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Mili

登録日:2026/05/16 Sat 00:29:45
更新日:2026/08/23 Sun 21:08:44
所要時間:約 8 分で読めます







画像出典:Mili公式サイト(https://projectmili.com/


Mili(ミリー)は、2012年に結成された日本発の音楽制作集団。いわゆるバンド、アーティストである。
世界基準の音楽制作集団」を自称しており、ゲームやCM、アニメなど幅広いメディアへの楽曲提供で知られる。
レーベルはさいはてレコーズ(Saihate Records)。

グループ名はヴィルヘルム・グリムによる童話に由来するとされている。
CytusやDeemoなど台湾産音楽ゲームへの楽曲提供を通じて国際的な人気を得た後、アニメ主題歌やインディーゲームのサウンドトラック制作へと活躍の場を広げていった。






【概要】

2012年8月、当時HAMO名義でニコニコ動画にボカロ楽曲を投稿していたYamato Kasaiが、自身の楽曲をカバーしたmomocashew(現:Cassie Wei)に連絡を取ったことで二人の活動が始まった。グループ名が決まった8月10日を結成日としている。

その後ライブ活動の必要性が生じるにつれ、ベーシストの三友行人・ドラマーの吉田翔人が加入。続いてイラストレーターのAO FUJIMORI、グッズや服飾デザインを担当するAme Yamaguchiが加入し、6名体制となった。約5年の活動を経て、2019年8月にAme Yamaguchiが「個人の活動とのバランスを理由に」脱退。現在の5名体制となっている。

2023年4月には、Miliメンバーによる新プロジェクトAWAAWAが始動。ディスコ・ファンク・テクノポップを中心に新たなジャンルへの挑戦も続けている。

音楽的なルーツとして、イエロー・マジック・オーケストラ(Y.M.O.)の影響を強く受けていることをメンバーが明言しており、電子音楽とポストクラシカルを融合させた独特のサウンドプロダクションに、その片鱗を見ることができる。

一応日本発のインディーズバンドであるが、台湾・中国・シンガポールなどアジア各国での公演も精力的に行い、2017・2018年には2年連続でSUMMER SONICにも出演するなど、日本国内にとどまらない活動を続けているグローバルなバンドでもある。
Kasai氏が「日本国内で10万人のファンがいるよりも、世界各国に1000人ずつファンがいる方が理想」と語っており、特定の国や地域にアイデンティティを持たない方針で活動しているとのことなので、「日本発のバンド」ではあっても「日本のバンド」ではないということなのだろう。



【メンバー】


Cassie Wei(キャシー・ウェイ)
ボーカル・作詞担当。
もともとはボカロP「momocashew(モモカシュー)」として活動しており、鏡音レンを用いて「Dummy Match」等の楽曲を手掛け、「モモカ嬢」として親しまれた。後に本名であるCassie Weiに改名している。
中国の北京で生まれた中国系カナダ人で、家族とともにカナダへ移民した後、上海、内モンゴル、アメリカなど各地で暮らした経験を持つ。
カナダの大学でソフトウェア工学を専攻しており、自らゲーム制作の会社を立ち上げた経験もある異色の経歴の持ち主。その技術的バックグラウンドは楽曲制作にも活かされており、初期の頃に出した「world.execute(me);」や攻殻機動隊SAC_2045のEDとなった「sustain++;」ではプログラミング言語Javaによる歌詞表現という実験的なMVも手がけている。
日本語・英語・中国語の3か国語を使い分けるトリリンガルであり、その言語能力が多国籍なMiliの楽曲世界を支える大きな柱となっている。透明感のある澄んだ歌声と、楽曲の世界観に寄り添う繊細な表現力が魅力。
2020年6月17日にYamato Kasaiと結婚したことを同年12月の配信にて公表。2024年5月には男児を出産している。

Yamato Kasai(ヤマト・カサイ)
コンポーザー・ギタリスト。旧名義は「HAMO」。初音ミクで「It's a wonderful world」等の曲を手掛けた元ボカロPでもある。
Mili結成以前は愛知県を中心に活動しており、バンド「A Continental Shelf」の元メンバー。ギタリストとして活動するかたわら、HAMO名義でボカロ曲をニコニコ動画に投稿していた。Miliの所属するインディーズレーベル「さいはてレコーズ」のディレクターも兼任。
クラシカルなサウンドを土台にしながら幅広いジャンルの楽曲制作を手がけるコンポーザーであり、CassieとともにMiliの音楽的中核を担う。
「YUBIKIRI-GENMAN」はYamato自身の結婚の歌であるとも言われており、個人の感情も楽曲に昇華する姿勢が伺える。

