ブギーポップは笑わない

登録日:2010/04/03 (土) 11:59:08
更新日:2021/05/12 Wed 22:30:25
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上遠野浩平のデビュー作。

ファンタジーに現代世界を取り入れた作品として、評価が高い。
電撃文庫、果ては「ライトノベル」そのものの形態を変化させた作品、と言われている。
それまでのファンタジー作品は、主に異世界を主軸としたものばかりだった。
が、ブギーポップ以降は現代世界が主軸の作品が多く出版されている。

また、ブギーポップシリーズは多くの有名作家に濃い影響を与えており、ブギーポップを読んだことがきっかけで作家になった強者も多い。
その影響力の大きさから、上遠野浩平自身がMPLSであるという噂まである。
ブギーポップシリーズは、統和機構という謎の強大な存在や、統和機構の作り出した合成人間、
MPLSと呼ばれる能力者、MPLSですらない一般人等が出てくる壮大なストーリーになっている。
作品は主に登場人物視点で進められ、全ての人物の視点を読んで初めて全体が見えてくる、という形態を取っている。
よって、伏線に続く伏線、伏線とは思えなかったものを後の刊で回収したり、その鮮やかな伏線技は作者本人すら自画自賛しかけるほど巧妙である。
また、サブタイトルに洋楽のタイトルを使う等、凝った一面も。
中でもキングクリムゾンの多さは異常。噂によると、作者がジョジョ好きだとか。

前述の通り、中二病・邪気眼の先駆け作品(もしくは中二病にダメ押しして下さる作品)であり、歳若いブギーポップ読者は発眼しやすい。
それをわかっている作者の意図なのか、「炎の魔女」等多くの二つ名エターナルフォースブリザードな雪女さんや、
端から見たら邪気眼にしか見えない最強さん、「なん……だと……!?」等、ちらほらと発眼性物質が見られる。


電撃h&pでは、ブギーポップ嘘最終回を発表。
捕らわれ半裸の凪、傷だらけの表情豊かなブギー、悪どく笑う末子、ブギーシリーズ打ち切りっぽい文章、なかなかカオスな最終回であった。
次号よりしずるさんの殺竜ドロックキックがはじまります!

2000年に一度アニメ化されているが、内容は原作の番外編となるアニメオリジナル。
同年公開の実写映画版(『笑わない』が原作)とリンクするため、『笑わない』の部分はそちらで説明するはずだったのが、
実写映画版の公開が遅れて先にアニメが放送されてしまったため、原作未読の一見さんお断りのアニメ版となってしまった。
というか、『笑わない』だけでなく『夜明けのブギーポップ』の内容も含んでいるので実写映画版見ただけでもわからない気がしなくもない

2018年に再アニメ化が決定。キャストが交代し年内に放送予定…だったが、結局2019年放送になった。
直後に原作イラスト担当の緒方剛志氏がアニメ制作側とトラブルになってしまった。
こちらは原作に沿った内容で放送されており、『笑わない』→『VSイマジネーター』→『夜明け』→『歪曲王』と若干原作と順番を変えながら*1放送される予定。『パンドラ』は犠牲になったのだ

……お気づきになったかもしれないが、新アニメ版を一通り見た後に旧アニメ版を見た方が間違いなく話が飲み込める。

○概要
「世界の敵」と戦う為に1人の少女、宮下藤花から浮かび上がってくるブギーポップと名乗る人格と、様々な少年少女達の物語。
事件が直接関わった複数の人物から多視点的に展開されるのが特徴。

○登場人物
CV:清水香里悠木碧(再アニメ)
主人公にして、本作の狂言回し。
宮下藤花の裡に潜む別人格で、「世界の敵」を察知した時に自動的に表に出てきて、敵を排除しようとする。
基本的にはほとんど登場せず、エピソードの終盤でやっと姿を現して話を締めるという役回りが多い。
言ってみればウルトラマン

