登録日:2025/11/02 Sun 07:54:00
更新日:2025/11/03 Mon 16:49:57NEW!
所要時間:約 5 分で読めます
深水雛子とは、KONAMIのフランチャイズ『サイレントヒル』シリーズの登場人物。
脚本の竜騎士07氏とキャラクター&クリーチャーデザイン担当のケラ氏によって生み出された。
外見モデル/モーションモデル/声:加藤小夏
【概要】
『
SILENT HILL f』の主人公で、1960年代の寂れた街、日本国岐阜県戎ヶ丘の住人。
女学生用の紺色のセーラー服を着た若い女性で、両親と共に丘の上の一軒家で暮らしていた。
いつもと変わらぬ日常を過ごしていたが、謎の怪異
「霧のバケモノ」によって襲撃され、超自然的な現象に巻き込まれていく。
以下、ネタバレ全開なため未プレイの方はブラウザバック推奨。
【人物像】
前述の通り作中では紺色のセーラー服を着ているが、女学生とは一言も言っていない(理由は後述)。
実年齢は20代前半で、身長は当時の日本人女性としては高めの160cm台。
元陸上部員ということもあり、痩せ過ぎでも太り過ぎでもない健康的な体格。
白人系アメリカ人だった歴代主人公とは違い純血の日本人であるためオリーブ色の肌で髪や瞳は黒。髪型はボブカットだが、幼少期はセミロングだった。
親友の岩井修と会話する際は男のような勇ましい口調だが、五十嵐咲子や西田凜子といった女友達や両親、姉と接する際は女らしい口調であり、普段の言葉遣いは後者。
性格は非常に天邪鬼で、他者から指示されると真逆なことをして悲惨な結果を招くことも多い。
また、女扱いされることや女はこうあるべきという押し付けに対して嫌悪を抱いている。
「如何なる結果になろうとも、自ら選択することが幸せ」という独特の価値観を持っており、「男は男らしく、女は女らしく振る舞う」という昭和の社会的価値観に反するのは当然として、現代の価値観から見てもかなり難儀な性格と言えるだろう。
また、怪異にも怯まず立ち向かうなど勇猛果敢である。
『サイレントヒル』シリーズの主人公らしく、勇ましい口調や態度とは裏腹に、常に憂いを帯びた陰りのある表情を浮かべており、作中では殆ど笑顔を見せない。
様々なトラウマを抱えており、悩みすぎる繊細な性格も相まって頻繁に心因性の頭痛を発症し、一般的な頭痛薬では抑えきれないほど苦しんでいた。
【トラウマ】
雛子の「女扱いされること」への嫌悪感は複数のトラウマに根ざすものである。
一つは、幼少期に女の子たちから仲間外れにされたこと。
幼少期の雛子は活発な子で、女の子とも男の子とも分け隔てなく遊んでいた。
この頃には女の子として扱われることに何の嫌悪感も抱いておらず、いつも赤い服を着た女の子のセルロイド人形を持ち歩いていたが、ある日「男の子と遊ぶ」ことを理由におままごとで女の子たちから仲間外れにされ、その日を機にセルロイド人形を捨て、女の子として扱われることを嫌い始めた。
もう一つは、亭主関白の父親による威圧と、その父親に従順な母親を見て育ったこと。
父親が元々は善良な人間であったということも知っていたが、その情報は雛子に「今は優しい人でも結婚したら家父長制の下で変わってしまう」という偏見を抱かせた。
また、そんな父親に逆らわない母親の姿は「結婚した女性は夫の奴隷になる」という偏見を抱かせた。
三つ目は、姉が妊娠・出産により肌が荒れたり体調が不安定になったこと。
絹田家にお見合い結婚を経て嫁いでいった姉はやがて妊娠し、肌荒れやつわりに苦しみながらも「幸せ」だと語っていた。