Yukihito Mitomo(三友行人)
ベーシスト。Miliのほか、「H△G」「Sandy Beach Surf Coaster」「A Continental Shelf」などでも活動する実力派プレイヤー。
2013年12月にMiliに加入し、1stアルバムからベースを担当。副作編曲家として一部楽曲の作編曲にも携わっている。

Shoto Yoshida(吉田翔人)
ドラマー・パーカッショニスト。バンド「NOVELS」の元メンバー。
Yukihito Mitomoと同時期にMiliに加入。一部楽曲では作編曲にも関わり、ドラムにとどまらない音楽的貢献を見せる。

AO FUJIMORI(アオ・フジモリ)
イラストレーター・アニメーター。1stアルバム『Mag Mell』でMiliのロゴデザイン・アートワーク・キャラクターデザインを担当したことがきっかけとなり、2014年9月に正式メンバーとして加入。
Miliの楽曲に独特の視覚的世界観を与えるアートワーク・ミュージックビデオ・アニメーションを担当しており、音楽と映像が一体となったMiliの世界観を視覚面から支える。

元メンバー

Ame Yamaguchi(山口アメ)
スタイリスト・アートディレクター・デザイナー担当。
個人活動とのバランスを理由に2019年8月に脱退。約5年間にわたりMiliのビジュアル周りを支えた。



【作風】

ポストクラシカルを軸に、シネマティックかつ幻想的なサウンドを生み出す。
弦楽やピアノといったクラシカルな要素と電子音楽を組み合わせ、どこか映画音楽を思わせる叙情的な世界を作り上げる。
ボーカルであるCassieの甘く透明感のあるウィスパーボイスと、スキップするように軽やかでリズミカルな音使いが映える。

……だが、そうした美しいメロディや歌声に反し、歌詞の中には死・喪失・孤独・生命の神秘といった重いテーマをぶっこんでくるのがMiliの特徴。
たとえば「Nine Point Eight」は美しいメロディとは全く異なる内容の歌詞が特徴であり、初めて歌詞の内容を知った人が衝撃を受けるのはもはや定番の反応と化している。そのギャップこそがMiliの魅力の一つとも言えるだろう。
今日では、「綺麗な歌声でエグい内容を歌うバンド」としてよく知られる。
また、英語・日本語・中国語を使い分けるのはもちろん、「Mili語」と呼ばれる架空の言語を用いた楽曲も存在する(「Rightfully」など)。架空言語の歌詞は字幕に出ることがなく、英語訳もあくまで公式が認めたものではないため、それ自体が聴き手の想像を掻き立てる演出となっている。

全体的に重たい曲は多いものの、そればかりに留まらない。
死した飼い猫が亡霊となって飼い主のもとに舞い戻り、俺に構え、天国まで来て俺を撫でろとふてぶてしく要求する様がクスリと笑いを誘う「Phantomcat of Meowloween」、アップルパイをUFOに似たその形状から「Unidentified Flavourful Object(未確認おいしい物体)」と表現し、ただただ至上の味わいに酔いしれる「UFO」なんて曲もある。


楽曲の提供について


アニメやゲームなどへの楽曲提供が多く、初期はCytusに曲を出していたことから、音ゲーマーの間では活動初期からその存在が知られていたインディーズバンドでもある。
提供は台湾の音楽ゲームアプリ「Deemo」「Cytus」から始まり、アニメのゴブリンスレイヤー、攻殻機動隊SAC_2045のようなサイバーパンクアニメ、ENDER LILIESのような退廃的雰囲気のインディーゲームなど、Miliの世界観と親和性の高い暗めの作品と組み合わさることが多い。
そのため「作品の闇ポジション担当」とも言われることがある。

Cytusのリリース当初までは既存の楽曲を作るのみだったが、次第にゲームの世界観に寄り添って制作された、書き下ろし楽曲を制作・提供する方針に移ってきている。
歌詞の世界観がゲームで補完される形となり、加えてMiliならではのギャップ芸も健在のため、ゲームのプレイ前・プレイ後で印象がまったく変わってくるのもこのバンドの味わいどころである。




