ブレードランナー2049

登録日:2024/11/26 Tue 01:26:28
更新日:2025/01/10 Fri 05:57:00
所要時間:約 30 分で読めます







知る覚悟はあるか──。


レプリカントは人間に代わる労働力として──
タイレル社が開発した人造人間である
だが 何度も反乱を起こし製造が禁止され──
タイレル社は倒産した
2020年代 生態系(エコシステム)が崩壊
企業家ウォレスが台頭し──
合成農業によって飢餓を回避した
ウォレスはタイレル社の資産を買い取り──
従順な新型レプリカントの製造を開始
旧型で 寿命制限のない
ネクサス8型の残党は──
“解任”の対象となり追跡された
彼等を追う捜査官の通称は…


BLADE RUNNER
2049


『ブレードランナー 2049(原題:BLADE RUNNER 2049)』は、2017年10月に公開された米国のSFアクション映画。

アルコン・エンターテインメント/コロンビア・ピクチャーズ/スコット・フリー・プロダクションズ製作。
アメリカ本国ではワーナー・ブラザース映画配給。
日本ではソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの配給で2017年10月27日より公開された。

1982年に初公開された、伝説的なカルトSF『ブレードランナー』の35年ぶりの続編。

監督は『メッセージ』を手掛けたフランス系カナダ人のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
原案・脚本は『ブレードランナー』の製作総指揮・脚本であったハンプトン・ファンチャーで、マイケル・グリーンが共同執筆して脚本を完成させた。
また、前作の監督であり、長年に渡り続編企画を実現させようとしてきたリドリー・スコットも製作総指揮として名を連ねている。

主演はライアン・ゴズリング。
また、前作の主演であるハリソン・フォードも長きに渡り伝え聞かれたリドリー・スコットとの確執を越えて、劇中最大のキーパーソンとしてリック・デッカードを再演している。


【概要】

1982年の公開当時には革新的ながら陰鬱なビジュアルと難解で煮え切らないストーリーから不評を買ってしまったものの、
後のビデオソフト化を経て非常に優れた美的センスと作り込まれた世界観から再評価され、
当時のSF小説の新ジャンルとして注目を浴び始めていたサイバーパンクのアイディアに重なるような近未来世界の映像表現━━により、映画史に名を残すことになった『ブレードランナー』の続編。

ぶっちゃけ、前作『ブレードランナー』が“元祖サイバーパンク”とは呼ばれることが有りつつも内容的には、未来世界を舞台としたハードボイルド作品でありビジュアルイメージの源泉となっただけ──というのが正直な評価であったのに対して、
本作は、ある意味でコアなファンから待望されていた『ブレードランナー』の世界観で心ゆくまでサイバーパンクを愉しむような映画となっているのが特徴。
※『ブレードランナー』に夢を見てサイバーパンクというジャンルが広げられていった中で、遂に『ブレードランナー』そのものの設定で物語を作られるのを許されたというべきか。

逆説的には『ブレードランナー』の公開後からさらにイメージが膨らんでいったサイバーパンクというジャンル自体が前作に魅せられたクリエイター達によって既に様々なアイディアが出し尽くされた出涸らしのような状態になっていたということであり、
そうした状況の中で、いざ本丸とも呼ぶべき『ブレードランナー』を再構築してみても既視感のある物にしかならなかったのは確かであり、そうした部分を批判する声や残念がる声もあった。
そういう意味でも、本作は待望されていた続編という割には前作の革新性を引き継がなかった凡作と手厳しい批判を受けた面もあったものの、
上述までの経緯や前作で革新的とされていた映像美(VFX)が、今ではずうっと簡単に作れるようになったから──といった情緒的な面からの意見も少なくなく、単純に映画としての規模や迫力は時代を考慮しても本作が上回るだろう。

前作『ブレードランナー』には、正式に公開されているだけでも5バージョン(流石に映画1本分とはいかないものの、後に見られるようになった未公開バージョンも含めると6バージョン(以上)が存在すると言っても差し支えがない……)が存在している上にエンディングも違えば登場人物の設定の解釈すらも違う……と、
作られた時代や製作当時の紆余曲折と混乱から世界観や用語の意味、設定の解釈が人によっても別れてしまい曖昧となっていた感があるのだが、
本作では続編として制作されるに辺り、その辺の情報が整理(設定として説明されていただけの部分が明確に描写されたり話題として登場するように)されたことで、脳内補完する必要もなく理解しやすくなっている。

続編企画そのものは、それこそ90年代あたりから存在していたというものの、実際に本作に繋がる計画が進行し始めたのは2010年代に入ってからであった。
2011年頃から具体的に話がまとまり始め、2014年11月にリドリー・スコットが製作総指揮に収まることが報じられた後に、2015年から監督、メインキャストが決定していき、ハリソン・フォードも無事に出演することが決定した。
そして、公開年の2017年3月には前作キャストのエドワード・ジェームズ・オルモスがガフを再演したことを認めてファンを喜ばせた。