しかし雛子には「他人が決めた」結婚や、体調を崩し苦痛を伴う妊娠・出産に幸せを感じる姉には共感できず、むしろそれらに対する恐怖や嫌悪感を抱くようになっていた。
【神威を宿した女子】
戎ヶ丘では定期的に、「神威を宿した女子」と呼ばれる女性が生まれる。
これらの女性は「稀血」と呼ばれる特殊な血を持っており、神霊的(超自然的)な強い力を持っているとされる。
戎ヶ丘ではヒ素を含有する地下水噴出や硫化水素ガスが八岐の大蛇の首の一つである「水龍」の化身として恐れられており、それを封じ込めるため稲荷神が信仰されていた。
稲荷神の「御使い」である九尾の狐は自身の一族に「神威を宿した女子に恋をする呪い」をかけ、常喜一族と呼ばれる外部から来た貴族の歴代当主の跡取りに九尾の一族(普段は何の変哲もない狐の姿に化けている)を取り憑かせ(通称:狐憑き)、「神威を宿した女子」を娶ろうとするよう誘導していた。
狐憑きの常喜一族当主と神威を宿した女子が子供を作ることで九尾は力を保ち、水龍を抑えていた。
なお、かつての深水家の女性──つまり雛子の先祖──も生贄として常喜一族に差し出されたことが示唆されており、「神威を宿した女子」は完全にランダムで生まれるわけではなく血統によるものである様子。
「神威を宿した女子」の設定はシリーズ第一作『
サイレントヒル』のキーパーソンであるアレッサ・ギレスピーを彷彿とさせる。
余談だが、シリーズには「神の御使い」として
ヴァルティエルという存在が登場しており、九尾と役割が似ている。
【カクラマカクラに対する低耐性】
「神威を宿した女子」は、かつて岩井家で製薬されていた「カクラマカクラ(作中では「赤いカプセル」と呼ばれる)」という薬剤を服用すると、深刻な副作用が生じる。
服用すると白昼夢を介して神霊の世界に入り込み、自身のドッペルゲンガーと対話することが可能となる。
悩みを抱えた人間にとっては有用な薬である反面、神霊に対する耐性が著しく低下するという欠点があり、特に「神威を宿した女子」には強く作用してしまう。
結果として「神」やそれに類する存在に憑かれやすくなってしまうのである。
因みにカクラマカクラの原料である「白黒草」は西洋から渡ってきたという設定や、服用すると神霊の世界に入り込めるという設定から、シリーズ通しての悪役「教団」が古くから儀式に使用していたとされるホワイトクロジェアであることが示唆されている(白=ホワイト、黒=クロジェア)。
ホワイトクロジェアは精製するとPTVという麻薬となり、服用を続けると異界を認識できるようになり、やがて「神の御使い」によって身体ごと異界に取り込まれてしまう(これは初代『サイレントヒル』のリサ・ガーランドというキャラクターや、スピンオフコミック『SILENT HILL:Cage of Cradle』を通して描写されていた)。
【戦闘能力】
「神威を宿した女子」であるためか、その身体能力は歴代主人公と比べても超人的。そりゃもう出るゲームを間違えているだの、サイレントヒルf(フィジカルPhysicalだからfじゃねーだろは禁句)とか言われたりするくらいには。
まずホラゲー主人公としては異常に頑丈であり、基本的に敵の攻撃では即死する事はない。
例えばアラアバレは
三角頭の大鉈よりも遥かに巨大な包丁を持っているが、その強力な一撃を食らってもダメージこそ大きいものの普通に耐える。
また敵の攻撃はバックステップやスウェイで回避する事になるが、バックステップは一瞬で約4mを移動できるほど素早く、連続使用も可能。特に攻撃をギリギリで回避すると発生する「見切り回避」ではバレットタイム(スローモーション)が発動するなど、格闘技の達人としか思えないほどの身のこなしを発揮する。通称ヤーナムステップ。
