シュタイアーGB

登録日:2011/08/17 Wed 13:20:14
更新日:2020/06/10 Wed 21:02:10
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諸元
全長 216mm
重量 845g
口径 9mm×19
装弾数 18+1
製造 シュタイアー社(オーストリア)※1

シュタイアーGBとは、突撃銃AUGで有名な、オーストリアの銃「シュタイアー社」が開発した拳銃である。
軍用銃以外に競技銃でも素晴らしい銃を製造しており、総合銃器産業として世界規模で商業展開を行なっているシュタイアー社がワルサーP-38に代わるオーストリア陸軍制式拳銃の座を射止める為に開発した拳銃がGBなのだが…



○どんな銃なの?
1970年代にオーストリア軍から「P-38に代わる拳銃」として依頼され開発がスタートし1981年に完成した。

スライド先端内部とバレル外面をガスチャンバーとして利用する「ガスロック式」を採用している。その為、バレルは固定され(ショートリコイルのようにバレルが前後しない)、命中精度が高い。
名前のGBはGas Bremse(独語) Gas Brake(英)の略でGBの作動方法を端的に表している。

それに部品点数を少なくできるので信頼性が高い。他にもポリマー素材をトリガー周りに使い、フレームが単純なプレス加工で生産性が高いこと、ダブルカラム化された18発の大容量弾倉がアピールポイント。



○二つのトライアル
既にAUGが大成功を収めており、拳銃も採用されればシュタイアーの名声は一気に高まる……はずだったが…

  • オーストリア陸軍トライアル
1983年のトライアルに提出するが、グロック17にまさかの敗北。
ただのプラスチックメーカーであるグロックに「シンデレラストーリー」を描かれてしまい大口受注を失ってしまう。

  • アメリカ軍トライアル
オーストリアで落選してしまったのでガバメントに代わる制式拳銃を探していたアメリカに照準を合わせるが…
相手が悪すぎた!GB含め7モデル(P226やM92等)が提出されたのだが、早々に落選。評価は
「命中精度と操作性は良いが、信頼性で旧来のガバメントに及ばない※2」
とのこと。



○落選
実は伏線があったり、なかったり。
AUGの採用したことで、オーストリア軍はプラスチックの銃に対して抵抗が無かったとも言われている。グロックは形からしておもちゃっぽい銃なので見た目で落選してもおかしくないのだが。
「AUGの採用がグロック17の勝利をお膳立てし、GBはグロック社の踏み台となってしまった」
とも言えなくもないので何とも皮肉な話である。
しかし皮肉うんぬんよりも、グロック17よりも性能に劣っていたのは事実なのだろう。



○GBのその後
軍隊での大口受注は無理と判断し、民間への販売に方向転換する。
しかし、元々制式採用を狙って作られた銃であり開発コストが高く利幅が薄かった為、売っても儲からない銃になってしまう。値上げも検討されたが、売上減を懸念し断念。
1988年に製造中止が決定されるが、アメリカからはこれに抗議する手紙が数千通も届いたと言われており、民間では非常に評価が高かった事が窺える。

同じく落選したP226が順調に売り上げを伸ばしていることからも運だけでなくマーケティング不足も足を引っ張ったのかもしれない。

1999年にグロック17のノウハウを取り入れた「シュタイアーM9」を作ったが、グロックの牙城を崩すには至っていない。



○コピー品
アメリカでの販売はレス・ロギャック氏が担当していた。外国のマイナー製品を自国ブランドで販売すること自体は一般的なのだが、彼は何を思ったのか(利益の独り占め?)設計図を入手し、なおかつ起業しGBを作りだしてしまう。
そして「LES P-18」の名で販売するが…

会社に技術が無く設計図通りに作れない!
ガス漏れ・ジャムを頻発、部品間の隙間が酷い(ガタガタ)、レバーが固い、内部メカが動かない、部品がバリだらけ、外観が汚いetc…
こんな本家とはどこも似ていない銃が出回り、あまりの酷さに地面に叩き付ける射手が続出

2300挺程が作られたが、本家が黙っている訳も無く訴えられ、生産中止となる。



○余談と豆知識と補足
※1開発当時はシュタイアー・ダイムラー・プッハ社。現在はシュタイアー・アームズ社。

※2動作方式の関係上、スライドが高温の発射ガスで過熱しやすい不具合。バレルを細身にして軽量化を図ったが、減弾時に益々前後比のバランスが崩れ、感覚的に狙いにくくなる点。

  • ガンスリ3巻のP120に「言っとくが、俺の引き金は軽いぞ」という台詞が出てくるが、実際にGBのトリガープルは他と比べて軽いそうだ。

  • ガスの圧力を使ってグローバックを遅らせる方式で、具体的には銃身の穴から発射ガスをスライド前面に吹きつけ抵抗としてグローバックを遅らせる。よくわからん



○登場作品
  • Angelical Pendulum…チセリがグロック17との二挺拳銃で使用。
トライアルで争った二つを持たせるにくい演出である。

  • GUNSLINGER GIRL…単行本16話と23話でマルコーが使用
グロックを持ったテロリストをシュタイアー社の拳銃で倒す、23話のワンシーンはオーストリア軍の制式採用の件を考えると面白い。



○トイガン
唯一東京マルイからガスガンがでている。


追記・修正はグロックに負けてからお願いします。

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最終更新:2020年06月10日 21:02