アマゾン/仮面ライダーアマゾン

登録日:2024/10/19 Sat 19:30:00
更新日:2025/04/20 Sun 19:50:21
所要時間:約 33 分らしいですが、現在では読み解く人は誰もいません/見る!…み、たい!





「まさひこ…トモダチ。おれ、トモダチたすける!」

「アマゾン、ゲドン、戦う。ギギの腕輪、守る!」




「一人の子供の純真な気持ちが傷ついたんだ…許せんっ!」



アマゾンとは、1974年10月19日から翌年3月29日まで土曜夜7時半に放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーアマゾン』の主人公。(演:岡崎徹)
そして、同名のヒーロー『仮面ライダーアマゾン』へと変身する、ジャングルの野生児。
ギギの腕輪を狙う十面鬼率いるゲドン、そして世界征服を目論むガランダー帝国と戦う。

本名は別にあるが、劇中では本人も覚えておらず2話のナレーションを最後に使われずほぼ初期設定止まり。
なので劇中での呼称に倣い本項では基本的に人間の方を『アマゾン』、変身した姿を『アマゾンライダー』と表記する。(省略しても前後の文脈で伝わるだろうという場合は略す)

曖昧ではあるが、ほぼ使われていない呼称を多用する違和感も鑑み、劇中の雰囲気を重んじ敢えてこう表記するので、その点のみ留意いただきたい。




+ 目次


【概要】


元は日本人・山本(やまもと)大介(だいすけ)だったが、0歳の赤ん坊の頃に南米アマゾンで飛行機が墜落。
両親も死亡した大事故の中でただ一人生き残った男の子。
名前も記憶もなく、ジャングルの中で動物たちに囲まれ育ち、人の言葉も知らない。

それから23年後。
古代インカの秘宝・ギギの腕輪を奪わんとする十面鬼の襲撃に巻き込まれる。
腕輪は十面鬼の持つガガの腕輪と合わせ、世界を我が物にできる超エネルギーを手中にできる秘密の鍵だ。

ギギの腕輪を守るべく、長老バゴーはこの野生の日本人青年に腕輪を移植する改造手術を施して息耐える。
しかし目覚めた青年は腕輪の秘密を何も知らず、「日本に行け、高坂に会うんだ」というバゴーの催眠暗示に従って船に密航して日本へと向かう。

ギギの腕輪を奪うべく追跡を続ける十面鬼。その十面鬼が生み出す配下の獣人たち。
頼みの綱であった高坂もゲドンの魔の手にかかってしまう。

そこで出会った高坂の甥・少年まさひこ。
言葉も分からず自分を育てた地名の「アマゾン」とだけ笑顔で喋る青年。
青年の名前は、この時アマゾンとなった。

見知らぬ日本の土地。言葉は通じず、文明や人々は野生児であるアマゾンに冷たい。
そんなアマゾンを奮い立たせ、戦いへと向かわせるのは、まさひこと交わした暖かな友情と、ゲドンの魔の手に苦しむ人たちの姿。

友よお前のためならば。
戦いの中で闘争本能が高まり、トモダチに危機が迫る時、アマゾンは怒りに身を焦がすように体を震わせ、姿を変えていく。

孤独だったアマゾンにも、やがて仲間ができ、腕輪の秘密も徐々に明かされていった。
もはやこの戦いは、自分の身を守るだけのものではない。

トモダチだけでなく、人々が平和に暮らせる明日の世界を守る。
そして、文字通り一心同体となったギギの腕輪を、バゴーの一族がそうであったように悪の手から守っていく事を誓うアマゾン。

かつては逃げ出そうとさえ思った、見知らぬ生まれ故郷。
そんな日本を守るべく、アマゾンライダーはここに在る。


【性格】



動物と大自然に囲まれて育ったため、感受性が強く、その精神性は無垢な子供に近しい。

異郷の地でのストレスや、無神経な人々の奇異の目や拒絶に悲しみ、怒り、ホームシックを起こす事もあった。

まるで剥き出しの心は傷つきやすくナイーブであるが、苦しんでいる人は決して見捨てられない。
どんなに辛いことがあっても逆境や怒りを糧とし、友情に命を懸けられる男。
その優しさは子供と瞬く間に打ち解け、敵である獣人の心をも突き動かす。

