登録日:2026/10/01 Thu 23:52:00
更新日:2026/10/01 Thu 23:54:11NEW!
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「仮面ライダーアマゾン」は、石ノ森章太郎が執筆した萬画作品である。
「テレビマガジン」で1974年11月号〜翌年3月号まで連載された。
直前の10月号では(恐らく番組側の準備が間に合ってない時間稼ぎも兼ねて)
「私は見た、怪奇青年アマゾンライダーを!」と題して石ノ森章太郎本人が登場する特集記事が組まれ、アマゾン川流域を取材中に自分で描いたイラストの獣のように姿を変える青年(アマゾン)の噂を耳にし、その謎を探るべくジャングルへの奥地へと踏み込んでいく…というルポライター風の特写記事が7ページ組まれた。
藤岡弘探検隊みたいなものである。
概要
初代ライダーなどと同じく、
同名の特撮ヒーロー番組とは「企画そのものが原作」のメディアミックスの関係であり、どちらが主で従という訳ではない…が、やはり希求層への影響力はテレビの方が強いのでそちらに追従しがちである。
概ね特撮版の進行に合わせているが、
20ページ程度の月刊連載+肝心の特撮版が半年で終了したので全5話という短命であり、大筋をなぞるのが精一杯でダイジェスト気味。
なので
初代の漫画版ほど独自性に富んでいるわけではないがテレビには未登場だった動物モチーフの獣人が登場したり、企画書に書かれながらテレビには登場しなかった設定などが盛り込まれており、副読本的な意義は充分にある。
主な用語
・仮面ライダーアマゾン
作品タイトルにして主役。
「細胞の一つ一つが怒りに震えた時」に変身するとバゴーは説明しており、リアルタイムで細胞が変質して人間からアマゾンライダーの姿になるように描写されている。
やはりイメージ通り野生の獣のような戦法を得意とし、腕のヒレカッターは振るだけで獣人の首を刎ね飛ばし、喉笛を狙って容赦なく噛みつく。
変身のメカニズムは大元の企画段階では「戦いの中で怒りや闘争心の昂った事によるアドレナリンの急速分泌」という事になっており、明言こそされていないがテレビ版の前半の変身シーンの描写もこれに基づいている。
・ギギの腕輪/ガガの腕輪
作品のキーアイテム。
十面鬼の右手にある「ガガの腕輪」
そしてアマゾンの左手に移植された「ギギの腕輪」
2つの腕輪が一つになったとき、インカ科学の秘密の扉を開く鍵となり、それを手に入れれば世界を意のままにできると言い伝えられた。
テレビ版では途中から腕輪その物が超常のエネルギーを秘めたオーパーツとして描写されるようになったが、こちらでは初期の「宝の鍵」の役割で一貫している。
本作では「かつて人類を絶滅寸前まで追いやった超古代科学の武器や兵器」を隠したのが「秘密の扉」の正体。
科学者たちは地球滅亡を危惧し封印を選び、2つの腕輪を鍵として守護者の一族に託したのだ。
ので、テレビ版の終盤で描写されたようなアマゾンのピンチに腕輪が突然光って不思議な事が起こった理不尽パワーで逆転勝利、みたいな展開は描かれない。
・ジャングラー
バゴーの設計図を高坂が仲介し、立花藤兵衛に託されて完成したバイク。古代世界の超マシン。
こちらではアマゾンはバイクへの嫌悪感はなく、藤兵衛のレクチャーと野生の勘で一発で乗りこなした。免許?言う必要ありますか?