ストーリー的にも、前作から30年を経ての物語である上に後述の“大停電(ブラックアウト)”により、それ以前と隔絶された世界であるという前提設定があることから、一見すると前回のラストとは全く無関係な部分からストーリーが開始されるのだが、
中盤に差し掛かる前には前作を知る人間としても驚愕する事実の可能性が明かされ、以降はそれを解き明かす長い長い物語となってゆく。

公開年の2017年7月からコミコンでのアトラクション設置やVRサービスの開始がされ、YouTubeにて本作の前日譚となる3つの短編(アニメ・短編映画)が公開された。
これらの短編はいずれも前提となる情報が無いと内容を理解しきれない部分があるため、本編を見てから見返すことで改めて前日譚としての理解が深まることだろう。

ファンにとってもまさかの、そして待望の続編となった本作は世界中の映画賞・SFファンジンにて数多のノミネートと受賞を受けた。
特に第90回アカデミー賞では撮影賞・美術賞・音響編集賞・録音賞・視覚効果賞の5部門にノミネートされ、このうち撮影賞と視覚効果賞の2部門で受賞。
撮影を担当したロジャー・ディーキンスにとっては、本作が14度目のノミネートにして初のオスカー受賞となった。
一方、製作費と宣伝費がかかりすぎたこともあり、全世界で2億5千万ドル以上を売り上げたものの、費用を考えれば赤字になってしまったとも分析される。


【作中年表】

本作の視聴前には、前作から“何”が起こったのかを頭に入れておくと理解しやすくなっている。

2019年

  • ブレードランナー
11月に宇宙開拓・戦闘用に使用されていた5体の“ネクサス6”型アンドロイド(レプリカント)が地球に侵入。
1体は、自分達の製造元であるタイレル社に侵入しようとした件にて阻まれて死亡するが、その後の捜査に失敗。
しかし、専任捜査官(ブレードランナー)の任務に戻されたリック・デッカードにより残る4人も解任(殺害)
しかし、その直後にデッカードはタイレル社にて特別な役目を持たされていたという、特殊なレプリカントのレイチェルと共に失踪する。

2020年

“ネクサス6”が寿命を迎えて全滅する。
タイレル社は、能力は据え置きでより寿命が長い(リミットを設けられていない)“ネクサス8”を市場に導入。
しかし、多発した“ネクサス6”の反乱事件から社会ではレプリカントを畏れる声が大きくなっており、やがて市民による“レプリカント狩り”が横行するようになる。


2022年

  • ブレードランナー ブラックアウト 2022
登録データから“レプリカント”と推測された者が、実態はどうあれ狩り出されてリンチに遭い、惨たらしく虐殺される事件が常態化した中で、一部の“ネクサス8”と協力する人間達が現在の社会基盤となっている管理データを抹消する為の大規模テロを計画。
計画は成功し、偽の発射コードにより放たれた核弾頭が大気圏外にて爆発する。
この爆発は地球全土に影響を及ぼす電磁パルスを発生させ、世界は10日間にも及ぶ停電状態に陥った。
電力の回復後には目論見通りに紙に残された媒体以外のデジタルデータは修復が難しいレベルにまで損傷。
この事件は後に“大停電(ブラックアウト)”と呼ばれ、この“大停電”以前と以後は一部の人間にとっては無意味だが、一部の人間にとっては完全に隔絶された世界となる。

2023年

“大停電”からの回復後、事件を起こしたのがレプリカントだとする世論が大きくなり、レプリカントの新規製造が禁止。
タイレル社は倒産に追い込まれる。

2025年

若き天才科学者ニアンダー・ウォレスが、革新的な遺伝子工学による合成食料を完成させ、その技術を世界に向けて無償提供。
これにより、世界は環境汚染により悪化の一途を辿っていた食糧問題から解放され、救世主となったウォレスは賞賛と共に莫大な資金を得る。

2028年

ウォレスがタイレル社の全資産を獲得。

2036年

2036: ネクサス・ドーン
秘密裏に禁止されていたレプリカントの新規創造に着手していたウォレスは、有力な政治家との面談の場に完成品の“ネクサス9”と共に参上。
法案を廃止して自分にレプリカントの正式な製造再開の認可を与えることを迫り、その安全面を示す証拠として同行させた“ネクサス9”に恐れもなく自殺をさせるパフォーマンスを行う。

2040年

“ネクサス9”により、再び地球外(オフワールド)での開発・移民が隆盛を迎えて人類が発展に向かう中で、今も正体不明のままで社会に溶け込んでいる旧式の“ネクサス8”を狩り出す動きが活発化。
ブレードランナーの活動が目立つようになる。