両手の指を組んで小指だけ立てる「味方の印」を取る相手とは友誼を結ぶ。
まさひことの交流の中で「トモダチの印」となり、同時にアマゾンの代名詞となった。

【好きなもの】


大自然と動物たち。無邪気な少年少女。

子供同然のアマゾンは同じ子供の頼みは決して断らない。
それゆえに騙される事もあるが、危険が迫れば何を捨てても助けようとする。

企画書では、「子供と遊ぶ事を無上の楽しみにしている愛すべき男」とあり
ベーゴマ、メンコ、ビー玉、けん玉、お手玉など当時の子供達が好みそうな遊びを器用にこなす、とされている。

劇中では(ルールがあまり分かってなさそうな事が多いが)子供達と野球や隠れんぼで遊んで無邪気に笑っていた。

特技は草笛。
葉っぱ1枚から楽器レベルで吹く事ができる名手で、本編では子供のハーモニカと楽しくセッションしていた。

野生児のお約束で嗅覚は犬のように優れている。
インカの毒の匂いを頼りに獣人を追跡し、「魚のような匂い」のする人間を嗅ぎわける。

大自然を深く愛し、動物たちもまた友人である。
設定上は・鳥などの可愛いらしい生き物が好き。
ただし野生の中で逞しく生き延びてきた事もあり、川に入り魚を素手で獲ったりする。

このあたりの線引きは現代人の目線や情報でも難しい部分ではある。
しかし育った環境からして食物連鎖などの生物の理は本能的に察している事は想像に難くない。
だからこそなのか、生きる糧の為ではなく快楽目的で鳥を撃ち殺した凶悪犯には激しい怒りを見せた。

「とり、わるくない…なぜ、殺す!!」

【嫌いなもの】


騒々しいもの。嫌なもの。恐ろしいもの。

機械類をとにかく嫌い、その文明アレルギーぶりは仮面ライダーのシンボルであるバイクのエンジン音すら受け付けない。
おやっさんからプレゼントされたバイクにも敵意を向け、海にブン投げた。*1
しかし最終的にはおやっさんの特訓とまさひこの危機に本能的に乗りこなした。


野生児のため、文明の利器がまるで分からない。
窓ガラスの開け方が分からず、噛みついたり引っ掻いたりして最終的にはバケツでぶち破る。
夜の電車を見れば、敵と勘違いして線路脇で身構える。

そしてなにより、人々を傷つける悪には断固として立ち向かう。

一度獣人との戦いになれば、爪を立て、牙を剥き、血みどろになりながら戦い続ける。

子供に愛される無垢な精神に、野生の恐るべき闘争本能。
正義のためなら鬼となれる強烈な二面性こそが、アマゾンの魅力である。

【知性、コミュニケーション能力】


日本語が分からず、おまけに腰蓑風のパンツ1枚の半裸という正統派ターザンにして文明社会では浮いた恰好のため、大人たちとコミュニケーションを取ろうとすると大抵は失敗する。
このため、初期はナレーションが「アマゾンは怒った!」「アマゾンは寂しく悲しかった…」と心情を代弁するのがお約束だった。

現代人(放映当時)からすれば未開の野蛮人にしか見えないが、これは異文化による隔たりが主原因。
アマゾン自身は寧ろ天才と言っても差し支えのない学習能力と高い知性を備えている。

病院では打つ手がなかった獣人の毒に対して現地の木の実などから立ち所に治癒させる薬草を調合。
ジューシャを泳がせれば目的の人物に会えると考え静かに追跡するなど咄嗟の機転も効く。
日本語に不慣れなだけで逆に現代人では解けなかったインカ縄文字(キープ)も解読可能。