【来歴】

2012年8月:Cassie WeiとYamato KasaiによってMili結成。
2012年10月:YAMAHAの電子楽器『TENORI-ON』のコンピレーションアルバムに「Chocological」で参加し、初の音源リリース。
2013年9月:バンドH△GとのスプリットアルバムをリリースしてCDデビュー。
2014年9月:1stフルアルバム『Mag Mell』リリース。同アルバムはオリコンインディーズチャート1位を記録。
2016年:2ndフルアルバム『Miracle Milk』リリース。オリコンインディーズチャート1位。
2017年:ミニアルバム『Hue』リリース。オリコンインディーズチャート1位。2017・2018年の2年連続でSUMMER SONICに出演し、中国・台湾などでの海外公演も精力的に行う。
2018年:3rdフルアルバム『Millennium Mother』リリース。同年秋にはTVアニメ「ゴブリンスレイヤー」OPテーマ「Rightfully」・TVアニメ「メルクストーリア」のOP・ED・劇中BGMを手がけ、アニメファンへの認知度が一気に拡大する。
2019年:Ame Yamaguchi脱退。
2020年:NetflixアニメシリーズTVアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」のEDテーマ「sustain++;」を担当。Cassie WeiとYamato Kasaiの結婚が年末の配信にて公表される。
2021年:インディーゲーム「ENDER LILIES: Quietus of the Knights」のサウンドトラックを全面担当。続いてProject Moonのゲーム「Library of Ruina」の楽曲制作にも参加。
2023年:Project Moonの「Limbus Company」に楽曲を提供。新プロジェクトAWAAWA始動。




【主な提供楽曲】

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    


  • world.execute(me);
提供曲ではないオリジナル曲。
モモカ嬢の情報工学の知識を活かした楽曲で、タイトルや歌詞にJava言語が用いられた楽曲。曲中ではそのJavaを走らせるコンピュータの視点から、人間への(半ば一方的な)愛を描く。
Miliの初期のヒット曲の一つであり、この曲を用いて作られたLobotomy CorporationのMADがMiliとProject Moonを繋ぐきっかけとなった。


音楽ゲーム

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Cytus / CytusⅡ(Rayark)

台湾のゲームメーカーRayarkが開発したリズムゲーム。
メタリックかつ硬派なキービジュアルと色彩の少ない無機質なUIが特徴のSFチックな世界観が特徴で、収録楽曲もそれに合わせた真面目なものが多い。
「Chocological」など5曲を提供。Miliが国際的に知られるきっかけとなったゲームの一つ。
この時期はKasaiがまだボカロPとして活動していた時期だったため、HAMO名義で2曲、Mili名義で3曲の提供となっている。
Ⅱになってからもいくつかの追加曲が出ている。

  • Chocological
ポップな音色とキャッチーなメロディで、数あるMili楽曲の中では比較的親しみやすい雰囲気を持つ。甘いメロディと相反するような低音のシンセサイザーとズレていく音程が特徴的。
Mili最初の音源リリースとなったコンピレーションアルバム参加曲でもある。

  • Gunners in the Rain
Ⅱで追加された楽曲。Muse Dashにも移植されている。
おしゃれなジャズロックという形で、Miliには珍しい系統の曲。
その一方で歌詞の内容は「誹謗中傷を銃撃に見立て、その行為にのめり込み続ける友人を皮肉る」というアイロニカルな内容。


Deemo(Rayark)

台湾のゲームメーカーRayarkが開発したピアノ音楽ゲーム。Cytusの後継作に相当する。
Cytusとは打って変わって明確なストーリーがあるほか、主人公が(?)ピアニストという設定のため、すべての曲がピアノから構成されているのが特徴。
Miliはサービス当初から楽曲を提供しており、同作品を通じて国際的な認知を大きく広げた。累計19曲以上を提供している。

  • Nine Point Eight
Mili屈指の人気曲にして代表作の一つ。タイトルの「Nine Point Eight(9.8)」とは重力加速度(9.8 m/s²)を指す。
そしてこの曲は重力加速度に任せて飛翔する、すなわち死んだ恋人を追って飛び降り自殺、または死後の転生(文字色反転)の様子を描いた楽曲である。*1
この曲に驚いたという体験談はMiliファンの間では定番のエピソード。

  • YUBIKIRI-GENMAN
タイトルは日本語の「ゆびきりげんまん」から。直訳すれば「指切り拳万」、すなわち小指を結んで交わす約束の歌。
デビュー当初から一貫して高い人気を誇る、Miliのライブにおける定番曲の一つ。
ゲーム中でもこの曲は一種の区切りに流れるもので、ピアノ弾きの亡霊Deemoと少女が大切な約束を結ぶというシチュエーションにて解禁される。

  • A Turtle's Heart
明るくリズミカルなメロディと、激重の歌詞というMiliのお家芸を体現する曲のひとつ。
この曲は端的に言えば「死にたい」と呻きながら鬱々と嘆く引きこもりの歌(文字色反転)であるが、一度曲を聴いてから反転部分を読むことをお勧めする。

