シュタイヤー・マンリヒャー社(銃器関連)

登録日:2025/09/11 Thu 20:53:29
更新日:2025/09/11 Thu 21:01:23
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概要

オーストリアで新顔のグロックと並ぶ老舗銃器メーカー。
軍用銃を主力として拳銃や競技銃、アウトドア用具の生産を行っている。
米国にもSteyr Armsの名で法人が設立されている。

綴りはSteyr Mannlicherで読みはオーストリアドイツ語準拠ならシュタイヤー・マンリヒャー、英語ではステイアー・マンリカー。
日本ではステイヤー/スタイヤー/マンリカと呼ばれ、遊戯銃界隈ではステアーと呼ばれる。



歴史

本記述ではホームページの沿革ベースに追記など。

1864年にヨーゼフ・ヴェアンドルが設立したシュタイヤーに設立したヴェアンドル銃器工場が源流。
67年にヴェアンドルとカール・ホルブによる後装式単発ライフルがオーストリア軍の主力小銃に選定。
69年にオーストリア兵器工場(EWG)に改称。
84年にヴェアンドル主導で行われた電気工学の研究により、シュタイヤー市電気博覧会(史上4番目の博覧会)が実施。同時に電気インフラなどが整備される。
85年にマンリヒャーが5連発ストレートプルボルトアクションライフルを開発し、M.85としてオーストリア軍の主力小銃に選定。
89年にシステム=マンリヒャー社により合併してシュタイヤー・マンリヒャー社が誕生。
94年には自転車の生産が開始。
1903年にマンリヒャーとオットー・シェーナウアーによりマンリヒャー・シェーナウアーハンティングライフルが開発される。73年まで生産されるロングセラーに。
16年より自動車の生産が開始。戦間期はこちらのほうが主力商品となった。
18年、オーストリア敗戦により銃器生産停止。
26年にシュタイラー ヴェルケにブランド変更。
30年にドイツのラインメタル社とスイスのゾロターン社*1による協力により銃器生産を再開。
34年にダイムラー・プシュヴェルケと合併しシュタイヤー・ダイムラー・プシュヴェルケに社名変更。
38年にナチスのオーストリア占領によりヘルマン・ゲーリング帝国工場に編入される。
45年に解放されるも武器生産停止。
50年に武器生産を再開しマンリヒャー・シェーナウアーも生産再開。
69年にSSG 69ボルトアクションスナイパーライフルを開発。
77年にAUGが完成、ベストセラーに。
89年に武器部門が独立しシュタイヤー・マンリヒャー社となる。
2000年にMシリーズ拳銃を発表。
04年にラーミング渓谷に移転。
18年にモノブロックシステムを発表。
19年に米法人をSteyr Armsに社名変更。
23年にGAMSハンティングライフルを発表。



フェルディナント・リッター・フォン・マンリヒャー(1848~1904)

ドイツ生まれ、ウィーン育ちの銃器設計者。
エンブロック式の固定式ボックスマガジンと回転式弾倉を開発し、現在まで続く連発式ボルトアクションの手本となった。
拳銃(M1894、M1901、M1905)や自動小銃(M1885、M1891、M1893、M1895、M1900、M1905)についても研究していたとされる。


製品

主力小銃

  • ヴェアンドル・ホルブ式小銃
後装式単発ライフル。黒色火薬の11x58mmR弾を使用。M1867として採用された。
  • M.85
ストレートプルボルトアクションライフル。11x58mmR弾モデル。
  • M.88
M.85の無煙火薬の8x53mmR弾モデル。
  • M.90
M.88の8x50mmR弾モデル。
  • M.95
M.90の改良型。
  • AUG

狙撃銃/DMR

SSGはScharf Schützen Gewehr(SharpShooter Rifle)を意味する。
  • SSG 69
マンリヒャー・シェーナウアーに近い構造でグラスファイバー製ストックを装備。SSG 04、SSG 08もおおむねこれの近代化改修版。
  • HS.50
2004年発表の.50BMG弾を使用する単発ボルトアクションライフル。バリエーションであるM1では側面に5連マガジンが追加された。イランでコピーされたAM-50 Sayyadが存在。
  • DMR 762
AR-10スタイルのDMR

拳銃

  • ショーンベルガーピストル
1892年試作の自動拳銃とされる。モーゼルのC96に似たような形式で、トリガーガード前方にクリップ装弾するマガジンが装備されている。
  • M1912/M.12
1911年開発の自動拳銃。チェコ人設計者カレル・クルンカによるM1907をベースとした設計で、ローテートバレル式ショートリコイルでグリップ内へのクリップ装填。フルオートできる派生型が存在し、世界初のマシンピストルとされる。
  • P-18/GB
  • Mシリーズ
1999年開発。グロックに近い構造に装填インジケーターなどの追加がなされている。独特なアイアンサイトが特徴。現在では第四世代のA2 MF(モジュラーフレーム)が最新。

短機関銃

  • ゾロターン S1-100
ラインメタル社試作のMP-19ベースの改良型。MP-40に移行し生産終了。
  • MPi69/81
1969年から配備されていた短機関銃。UZIなどに似た構造。TMPに移行し生産終了。
  • TMP
1994年から生産。Tactical Machine Pistolの略でMP5の対抗として開発されたが、あまりにもMP5のシェアが強すぎたため2001年にB&Tに権利を売却。その後B&TでMP9に改修された。
  • MA V 9/40
AR-15クローンの短機関銃。PDW的運用も考慮されている。

ハンティングライフル

  • M.86
M.85ベースのハンティングモデル
  • マンリヒャー・シェーナウアー
動作はGew88ベースで、弾倉は回転式。ギリシャ軍に採用された。アーネスト・ヘミングウェイが一時期愛用したとされる。
  • モノブロック
機関部と銃身を単一ブロックから削り出しているボルトアクションハンティングライフル。
  • SM12
  • CLII
  • GAMS

その他

  • MG74
MG3の自国改修型
  • ACR
ステアーACRを参照
  • G36改修キット
H&K G36の金属製レシーバーキット。G36にて騒がれた樹脂製レシーバーによる耐熱性の問題をクリアしているとされる。



フィクションでの製品の活躍

AUG、GB、ACRについてはシュタイアーAUGシュタイアーGBステアーACRを参照

battlefield1ではオーストリア・ハンガリー帝国が参戦しているため、M.95及びM.12とマシンピストル版が参戦している。




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最終更新:2025年09月11日 21:01

*1 ラインメタル社が戦間期に銃器研究をするために買収していた