初めは「トモダチ」の印だけが頼りだったが、まさひこの指導により驚異的なスピードで日本語を習得していく。
学習半ばくらいの辿々しい片言の言葉遣いのアマゾンはファンから愛され、後年のアマゾンもこのイメージに沿って登場する場合が多い。

まさひこの教育の賜物なのか、道徳観念は意外としっかりしている。
物を借りるときには「借して」と言えるし、まさひこの私物を奪い取った小学生を「とる、悪い」と咎める。



以上が概ねの人物像であり、スマートな都会的お兄ちゃんが基本のライダー主人公において異質であった。

子供に近く孤独を抱えた野生児キャラは視聴者にも愛され、1話こそまずまずの数字を獲得したが、視聴率は緩やかに下降。
インパクトと引き換えに作劇に制約ができるデメリットもあり、徐々に改められていく運びとなった。

【2クール目以降のアマゾン】


2クール目あたりから完璧に日本語をマスターする。
非常に流暢に喋り、より主人公として話に参加しやすくなった。

見た目に関しては中盤でまさひこの姉・りつ子からチョッキ的なベスト的な上着の「友情の洋服」を貰う。
ノースリーブなので劇中の真冬の時期にはまだ寒い服装だが、腰蓑パンツとのバランスを考えた愛のあるデザイン。
手甲や脛巾までサービスされたている。

向上した知性は、ある時は空気に触れると青酸に変化するインカ産の毒ガスについて説明。
別の話では風邪とビールス菌の仕組みを理解して敵の弱点を突く。
知識だけでなく咄嗟の知恵や機転もあり、監視の目に気づいていったん姿を消し、逆尾行を仕掛けて作戦を阻止する頭脳プレイも見せた。

この変化は、前半の辿々しい言葉で必死に訴える無垢なアマゾンを愛する層からの評判はあまり芳しくない。

ただし、その性格まで劇的に変わったという訳ではなく、友情を重んじ、子供を愛する性格は健在である。
薬学の知識は言語化できなかっただけで初期の早い段階で薬草を煎じているし、咄嗟の動物的な機転も持ち合わせていた。
元より大自然での暮らしの中で持ち合わせていた智恵を、言語化できるようになっただけとも言える。

近年の作品にアマゾンが登場する場合は概ね初期の片言で辿々しいイメージが優先される。
「おれ、アマゾン。トモダチ、まもる」といった感じで、片言ではあるが助詞を省く以外はほぼ流暢に話す。

この純朴さこそアマゾンであると称賛される一方で、番組後期で垣間見せた知性ある獣としてのアマゾンがまるで無かった事のように扱われ残念に思う意見も少なくない。


【身体能力】


生きる事そのものが戦いだった野生児なので、それはもう滅法強い。
凶悪犯が人質を取り立てこもっても拳銃程度なら容易く制圧。
木製バットを真っ二つに割り、250ccのバイクを頭の上までリフトアップして、水平二連式の散弾銃を膝で折り曲げてしまう怪力。

少しの取っ掛かりがあれば雲梯のように両腕で捕まり移動し、ベルトであるコンドラーのロープで機能で見事なターザンロープを見せ、森だろうがビルの谷間だろうが一っ飛び。
とあるエピソードではホテルの40階に窓から侵入した。

ゲドンの赤ジューシャが女性タイプな事もあり従来の戦闘員のような前哨戦は撮影しにくいため、基本的に最初から獣人とのタイマンを強いられる。
噛みつき、引っ掻く、飛び掛かるの獣の闘争でなんと怪人である獣人をも撤退に追いやり、初期の獣人に至っては人間体のアマゾンとやっと互角という状態であった。

半裸で飛びかかって獣人に噛みついたり引っ掻いたりする為、生傷が絶えない。
ヤマアラシに飛び掛かれば針に刺されて出血するし、毒の爪を喰らればダウンする。
超人的な身体能力はあれど根本的な部分はやはり人間のようである。