  • Ga1ahad and Scientific Witchery
日本語タイトルは「ガラハッド1号と科学的黒魔法」。
Cassie氏が男性ボーカルと女性ボーカルをそれぞれ演じながらセルフデュエットをするというオペラ曲。
科学魔法を使う悪い魔女「テルル」と、それを討伐するために開発された騎士型アンドロイド「ガラハッド1号」が互いに殺し合うというテーマだが、
歌詞を見てみるとテルルからは「こんなに愛しても足りないと言うの?」、ガラハッドからは「お前の愛は重たすぎるんだよ!」と、互いに愛憎を抱えて対峙する壮大な夫婦喧嘩となっている。


その他ゲーム

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

ENDER LILIES:Quietus of the Knights / ENDER MAGNOLIA(Binary Haze Interactive)

日本のインディーゲームスタジオBinary Haze Interactiveによる退廃的なアクションRPG。
MiliはENDER LILIESの全楽曲を手がけており、続編ENDER MAGNOLIAでも全楽曲を担当している。
滅んだ王国を舞台にした暗く美しい世界観と、Miliが持つ幻想的なサウンドプロダクションは極めて高い親和性を見せており、ゲームの評価とともに音楽面でも高く評価されている。

  • Bulbel
ENDER LILIESを象徴する楽曲の一つ。ゲームの退廃的な世界観と寄り添うように、遠く静かに響くCassieの歌声がゲームの雰囲気を完璧に表現している。ゲームのエンディングに流れることもあり、プレイヤーの感情を揺さぶる名曲として評判が高い。


ワールドフリッパー(Cygames)

かつてCygamesが運営していた、RPGとピンボールを組み合わせた異色のソーシャルゲーム。
第五章の「機人の惑星」のBGMをMiliが担当している。

  • Lullaby for salvation
アルバム収録曲「Excαlibur」のアレンジ。原曲は人の身を捨てても星々の果てを目指す宇宙飛行士の夢を描いたもの。
アレンジ版のこちらは五章のラスボスである、管理AIにして星に暮らす機人の創造主である「アドミニスター」との決戦時に流れる楽曲。
ディーバ・メディアというキャラが歌っているという設定で、ボーカルもCassie氏ではなくディーバの声優である稲川英里氏が担当。
もはや自分の目的すら見失い、苦しみながらも世界を守ろうとする暴走システムを「救う」ための戦いで流れる為、ユーザーからの人気も非常に高い。
タイトルが「救済の子守唄」という意味合いなのは、本編をプレイしていた人間にとって涙腺崩壊ものだろう。


osu!(peppy)

DS黎明期に発売された日本製音ゲーである「押忍!戦え!応援団!」……を元に海外の開発者が作成したクローンゲーム。
ユーザーがオリジナル譜面を作り、それらで交流する同人フリーゲームらしい土壌が築かれていたのだが、そこにまさかのMiliが完全新規書き下ろし新曲と共に参戦。
大会イベント「Written for osu! World Cup 2025」の準決勝ボス曲としてゲリラ公開され、プレイヤーたちを驚愕させた。

  • Peach Pit and Cyanide
突如としてosu!に現れた新規楽曲。タイトルの意味は「桃仁とシアン化合物」。
二面性をテーマにしており、ピアノのメロディアスなフレーズに合わせてモモカ嬢がまるで畳み掛けるように歌う、毒と甘さを併せ持つような楽曲。
「愛」を「桃」と「種に含まれるシアン毒」に見立て、互いに依存しつつも時には暴力的な想いすらぶつけあう、どこか歪な恋人達の愛情を歌い上げる。


崩壊:スターレイル(HoYoverse)

中国のHoYoverse(miHoYo)がリリースしたスペースオペラRPGで、「崩壊」シリーズの一つ。
とある場所にて目を覚ました主人公が、導かれるようにして不思議な機関車に乗り、仲間たちと共に星々を巡る壮大な旅に出るストーリー。

  • What the Ripple Sees
メインストーリー「オンパロス編」をイメージした楽曲で、一言で言うなら「とある英雄が愛する人へ向けて歌い上げる別れの唄」。
「どうか悲しまないで、どんな形で僕は君のずっと側にいる」と、その人物の優しさを感じさせる温かい一曲。
なお、MVは原作ゲームの重要すぎる様々な要素がとにかくバンバンとネタバレされる内容なので、オンパロス編を進めている人は注意。
逆に言えば、オンパロス編をクリアした人がこの楽曲を聴きMVを見たとき、きっと胸にこみ上げるものがあるかもしれない。


アークナイツ(明日方舟)(Hyperglyph)

