頭文字D First Stage

登録日:2025/11/11 Tue 20:05:20
更新日:2025/11/11 Tue 22:40:46NEW!
所要時間:約 8 分で読めます




しげの秀一の漫画『頭文字D』を原作としたテレビアニメ。
1998年4月19日から12月6日までフジテレビ系列で放送された。全26話


[概要]

大ヒット走り屋漫画『頭文字D』の初のアニメ化作品。
一部一般車を除けば、ほとんどのクルマは3DCGで描かれており、流石に今の作画と比べることはできないが、ドリキンこと土屋圭市とホットバージョン監修の元、エンジン音やスキール音などは実際のクルマから収録しており、またバトル時には軽快なユーロビートを流すなど、当時としては斬新かつ画期的だった。
また次回予告ではナレーションの細井治(本編では史浩と兼務)と登場人物の掛け合いが行われており、最後に細井が「Don't miss it!!(次も見逃すな!!)」と締めるのがお約束となっている。
キャラクターは原作漫画に比べると、ややデフォルメした親しみやすい印象になっており、ギャグ描写も増えている。


[原作との相違点]

基本的には原作を踏襲した流れになっており、原作での第1話から、妙義山での交流戦までをアニメ化しているが、随所でアニメオリジナルの展開が加わっている。

1.バトルの順番
庄司慎吾戦までは同じだが、秋名での高橋涼介戦を最終回に持ってくるようにしたため、バトルの順番が変更されている。
アニメ版では慎吾戦の次に碓氷峠での佐藤真子&沙雪戦~妙義でのレッドサンズ対ナイトキッズの交流戦~中村賢太戦の順番となり、原作では賢太戦の後にエンペラーの岩城清次が操るランエボが乱入してくる下りがあったがこれはカットされ、最終回に高橋涼介戦という構成になり、エンペラーはSecond Stageからの登場となった。

2.アニメオリジナル要素
一番大きな変更点は樹のデートシーンが追加された点だろう。
原作では樹の恋愛話はSecond Stageでの秋山和美なのだが、こちらでは原作オリジナルキャラの沙織となっている。
また、原作ではバトル中にナレーションの解説が付いていたが、アニメ版では高橋涼介や池谷浩一郎などのバトルに参加していない面々がバトルの解説を担当する場面が多い。
他にも、店長がバトルのギャラリーに訪れたりと、随所にアニメオリジナル要素が追加されている。


[主要登場人物]

カッコ内は担当声優。

「走り屋ってのはクルマで挑戦されたら、受けて立たなきゃいけないんだろ?」

  • 搭乗車種:AE86 スプリンタートレノ GT-APEX
主人公の高校3年生で、親友のイツキと共にガソリンスタンドでアルバイトしている。ハチロクに憧れるイツキとは対照的に、クルマには全く興味を示さないが、実は中学時代から父の文太に豆腐の配達をやらされて毎日のように秋名の峠を走りこんでおり、知らず知らずのうちに神業的なドライビングテクを身に付けていた。
そして赤城レッドサンズのナンバー2・高橋啓介を破ったことで、エリア内外にその名を知らしめていくことになる。
普段はぼんやりした性格で、あまり物事に関心を示さないが、実はキレると手が付けられないタイプで、特に自分の大切な存在を貶されると激怒する性格。
なつきとの海デートに必要と言う理由からハチロクを貸し出しをお願いされ「明日の夜、秋名の下りで赤城最速とか言ってやがるふかしたガキを軽くひねってこい」「そうすればクルマはガソリン満タンで貸してやる」と言われたことから、拓海の伝説が始まる。
当初は天才的なテクニックを持つものの、走り屋やクルマに対する関心はまるでなく、寧ろ仕事の手伝いとして嫌々やらされていたこともあり面倒臭がっていた節さえあり、乗っているハチロクも「商売で使ってるボログルマ」としか思っておらず、ハチロクのメーカーさえあやふやな程だったが、経験を積む周囲の人間の想いなどから走り屋としての自覚を身に付けていく。


「ハチロクはドライバーを育てるクルマだからな」

藤原文太(石塚運昇)
拓海の父親で豆腐屋の親父。
若い頃は「伝説の走り屋」と呼ばれていた人物で、今もなおその腕は衰えを見せない。拓海の乗るハチロクも、元々は文太の愛車である。
普段はぶっきらぼうで不愛想な調子を崩さないが、内に秘めた闘志は非常に熱く、その性質は息子の拓海にも受け継がれている。
中学生だった拓海に過重移動の基本を叩きこんだ張本人。当然ながら無免許運転のため犯罪だが、文太本人は「今は免許取らせたから時効だ」と意に介していない。
事故後の池谷から「助っ人に来てほしい」とお願いされるも、代わりに拓海を差し向けさせる。


