登録日:2025/05/13 Tue 00:15:48
更新日:2025/05/15 Thu 08:41:12NEW!
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項目名は「 Fairly Frivolous Fairies(ようけ幼稚な妖精たち)」。
アノマリー分類システムを採用しており
オブジェクトクラスは「Safe」。
クリアランスレベルは「レベル1」で錯乱クラスは「DARK」、
リスククラスは「NOTICE」となっている。
『アノマリー分類システムの意味なんて一々覚えてられるかよ!』となっている人に向けて後半3項目をざっくりまとめると
「財団職員なら誰でも知れる情報で、ベール崩壊を起こすことはまずないし基本的に一度に一人の人間にしか効果を発揮しない。オブジェクトに関わったとしても特に危険な影響は受けないよ」
ということ。
概要
SCP-8045は標準サイズのガチョウ羽毛枕である。例によって例のごとくメーカーラベルやマークはついておらず、確認できる限り非異常の一般的枕と同じ材質で構成されている。
SCP-8045の異常性は夜にベッドの上で何らかの物品をSCP-8045とベッドの間に挟んだ状態のときに発動する。この際ベッドから直接観測できる範囲で意識をハッキリ持った人間がいるとSCP-8045は異常性を発揮しなくなるため、基本的に実験はカメラで撮影した映像を見る形式で行われているようだ。
上記の条件が満たされているとき『枕の下に置いてあるモノ』に応じて妖精が1体出現する。財団はこの妖精を「SCP-8045-1」に指定しており、それぞれの外見はバラバラだが共通点として必ず蝶の羽を背中に持っているとのこと。また妖精たちは自分が担当する物品を示す名札を装着しているらしい。
出現した妖精はSCP-8045の下に置かれている物品を回収すると部屋から飛び立って間もなく消滅する。この際妖精は回収した物品と引き換えに何らかの報酬を残していくがクォーターコイン(1ドルの四分の一の価値を持つ通貨)を残していくことが一番多い。部屋の外で待機していた人間が突入するなど物品回収を妨害すると妖精はすぐ消滅するが、再度条件が整えば同日の夜であろうが妖精は何度でも出現する。
要するにこのオブジェクトは
『「トゥース・フェアリー」を実際に召喚させるだけの枕』
である。
「トゥース・フェアリー」は西洋に伝わるおまじない文化の一つでザックリ解説すると『抜けた乳歯を枕の下に置いておくと歯の妖精さんが乳歯を回収して代わりにコインやお菓子を置いていってくれる』というモノ。中には玩具やゲームソフトを置いていってくれる太っ腹な妖精さん()もいるらしい。
乳歯の生え変わりを期に子供の成長を祝う文化であり、日本でも『上の乳歯が抜けたら縁側の下へ、下の乳歯が抜けたら屋根の上へ放り投げる』という内容のおまじないがある。日本に歯の妖精さんはいないようだ。
特別収容プロトコルは
- SCP-8045は収容ロッカーに入れておいてアクセスしたい時はレベル2以上の職員に話し通してね
- 実験するときはカメラを用意
- 生き物や異常性を持つ物品をSCP-8045の下に置かないこと
というもの。
低危険オブジェクト向けのセキュリティが施されていることと実験時の注意が触れられている。
実験記録
ということでここからはSCP-8045の実験記録を見ていこう。
実験A
物体:人間の歯1本。
結果:「歯の妖精」が出現、物体を回収して1枚のクォーターコインを置いて行った。
実験B
物体: 犬の歯1本。
結果: 実験Aと同様。
実験C
物体: 人工の人間の歯1本。
結果 :歯の妖精が出現、物体を回収して1枚の偽造クォーターコインを置いて行った。
まずはオーソドックスに「歯」を使った実験から。どうやら動物の種類は問わないようだ。ついでに偽物の歯でごまかすと偽物の通貨で応対してくることも判明。
実験D
物体: 人間の歯1本の印刷された写真1枚。
結果 :以前のものと明確に異なる「紙の妖精」が出現、物体を回収して1枚のクォーターコインを置いて行った。
実験E
物体: クォーターコイン1枚。
結果 :「お金の妖精」が出現、物体を回収して1本の人間の歯を置いて行った。
実験F
物体: 20ドル紙幣1枚。
結果 お金の妖精が出現、物体を回収して人間の歯一式を置いて行った。
実験G
物体: 偽造クォーターコイン1枚。
結果: お金の妖精が出現、物体を回収して人工の人間の歯1本を置いて行った。
「人工の歯」は曲がりなりにも「歯」として認められたが流石に「歯を印刷した紙」を「歯」とは認めてもらえなかったようで新たに「紙の妖精」が出現した。