  • 宮下藤花
CV:清水香里、悠木碧(再アニメ)
県立深陽学園に通う高校二年生。ブギーポップの宿主。
素直で明るい性格。ブギーポップと違い口笛は吹けない。
ブギーポップの人格が現れている間の記憶は無意識下で別の記憶に刷りかわっている為、
自分がブギーポップということを自覚していない。

  • 霧間凪
CV:浅川悠大西沙織(再アニメ)
藤花の同級生。ただし、休学していた為年齢は一つ上。通称「炎の魔女」
正義の味方を目指し、それに伴った活動をしている。
頭の回転が速く成績優秀、高い戦闘能力を持ち、芸能界からもスカウトを受けたりするオレッ娘美少女。
亡き父は作家の霧間誠一で、離別した母の再婚相手の息子谷口正樹に「姉さん」と慕われている。

  • 末真和子
CV:長沢響
藤花の親友で凪のクラスメイト。
非常に優れた洞察力と推察力、膨大な知識を兼ね備えており、犯罪心理学にも詳しい。
友人からのあだ名は「博士」。
かつてシリアルキラーの標的にされていた過去があり*2、その後もなぜか知らぬ間に様々な事件とニアミスを連発している。
また最近では統和機構の「中枢(アクシズ)」に知らぬ間に目を掛けられている。

  • 新刻敬
深陽学園の2年生で風紀委員長。
凪・末真とは違い分かりやすく一般人なのだが、なぜか『笑わない』『歪曲王』『溶暗のデカダント・ブラック』と事件の結末を見届ける役目を果たし、
『歪曲王』では事件の中心にいた「歪曲王」とラストで言葉を交わしあった。

  • 竹田啓司
深陽学園の三年生で、藤花の恋人。
ブギーポップの唯一の友人で、シリーズ最初の語り部。
デザイナーを目指している就職組だが、進学校の為クラスでは若干浮いている。

  • 紙木城直子
深陽学園の三年生で、凪の親友だった人物。
なぜか通常の会話が出来ないエコーズの意志を理解できたが、マンティコアの犠牲となって斃れた(表向きは行方不明扱い)。
直接登場するのは『笑わない』のみだが、後の話でも彼女の存在や消息不明が影響を及ぼしている。

  • エコーズ
CV:松野太紀
地球を調査しに来た地球外生命体。
変身する際に誤って未来の人類の姿になってしまい、統和機構に捕獲された。
彼のデータを元に合成人間が作られることになる。

  • 百合原美奈子
CV:浅野まゆみ
深陽学園の優等生。その正体は合成人間マンティコア。
本物の百合原美奈子を殺害し、姿を借りている。
変身能力を持ち、体内で薬物を生成することができる。

  • 早乙女正美
CV:福山潤
深陽学園の一年生。
自身を含むあらゆる「生」を憎悪し、マンティコアに協力していた。
底無しの殺人欲を持つ「世界の敵」であり、実はラストでブギーポップが出て来たのは彼のせいだった。


ちなみに上遠野作品はすべて世界観が繋がっている。
本シリーズのスピンオフ作品はもちろん、それ以外も本シリーズに登場する病院を舞台に女の子二人で怪事件を解いたり、異世界に本シリーズ作中の著作物が流れついていたり、凄く未来を舞台に宇宙戦争していたりする。


余談だが、作家の名前は「かどのこうへい」である。
たまに「うえとおの」と読まれ、本屋によっては著書が「か」の段ではなく「う」の段に置いてある。


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最終更新:2021年05月12日 22:30

*1 原作は『歪曲王』→『夜明け』だが、そもそも『夜明け』の冒頭とエピローグは『歪曲王』の途中の時系列である。

*2 ちなみにその事件を密かに解決したのは凪とブギーポップなのだが、諸事情により真犯人ではない者が公式の犯人とされており、凪自身もその事件について語ることを避けているため、末真は今でも真相を知らない。