中国のHyperglyphがリリースしたタワーディフェンスゲーム。
死病と差別と争いが絶えない「テラ」という星にて、一人のドクターが仲間たちと共に生き抜こうと足掻く物語。

  • Grown-up's Paradise
日本語タイトルは「大人たちの楽園」。アークナイツの周年記念PVの楽曲として書き下ろされた。
ただし、本当のタイトルは歌詞を見るに「大人の地獄のような楽園」だろうか。
アークナイツの「犠牲を重ね、痛みを胸に、それでも前に進む」というテーマに強く沿った壮大な曲で、テラの人々の叫びが如し歌詞が何度も叩きつけられる。
同時に、テラという地獄のような世界で「苦しむ人々」と「何も苦しまない人々」、「罪を背負わなければ生きられない少数」と「罪を背負わない大多数」など、残酷な対比がMVの中で克明に描かれていく。

  • TIE HUA FEI (铁花飞)
登場人物である「チェン」をテーマにした楽曲。铁花飞とは中国語で「火花」を意味する言葉。
後述のIron LotusやTien Tienのように中華要素を入れた楽曲で、曲中には中国語の語りなども含まれる。
歌詞はチェンの今までの人生の振り返りと新たな決意を感じさせるものであり、愚直で熱い正義感を抱く彼女らしい楽曲。
公式MVはチェンが警官となり、炎国を離れ、そして自分の意志で歩んでいくまでを描いた内容で、歌詞と非常にマッチしている。


Library of Ruina(Project Moon)

韓国のインディーゲームスタジオProject Moonが開発した一人用DCG。
前作「Lobotomy Corporation」の続編にあたる作品でもある。
MiliはゲームのBGMの一部をStudio EIMとともに共同担当しており、ボーカル楽曲をMiliが、インストゥルメンタルの戦闘BGM等をStudio EIMが担当するという分担で制作された。後に提供曲をまとめたコンピレーションアルバム「To Kill a Living Book -for Library Of Ruina-」として配信リリースされている。

  • String Theocracy
当作のオープニングムービーで流れる楽曲。
LoRの前作「Lobotomy Corporation」が不気味な企業での勤務という物々しい雰囲気のゲームだっただけに、それとはまったく趣を異にするオシャレな本曲(&異様に凝ったクオリティのオープニングムービー)は前作プレイヤーたちの度肝を抜いた。
ゲーム版に収録されているバージョンは一部処理が施されており、配信シングルのバージョンが完全版とされている。
歌詞はゲーム本編の世界観に寄せてあり、LoR世界の美と緊迫感が混在した雰囲気がしっかり盛り込まれている。

  • Iron Lotus
本編中に登場するとあるネームドボスの戦闘曲。
中華伝統音楽の音使いに乗せて不屈の闘志を歌い上げる、悲しくも熱いバトルソングである。
ゲーム本編においてもこの曲の威容に負けない、かっこいいシーンが合わさることから、同作に提供された曲の中でもひときわの人気を誇る楽曲である。
本編の内容に対して、MVはMiliのマスコットキャラ「K-2」がケツ振りダンスするものでギャップがすごい。

  • Children of the City
本編中に登場するとあるネームドボスとの戦闘曲。
一応「戦闘曲」ではあるのだが、曲調は「戦闘曲」という言葉のイメージとは程遠いおしゃれな90年代風シティポップ・ジャズ。
音程がほとんど変化せず棒読みのように進行していくボーカルにヴェイパーウェイブ風の旋律が絡まったアダルティな楽曲であり、Miliの手掛ける曲としては珍しい作風の曲となる。
一方で、歌詞の内容は「自分に自由意志なんてなかった」「都市という群体の一部になりたい」という諦観に満ちたもの。
実はこれ、上記Iron Lotusとは真逆のシチュエーションの果てに闇落ちしたとある人物のテーマなので、本編随一の鬱シーンと評する人も。

  • From a Place of Love
甘く美しいメロディとやわらかな歌詞、その裏に隠れるえげつない背景設定が特徴の楽曲。要するにいつものMili節。
これもゲーム内のある場面で流れる楽曲なのだが……是非とも本編プレイ、もしくはプレイ動画の視聴をおすすめしたい一曲。
きっと絶句するだろうから。

  • Gone Angels
終盤のとある場面で流れる楽曲。
ボーカルとピアノソロのみで構成されたシンプルな曲であり、伸びやかなCassie Weiの歌声がよく響く。
そして歌詞の内容はというと、全編に渡って憤怒と悲哀と恨み節フルスロットルのド鬱曲。
Library of Ruinaは基本傍観者の立場で進む物語であり、一度負かしたキャラはサクッと退場するのが常となる(=生きて図書館を出られることはまずない)ため、誰かから激しい恨みを抱かれる機会というのは実は多くない。
ゆえにここまで恨み骨髄の怨念に捕らわれるキャラが出てこれる余地は作劇上ない、はずなのだが……?