「やっぱサイコーだぜ!オレのレビン!」

武内樹(岩田光央)
  • 搭乗車種:AE85 カローラレビン 1.5SR
拓海の大親友で、ハチロクに憧れるクルマ好きな高校3年生。
至る所でお調子者ぶりを発揮し、拓海を始めとした周囲に迷惑をかけることもしょっちゅうだが、どこか憎めない性格で、なんだかんだで愛されている。拓海もイツキにだけは本心を明かす場面も多く、イツキもどんな敵だろうとも拓海なら負けないと心から信じている。
家にハチロクがあることで拓海を羨ましがっており、後にイツキ本人もレビンを購入するが、実際にはボディだけは同じだがハチロクではなく廉価版のハチゴーだと知りみんなに大笑いされ撃沈。それでも拓海がハチゴーでナイトキッズの下っ端2台をぶっちぎったことから、「ハチゴーでもテクニック次第で速く走れる」ことを実感したため、乗り続けることを決意する。
またこちらではなつきの親友である沙織といい感じになるが、イツキの無茶もあったものの見事に(二つの意味で)クラッシュしてしまった。


「地元ってのはぜってーよそ者に負けちゃいけないんだ!」

池谷浩一郎(矢尾一樹)
  • 搭乗車種:S13 シルビア K's S13
自称秋名最速の走り屋チーム・秋名スピードスターズのリーダーであり、拓海とイツキの先輩。
走り屋としてのテクはイマイチだが、面倒見が良くてメカの知識も詳しく、拓海やイツキにとっては頼れる存在。
レッドサンズとの交流戦では、自分たちでは歯が立たないことを自覚するも走り込みを続けるが、その途中で事故を起こしてしまい、池谷は軽傷で済んだが愛車シルビアを大破させてしまう。
その後、文太に助っ人を依頼し、文太自身は出なかったものの、最終的に池谷の熱意に心を動かされた文太が拓海を差し向けさせたことから、ある意味では物語に大きな影響を与えた人物ともいえる。
彼女いない歴=年齢であったが、インパクトブルーの佐藤真子と接近するも……


「こんなバトル止めようぜ。でなきゃ、お前とは絶交だ!」

健二(高木渉)
  • 搭乗車種:RPS13 180SX タイプX
池谷の親友で、池谷たちが働くスタンドに入り浸っており、よく駄弁りに来る。
また情報通で、いろんな走り屋の情報を仕入れてくることもある。
また真子とのバトル時は「池谷が自分のために拓海に勝ち目のないバトルをさせた」として、上記のセリフを言い放つなど、男気のある面も。


「惚れるっていうのは何もかもひっくるめて飲み込んでやるって事なんだ!そういうのが愛とか恋というもんじゃねぇのか!?」

立花祐一(西村知道)
  • 搭乗車種:SV40 カムリ
池谷たちが働くガソリンスタンドの店長。
温厚な性格で、拓海や池谷たちを父親のように温かく見守っている。
中里とのバトルに気が乗らない拓海を上手くそそのかしたり、真子の関係に悩む池谷に発破をかけたりと、面倒見の良い良き上司である。
中里戦や慎吾戦、涼介戦などでギャラリーもしており、高橋兄弟目当ての女の子の集団の中で「癖になりそうだ…」と喜んでいたところ、女の子の集団がその場を移動すると、「キャー、涼介様ぁ~」と追いかけていったことも。


「負けてもいいけど、事故だけはしないでね」

茂木なつき(川澄綾子)
拓海のクラスメイト。第1話から登場し、クルマの話で盛り上がる拓海と樹の前に現れる。以前はサッカー部のマネージャーをしており、先輩の御木と付き合っていたが、その時の拓海と御木の諍いから拓海がサッカー部を辞めてしまい、本編開始前までは疎遠だった。
ちなみに、上記の初登場が実に1年ぶりの会話だったらしい。
その後なつきのほうから積極的にアプローチし、海に行くなどして関係を深めていく。
この時点ではまだ裏の顔が明らかになっていないが、拓海のバイト代を「それだけ」と言ったり、ベンツの中年紳士と密会したりと、後々の片鱗は出ている*1