【仮面ライダーアマゾン】


「ふーっ、ガウウウッ!!」
「 ア゙ァァァマ゙ァァッゾ゙ォォン゙!」
(前期)

「アー、マー、ゾォーン!」
(後期)

「仮面ライダーみたいだ!」



中の人:新堀和男(前期)
    中屋敷鉄也、中村文弥(後期)



野生児アマゾンが長老バゴーの手によって改造された、マダラオオトカゲの化身。
戦いの中で怒りや闘争心が昂るとアドレナリンが急速分泌され、両腕を体の前で「もがく」ように交差させる。
そして自分の名前を怒声をあげるように叫ぶと同時に両手を大きく開くと、全身の細胞組織が一瞬で組み換わり変身する。

初期は本能による無意識的な変化といった描写だった。
怒りや恐怖の感情を叩きつけるように吠えてからポーズを取り、体を震わせながら濁点がつく勢いで叫ぶ。

番組後半になると場所や状況を選ばず、また冷静な状態でも変身する事ができ、システマチックな変身ポーズとして使いこなすようになる。

現代社会の科学技術で造られたそれまでのライダーとは異なり、古代インカ文明の秘術で誕生した改造人間。
初めて変身した姿を見たまさひこが「仮面ライダーみたい」と言った事から、「アマゾン」が変身する「仮面ライダー」で「仮面ライダーアマゾン」と名付けられた。通称はアマゾンライダー。


純白のマフラーは、何者に染まらぬ無垢さと、いかなる力にも屈しない正義の心の象徴。
大自然に溶け込むような緑色の体に、全身を彩るように流れる赤い斑点は、力を組み込まれたマダラオオトカゲの名の由来。
赤は熱い血潮であり、闘志とともに燃え上がる怒りの色。

背中のひれは野生と異形の戦士である事を視覚的に分かりやすく伝えるチャームポイント。
まるで帆を張るように立ち、背ひれ帆は闘志の発露として左右に音を立てて揺れ、敵を威嚇する。
後に背ひれの振動は必殺技を使用する際の予告サインの役割を果たす。

ひれは背中の他にもあり、それこそが両手両足に鋸刃状に形成された最大の武器・ひれカッター。
両腕を変身ポーズのように何度も交差させると、両腕のひれカッター(アームカッター)が交錯。
打ち鳴らされた音で獣人を威嚇し、アマゾンの戦意を高揚させる。
つまり劇中で腕を動かす度に聞こえてくる形容し難い効果音はアームカッター同士の擦過音であり、いわばアマゾン版ライダーファイト。

手刀で全てを切り裂くアームカッターに対し、両足のひれカッター(フットカッター)は回すキックを文字通りナイフに変える足刀となる。

10話あたりでオレンジの胸から赤い胸のスーツに変わるが、これについては後述する。

戦斗法(せんとうほう)


アマゾンライダーは今までのライダーと違って全くの野生児です
野獣と(たたか)って生きて来た戦闘技術が改造人間として強化されたパワーを得て
瞬時の隙をも与えぬ壮烈な戦闘法となります

跳び、走り、噛み、裂き、切り、突き、蹴る
ありとあらゆる攻撃手段をつかい目にもとまらぬ早業は
その裏に負ければ殺されるという必死の野獣性が秘められているのです

※番組企画書「アマゾンライダーの戦斗法について」より抜粋



その戦い方は、まさに獣の闘争。

腰を低く落とした独特の姿勢で敵を見据え、鳥のようなジャンプで相手に飛びかかり組みついて押し倒す。
地べたを転げ回りながら牙で噛みつき、食い破り、爪やアームカッターで引っ掻き切り裂く原始的な戦いを繰り広げる。

この時アマゾンライダーの中に入っていたのは当時19歳の新堀和男。
弱冠16歳で剣友会の門を叩いた氏の、初のTVシリーズの主役ライダーである。
今までにない起用の理由は四つん這いや中腰のポーズ、激しい野生的な戦闘に若さと体力が求められてでないかと岡田勝は推測している。
もはや犬闘の域の原始的な取っ組み合いを熱演した。