テレビ版では横転の危険性からオミットされた背部のエラの膜が復活しており、ハンドルのスイッチを押す事で大きく展開して翼となる「空飛ぶマシン」である。
その機動力で大暴れし、4話からの登場ながら1話1殺で獣人を2体ほど轢き殺した。
登場人物
アマゾンと仲間たち
ジャングルの野生児。文明に馴染めぬターザン。
赤ん坊の頃に南米調査団のメンバーだった両親に連れられ飛行機に乗ったが、エンジンの故障でアマゾンの密林に墜落。
孤児となった所を"アマゾン化石人"に拾われ、愛情を受けて育った。
やはり生身でも強く、変身しないまま獣人の首を刎ね飛ばした事もある。
日本語は片言だがモノローグでは雄弁であり、「文明社会に放り出された孤独」よりも「宝の鍵であるギギの腕輪を持つ自分に近づく人間はみな殺されてしまう」という部分に涙しており、やはり本質的には優しく高い知性の持ち主である事が窺えた…が、最終回では進行の都合で何の説明もなく急に日本語が達者になった。
来日直後はやはり「アマゾン」としか喋れず、それが切っ掛けで名前として呼ばれるようになるが、新連載予告のページでは「リュウ」という名前がつけられていた。
これは恐らくアマゾンライダーの前身が「ドラゴンライダー」である事に起因すると思われる。
・長老バゴー
ギギの腕輪を守護する一族の長にして、インカ科学の担い手。
テレビ版と同じく十面鬼の反乱に備えてアマゾンに腕輪を託し日本の高坂に会うよう言い残して死亡するが、改造の経緯がターザンロープを楽しんでいたアマゾンをいきなり銃撃して捕獲というとんでもないやり方だったり、「おまえはむてきのすがたにへんしんするだろう うふふふふ」と笑いながら腕輪の移植をしたり、言行の節々がいろいろ危うい。
・高坂マサヒコ
アマゾンと最初に出会った名付け親の少年。
「岡村」ではなく同じ苗字になったが、高坂との関係は叔父と甥のままらしい。
出だしの1話こそあまり差はないが、テレビ版の大事な要素である"トモダチ"が存在せず、最終回では日本語の手紙が読めないアマゾンに「よめっ」と催促されるだけで出番が終わったり、微妙に扱いと存在が軽い。
良くも悪くも子役の存在感ありきのキャラクターだったと言える。
・高坂美奈
マサヒコの姉なので、リツコにあたるキャラクター。こっちは名前も違う。
尺の都合もありアマゾンとは揉め事もなく最初から好意的で、ここでも雪が降り積もる真冬にはまだ寒い友情の洋服をアマゾンにプレゼントしてくれる。
・高坂博士
概ねテレビ版と同じ。石ノ森作品のお約束だがこの博士は「はくし」と読む。
テレビ版では考古学者っぽい感じだったが、こちらではお約束の科学者キャラ。
長老バゴーとはアマゾン化石人の現地調査に赴いた際に知り合った。
アマゾンの両親と知己だったという設定がなく、物語の進行に必要なアマゾンの出生の秘密を「脳波解析の機械でアマゾンの記憶を読み取る」という科学者キャラ特有の凄い発明でこなした。
最後はヘビっぽい獣人に殺されたが、死の間際に藤兵衛に会いにいくように言い残して話をスムーズに繋げた。
・立花藤兵衛
おやっさん。4話から登場した。
3話のラストは高坂が藤兵衛に会うように言い残す所で終わるが、続く4話では既に知己という所から話が始まるなど尺の都合で忙しない。
風貌はハゲ頭にカイゼル髭の漫画版だが、一方でテレビ版の初代のように立花モータースというバイク屋の親父をやっており、世界観の境界が曖昧である。
ここでも高坂とは友人で、バゴー→高坂の設計図リレーでジャングラーを製作した。
・モグラ獣人
ぼくらの癒し系獣人。
やはり尺の都合で最終回手前の4話からの登場で、アマゾンを探るために雪の降り積もる真冬に穴を掘って凍えていた。
ここでは
"人間の子供が拐われて改造された"と思わしき悲惨な成り立ちが1コマでサラッと語られており、いやいや斥候や諜報に駆り出されていたので二つ返事でアマゾン側に協力を約束した。