「奴は間違いなく、進化している」

高橋涼介(子安武人)
  • 搭乗車種: FC3S RX-7 アンフィニⅢ
群馬随一のハイレベルな走り屋チーム・赤城レッドサンズのリーダーで、人呼んで「赤城の白い彗星」。
高碕の大病院の御曹司で、県内トップレベルの進学校を卒業後、群馬大学の医学部でもトップの成績を収める秀才。おまけにイケメンというまさに完璧超人で、峠には女性ファンも大勢押しかけるほど。
粗暴な弟とは対照的に冷静沈着で頭脳明晰。
将来は両親の後を受け継いで医師になることを決めており、プロチームからのスカウトも断っている。
関東エリアの完全制覇を目指しており、関東全域に地元の走り屋が何年掛かっても更新できないコースレコードを作り、最速の名を残す「伝説の走り屋」になってからの引退を決めていた。
当初はスピードスターズの面々を「カスばかり」「ウチの2軍でも楽に勝てる」「明日はベストメンバーで来ることは無い」とし、当日の交流戦も同行しないつもりだったが、弟の啓介が秋名のダウンヒルでハチロクに負けたことで、その認識を改める。

最終回ではダウンヒル・ヒルクライム両立からダウンヒル特化のセッティングに変更したFCで拓海とバトルを繰り広げる。
序盤はわざと拓海を先行させ、彼にプレッシャーを掛けた後、5連続ヘアピンでハチロクがアンダーステアで外側に膨らんだスキを付き、オーバーテイク。
しかし、拓海の走りをコピーしたことが原因でタイヤがタレてしまい、最終コーナーで膨らんだところを僅差で敗北する。これによって走り屋を引退。
最後には拓海に対して「小さなステージに満足せず、広い世界に目を向けろ」とアドバイスを送った。


「車を走らせることが好きなら、それだけで十分走り屋なんだよ!」

高橋啓介(関智一)
  • 搭乗車種: FD3S RX-7 Type R
涼介の弟で、レッドサンズのNo.2。
一番最初の拓海のバトル相手で、後に拓海最大のライバルとなる。

物語冒頭で、配達帰りの拓海に敗れ、さらにスピードスターズとの交流戦でも敗れたことから、拓海に強いライバル心を抱く。
粗暴で喧嘩っ早い面が目立つが、性根は熱い男であり、走りに対して消極的な拓海に、上記のセリフを投げかけたことも。
当初は拓海に圧倒されることも多く、かませ犬的な立ち位置だったが、持ち前の負けん気の強さから、彼もまた大いに成長してゆく。


「雨さえ降れば、オレのQ'sはターボ車だってちぎれるんだ!」

中村賢太(岡野浩介)
  • 搭乗車種 S14 シルビア Q's
レッドサンズのメンバーで、高橋兄弟、特に弟の啓介をこよなく尊敬する愛弟子。レッドサンズに入る前は、タイヤの減らない雨の日を選んで走っていたことから、レインバトルを得意としている。
啓介が拓海に負けたことが納得いかず、妙義山での交流戦で拓海とのレインバトルに挑む。雨に慣れていることもあってある程度の実力はあったが、中学から雨の日も雪の日も毎日走っていた拓海の敵ではなく、あっという間にちぎられた。


史浩(細井治)
  • 搭乗車種:ユーノス・ロードスター
レッドサンズの外報部長。中の人は次回予告でのナレーションも兼務している。
何故か愛車がS13だったりMR2だったりとコロコロ変化しており、第11話では啓介に「浩(ヒロシ)」と呼ばれるシーンまであったりと、何かと不思議な人。
後にフルネームが明らかになるがよくコンプラにひっからなかったものである


「リアサイドに付いてるバッジは、不敗神話のRだ!オレのRに付いてこれるか!?」

中里毅(檜山修之)
  • 搭乗車種:R32 スカイラインGT-R V SPEC
妙義山をホームコースとするガラの悪い走り屋チーム・妙義ナイトキッズのリーダー。
昔はS13に乗っていたが、白いR32GT-Rとのバトルにおいて、クルマの戦闘力の差で惨敗したことをきっかけに、自身も同じR32へと乗り換える。
それ以降、ライバルがいなくなり退屈していたところへ秋名のハチロクの話を聞きつけ拓海とバトルするが、ムラッ気の多い性格に加えて、GT-Rの弱点であるフロントヘビーからくるアンダーステアとフロントタイヤの熱ダレで自滅。マシンの右リアをガードレールにヒットさせて敗北した。