様々な鈍器や刃物の扱いにも長けており、その攻撃モーションはいずれも素人とは思えない殺意に満ちている。
敵の特定の攻撃にタイミングを合わせて強力な攻撃を叩き込む「見切り反撃」の威力は凄まじく、ヒットと同時にソニックブームが発生しているため、雛子の攻撃は音速を超えていることになる。
また、「見切り反撃」時は踏み込みの素早さも常人を超越しており、数メートルくらいの距離を「縮地」の如く一瞬で詰めている。この際時間が止まる──つまり第三者視点では凄まじい速度で動いている──演出となるため、ソニックブームが発生するのも当然と言えるだろう。
特定のお守り装備時には「見切り回避時に見切り反撃ができる」ようになるが、その際の動きは完全に人間をやめている。
「集中」するとバレットタイムを任意に発動できるが、これは「極限まで集中することでエンドルフィンが大量分泌され時間が遅く感じる」という設定なのだと思われる。恐らく見切り回避時のバレットタイムも同様に敵の攻撃をギリギリで回避する極限の緊張感によりエンドルフィンが大量分泌された結果なのだろう。
そのため長時間の集中はできず、ゲームシステム的には精神力ゲージが尽きると集中できなくなる。
集中状態では「見切り反撃」のタイミングを見極めやすくなる他、力を溜めることで「渾身の一撃」を放つことができる。
総じてバレットタイムの使い手としては、(
鎮痛剤中毒なのも含めて)あの
マックス・ペインに匹敵すると言えるだろう。
作中にはアラアバレなどの巨大生物が度々登場するが、これらの敵は歩く度に地響きを鳴らすことから大型トラック並の
数十tレベルの重量であることを伺わせる。
雛子はそれらを見切り反撃や渾身の一撃でノックバックさせることができるため、その膂力は
例の岩パンチマンと同等レベルと思われる。
戦闘センスもずば抜けており、先が折れた野球バットを刃物のように突き刺して使う、ハンマーや斧といった重い武器での見切り反撃では柄で怯ませてから一撃を叩き込むという薙刀のような扱いをするなど戦いの素人とは思えないほどに日用品を武器として扱うことに長けている。
重い武器や霊刀を所持している時は、集中するとバケモノの殆どの攻撃をガードできるなど防御も得意である。
弱点としてスタミナ切れになると主要なアクションが使えなくなるが、『SILENT HILL f』にはRPGの要素もあり、「祈願」や「お守り」でスタミナ、体力、精神力を底上げでき、また特定のお菓子を食べることで一定時間スタミナ無限になる。こうなるともう止まらない。
【来歴】
幼少期
戎ヶ丘の深水家の次女としてこの世に生を受け、姉潤子を慕いながら育った。
いつも「赤い服を来た女の子のセルロイド人形」を持ち歩き、男の子と女の子分け隔てなく遊んでいたが、ある日女の子たちから「男の子と遊ぶから」という理由でおままごとで仲間外れにされ、女として扱われることに嫌悪感を抱き始める。
「女の子としての自分」との訣別としてセルロイド人形を捨てた時、その人形を「落し物」として拾った岩井修と出会った。
家が薬剤師の一族であり、姉から「女扱いされたくない女もいる」と教わっていた故に男女分け隔てなく接する彼と雛子はすぐに仲良くなり、「相棒」と呼びあっていた。
毎日のように「宇宙戦争ごっこ」で遊び、仲を深めていき、二人だけの世界にのめり込んでいった。
ある日、藤鳥寿幸(常喜一族の末裔)という少年が狐(正体は九尾の末裔である七尾)に襲われた際には彼を助け、更に大人たちに殺されそうになった狐も庇い逃がしてやった。
その後、修、寿幸の3人で宇宙戦争ごっこをしたこともあったが、寿幸は家の都合で戎ヶ丘から引っ越してしまった。
