登録日:2011/08/17 Wed 13:20:14
更新日:2025/09/11 Thu 21:00:24
所要時間:約 5 分で読めます
性能
全長:216mm
重量:845g
口径:
9x19mm
装弾数:18+1
動作方式:ガスディレイドブローバック
概要
AUGで有名なオーストリアの
シュタイヤー・マンリヒャー社が1981年に開発した
拳銃。
名前はGas Bremse(独)/Gas Brake(英)の略で動作方式を端的に表している。
ワルサーP-38やM1911に代わるオーストリア陸軍制式拳銃Pi80の座を射止める為に開発したのだが…
構造
スライド先端内部のロックキャップとバレル外面をガスチャンバーとして利用し、ガス圧によってスライドが前に押されて遅延させる方式を採用している。P7と同じ。
バレルがスライドに固定される為(ショートリコイルのようにバレルが前後しない)、命中精度を高くできる。それに部品点数を少なくできるので信頼性が高い。
その代わりガスチャンバー部位が高熱化しやすくそれらの対処が求められる。初期に発生したスライドストップが過熱しやすい点は問題視され修正された。
他にもダブルカラムによる18発の大容量弾倉と、トリガー周りをポリマー素材で構成しフレームも単純なプレス加工で成型し生産性が高いことがアピールポイント。
しかし動作機構上ポリマーフレームを採用できなかった点でAUGとは異なる印象を受ける。
完成後
既にAUGが大成功を収めており、拳銃も採用されればシュタイアーの名声はより高まる…
はずだったが、オーストリア陸軍トライアルでは
グロック17が選定。
同等の性能は示したもののコスト面で勝てなかった。
負けじとアメリカ軍の
第三次XM9トライアルに提出したものの、信頼性で他に及ばないとされ陸軍に却下されてしまった。
警察機関で3桁単位の発注こそあれど法執行機関向けにもあまり成功したとはいいがたい。
軍隊での大口受注は無理と判断し、民間への販売に方向転換する。
しかしM9やP226に劣ると軍に判断された点が大きく、優秀な性能を示す点を理解するユーザー以外にはあまり選ばれなかった。
1988年に累計20000丁ほどで製造中止が決定されたが、アメリカからは製造継続を願う手紙が数千通も届いたと言われており、非常に評価が高かった事が窺える。
一応は落選したP226が順調に売り上げを伸ばしていることからも、運だけでなくマーケティングの不備も足を引っ張ったといえる。
1999年にはグロックの方式に倣った「シュタイアーM9」を作るなどグロックのデファクトスタンダード化に吞まれていく形となった。
米国でのひと悶着
アメリカでのシュタイアーの販売代理はレス・ロギャック氏が担当していた。外国のマイナー製品を自国ブランドで販売すること自体は一般的なのだが、彼は何を思ったのか設計図を入手しLES法人を起業し本銃を作りだしてしまう。
1970年代のことでオーストリア軍トライアルもまだまだ先な中、当時の開発名称と同じP-18の名で販売するが…技術が無く設計図通りに作れない。
ガス遅延がうまく作動しない、それによりシンプルブローバックとして作動してしまい
ジャムや事故が頻発。
さらには品質管理もザルで部品間の隙間が酷い(ガタガタ)、レバーが固い、部品がバリだらけ、外観が汚いetc…
こんな本家とはどこも似ていない銃が出回り、あまりの酷さにジャンクと罵られた。
2300丁ほど作られたが、本家が黙っている訳も無く訴えられかけ、生産中止となる。
その後ネームバリューに傷がつくことを恐れ、本銃はP-18からGB(GB80)に改名された。
フィクション
トライアルで争った二つを持たせるにくい演出である。
グロックを持ったテロリストをシュタイアー社の拳銃で倒す、23話のワンシーンはオーストリア軍の制式採用の件を考えると面白い。
3巻のP120に「言っとくが、俺の引き金は軽いぞ」という台詞が出てくるが、実際にGBのトリガープルは他と比べて軽いそうだ。
追記・修正はグロックに負けてからお願いします。
- こちら情報量などの面からシュタイヤーマンリッヒャー社(銃器会社)に統合しようと思います。7/30めどとしていますので何かあればコメントをお願いいたします。 -- 名無しさん (2025-07-24 09:47:45)
最終更新:2025年09月11日 21:00