Limbus Company(Project Moon)

同じくProject Moonが開発したモバイルRPG。いわゆるソシャゲ。
Lobotomy Corporation・Library of Ruinaに続くProject Moon世界の第3作にあたり、2023年2月にサービスを開始した。
Project MoonとMiliのコラボレーションはLibrary of Ruinaで始まったが、Limbus Companyではより密接な形でMiliが主題歌制作に関わっており、ゲームの開始以前から楽曲が公開されてファンの期待を高めた。

本作では、OPとなる「In Hell We Live, Lament」のほか、4章以降の各章のラスボス戦がMiliの手がける書き下ろし曲が割り当たる豪勢なスタイルが取られている。この章は12人いるレギュラーキャラ「囚人」たちそれぞれが活躍するいわゆる主役回であり、事実上各囚人のキャラクターソングも兼ねる。

  • In Hell We Live, Lament(feat. KIHOW from MYTH & ROID)
Limbus Companyの第一弾楽曲であり、ゲームのオープニングアニメーションで流れる主題歌。
タイトルは意訳するなら、「我らは地獄に生き、嘆く。」といった感じか。
Mili初のフィーチャリング曲であり、同じくダークで硬派な楽曲を得意とするコーラスグループ「MYTH & ROID」のメンバーKIHOWとのデュエットとなっている。Cassieによれば「最初からデュエットとして作られた楽曲」であり、「異なるタイムラインの同一人物の二つのバージョンが出会う」ことを表現したとのこと。
「MYTH & ROID」もまた、幼女戦記オーバーロードブギーポップは笑わない等の作品でその力量を見せつけたアニソン界隈の雄とも言える存在である。
内容はというと、激しく物悲しいメロディに乗せて、不誠実な大人たちへの疑問を歌詞の中で叩きつけるというもの。
本編である「Limbus Company」はおおまかにいえば少しでも気を抜けば正体不明の怪物や権力者に気紛れくらいの感覚で理不尽を押し付けられて殺される過酷な世界を描いた物語で、作中の登場人物たちは上から下までほぼ全員、いつ死ぬとも分からないピリピリとした緊張感と共にある。
この曲はそんな世界に向けて生きることへの苦悩と怒りを叩きつけつつ、それでも立ち上がろうとする姿を描いたものである。
考察の域を出ないが、この中の歌詞は主人公たちである「囚人」の境遇と対応しているという説がある。

2021年11月に予告編サイズ版が先行公開され、同年12月に完全版がリリース。ゲームサービス開始時にはタイトル画面のBGMとしてインスト版が流れる仕様となっている。
2024年1月には「Let's Lament EP」としてリミックス版も公開された。
また、MVイラストを担当したのはガンダム・エアリアルをデザインしたJNTHED氏である。

  • Compass
5章のボス曲。
ソナー音を意識するイントロと共に、深く海に潜るように進んでいく静かな始まり方が印象深く、
そこから徐々に徐々に、溜め込んでいたものを吐き出すように歌声とメロディの音圧が強くなっていく。
歌詞は章の主役である人物の視点と言ってもよく、「海に出よう、出港だ」「嵐の中で大切なものをなくしてしまった」「血を見てやりたかった、あいつを許せない」という形で、その人物の半生を意識したもの。
そして最後には「ようやく私は見つけた」「私は自由になる」と、憎悪と恨みを振り切って覚醒するまでを曲で描いている。

  • Hero
7章のボス曲。
陽気なマーチのようなメロディから始まる楽曲だが、曲中で何度も転調がはさまり、まるでメリーゴーランドのように目まぐるしく曲調が変わっていく楽曲。
歌詞中では何度も「英雄」というフレーズが使われ、さまざまな文脈に派生していくのが特徴となっている。

  • Tian Tian (天天)
8章のボス曲。
流れる水のような清らかな曲調の一曲。
拼音のタイトルや歌詞の一部が中国語だったりと、中華要素を入れているのが特徴。
この曲も章の主役をテーマにしており、歌詞の内容は「永遠の否定」。
MVのイラストも花びらになって消えていく女性(=有限の生命、章の主役)を見送るロボット(=永遠の存在、章のラスボス)という構図。
「自分に永遠なんていらない」「いつまでも生きるのはちょっと失礼だよ」と、内容を読み解いていけば行くほどテーマになった人物から呪縛の大元へ向けた三行半と分かるようになっている。