ある時、迷子になった際に西田凜子と出会い友達となった。
また、「見えないものが見える」として孤立していた五十嵐咲子とも友達となり、「彼氏を作る時は一緒に」等と約束していた。
青年期
思春期を迎え、身体や心境に変化を迎え始める。
自分を女扱いしない修に居心地の良さを感じながらも、彼にだけは女扱いしてほしいという自己矛盾を抱え、苦しむことになる。
また、この頃に父親が信頼していた友人に裏切られて借金を背負ってしまったことから荒れ始め、家族に八つ当たりするようになったことから父・寛太を憎み、そんな父親に従順な母・君江も嫌うようになる。
そして両親の振る舞いは、「結婚した男は皆こうなる」、「結婚した女は夫の奴隷になる」という偏見と絶望を雛子の心に植え付けた。
特に、激昂した父親に鮪包丁を投げつけられたことはトラウマとして記憶された。
また、慕っていた姉が嫁いでいってしまったことも雛子の孤独感を深めた。
妊娠した姉をお見舞いに行った際に見た、悪阻のあまりの辛さにやつれ、呻き、嘔吐し、肌もガサガサになって変わり果てた姉の姿は、雛子に深いトラウマを残した。
そんな時、常喜一族の当主となった寿幸から結婚を申し込む手紙が届いたことが、雛子の精神疲弊を深刻なものにした。
しばらく文通を続け、寿幸の人柄に惹かれていき、満更でも無かったものの、寿幸は前述の狐に噛まれたことを機に七尾の狐に取り憑かれて雛子への感情を増幅・暴走させられており、彼が送った手紙は雛子にしか読めない字で書かれた恋愛成就符という洗脳効果のあるものであった。
もちろん雛子がそのことを知る由もなかったが、寿幸が雛子の両親にも根回ししていたことが悪手となった。
寛太は妻が難病を罹患していることから治療費を欲しがっており、名家の常喜一族に雛子が嫁げば金に困ることはないと喜んだが、雛子はこれを「両親に売られた」「金のために嫁がされる」と解釈してしまった。
寿幸自身に対する悪感情は無かったものの、「女・妻としての生」に絶望を、「妊娠・出産」には恐怖を抱き、「結婚すべき」という周囲の押し付けは「自分で選択すること」に歓びを感じる雛子にとっては苦痛であった。
また、このことを(恐らく引き止めてくれることを期待して)修に相談するが「自分で決めるべき」と言われてしまい、傷付くことになった。
「自分で選択すること」を幸せに感じる雛子に対してはパーフェクトな解答と言えるのだが、「修にだけは女扱いしてほしい」という乙女心までは察せなかったのである無茶言うなという話でもある。
その時期には市販の頭痛薬では効かないほどに頭痛が酷くなっていた。
その後、両親から二人の本当の姿──君江は家父長制の中でも強かに生きて雛子が見ていない時は寛太を尻に敷き、寛太は「威厳のある父親はかくあるべき」という社会的押し付けに不器用に従っていたこと──を教えられ、二人の謝罪を受けた。
雛子は二人を許すとは言わなかったものの、両親が「理解不能なバケモノ」ではなく「理解できるダメな親」であると認識を改めることができ、「女としての生」が必ずしも不幸ではないと希望を感じ、縁談を受け入れた。
一方、かつて雛子が捨てたセルロイド人形を拾った時から戎ヶ丘の古い土着神である付喪神に憑かれていた修は、雛子の頭痛を解決するために岩井家の古い文書からカクラマカクラの製造法を知り再現に成功していたが、雛子が縁談を受け入れたと知り自暴自棄になり、自らカクラマカクラを服用した。
その結果、付喪神に完全に憑依されてしまい、雛子への恋愛感情を増幅・暴走させられ操り人形と化した。
そんなことを知る由もない雛子は修が頭痛薬と偽って渡してきたカクラマカクラに何の疑問も抱かずに服用してしまい、異変が起きた。