2048年

  • 2048: ノーウェア・トゥ・ラン
ロサンゼルスまで商談にやって来ていたサッパー・モートンは、帰り道に懇意にしている母子が暴漢に襲われているのを発見し、思わず戦闘を開始してしまう。
モートンの異常な身体能力に、正体を察して遠巻きに怯える人々。
助け出した母子までもが自分の存在に怯えるのを見て足早に立ち去るモートンだが、それを見逃さなかった情報屋から現在の居場所がロサンゼルス市警(LAPD)に伝えられる。

2049年

  • ブレードランナー2049
──今作の物語。


【用語解説】

年表同様に、本編、及び前日譚の視聴前には以下の用語を知っておくと理解しやすくなっている。

■レプリカント

タイレル社が開発・実用化し、現在はウォレス社が製造・販売しているアンドロイド(人造人間)
前作の時点では、完全に生体なのか、それとも機械工学的な部分があるのか不明瞭な部分もあったのだが、今作にて遺伝子工学により生み出された完全に生身の人造生命体であると明示された。
とはいえ、生物としての能力は創造主である人間を遥かに越えており、常人離れした驚異的なスピードとパワー、多少の出血や怪我では動きを止めることのない耐久力を備えている……という部分も前作から存在する設定ではあったが、
今作、及び前日譚では明確にアクションシーンに反映されており、レプリカントが如何に“異質”な存在であるかが視聴者視点からも理解しやすくなっている。

●ネクサス8

“大停電”前にタイレル社が流通させていた最終モデル*1
基本能力は“ネクサス6”から据え置きの上に、安全装置であった筈の寿命が撤廃されている。
一方、右眼球に目立つ形で製造番号が記されるようになっている為に、もはや“フォークト=カンプフ検査”も必要なしにレプリカントと判別できるようになったために、これが足枷と云えば足枷。
寿命が尽きた“ネクサス6”の代わりに市場投入され、オフワールドでの開発・戦闘任務に於いて多大な成果を挙げるも、前モデルのネクサス6が度々起こしていた反乱を畏れた人々による私刑の対象となり、登録データからレプリカントと疑われた者は次々と狩り出されては虐殺される事件が社会全体で蔓延した。
現在は基本的には見つけ次第に“解任”処分という厳しい措置を取られているが、かの“大停電”による登録データの抹消から所在不明のままで社会に逃げ込んでいる者も多く、ブレードランナーの業務が拡大。住民からは“スキナー(人の皮を被ったレプリカント)”と忌み嫌われている。

●ネクサス9

タイレル社を買収してレプリカントの製造技術を得たニアンダー・ウォレスが、10年の時を経て新規に市場投入した新型モデル。単に“新型”と呼ばれることも。
能力はネクサス8と同等で寿命制限もないが、人間に対しては絶対に従順で自らの命を捨てる状態でも服従を誓うようにプログラムされている。
相変わらずオフワールドでの開拓事業に従事する一方で、本作の主人公“K”のように危険なブレードランナーの任務に回される者も居るようだ。
尚、殆ど反乱の危険性が無くなったとはいえ、過去の反省から“K”のように製造番号で呼ばれて個人名を持てない。行方は厳重に追跡される。一度の任務毎に精神に異常が生じてないかの基本検査(Post-Trauma Baseline Test)*2を受けなければならない、一部の人間からは“人間もどき(Skin Job)”と差別される……など、多くの制限がかけられている描写は存在する。

■ブレードランナー

自我(●●)に目覚めて反乱を起こしたり、逃走するなど“危険分子”となったレプリカントを狩り出して“解任”(抹殺)する役目を持たされた専任捜査官。
以前は社会に侵入したレプリカントの炙り出し(●●●●)も職務としていたが、現在は(狩り出す対象が“ネクサス8”だけなので)疑いのある者は直ぐに判別可能な上に高確率で戦闘に発展する危険性からか、主人公“K”のように新型(ネクサス9)から人員が配備されて同族殺しの任務を担わされている者も居るようである。

■スピナー

『ブレードランナー』世界での、地上走行と空中飛行の両方の能力を備えている車両の総称。
ブレードランナーは、個々人に専用のポリススピナー(パトカー)が貸与されているようで、これは前作から共通している。
今回、主人公“K”が乗っているのはプジョー製。
ルーフ部分には“パイロットフィッシュ”と呼ばれる、探索範囲内での3次元解析能力を持つ小型飛行ユニット(ドローン)を、車両下部には強力な機関銃を備えており、実は戦闘能力まで高いことが判明してファンも歓喜。
VFXやCGの発展で飛ばすのが難しくなくなったことで有り難みが薄れた等と言わずに、活躍が増えたことを喜ぼう。
今作にてコンセプトデザインを担当したのは、英国のVFX制作会社ダブル・ネガティブに所属する田島光二*3