TVアニメ・映像作品

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

ゴブリンスレイヤー(2018年・TVアニメ)

MiliがOP・挿入歌・映画主題歌を担当。
ダークファンタジー原作アニメへの参加として、Miliの一般アニメファンへの認知度拡大において最も大きな転機となった作品。

  • Rightfully(TVアニメ1期OPテーマ)
Miliの代表的なアニメ主題歌。荒々しいギターリフと悲壮なメロディラインでゴブスレの苛烈な世界観を表現した楽曲。
最大の特徴は、歌詞の半分程度が「Mili語」と呼ばれる架空の言語で綴られていること。字幕には出ず、英語訳も公式には提供されていないため、歌詞の意味を求めてリスナーが想像力を膨らませる。
MVも非常に不気味であり、一人の青年が体中を何かに蝕まれて狂ったように踊り、最後にはシャーマンのような姿に変じていくという意味深なもの。

  • Though Our Paths May Diverge(7話挿入歌)
本編7話において流れる挿入歌。教会で流される聖歌のような雰囲気の楽曲。
「Rightfully」とは対照的に全編英語歌詞で、透明感のある歌声が場面の切なさを増幅させる。ファンの間ではOPよりも評価が高いという声もあるほど。
Miliは時折「Sacramentum:Unaccompained Hymm for Torino」等のように宗教音楽テイストの曲をリリースすることもあるが、これもその1つ。

  • Static(映画『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN'S CROWN-』テーマソング)
  • Entertainment(TVアニメ2期OPテーマ)


メルクストーリア -癒術師と鐘の音色-(2018年・TVアニメ)

OP「オリジン」、ED「Bottleship」の作詞・作曲・編曲と音楽プロデュースをMiliが担当。ゴブリンスレイヤーと同クール放映で、Miliにとって忙しくも実りある2018年を象徴するタイアップとなった。


攻殻機動隊 SAC_2045(2020年・Netflixアニメ)


  • sustain++;(EDテーマ)
同作のED楽曲。「Sustain」とは「持続」を意味する英単語で、同作内で「ずいぶんとサステナブってるじゃねえか(笑)」のように皮肉として何度か登場した表現である。*2
歌詞そのものがJavaのプログラミング言語で書かれた挑戦的な楽曲であり、MVではタチコマのイラスト上をコードが流れる映像が使われた。Cassieのソフトウェア工学のバックグラウンドが最も直接的に楽曲へ活かされた例であり、攻殻機動隊の世界観ともマッチした異色作。


グレイプニル(2020年・TVアニメ)

エンディングテーマ「雨と体液と匂い」を担当。


金装のヴェルメイユ -鍊獄で眠る最強の錬金術師は今日も余裕がありません-(2022年・TVアニメ)

エンディングテーマ「Mortal With You」を担当。



【ディスコグラフィ】

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

フルアルバム

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Mag Mell(2014年9月17日)

Mili初のフルアルバム。「Deemo」収録楽曲を中心に構成された、Miliの原点とも言うべき一枚。Nine Point Eight・YUBIKIRI-GENMANをはじめとする初期の代表曲が揃っており、現在もライブで披露される機会が多い。AO FUJIMORIによるアートワークとキャラクターデザインもこの作品から本格始動しており、Miliの音楽・ビジュアル両面での方向性が定まった。

収録曲:A Turtle's Heart / Nine Point Eight / Utopiosphere / Friction / Chocological / YUBIKIRI-GENMAN / Sacramentum: Unaccompanied Hymn for Torino / Ephemeral / Imagined Flight / Fable / Rosetta / Maroma Samsa / Witch's Invitation / Red Dahlia

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Miracle Milk(2016年)

2ndフルアルバム。1stに比べてサウンドプロダクションの幅が大きく広がり、Miliの音楽的成熟が感じられる一枚。後にライブの定番曲となるRTRT・world.execute(me);・Ga1ahad and Scientific Witcheryなどを収録。「world.execute(me);」はCassieのプログラミング知識を歌詞に落とし込んだ楽曲で、タイトル自体がプログラムのメソッド呼び出し構文を模している。
エヴァンゲリオン劇場版挿入歌「Komm, susser Tod」とゲーム「Portal」エンドクレジット曲「Still Alive」のカバーしれっと収録されている。

収録曲:Ga1ahad and Scientific Witchery / RTRT / Unidentified Flavourful Object / Meatball Submarine / Vulnerability / 与我共鳴-NENTEN- / Bathtub Mermaid / Cerebrite / Space Colony / world.execute(me); / Utopiosphere -Platonism- / Painful Death for the Lactose Intolerant / YUBIKIRI-GENMAN -special edit- / Sl0t / Past the Stargazing Season / Colorful / Komm, susser Tod(カバー)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Millennium Mother(2018年)