本編
恐らく結婚式当日、カクラマカクラの効果により分裂したが、前述の通り神威を宿した女子であるが故に神霊に極端に憑かれやすくなってしまい、家族の大切な思い出を消され、九十九神と九尾の狐に操られることになった。
九十九神は自身から信仰を奪った稲荷神および九尾の狐の一族を恨んでおり、結婚を阻止するために「深水雛子」に取り憑き、セルロイド人形の姿で彼女を誘導して操った。
一方の九尾は結婚を急かすために「狐の雛子」に取り憑き、七尾が取り憑く寿幸と共に「異類婚姻」の儀式を強行した。
神々は更に、雛子の深層心理を元に二つの異界を形成した。
九十九神は「霧の街」と呼ばれる霧に包まれた戎ヶ丘によく似た異界を生み出し未練を増幅しようとし、九尾は「闇の社殿」と呼ばれる真っ暗な神社と迷宮が合わさったかのような異界を生み出し、狐の雛子に未練を断ち切らせようとした。
二つの異界は時間がループしていることが示唆されており、闇の社殿で全ての婚姻の儀式を終えた後(ゲーム的には終盤)の狐の雛子が霧の街に召喚されたばかり(ゲーム的には序盤)の深水雛子に干渉する場面があった。
霧の街は九尾や七尾が生み出したバケモノや怪異に侵食され、闇の社殿は九十九神が生み出したバケモノに侵食されていった。
その中で二人の雛子は「互いに殺し合わなければならない」という強迫観念に取り憑かれていき、最終的には殺し合ったり和解したりと様々な「選択」をすることになる。
特に「静寂なる戎ヶ丘」ルートでは終盤から「敵」の正体が自分たちを翻弄する神々であり、自らの心象風景の具現化と思われたバケモノたちの正体が神々の手先に過ぎないことを知り、勇敢に立ち向かっていくことになる。
【異界の雛子たち】
カクラマカクラにより分裂した雛子について解説する。
因みに、神々の関与で分裂する描写はシリーズで度々あり、『サイレントヒル』のアレッサ・ギレスピーは自身の魂の半分を赤ん坊として顕現させ、『
サイレントヒル4 ザ・ルーム』では
ウォルター・サリバンが青年ウォルターと少年ウォルターに分裂していた。
特にウォルターは現実ではただの死体で「異界の中でのみ分裂している」という雛子との共通項がある。
【深水雛子】
深水雛子
カクラマカクラにより分裂し、戎ヶ丘が再現された異界「霧の街」に召喚された結婚を拒み修と相棒のままでいることに希望を感じた雛子。
モラトリアムへの未練のためかセーラー服姿で顕現している。
霧の街の武器は耐久度があり壊れてしまうが、ムービー中や小説版では常に鉄パイプを持ち歩いているため、プレイヤーからは便宜的に「鉄パイプ雛子」とも呼ばれる。
男らしい勇ましい口調でいることが多く、未練の具現化と思われる修や凜子と共にバケモノたちに立ち向かう。
後述の狐の雛子と違い身体を欠損することはないが、「霧のバケモノ」の幾度もの襲撃により服装も身体もボロボロかつ血だらけになっていく。
狐の雛子と違い終始言動がはっきりしているため、露骨に洗脳されているようには見えないが、彼女が信頼する修もセルロイド人形も九十九神の一部であるため、雛子の主観では「自分の選択」に見えても実際には思考誘導されていると言える。
「呪いは雛のごとく舞い戻る」と「狐その尾を濡らす」エンディングでは白無垢となった狐の雛子を打倒するが、いずれもその後の被害が甚大である。
「狐の嫁入り」では唯一打倒されるが、その方法は「胡座の布袋様」という赤い液体で「穢れ」として滅されるというもの。
怪異側の存在である寿幸からは後述の狐の雛子とは別人と認識されており、闇の社殿に侵入した際は「何者か」と問われている。