また「歯→お金」の逆を試した結果なんと「お金の妖精」が出現し代わりに歯を置いていく事態となった。お金の量が多ければその分置いていく歯も増えていき、もちろん偽物を置けば偽物の歯が帰って来る。
どうやら「なんらかの物品→お金↔歯」というような交換基準のようだ。
実験H
物体: 無し。(SCP-8045の下に物品は置かれなかった)
結果 :ベッドシーツの妖精が出現、ベッドシーツを回収して1枚のクォーターコインを置いて行った。
実験I
物体: 無し。(SCP-8045の下に物品は置かれず、ベッドシーツは除去された)
結果: マットレスの妖精が出現、ベッドを回収して1枚のクォーターコインを置いて行った。SCP-8045は床の上に残された。
実験J
物体 :GPSトラッカー1個。
結果: GPSトラッカーの妖精が出現、物体を回収して1枚のクォーターコインを置いて行った。GPSトラッカーの妖精が消失した瞬間に信号はロストした。
実験K
物体: 白の靴下1足。
結果: 靴下の妖精が出現、靴下の片方を回収して、別の不揃いの靴下を置いて行った。
枕の下に何もなかった場合を含め様々な検証。ベッドシーツどころかマットレスの妖精まで出てくるあたりなんとも機械的というか一辺倒なオブジェクトである。
もし『ベッドの上』という発動条件が無ければ「布団→床(家)→地面」と妖精がどんどん下のモノを回収していき今頃「地球の妖精」が地球を回収して代わりに宇宙を彷徨うクォーターコインが出現していたかもしれない。
そして安定の無能GPS
ついでに靴下の妖精だけ性格悪くない?
実験L
物体 :人間の歯1本とクォーターコイン1枚。
結果 :歯の妖精とお金の妖精の両方が出現、それぞれの物体を回収して1枚のクォーターコインと1本の人間の歯を置いて行った。その後、両者は継続的な交換を実行し、もう一方の妖精が残した物品を自身のものと入れ替えるという無限ループを生み出した。この交換はSCP-8045の下で2時間ほど続いたが、その時点で妖精の妖精が出現、両妖精を回収して2枚のクォーターコインを置いて行った。
実験M
物体 :人間の歯1本。
結果 :結果無し。
実験N
物体 :クォーターコイン1枚。
結果 :結果無し。
二つの物品での挙動を試す実験とそれに付随する実験。
「歯→コイン」に変換する妖精と「お金→歯」に変換する妖精が出会った時に起こるのはお互いが自らのパターンを忠実に行い続ける無限ループだった。このまま終わりかと思いきやなんと妖精の妖精という特異点が出現。コインを2枚置いて2人を何処かへ連れ去ってしまった。
この妖精(と枕)たちメタタイトルの「幼稚」を通り越してもはやロボットである。どうやら歯の妖精&お金の妖精は一匹体制だったようで妖精の妖精に回収されて以後SCP-8045は歯やお金には反応しなくなってしまった。
実験O
物体: 枕1個。
結果 :枕の妖精が出現、物体とSCP-8045自体を回収し、2枚のクォーターコインを置いて飛び去り、SCP-8045と共に消失した。SCP-8045は以降回収されていない。
…………え?
しれっとSCP-8045が妖精に持っていかれ、ついでに現時点まで紛失中であることが明かされた。『確保・収容・保護』の観点から見れば立派な財団やらかし案件である。
まあ靴下セットの片方だけ交換されていたことを踏まえれば「同じモノが2つある時は片方だけ持っていく」という仮説から『SCP-8045の下に設置された枕だけが持っていかれるだろう』として実験に踏み切るのもやむなしだがやらかしはやらかしだ。
オブジェクト本体が無くなってしまえば実験のやりようもない。というわけで実験記録はこれで終わりであり、報告書自体も実験Oの記録で締めくくられている。
余談
原語版のメタタイトルは直訳すると『かなり軽薄な妖精たち』。それぞれの単語が「F」で始まっていることを反映してか、翻訳版のメタタイトルも直訳ではなく文言がそれぞれ「よう」で始まるよう調整されておりミスター・ほんやくの腕を感じる点である。
追記・修正は乳歯を枕の下に置いてからお願いします。
- 実験OのあとでもクラスがSafeなのはネタバレ防止なのかな… -- 名無しさん (2025-05-13 07:26:40)
- 同じ歯の妖精でもどこぞの黒い蝶とは別物っぽい? -- 名無しさん (2025-05-13 15:27:27)
- 妖精に関わるのはよせい -- 名無しさん (2025-05-13 17:27:35)
- ● ||| -- 名無しさん (2025-05-13 18:07:17)
- 本体も回収対象なんかい――― -- 名無しさん (2025-05-13 23:35:54)
- 某所でコログ(ボックリン含む)で描かれていたのが妙に印象に残っている -- 名無しさん (2025-05-14 05:13:03)
最終更新:2025年05月15日 08:41