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緑川ルリ子(仮面ライダー)

登録日:2026/01/31 Sat 00:40:00
更新日:2026/04/15 Wed 23:13:00
所要時間:約 12 分で読めます




「カッコいいの一つ、買ってきちゃいました」


緑川ルリ子とは、仮面ライダーの登場人物である。
ファンにはルリ子さんと呼べば大体は通じるだろう。

仮面ライダー=本郷猛と密接に関わる重要なポジションながら、僅か1クールで姿を消した悲劇のメインヒロイン。
彼女に一体なにがあったのか?
順を追って振り返ってみよう。

父親の方と同じで、ここでは基盤の一つであるテレビシリーズ版を中心に述べていく。

(演:真樹千恵子)




【概要】

本郷猛の恩師である緑川博士の一人娘にして、同じく城北大学に通う女学生。
立花藤兵衛が経営するスナック「アミーゴ」でバイトしている、と他のメインキャラとの接点は概ねこんな感じ。


本郷とはショッカーによる怪事件を通して知り合い、自身もショッカーとの戦いに身を投じていく。

いかにも深窓の令嬢といった感じだが、気になった事は確かめずにいられない活動的な性格。
父の失踪だろうとショッカーによる危険の兆候であろうと例外はなく、それでいて戦う術を持たないお嬢さんなため危なっかしい。


なお、確かに城北大学ではあるのだが、父や本郷のように生化学を志している訳ではなく実は文学部の文系。(1話の初登場シーンの校門にデカデカと書いてある)

父親の方でも述べたが母親はおらず、それについての説明もない。
気にかける様子がない程度には緑川家は父子家庭が常態化しており、父娘間の関係も特に険悪ではなさそうなのが窺える。

【活躍】


開始時点では行方不明の父の身を案じていたが、バイト先のスナックのマスターである立花藤兵衛の手引きにより生存を知り落ち合う手筈を整えてもらう。
しかし小型のスパイ蜘蛛による諜報で先回りした蜘蛛男によって緑川博士は殺され、折悪くルリ子が現場にたどり着いた時には糸に絡め取られた博士の遺体を本郷が必死に助け起こそうとしている所であった。

「お父様の首を絞めて殺し、今度は逆に私を助けるのはなんのつもりなの!?」

「違う!先生を殺したのは俺じゃない!」

ショッカーの存在を知らないルリ子にとって見ず知らずの男が父を締め殺したようにしか見えず、「人殺し…!」と拒絶の言葉をかけてしまう。

疑惑の男である本郷の正体を突き止めるべく、明らかに知己としか思えない藤兵衛を問い詰めるなど探し求めるが、(主に親切に種明かしをしてくれた首領のおかげで)誤解は解け、贖罪のため力になろうと本郷の助手を名乗り、「猛さん」と呼び慕うようになる。

「あなたに今までご迷惑をおかけしたせめてもの償いに、お役に立ちたいんです!」

味方となってから単独行動で姿を眩ましがちな本郷の動向に気を配るようになり、ショッカーの事件にも首をつっこむ。
本郷にとっては守りきれなかった恩師の忘れ形見であり、巻き込まないように遠ざけようとするのだが、少し言われた程度で聞き入れるほど素直な訳もなく、琵琶湖までオートバイを乗り回して行方を追うじゃじゃ馬。(結局は本郷の後をつけ回す運命)
そのせいでちょくちょく囚われの姫となり怪人の能力の餌食になるなど散々な目に遭うが、それでもめげない。
並べると分かるが結城丈二なんかは概ね同じ行動パターン


いかなる時もジッとしていられないルリ子に本郷は肝を冷やしているが、時にその無鉄砲さが事件解決の一助になる事もあり、素直に感謝の言葉を述べる。
ルリ子もそんな本郷の役に立てれば嬉しい、なんだかんだ良いコンビ。

「しょうがないお嬢さんだなぁ。しかし助かりました」

父を殺され天涯孤独になった身の上から親や兄弟を奪われた子供に特に思い入れる傾向にあり、ゲスト役の子供にはいつも優しい。

「あたし…ショッカーのためにひとりぼっち。あたしと同じようにさせたくないわ」




【主だった対人関係】

学友に野原ひろみがおり、共にアミーゴでバイトするなど2人でいる事が多い。
上の通りのルリ子のアクティブさに巻き込まれ災難に遭いながらも、文句ひとつ言わず友達の側にいてくれる気立てのよい娘さんである。