■ウォレス社

企業家にして、天才的な科学者(遺伝子工学者)でもあるニアンダー・ウォレスが代表を務める巨大企業。
タイレル社の全資産を買い取り技術の全ても入手しており、10年間も法律によって製造禁止とされて来たレプリカントを復活させた。
また、基本的には判読不明になっているとはいえ“大停電”前のレプリカントの登録データも保持している。

■オフワールド

地球外植民地のこと。
レプリカントは、その過酷な環境での作業(恐らくはテラフォーミング)を人類に代わり行うために生み出され、また創造主たる人類を超える力を持たされた。
“大停電”以後はレプリカントの製造が禁止されたこともあり開発は停滞していたが、ウォレス社の台頭により再びレプリカントが創造されるようになったのに伴い、また活気づき始めているという。
前作の未公開バージョンにて、デッカードの元女房がオフワールドの金持ちと上手くやっていると語られる等、基本的には過酷な環境だが、一部の特権階級は汚染された地球を脱出して快適なコロニーにて幅を利かせているらしい。
また、宇宙では利益や支配地域の奪い合いなのか人類同士の戦争も頻繁に起こっているらしく、戦闘用レプリカントが兵隊として使い捨てされている。


【物語】

※以下はネタバレ含む。

━━2049年。
リック・デッカードとレプリカントのレイチェルがロサンゼルスを捨てて姿を消してから30年が過ぎていた。

……ロサンゼルスから、カリフォルニアの合成農場で働くサッパー・モートンが“レプリカント”である、との情報を得て、捜査官“K”がモートンの家を訪れる所から物語は始まる。

モートン自身との対話を経て、モートンが同類だと確信しつつも、穏便に検査と逮捕を済ませようとしていたKだったがモートンが激しく抵抗。
已む無くモートンを打ち据え、右目の検査も済ませる。
モートンは言う。
「お前たち新型は同類殺しの汚い仕事も平気でやる」「奇跡を見たことがないからだ」━━と。

モートンを(ブラスター)で“解任”するK。
眼球を回収、本部への報告後に帰投しようとしていたKだったが、モートンの家の敷地内の枯れた大木の根元に小さな花が捧げられているのを見つける。
展開していたパイロットフィッシュに命じて付近の地下を走査させたKは根元に何かが埋められているのを発見、回収班が回されることに。

帰宅したKは、自分の家に設置していた“ジョイ”に今回の仕事で得たボーナスで購入したエマネーター(携帯端末)をプレゼントして、彼女(●●)を外に出れるようにしてやる。

屋外でのジョイとのささやかな逢瀬を楽しんでいたKに、マダムからの呼び出しが掛かる。

ナンデスが回収してきた、Kが痕跡を発見したモートンが木の根元に埋めたと思われる“何か”……検視を進めるココによれば、
これは、30年前にモートン自身が丁寧に解体した後に埋めた遺骨であり、それは女性━━そして、出産の際の負担で死んだ妊婦のものだという。

そして、彼女には帝王出産の跡があり骨格には製造番号が……即ち、この女は、出産能力が持たされていない筈のレプリカントだったのだ。

このままでは生命の禁忌が侵されるとして、マダムはKに今回の件の追跡調査と全ての抹消を命令する。
遺体の正体を探るKは、タイレル社の全データベースを保有するウォレス社へ。

ウォレス社長の代理を務める“ラヴ”がKが持ち込んできたデータから見つけ出したのは、30年前に姿を消した“レイチェル”というレプリカントと、同じく30年前に姿を消したブレードランナー……デッカード捜査官の音声会話記録であった。

30年に2人(●●)が同時に姿を消した事実を突き止めたKは、再びモートンの農場へと赴きレイチェルが埋葬されていた大木に“6-10-21”の刻印を見つけて衝撃を受ける。

それは、Kがレプリカントとして情緒を保つ為に植え付けられたと思い込んでいた子供時代に宝物としていた小さな木馬に刻まれていたのと同じ数字の羅列であった。

一方、LAPDの死体保管所にラヴが侵入してウォレスの命じた通りにレイチェルの遺骨を奪い去ろうとしていた。
彼女は見咎めたココを嘘をついて油断させて殺害して“レイチェル”を奪い去る。

自ら望んで、タイレルの偉業の後継者となったウォレス━━次なる彼の目的はタイレルが最後に実現させたがサンプルを残さなかったが故に再現不能となっていたレプリカントへの生殖機能の付与であった。