その後、妙義での交流戦では涼介直伝のテクニックを身に付けた高橋啓介にも僅差で敗北し、さらに続編ではエンペラーの岩城清次にも敗れ、序盤の大物感とは一転してやられ役となってしまった。


「要は勝てばいいんだよ。どんな手を使ってもなぁ!」

庄司慎吾(藤原啓治)
  • 搭乗車種:EG6 シビック SiR-Ⅱ
ナイトキッズのナンバー2で、ダウンヒル最速のスペシャリスト。
左足ブレーキの技術に優れ、下りならば中里を凌ぐと言われるFFマシンの使い手。
「デンジャラス慎吾」の異名通り、性格は極めて下劣で、勝つためにはぶつけるなどの危険な手段を選ばない。この性格からかチーム内での人望は無く、特にリーダーである中里とは仲が悪い。
中里に勝った拓海を破ることで、ナイトキッズでの主導権を握ろうと画策し、拓海をバトルに誘い出すためにまずは秋名山にて、ドリフトの練習中だった池谷のシルビアを襲撃してスピンさせ、さらにデート帰りのイツキのレビンも襲撃してクラッシュに追い込んでイツキを病院送りにする*2。これらので拓海を激怒させる。そして「100%勝てる面白いアイデア」としてガムテープデスマッチでの勝負を挑む*3
当初は不慣れだった拓海だが、驚くべき適応力でペースを上げていく拓海に逆に慎吾が焦る羽目に。
最終的に拓海に追い抜かれ、引き分けに持ち込もうとダブルクラッシュさせようとするが交わされて自爆。破損した愛車を見て涙を滲ませたり、恨まれても仕方のない池谷の善意に素直に感謝するなど、バトル後は憑き物が落ちたかのような態度になっていた。
その後は丸くなっており、妙義での交流戦では中里を応援するなど、中里との関係も徐々に改善している(ただし、人前では仲が悪いように見せている)。


「悔いだけは残さない。碓氷峠最速のプライドにかけて」

佐藤真子(根谷美智子)
  • 搭乗車種:シルエイティ
碓氷峠最速の「インパクトブルー」のドライバー。
高橋涼介に憧れ、幼馴染の沙雪をナビゲーターに迎えて走り屋になった。
走りっぷりは豪快だが、真子本人の性格はとても清楚で引っ込み思案な性格。沙雪曰く「ハンドルを握ると性格が変わる」らしく、特に女だと馬鹿にされるのが嫌い。
走り屋引退を考え、最後の一戦に「秋名のハチロクと碓氷峠で戦いたい」と言ったことから拓海と戦うこととなる。かなり勝負は拮抗していたものの、最終的には真子の自滅で敗北するが、技術の深さを思い知り、引退を撤回する。

池谷とは釜めし屋の駐車場で車を立ち往生させていた際*4、通りかかった池谷に修理してもらったことで知り合う。誠実な彼に惹かれて行くものの、お互いのすれ違いやアクシデントもあり結ばれることは無かった。


「派手に行こうよ、真子!」

沙雪(かかずゆみ)
「インパクトブルー」の一員で、真子のナビゲーター兼メカニック。
真子とは対照的に快活で外向的。年下が好みらしく、可愛い雰囲気の拓海を気に入る。



[主題歌]

  • OP
around the world/m.o.v.e(1話〜19話)
BREAK IN2 THE NITE/m.o.v.e(20話〜26話)


  • ED
Rage your dream/m.o.v.e(1話〜14話)
奇蹟の薔薇(キセキノハナ)/Galla(15話〜26話)





追記・修正は実際のルールを守って安全運転でお願いします。

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最終更新:2025年11月11日 22:40

*1 アニメ版ではそのあたりの発言はぼかされているため、「なつきの父親」とも取れるような描写ではある

*2 おまけにイツキはこのことがトラウマになった彼女からフラれてしまう

*3 ステアリングにガムテープで右手を固定させるというもの。左足ブレーキが使えるFFマシンが有利なルールで、FRマシンではカウンターが当てられなくなるため、非常に危険なルールである

*4 シルエイティは車検に出しており、その時は代車のミラに乗っていた。