本郷とは上の通り。
危険な事件からは遠ざけようとするがプライベートまで邪険にしたいという訳でもなく、オフの日にはオートバイで競争して遊ぶなどしている。

おやっさん(藤兵衛)には「ルリちゃん」と愛称で呼ばれるなど仲良し。
本郷の素性や正体について尋ねトボけられる事もあったが、事情を知ってからは良き協力者となった。
本郷が不在がちな期間は2人で潜入調査などしている。

滝和也については「前年のモトクロス選手権で本郷と競い合っていたライバル」という程度の認識だったが、ショッカーによる事件を機会に交流を持つ。
滝にとっては本郷から不在時のお目付け役を任されたも同然であり「あんたに何かあったら本郷にドヤされるからな」と独断専行しようとするルリ子を止めるなど気を遣われていた。


萬画版

テレビシリーズと並行して石ノ森章太郎が連載していた作品。
互いに一つの大きな企画を原作としたメディアミックスであり、出だしの展開こそ同じであるが、こちらのルリ子さんは事件に積極的に飛び込むようなお転婆さはない。
こちらでも野原ひろみとは友達だったが…(お察しください)

なのであまり目立たないが、刺客として本郷に襲い掛かり重傷を負って倒れた一文字隼人を「敵なのだから危険では」と危惧する藤兵衛に対し、「怪我人なのだから」と治療を提案する優しさを見せ、結果としてそれが第2の仮面ライダーの誕生に繋がった。




【突然のさよなら】

(まぁぶっちゃけ事故による混乱で)本郷が特に姿を眩ましがちになった11話以降は更に活躍シーンが増え、11話ではメガネっ娘の新婦に変装し(新郎役はおやっさん)怪人ゲバコンドルを誘き出す。
そして12話ではほぼ1人で話を回しており、事件の謎を追う名探偵ルリ子状態であった。
更に戦闘員を軽く蹴散らし、全身を固められて絶体絶命のピンチだったライダーを救うなどアクション面でも大活躍する実質的な主役回である。

更に続く13話では原子力研究所の事件を調査すべくまたしても単身乗り込むが、滝に止められ…


この話を最後に、緑川ルリ子は作品から姿を消した。

【何がどうしてこうなった】

いわゆる旧1号編が主演の藤岡弘の骨折事故により1クールで店仕舞いになった事は今日び有名な歴史である。
そしてルリ子さんはその成り立ちから本郷猛に密接に関わる「ありき」なヒロインであり、その本郷猛が番組に出られない以上はキャラとしての意義も希薄になる訳で、誤解を恐れずに言うなら「巻き添え降板」という事になる。
ラスト3話ではルリ子の出番が増えたりウェディングドレスを着たりとかなり重宝されているのだが、これらはそうした止むを得ない降板に対してのせめてもの詫びなのだ。


キャラクターの最終的な処遇としては14話で一文字隼人の口から「ショッカーの別支部を潰すために日本を離れた本郷の後をルリ子さんも追った」と凄い残念そうな顔をする滝を尻目に語られるという形で締めくくられているが、これにより滝やおやっさんも知らなかった本郷の渡欧を単身察知し後を追うという、兼ねてより発揮していたその追跡者ぶりに更なる箔がつく結果となってしまった。

本郷猛に誂えたヒロインなので一文字隼人にそのままスライドさせる訳にはいかない、という事情は萬画版も共通であり、やはりこちらも主役交代と共にひっそりと姿を消している。


【本郷猛と仮面ライダー】

実は最後まで本郷の正体が仮面ライダーである事は知らない。
8話などでライダーが助けにきた時に本郷の身を案じる言動から窺う事ができる。

本郷やおやっさんにどういった説明を受けたのかは描かれていないが、劇中では「ショッカーという存在と悪を認識しつつ、本郷が改造人間である事すら知らない」という状態らしく、本郷はルリ子の前で人の域を超えた力を見せないようにしていた。
父親である緑川博士の顛末について話す都合上、そういった部分にも触れざるを得ない筈なのだが、この辺はとにかく謎。

ただしルリ子さんにとっては本郷猛も仮面ライダーも同じく「優しいお兄ちゃん」であり、あるいは最終的に正体を何となく察していたのではないか?とも取れる。
最後の出番となった13話のラストで立ち去るライダーと見つめ合い、笑顔で見送った後のおやっさんとの意味深な会話はその最たる物であろう。