特に去就は描かれずフェードアウトしたまま終了するが、無事に生きていると信じたい。
ゲドン
地味にジューシャ(戦闘員)が登場しない。
ひたすら獣人がワンオペで任務を遂行している。
劇中に名前が出てこない個体は後から「多分この動物なんじゃない?」と推測をしている資料や解説もあるが、基本的にどれも作者本人の発言ではないので憶測の域は出ない。
・十面鬼ゴルゴス
ギギの腕輪を奪い世界を支配せんとするゲドンの頭目。
ガガの腕輪を入手した経緯について「腕輪を守る番人に選ばれながらその力で世界征服をする野望に目覚めて一族を裏切った」という企画段階での設定について言及されている。
ギギを奪うべく非道の限りを尽くすが、あの巨躯のまま雪の下でジッとスタンバイし、いざ名前を呼ばれると「おう わしだ!まっていたぞアマゾン!」と気さくに挨拶してくれる変な所で気さくな男梅。
こちらでも沢りつおさんの声で喋ってそうである。
戦闘では人面岩の下部からジェット噴射で空を飛び、岩の口からは火球を発射する。
・くも獣人
大体テレビと同じ活躍のゲドン獣人1号。
人間レベルのシュッとした体型になっているが、人間の2本腕に蜘蛛の6本節足が融合したグロいキメラ的なデザインになっている。
・獣人コンドル
漫画オリジナル獣人。
そのままコンドルを人間サイズにし、前足を肥大化させたデザイン。
アマゾンと熾烈な空中戦を繰り広げた。
・ヘビっぽい獣人
この辺から名前もあまりつけてもらえなくなるので、仮称や便宜上の呼称が多い。
テレビにおけるヘビ獣人と思わしきデザインなのだが、前足がついていたり丸呑み消化ではなく噛み千切ったりトカゲや恐竜っぽさもある。
高坂博士を飲み込むがゼロ距離の両腕同時大切断で腹を掻っ捌かれた。
・ゲドンの獣人ヒョウ男
漫画オリジナル獣人。上の名称はマサヒコの台詞からで、ゲドンの命名則に倣うなら「ヒョウ獣人」あたりになると思われる。
そのまんま白目を剥いた凶暴なヒョウ。
・獣人ハンミョウ
テレビでは「次の目標!新・幹・線!」でお馴染みのハンミョウ獣人。
こちらでは十面鬼配下のゲドン所属で、4本腕+2本足でハンミョウの6本脚を表現している。
・シカとかヤギっぽい獣人
漫画オリジナル獣人。
ガゼルのような環状に伸びた2本ツノが特徴。
箱根鬼岩岳までアマゾンを追跡して襲撃したが、2ページくらいでジャングラーにツノをへし折られて死ぬ。
しかしアマゾンの所在を十面鬼に知らせて息絶えた忠義者。
一応こいつが最後の獣人である。
・ゼロ大帝
4話のラストで登場し、最終回の20ページで十面鬼の始末とアマゾンの直接対決を両方こなした1人ガランダー帝国。本当に他に人員がいないので忙しく、宛名を書いた手紙を送りつけても当のアマゾンからは「しらん!」と言い切られる悲しきラスボス。十面鬼の手ぬるいやり方に静観をやめて介入し、同じくギギの腕輪を狙う。
全能の支配者のカピロテ頭巾らしき顔面がフロントについた前衛的すぎるデザインのホバーバイクで移動し、そのままビームを発射する武装にもなるので槍は持っていない。
名前の通り体をゼロの男に、すなわち消してしまう能力を持ち、アマゾンの目を持ってしても視認できなかったが、野生の嗅覚で居場所を察知され引っ掻き噛みつきのコンボで玉砕。
刊行状況
2001年に『仮面ライダーEX』として単行本化、2012年に文庫版、2016年に完全版が発売された。
今からお安く買うだけなら文庫本だが、完全版は当時の連載当時のカラーページなども含めて復刻し、扉絵の煽り文などもついている上に「私は見た、怪奇青年アマゾンライダーを!」も収録されているので糸目をつけないなら完全版が良い。電子もあるよ。
単体では単行本一冊に届かないのでどのバージョンでも共通して「仮面ライダー絵コンテ漫画」と「君は仮面ライダーを見たか?」が一緒に収録されている。