3rdフルアルバム。ゴブリンスレイヤー・メルクストーリアのタイアップが話題を集めた時期と重なり、Miliの知名度が飛躍的に拡大した時期の作品。
Camelia・Mirror Mirror・Summoning 101など楽曲の幅がさらに広がりスケール感が増している。world's end girlfriendとのコラボ曲「Vitamins feat. world's end girlfriend」、DE DE MOUSEとのコラボ曲「With a Billion Worldful of <3 feat. DE DE MOUSE」も収録。

収録曲:Boys in Kaleidosphere / Camelia / Summoning 101 / Vitamins feat. world's end girlfriend / Lemonade / 奶水 / world.search(you); / Mushrooms / Gertrauda / TOKYO NEON / Extensions of You / Mirror Mirror / With a Billion Worldful of <3 feat. DE DE MOUSE / Every Other Ghost / Fossil / Rubber Human / Excαlibur / Let the Maggots Sing / Nine Point Eight -special edit- / Still Alive(カバー)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Key Ingredient(2021年)

4thフルアルバム。ENDER LILIESのサントラ制作とほぼ並行した時期の作品。String Theocracy・From a Place of Love・And Then is Heard No Moreなどの新曲に加え、過去の人気楽曲をアコースティック主体にリアレンジした「〇〇 (Key Ingredient ver.)」シリーズを多数収録。リアレンジ版はCassieの歌声と弦楽・ピアノで再構成されており、原曲とはまた異なるしみじみとした味わいがある。

収録曲(新曲):String Theocracy / From a Place of Love / And Then is Heard No More / Iron Lotus / Children of the City / Gone Angels / Poems of a Machine / Salt, Pepper, Birds, and the Thought Police
収録曲(Key Ingredient ver.):A Turtle's Heart / world.execute(me); / Iron Lotus / RTRT / TOKYO NEON / Rubber Human / Birthday Kid / String Theocracy / Ga1ahad and Scientific Witchery / Lemonade / Summoning 101 / From a Place of Love / Chocological ほか




ミニアルバム


Hue(2017年5月24日)

Rubber HumanやExcαliburなど既発曲のほか、Mili楽曲の中でも希少な日本語詞の楽曲「幾年月(ikutoshizuki)」を収録したミニアルバム。全6曲とコンパクトながら、各楽曲の個性が際立つ密度の高い一作。

収録曲:Rubber Human / world.search(you); / DK / 幾年月(ikutoshizuki) / Opium / Excαlibur



スプリットアルバム


H△G × Mili(2013年9月18日)
バンドH△GとのスプリットアルバムでMiliのCDデビュー作となった作品。初期Mili楽曲を収めた貴重な音源で現在入手困難。

H△G × Mili vol.2(2015年2月28日)
H△GとのスプリットアルバムVol.2。こちらも現在入手困難。



CDシングル

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Rightfully

発売日 2018年12月5日
タイアップ TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』OPテーマ

収録曲:Rightfully / Mob Mentality / Region / Through Our Paths May Diverge(7話挿入歌) / Rightfully(instrumental)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

sustain++; / 雨と体液と匂い / Static

発売日 2020年
タイアップ sustain++;=攻殻機動隊 SAC_2045 EDテーマ、雨と体液と匂い=グレイプニル EDテーマ、Static=映画ゴブリンスレイヤー-GOBLIN'S CROWN- テーマソング

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Mortal With You

発売日 2022年7月6日
タイアップ TVアニメ『金装のヴェルメイユ』EDテーマ
レーベル ポニーキャニオン

収録曲:Mortal With You / Mortal With You -Japanese ver.- / Mortal With You TV size ver. / Mortal With You Instrumental

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Entertainment

発売日 2023年10月31日
タイアップ TVアニメ『ゴブリンスレイヤーII』OPテーマ
レーベル CRESCENTE







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最終更新:2026年08月23日 21:08
添付ファイル

*1 歌詞自体は飛び降り自殺を連想させるが、作者のブログによると京極夏彦著『魍魎の匣』などの転生がモチーフとのこと

*2 ちなみに、ここで「持続する」とは言っているのは戦争のことで、同作は「貧乏にならないために永遠に戦争し続けよう!」というやばいスローガンを世界中の国が掲げている、世紀末一歩手前くらいの世界観の作品である。それも踏まえれば、「sustain++;」はだいたい「戦争を永久に続けよう!戦争の規模もガンガン拡大しよう!」といった感じの意味になる