「偉いわ、自分の命を捨ててまで、人のために戦ってるのね」

「自分の事ばかり考えていちゃ、本当に平和で幸せな世の中にならないからな」

【その後のルリ子さん】

降板劇の都合による突然の渡欧については後年、番組を手がけた平山Pによる著書「仮面ライダー 変身ヒーローの誕生」に掲載された「二人ライダー・秘話」について補完が試みられた。
ここでは一文字に日本の守りを託した本郷が、1人残され当て所なく自分を探し続けるであろうルリ子の身を案じてウィーンへ向かう事を伝え同行を提案したという流れ。
ウィーンは緑川父娘がかつて過ごしていた縁深い土地であり、そこには大学で研究に励んでいた緑川博士の愛弟子・カールがいて、ルリ子とは幼馴染だった。
本郷は密かにルリ子をカールに託すべく思案し、ルリ子はカールとの再会に心惹かれ承諾する。

ところがカールはショッカーに騙されその研究と情熱を悪に利用されており、気づいた時には既に虜囚となっていた。
何とか救出されるが疲労が祟って昏睡し、カールは罪の意識に苦しむ。

組織の攻撃目標からは外された、何もない穏やかな田園地帯に立った修道院。
カールはここで農耕に身を埋める心持ちになっており、できればルリ子にも側にいてほしいと思っていたが、ショッカーに加担した罪悪感からその資格はないと、言い出す事ができない。

懸命に看病するルリ子を見つめながら、本郷はここで一緒になる事が2人の幸せだという思いを強くし、そしてカールの両親はルリ子にカールと添い遂げる気持ちはあるかと問いかける。
ルリ子はカールを愛していた。きっとカールもルリ子と結婚すれば幸せになれる。だが当のルリ子の答えが煮え切らないのは、もしや他に意中の相手がいるのではないかと。

「他の人、他の人、それは本郷猛あなたなのに……」

本郷に相談し、岬を2人で歩くルリ子は、ただジッと答えを待った。
「一緒に戦ってくれ」とだけ言ってほしい。
死を賭した孤独な戦いの日々。貴方のためになら、この安らぎを捧げられるのに。

不意に突風が吹き付けると、本郷は口を開く。

「カールには君が必要だ」

「私はあなたと…」

「君はすばらしい人だ。でも、俺はひとりでもやって行ける」

「カールを幸せにしてやってくれ、君にもそれが幸せの道だ……」

一人でも、一人でも守る、仮面の戦士。
2人の道は、ここで分たれた。

こうして本郷猛はただ1人、ヨーロッパのショッカー支部を壊滅させるべく各地を転戦していく。


といった感じで、他の誰も気がつかなかった本郷の渡欧をまるで忍者のように察知し追いかけた点と、新1号編で本郷が再び日本の守りを託されてもルリ子が現れなかった事に対して説明とフォローがなされた。
劇中設定に対して大きな破綻もないので、後年の作品でルリ子さんが登場する場合はこのあたりの経緯がサイレント採用されている場合がちょくちょくある。

【他作品・他媒体での活躍】


実は緑川グループという大企業の後継者だったり、そもそも人間とはいえない存在だったり作品により多種多様な背景があるが、どの作品でも本郷との関係性がクローズアップされる。

ヒロインという大前提の他には、親しい人の仇だと勘違いして後を追うという部分をフィーチャーする事もあれば
改造人間という主人公のパートナーである以上、適性があると何かと便利なので元は文学部なのに博士キャラを兼任している事がチラホラある。

そして、最後は悲しい別離を迎えるのが様式美。
悲劇のヒロインとして涙にくれて見送ったり、逆に先立つ者として本郷に後を託して別れの言葉を残したり、遠く離れていても自分には自分の戦いがあると気丈に振る舞ったり、どんな形(作品)であれ、2人は強い信頼関係で結ばれている。

しかし中にはその研ぎ澄まされた本郷ストーカーぶり(語弊のある表現)を発揮して諦めきれず10年単位で探し続け執念実り再会する*1なんてケースもあり、緑の人ならぬ緑川の人と化したりも。
いずれにせよ、本郷という存在が強く胸に焼き付いたヒロインである事だけはどこも同じである。