【狐の雛子】
狐の雛子
名称は字幕の話者名表記より。
カクラマカクラにより深水雛子から分離し、稲荷神のテリトリーである闇の社殿に召喚された寿幸との結婚に希望を感じ受け入れた雛子。
女らしい口調と態度でいることが多く、当初は「深水雛子」と同様に普通のセーラー服姿だったが、「異類婚姻の儀式」により右腕を肩から切断して獣の腕を移植、背中に常喜家の家紋を焼印される、顔の上半分を剥がされて狐のマスクを縫い付けられるといった拷問に等しい扱いを受け入れていく。
儀式の中盤あたりから意識が朦朧としている、或いは酩酊状態のようにふわふわとした言動となり、苦痛を強いる寿幸はおろか、自身を侮辱する相手にも非常に従順な態度をとるなど前述の「恋愛成就符」や九尾の洗脳の影響が見られる。
当初の武器は壊れることのない懐刀(刃引きされてるためほぼ鈍器)と薙刀だったが、獣の腕を移植されてからは獣の腕だけで戦うようになる。
闇の社殿のバケモノは倒しても復活するが、獣の腕で「吸魂」することでトドメを刺せる。
また、渾身の一撃で倒した敵も復活しなくなる。
また、吸魂によりエネルギーを溜める(ゲームシステム的には葛の葉ゲージを溜める)と、一定時間「覚醒」と呼ばれる形態となる。
「覚醒」状態では獣の腕が肥大化し、体力・スタミナ無限になり、強力なコンボ攻撃を叩き込めるようになる他、この状態で倒したバケモノは自動的に吸魂される。
拷問じみた肉体改造と儀式は、家父長制における結婚のメタファーと取ることができるが、これは『サイレントヒル』シリーズであるため、実際に苦痛を伴う儀式であったと思われる(異界で受ける苦痛は紛れもなく本物であるため)。
全ての儀式を終えた果てに全身が彼岸花の繭で覆われ、背中から「白無垢」として羽化した。
泣き叫ぶ「狐の雛子」の顔
なお、「狐の嫁入り」エンディングでは深水雛子に勝利して寿幸と結婚するが、ラストシーンで泣き叫びながら踏み潰されたのは「深水雛子」ではなく「狐の雛子」の顔である(話者名で判明する)。
【霧のバケモノ/白無垢】
深水雛子と対峙する白無垢
「異類婚姻」の儀式を全て終えた狐の雛子が生まれ変わった姿で、正体不明の段階では「霧のバケモノ」と呼ばれる。
身長は3メートル近くもあり、呼び名の通り白無垢と綿帽子を着用している。
両腕が獣の腕となっており、顔は抉り取られたかのように喪失し、肉が剥き出しとなっている。
白無垢の主観では未だに「狐の雛子」の姿のままだが、深水雛子や修、寿幸の視点ではこのグロテスクかつ威圧感のある姿であることが「狐の嫁入り」エンディングで明かされる
獣の腕による人智を超越した怪力や爪撃に加え、霧の街を肉腫と彼岸花、触手で侵食する能力、瞬間移動能力などを有しており、「深水雛子」および彼女が生み出した未練の具現化と思われる修、咲子、凜子を襲撃した。
真っ先に咲子の幻影を殺害し、後に深水家で修と凜子の幻影も殺害した。
また、幾度も深水雛子の前に立ち塞がり、執拗に追跡した。
ゲーム的には、『
サイレントヒル ダウンプア』のボイドに似た追いつかれると即死する逃走パートの敵である。
「呪いは雛のごとく舞い戻る」と「狐その尾を濡らす」エンディングではラスボスとして深水雛子の前に立ちはだかる。
シリーズ過去作の三角頭やメモリー・オブ・アレッサ、ブッチャー、ブギーマンのような「主人公に立ちはだかる主人公自身の分身」と呼べる存在。
【異界について】
本作の異界、つまり霧の街と闇の社殿には様々な解釈が存在する。
いずれも現実離れした余剰次元であることは間違いないが、一部のムービーは現実の出来事が神々によって歪められているかのような描写に見える。