果たしてレプリカントの子供と、それを巡る陰謀の行方とは━━。


【主要登場人物】

前作から登場するキャラクターの日本語吹き替えキャストについては、『ファイナル・カット 日本語吹替音声追加収録版』のキャスト陣が続投している。

■K/ジョー

演:ライアン・ゴズリング/吹替:加瀬康之

今作の主人公。
LAPD所属のブレードランナーであり、ネクサス9型アンドロイド。据え膳は食わない系主人公。
名前は形式番号KD6-3.7の頭文字からそう呼ばれているだけで、前世代のレプリカントのような個人名は持っていない。
モートンを“解任”した際に、レイチェルの遺骨が埋葬されたことに気づいたことから、社会の根底を揺るがしかねない、大きな謎と陰謀に挑んでいくことになる。
捜査官━━レプリカントとしての能力は相当に高く、衛生兵とはいえ元軍属で自分より大柄なモートンに先手を取られた状況からも逆転している。バティスタボムを食らわなくて助かったな。
レプリカントとして植え付けられた“過去”は、小さな木製の木馬を他の子供達に追われても決して渡さず、使われていない焼却炉に隠して守りきった━━というもの。
……その木馬には“6-10-21”の刻印が刻まれていたことをハッキリと記憶している。

一見するとクールで、管理をする立場のマダムから「魂がない」と言われても表向きには流していたが、自宅に備えている恋人(●●)のジョイの為に浮き浮きとエマネーターを買って帰ったりと、本心では情が深く執着心を持ちたい欲求があるのが見え隠れしている。
レプリカントの生んだ子供の行方を追う中で、明らかに踏み込みすぎたことから立場を危うくしてしまうも、その子供がいた孤児院と自分の記憶の中に残る情景が重なったことで、自分でも思っていなかった希望を持ってしまったKにもたらされた結末とは。


■ジョイ(Joi)

演:アナ・デ・アルマス/吹替:小林沙苗

ウォレス社製の3次元ホログラム投影式の教育型人工知能搭載のホームオートメーションシステム。
映画を見た全世界のオタク垂涎の罪深い人外ヒロイン。
あなたの“見たいもの・聞きたいもの”全てをキャッチコピーとしており、その内容に違わずに購入者の望む姿に変わり、望む行動を再現しながら生活をサポートしてくれる。
基本的には、自宅に設置された本体の範囲内でしか活動できないのだが、エマネーターという携帯端末にデータを移動させれば外へと持ち出すことも可能となる。
孤独なKにとっては、生活を共にしてきた間の蓄積と学習もあってか、実体はなくとも“恋人”ともそれ以上とも呼べる存在。
ぶっちゃけ、賛否両論もあった今作の魅力の何割かは“彼女”の存在と、演じたアナ・デ・アルマスの魅力が支えているのでは?というレベル。
……が、性癖歪める可能性のみならず考察の範疇だが色々と闇深というかシビアな真実も見え隠れするのでハマりすぎには注意が必要だ、良い子の諸君。
肉体の無い自分の代わりに自主的にマリエットを買ったり、製品の立ち場でありながらウォレス社との接続を断ってまで逃亡者となった“ジョー”に寄り添ったりと献身を貫くが、エマネーターを踏み潰されることでラヴに殺害(●●)される。


■マダム・ジョシ警部補

演:ロビン・ライト/吹替:深見梨加

LAPDの捜査責任者で、通称は「マダム」。
Kの直属の上司。
一見すると冷酷な性格で、度々にKを人間扱いしていないというアピールをしている一方で、中盤の露骨なアピールにこっちでも性癖を歪められたファンも少なくなかったはず。
実際、厳しい態度を取っているようでKの情緒が乱れないように注意していたからこその態度とも考察が出来、実際にKがブレードランナーの任務を解かれた後にラヴに襲撃された際にも左手を潰されながらも自分の口からは情報を漏らさない、そもそもKに考える時間を与えていた等、思いやりのある行動を見せている。


■ココ

演:デヴィッド・ダストマルチャン/吹替:上田燿司

LAPDの捜査官。
検視が専門なのか、回収されたレイチェルの遺骨から死因が出産によるものだということと、帝王切開の跡を発見してみせた。
死体保管所の責任者でもあったようなのだが、後にレイチェルの遺骨を奪いに来たラヴに殺害される。

■ナンデス

演:ウッド・ハリス/吹替:白熊寛嗣

LAPD捜査官。
黒人で、Kが痕跡を見つけたレイチェルの遺骨を回収した。
予告編では逃亡したKを追う役目を担わせれていたようなのだが、本編からは現バージョンでも長すぎるからかカットされている。

■ガフ

演:エドワード・ジェームズ・オルモス/吹替:佳月大人

元ブレードランナーの老人。
かつてのデッカードの同僚だが、現在は引退して老人ホームで暮らしている。小説版『2』なんて無かったんや。……てゆーか普通に老後送れたんかい。
折り紙のワザマエは健在。
ちなみに、アニメ『ブラックアウト 2022』にも本人が声を担当して登場している。