一方、ゲーム作品などで旧1号編が再現されても、密かにハブられる事が多い。
仮面ライダーの誕生に必須なのは父親の方で、その後の歴史を紡いでいくのは立花のおやっさんや滝であったり、一文字隼人や風見志郎などの仮面ライダーの後継者たちであって、あくまで本郷の相手役に留まり結果として1クールで姿を消したルリ子さん個人はシリーズ全体で見ればそこまで大きなウエイトを占めていないからであろう。さもありなん。

【余談】


  • 企画段階の『仮面天使』では緑川みちるという13歳の少女で、弟に10歳の緑川正夫という少年がいた。その後は20歳の医学生になりながら変遷を重ねていく。本郷は経緯に差異はあれ恩師の遺児である姉弟を陰ながら見守り、『クロスファイヤー』のあたりから父殺しの疑惑を向けられる設定が増え、報われぬ献身と人間に戻れぬ悲しみを隣人愛に変え、誰もが平和な日々を暮らせるために雄々しく戦い、その為なら自分は捨て石になってもいい、という基本様式だった。色々あって現在の形になるが、上記の要素の幾つかは完成作品にも残されている。なお弟の存在は歴史の闇に消えた



  • あまりにも本郷と密接に結びついたヒロインだったために逆に退場せざるを得なかった教訓から、一文字隼人の相手役は「いついなくなってもトラブルにならないように際立った個性を持たせない」かしまし娘、3〜4人程度で構成された特定のメインヒロインを設けない流動的なチーム制となった。後の世にライダーガールズと呼ばれる概念である。決して話の根幹には食い込まないが賑やかで華やかな彼女たちは都会的で明るい一文字隼人のキャタクター像にピタリとはまり、番組を盛り上げた。

  • 一方、ひろみ役の島田陽子はデビュー間もない時期だったので、事務所側から「ノーギャラでもいいので次の仕事が決まるまで演技勘が鈍らない程度に起用してほしい」*2という条件もあり2クール目も続投し、新レギュラーを紹介するガールズ達の架け橋の役割を果たした。*3

  • 当然だが袖にする訳にはいかないので、ルリ子さん(と、野原ひろみ)も後世の資料ではこの括りで扱われ「第1期ライダーガールズ」みたいな名称がつく。



  • 番組としてみれば僅か1クールで降板しており、ライダーガールズという括りでみると14話から最終回まで通しで活躍したユリなど作品を代表するキャラは数多くいるが、上記したようリメイク作品などでは本郷のヒロインとして高頻度でピックアップされている。ある意味で旧1号編の存在感の強さを象徴するキャラといえよう。


  • 「主人公と密接に結びついたメインヒロイン」という要素は続編の『V3』から再び試みるようになるが、路線変更の煽りでルリ子のように消えてしまったり、ただのヒロインから変身ヒーローの要素を付加させてみたりなど、歴史の積み重ねと試行錯誤を強く感じる部分でもある。平山・阿部Pの制作体制で産まれた単語である事から、広義には両者が携わったスーパー1やZXあたりまでのヒロインもライダーガールズに含む。






【演者について】



  • 演ずる真樹千恵子は作家の森川哲郎の次女として生まれ、立生大学の英文学科の1年生の現役女学生であった(役者業との二足草鞋は無理なので程なく中退)

  • 16歳の時に新宿でスカウトを受け『女学生の友』や『セブンティーン』などで雑誌モデルをしており、ある時ライオンの『エメロンシャンプー』のGF(コマーシャルフィルム)に出演。長い黒髪を艶やかに靡かせた清楚な雰囲気の映像に平山Pが一目惚れした事でルリ子役に抜擢された。ちなみにこのCFの相手役は森次浩司(当時の名義)

  • それ以前も『土曜グランド劇場 2丁目3番地』などに出演していたが、連続シリーズのメインヒロインはルリ子が初。意気揚々と挑んだが結果はご存じの通り貰い事故のような形で13話で降板するも、直後に『コートにかける青春』で当たり役を掴み大ブレイクした。

  • 「突然スタジオに行けなくなった」と語るほど降板の通達は寝耳に水の出来事で意気消沈したが番組制作陣との関係は良好で、たまのインタビューなどライダー関連の仕事は快く引き受けている。



※追記・修正はスイスまで猛さんを追跡してからお願いします。


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最終更新:2026年04月15日 23:13

*1 なお、この作品では旧1号編の時点でルリ子は本郷が仮面ライダーである事は気づいている解釈になっている。

*2 常識的に考えて無給はあり得ないので、お小遣い程度のポケットマネーは出ていたと推測されている

*3 その後、『続・氷点』への出演が決まったので円満降板