっているのだ。シュタイアー社もこの問題は把握しており、銃身内部に安定翼の効果を阻害しない程度の緩いライフリングを刻むことで安定性の足しにしようとしたのだが、効果はお察し。この点においてもACRの設計はマズかったといえる。

*8 一般に戦車砲用フレシェット弾に使われる炭化タングステンのビッカース硬さは約1400。金属としてはぶっちぎりの硬さで、これ以上の物はコランダムやダイヤモンドといった物くらいである。そのため炭化タングステンは粉末を1400℃程の高温で焼き固めて形成して加工する。

*9 タングステンの融点は3380℃。プラチナの約2倍であり、一般的な高炉などではまず融かせない。

*10 実際にアメリカやロシアでは劣化ウラン製の砲弾を運用している

*11 航空機を設計開発しているあの会社である