■マリエット

演:マッケンジー・デイヴィス/吹替:行成とあ

レプリカントの娼婦。
フレイザの組織に属しており、情報収集が目的でKに近づくが、その際のKの心の動きを感じだったジョイに、2人の初夜の代理の肉体として呼ばれ、ジョイと同調してKに抱かれることになる。
ちなみにヴィルヌーヴ監督によれば、この時の3人は「初めて女性から触れられた男、初めて自分が実在することを感じたホログラム、初めて男性に愛情をもってキスされた娼婦。彼女はそれにどう応じていいのかわからないんです」……という状態だったらしく、
この後で発信機を仕込んだ後にジョイに出ていけと言われて悪態を吐きつつも従っていたが、マリエットが助け出された後のKに情を移したような態度を取っていた理由となっている。
また、メイクや容姿が前作のプリスに似ており、これは「デッカードの後継に見せかけておいて、ロイ・バッティの後継でもあるKとの関係のメタファーであることを示唆していた」とも。


■サッパー・モートン

演:デイヴ・バウティスタ/吹替:木村雅史

カリフォルニアの合成登場でタンパク質源となるイモムシを育てている大柄な農夫。
実は、惑星カランサのコロニーから仲間達と共に脱走して地球にやって来たネクサス8で、フレイザ達の同志だった。
元衛生兵で、レイチェルの帝王切開の措置を行い、その死後には遺体を解体して埋葬した張本人。
記憶として、幼い娘との思い出を植え付けられており、子供の靴下を大事に隠し持っていた。
『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』では主人公を務めており、同作で親交のある母子を救うべく闘ってしまったことが今作のオープニングに繋がる。
怪力無双の元WWEチャンピオンでドラックス衛生兵とはいえ、元軍属とあってか戦闘能力は高いものの本を好む物静かで優しい性格。
しかし、生き残るためにKに挑むも敗れて解任される。

■フレイザ

演:ヒアム・アッバス/吹替:藤生聖子

かつて脱走したネクサス8の一人。


■アナ・ステリン博士

演:カーラ・ジュリ/吹替:恒松あゆみ

レプリカントに植え付けられる“記憶”を創造する天才的な芸術家。
免疫系の不全により、8歳の時からガラス内の無菌室で生きている。


■レイチェル

演:ローレン・ペタ/ショーン・ヤング/吹替:岡寛恵

前作のヒロイン。
30年前に姿を消したレプリカントで、彼女の存在が本作における謎の中心となっている。


■リック・デッカード

演:ハリソン・フォード/吹替:磯部勉

前作の主人公。
30年前に姿を消した元ブレードランナー。


■ニアンダー・ウォレス

演:ジャレッド・レト/吹替:桐本拓哉

ウォレス社の代表。盲目の科学者。『2036:ネクサス・ドーン』では主人公を務める。
“魔法”とも評される遺伝子合成技術により、かつて環境汚染により飢餓に喘いでいた人類を救った救世主。
その偉業を盾に未だ法律で禁止されていた頃に買収して引き継いだタイレル社の保有していた技術からレプリカントの創造を再開し、ネクサス9の実物を示すことで問答無用で禁止法を撤廃させた。
これ程に科学技術や遺伝子工学が発展した世界ながら、肉体的には回復も修復も不可能な程の不具である模様。
自らが創造するレプリカントを「天使」と呼んでおり、次なる時代は彼等が担うとの考えの下にタイレルがたった一度だけの実現の可能性として残していた“レプリカントの生殖能力”の再現と定着に挑んでいる。
本作の黒幕の一人ではあるが、今作の時点では他の勢力との対立や合流の可能性も、そもそも彼の最終目標がレプリカントの台頭で良いのか?などは不明である。


■ラヴ

演:シルヴィア・フークス/吹替:志田有彩

ウォレスの代理を任されているレプリカント。
役割的には悪役ではあるが、ジョイと並ぶメインヒロインの1人。
ネクサス9ではあるが、Kを含む他のネクサス9が基本的には人間には逆らわないように制御されているのに対して、彼女はウォレスの命令のみを第一と考え、場合によっては殺人も迷わずに実行するし嘘も平気で吐くなど異質な存在。


【中盤以降の展開】

+ ※中盤以降のネタバレ。
Kはレプリカントの生んだ子供を追う中で、その子供の出生日が“2021年6月10日”であることを知り、その日に誕生した同一のDNA記録を持つ男女が共に、現在は人外魔境と化しているサンディエゴの孤児院に居たことを突き止めて調査へ。
しかし、落雷を利用してスピナーを撃墜されてしまう。