「仮面ライダー絵コンテ漫画」
月刊少年マガジンの1979年8月号に掲載。
同年10月の2期目のテレビシリーズのスタート、つまりスカイライダー放送開始に先駆けて制作された。
スカイライダーの存在が大々的に報じられたのも同じ号からであり、実質的なPRも兼ねている。
考古学者の眉村の助手として南米で古代遺跡の調査をしていた青年「風谷光二」は前後の記憶を失い、訳も分からぬまま日本に帰国し、追手と戦ううちに自らの身体が人外になっていた事に気づく。
どうやら南米で改造されたらしいが、思い出すことができない。
そして再開した眉村の娘の洋子は、風谷を研究成果を奪うために父を殺したと疑惑を抱いており…
完全に初代のバッタ男の外観でサイクロン号に乗り、父殺しの疑惑でヒロインとすれ違うなどオマージュ要素も散見されるが映画単体で独立しており、リメイク・リブート的な感じになっている。
この世界ではテレビ番組の仮面ライダーが放送されており、風谷はそれを頼りに自らを仮面ライダーと名乗るようになった。
「漫画家になっていなかったら映画監督を目指していた」と語っていた石ノ森が「2時間程度の映画作品を想定した絵コンテ風のページを交えた100ページ漫画」を書き、その中で絵コンテや映画作りの技法を説明しながら物語が進行していく実験的な作りになっており、最後のページでは「いっしょに映画を作りませんか……!?」という一文で〆られている。
放送直前だけあってライダーがバイクでガラスをブチ破ったり、敵の最終兵器が「重力制御装置」だったり、節々にスカイライダーを彷彿とさせる要素が見られる。
「キミは仮面ライダーを見たか?!」
1986年3月に関係者に配布された石ノ森執筆の設定資料集、というか企画書。
スカイライダーから始まり、スーパー1の終了から再起し、雑誌展開からスタートした10号・ZXも正月特番という形で締めくくられた
昭和2期シリーズから数年、ビデオソフトのセールスや児童誌の反響から持ち上がった3期目のテレビシリーズ制作に際して考案された。
当時の最新技術で仮面ライダーの世界をリファインするという主旨で、「風祭竜」という青年が仮面ライダーに変身するが、「顔を手で覆いたくなるような獣の姿に代わり、それを隠すようにマスクを装着する」変身だったり、「マスク部分は普段はヘルメットに偽装している」など、後年の作品を彷彿とさせる要素が並ぶ。
敵はショッカー日本支部首領・フリーメーソンで、怪人もライダーに合わせるように生物的な変身を想定しており、B地区やオメコ丸出しの全裸女性がカマキリの怪物に変化していくラフ画などが掲載されている。
企画は最終的に平山ライダー時代のスタッフを一新した上で吉川P主導のもと「仮面ライダーBLACK」となり、さすがに良い子のテレビ番組では放送できない諸々の要素は後年の「
真・仮面ライダー 序章」に部分的に託された。
余談
- 石ノ森章太郎が本人名義で書いたライダーの漫画作品は初代とBLACK、そしてこのアマゾンの3作品のみ。よほど野生児アマゾンの設定や世界観が気に入っていた事が窺える。
- が、多忙の真っ只中だった事もあり、実際はコンテやネームの製作に留まり、最終的な仕上げは当時アシスタントだった石川森彦が行っていたとされている。
おれはアマゾンへかえる…
そしてまもりつづける!
世界せいふくをたくらむわるい心をもったものたちに…
すばらしい古代科学を利用されないように……おれはまもる!
※追記・修正は匂いで敵の居場所を察知してからお願いします。
- 例のアレの今月号の予想決め打ちとして。「萬画」はややこしいので先達に倣って項目名は「漫画版」にしました -- 名無しさん (2026-10-01 23:54:11)
最終更新:2026年10月01日 23:54