一方で「静寂なる戎ヶ丘」エンディングでは、二人の雛子が寿幸とハグをし、ホワイトアウトした次の瞬間には戎ヶ丘の丘の上(ゲーム開始地点)に雛子が一人で帰還するという描写がある。
この異界の最深部で怪異の中心人物と主人公がハグ→現実に帰還という描写は『サイレントヒル ダウンプア』でもあったものであり、全ては神々が形成した異界での出来事と解釈することもできる(シリーズではエンディング毎に世界観自体が変化するものも多い)。
異界は当事者たちにとっては紛れもなく現実の出来事であるため、カクラマカクラを服用した修や七尾に憑かれている寿幸、御神木の加護を受けた咲子が異界に入り込んでくることとも矛盾しない。
前述の通り、カクラマカクラの原料はホワイトクロジェアであることが示唆されており、そのホワイトクロジェア(厳密にはホワイトクロジェアを精製した麻薬)の中毒になったリサ・ガーランドがアレッサと「神」が生み出した異界を認識できるようになった末に神の御使いによって肉体ごと異界に取り込まれた描写とも整合性がとれている。
また、シリーズ過去作では主人公の親や知人が怪物化する場面があるが、
いずれも本人ではなく記憶やトラウマが神によって具現化された正真正銘のバケモノであるため、両親がバケモノになった際、「静寂なる戎ヶ丘」ルートで雛子が「誰なんだ?!お前たちは誰なんだ?!」と問いかけるのは本質を見抜いていると言えるだろう。
因みにサイレントヒルシリーズのバケモノ(モンスター)は、異界で独自の生態系を築いていたりする
生き物であり、『
サイレントヒル3』ではビーフジャーキーで気を逸らすことができたり、『サイレントヒル4』ではモンスター同士で捕食したりされたりしていた。
一方で神々が「特定の人間をバケモノに見せかけて殺し合わせようとする」という場面もシリーズには存在し、人間の深層心理を神々が具現化させた正真正銘のバケモノと主人公からはバケモノに見えるだけの人間が混在しているのである。
いずれにせよ、『サイレントヒル』のタイトルを冠している以上は単なるサイコロジカルホラーではなく超自然的な現象が起きているのは間違いないだろう。
追記、修正は自ら選択してからお願いします。
画像出典:『SILENT HILL f』スクリーンショット
発売元:KONAMI
開発元:ネオバーズ社
発売日:2025年9月25日
- 画像でかすぎない? -- 名無しさん (2025-11-02 10:52:25)
- 画像もうちょい小さくしようや画質的に無理なのかもしれんけど -- 名無しさん (2025-11-02 11:08:34)
- 狐の雛子のスクライドパロイラスト見かけて吹いた。いや確かに「己の道のため、あらゆる理不尽に立ち向かう強い意志に基づき右腕を強靭に変化させる摩訶不思議な力で立ち向かう者」ではあったけれど!w -- 名無しさん (2025-11-02 17:13:16)
- ああ、RCUだかの項目量産してるのと同じ人か、道理で -- 名無しさん (2025-11-02 22:17:07)
- ↑まあそれはそれということで…この記事やコヴァルスキー(Crime Scene Cleaner)みたいに良項目も建てる人だから…一応… -- 名無しさん (2025-11-02 22:30:18)
- 演者が実況。演者がTシャツ姿で鉄パイプ持てばコスプレ扱いは草 -- 名無しさん (2025-11-03 09:26:19)
- トゥルーでは神二柱と連戦して勝つという…戦闘力が高い -- 名無しさん (2025-11-03 16:49:57)
最終更新:2025年11月03日 16:49