人外魔境に住む暴徒達に襲撃されかかるも、Kを利用してレプリカントの子供の行方を探りたいウォレス社による衛星軌道からの援護射撃を受けて窮地から脱したKは、援護してくれたのがラヴとは気づかなかったが目的の“トラッシュ・メサ”(巨大廃棄物処理場)の孤児院へ。

そこは、Kの記憶の中に残る施設だった。
孤児院の代表というのは建前で、正規のものから奴隷までと、劣悪な環境下で育成した子供達の人身売買に手を染めるミスター・コットンを脅しつけて目的の赤子の行方を探そうとするKだったが、その記録は既に何者かに持ち去られた後だった。
……しかし、それ以上にKにとって衝撃となったのは、トラッシュ・メサの焼却炉から自分が隠した記憶のある木馬を見つけてしまったこと。

自分こそが、レイチェル(とデッカード)の子供なのではないか?
苦悩するKに、ジョイは「貴方が特別だと思っていた」と語り、造られたのではなく生まれた人間には名前が必要だと語り“ジョー”の名前を送る。

任務とは関係なしに自らの記憶の真贋を確かめたくなったKは、ウォレス社からの依頼で誕生するレプリカントに“記憶”を植え付けているステリン研究所へ。
そこは、研究所とは名ばかりで免疫系の不全により外界には出られないガラス張りの環境の中で生きてきたにも関わらず、天才的な想像力を持つ記憶創造作家のアナ・ステリン博士がレプリカントが“人間らしく”生きられることを願って思い出を生み出すアトリエだった。

しかし、そのアナをして「感情の有無で記憶の真贋は直ぐに判る」と言う。
促されるままに自らの記憶をアナに見せるK━━結果は……本物
自分の中に処理できない気持ちが生まれて、怒りのままに声を挙げてしまうK。
外へ出ると、任務から外れた行動を取っていたことで身柄の拘束に現れたLAPDのスピナー隊が。

本部へと連行されて基本検査を受けるKだが結果は散々なものだった。
その結果にも取り乱すマダムに対して「既にレプリカントの子供は抹殺した」と嘘を吐くのだった。

マダムから一先ずは見逃される形で自宅に戻ったK。
警察上層部は勿論、ウォレス社からの監視からジョーを逃がすために、自分が消えるリスクを負いながらもウォレス社との接続をジョーに切らせ、メインデータをエマネーターに移して同行を希望するとまで言ってくれたジョイに背中を後押しされたKは、まだ他人には漏らしていない手がかりである、子供の頃の宝物である木馬を鑑定師のドク・バッジャーの下へと持ち込む。

ドクの鑑定で木馬に放射性物質が含まれていることを知ったKは、この木馬がかつての核爆発(核戦争?)により人が住めなくなったと言われているラスベガスで作られたと確信する。

━━果たして、
訪れたラスベガスは噂とは大違いで、既に放射性物質の濃度は減少しており生命の息吹きが戻り始めていた。
放棄されたカジノホテルへと侵入したKは━━、ここで生きていたリック・デッカードと邂逅する。

デッカードからの攻撃に晒されたKだったが、抵抗の意思を示さず、やがては疲れたデッカードも追い出すことを諦めてくれた。
デッカードから名前を聞かれコードネームを答えるが否定されたことから、自ら“ジョー”と名乗るK。

今度は、此方からレイチェルと子供の行方を聞くがデッカードははぐらかす。
しかし、確信を突いた“ジョー”からの質問に、自身はモートンを含む協力者達との約束で出産にすら立ち会わずにレイチェルと離れ離れとなったことと、協力者達に痕跡を消す方法を教えたのが自分であったことを答えたデッカードは、知りたいことには答えたとして去っていく。

……自分が“息子”かもしれないことはいえなかったK。

翌日、Kとジョイが全てから逃れられた幻想の中に居るように微睡んでいるとラスベガスへの侵入警報が。
マダムを殺害して、追跡データを得たラヴの率いる武隊がやって来たのだ。
逃亡しようとするデッカードだったが、一足遅く攻撃がホテルカジノへ。
何とかデッカードの身を守ろうとしたKも傷つき、倒れてしまう。

抵抗虚しく連れ去られるデッカード。
そして、Kもまたラヴに打ちのめされ、挙げ句にジョイの入ったエマネーターが踏み潰される。

……もはや、何も打つ手も助けてくれる者も居なくなった━━かと思われたKだったが、そこにウォレス社とは別に以前にジョイの依頼で自分と結ばれる代理として呼び寄せられた際に発信機を仕掛けていたレプリカントの娼婦マリエットが属する、レプリカントのレジスタンス組織がKを助け出す。

Kを治療し、目覚めるのに寄り添っていたマリエットは、自分達の指導者であるフレイザの話を聞いて欲しいという。

モートンの同志であり、レイチェルとデッカードの子を保護して隠したフレイザは言う。
「レプリカントが、奴隷の身を脱して人類に代わる新たなる種となるためには奇跡の子供の存在が必要だが真実を明かすには未だ時が早く、秘密を守るためにはデッカードを殺す必要がある」……と。

━━そして、フレイザとの対話の中でレイチェルから生まれたのは一人の女の子であったことを知り、愕然とするK。
“本物の記憶”を移植することは禁止されているのに、自分にはそれがされていたこと。
そして、自分が縋り付いていた記憶の本当の持ち主━━即ち、本物のレイチェルとデッカードの子供がアナ・ステリンであったことに気づいたのだ。

Kの心情を察しつつも、だからこそ貴方にはレプリカントの為にやるべきことがあり、役目を果たさなければならない「人間は大義の為に死ぬことが尊い」とフレイザは説いてKを送り出す。

━━ウォレス社では、デッカードがウォレスよりレイチェルの子供の行方と、その秘密を明かすように迫られていた。
デッカードは、在りし日のレイチェルの姿を再現したクローンまで用意したウォレスの誘惑を跳ね除ける。
ウォレスは、ならばとデッカードを過酷なオフワールドへと送り込み、今度は拷問による苦痛で秘密を聞きだすと宣言してラヴに移送を命じる。

ロサンゼルスへと戻って来たKは、失われた自分の銃の代わりに拾ったデッカードの銃を手に……一度は父親と信じたかった男を殺すべきか迷っていた。

悩み、傷ついた顔をしたKに、ジョイの巨大広告が語りかけてくる。
無機質で、失われた自分の“ジョイ”(恋人)と反応は大違いなのに同じ言葉をかけてくれるジョイは去り際に言う。

「あなたはとても良い人(グッド・ジョー)ね」

━━嵐の中、輸送機で連行されるデッカード。

デッカードはラヴに問う。
「何処へ連れて行く?」

ラヴは答える。
故郷(●●)よ。」

……そこへ、Kのスピナーによる攻撃が加えられて輸送機が撃墜される。
乗り込んできたKはラヴと運転士を銃撃するが、ラヴは生き残り、隙を窺ってデッカードを救出しようとするKを外へ蹴り出し格闘戦へ。
接近戦で銃が使えない中、優位に立ったラヴはKの脇腹に深々とナイフを突き刺し、自分こそが「最高の天使」と宣言する。
ラヴは水没しかけている輸送機からデッカードを回収しようとしたが━━水中から迫っていたKに首根っこを捉えられ、反対に水中に沈められる。
抵抗するが通じず、窒息死するラヴ。
Kはデッカードを救出して水上へ。

「死んでもよかった」「殺して欲しかった」と訴えるデッカードに、Kは「殺したよ」と答え、デッカードを死んだことにすると言い「これで娘に会いに行ける」と伝えるのだった。

……翌日は大雪だった。
ステリン研究所に到着したKとデッカード。
「ジョー…どうしてここまでしてくれる?君にとって、俺はなんだ?」
自分を“ジョー”と呼んでくれる唯一の男を、Kは何も言わずに見送る。

デッカードの姿がみえなくなり、自分の傷を確かめて運命を悟ったKは、雪の降りしきる階段に身を沈める。

研究所では、いつもと変わらずにアナが想像した記憶の具現化と記録の作業を行っていた。

━━父娘の初めての邂逅の場面で物語は終わる。



【余談】

  • 製作総指揮に引っ込んだとはいえ、まだまだ意欲を見せるリドリー・スコットからは本作とは別のアイディアがあると語られている。当人の中で、現行の各タイトルのシリーズ展開とはまた別に『エイリアン』と『ブレードランナー』の世界観を繋ぎたいという願望があるらしい。

  • 上記のリドリー・スコットの発言とは別に世界観を引き継いだドラマシリーズ『ブレードランナー2099』が製作されることが決定したと報じられており、2024年6月から撮影が開始された。




追記・修正は米の飯を食ってからお願い致します。

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最終更新:2025年01月10日 05:57

*1 前作に登場した“ネクサス6”から1つ数が飛んでいるのは、実は試験体として既に“ネクサス7”が存在していた為。前作のヒロインであるレイチェル(と、そのパートナー)が従来より更に人間に近いタイプ=“ネクサス7”であったという説がリドリー・スコットやファンから出されていたが、今作はその解答となっている(本篇でも確認できるレイチェルの遺骨のシリアルのパターンから彼女がネクサス7というのは間違いなかったようだ)。

*2 暗証に用いられているのはウラジーミル・ナボコフの『青白い炎』からの引用。

*3 田島は他にもJOIの巨大ホログラム広告や日本語看板を手掛けている。