しかし、残念ながらテレビ作品の至上命題である視聴率には結び付かなかった。


数値としての結果以外にも、野生的な殺陣はインパクトと引き換えに大野剣友会の従来の持ち味である華麗な格闘戦をも殺してしまう諸刃の刃だった。
どうしても戦闘シーンのパターンは限られてしまい、撮影の労力とは裏腹に泥臭く転げ回る映像はテレビ映えしなかった。
更に新堀さんは低く構える独特の姿勢を常に求められる撮影で腰をいわしかけている。


これらを鑑み、"ライダーらしい、すくっとした立ち姿"を合言葉に、11話から軌道修正が行われた。


中の人は当時から大野剣友会を支えていたエース、中屋敷鉄也や中村文弥と交代。
当時、ブルース・リー燃えよドラゴンなどで流行していたカンフーを主体とした正統派アクションに舵を切る。
企画当初の没案に「龍の紋様があしらわれた黒い上着」を羽織ったドラゴンライダーというイラストもあり、ある意味では回帰性のある転換。

初期を象徴する文字通りの肉弾戦からの変更を、個性の消失と捉え残念に思うファンも多い。


しかし、上半裸で怪鳥音を響かせ、血まみれになりがら戦うブルース・リーの姿などを見れば一目瞭然だが、カンフーという要素は元よりワイルドさを多分に含んでおり、野生的なアマゾンとの相性は抜群であった。

裏拳を連打し、肘打ちをかまし、ローキックで足を取り、高く上がる回し蹴り。時には噛みつき攻撃。
通常の格闘戦の範疇に収まりながらも荒々しい新生カンフー・アマゾンのアクションは、日本語の向上と共に知性的な一面も見せ始めたアマゾンと不思議な噛み合わせを発揮。
初期のキャラクター性を重視しすぎた泥くさい取っ組み合いを脱して大野剣友会本来の華麗な殺陣を自由に行いつつも、そこに野生味をミックスすることに成功したのである。

初期のアマゾンを「牙や爪を突き出し原始的に戦う獣」とするならば
後期のアマゾンは「格闘技の術理を本能的に使いこなす獣」とでもいうべきファイトスタイルであり、後期の戦闘シーンを支持する意見も決して少なくはない。


【アイテム・武器】


【ギギの腕輪】



左腕に移植された腕輪。
ギギとは古代インカ語で「左」を意味するので左腕輪。

古代インカ科学の秘宝の鍵、その片割れ。なにかしらの特殊金属製とされている。
古代インカの守り神であるコンドルの顔を模したデザイン。
赤い目玉に上からトサカが生え、両目の間から嘴のようにギザギザの噛み口が伸びている。

腕輪の持つ古代インカ科学の超パワーはアマゾンのエネルギー源となっており、アマゾンライダーの姿へと変身させる機能も担保。

つまり実質的にはこのギギの腕輪こそがアマゾンの変身アイテム。
ベルト以外が変身を司るのはこの年代のライダー作品では非常に珍しい。*2

同時に腕輪はアマゾンの生命機能も維持しており、左腕と完全に癒着・結合した文字通りの一心同体。
容易く外す事はできないが、腕輪を失う事はアマゾン自身の死を意味する。

企画書の設定ではギギの腕輪はバゴーの守護者の一族が長年守り、当代の番人に選ばれた人物に腕輪を装着。
アマゾンがそうであるように腕輪の番人が死ななければ決して外れない秘術を施す。
腕輪は死によってのみ代替わりされ、文字通り命のリレーで代々受け継いできたと記されている。

アマゾンはこの守護者の一族ではないのだが、十面鬼の襲撃により一族が全滅したため、バゴーは最後の手段としてアマゾンにギギの腕輪を移植し、番人に仕立てている。



【元祖スーパーアイテム?】


世界を手中にできる宝の片割れの名は伊達ではなく、それ以外にもギギの腕輪は恐るべき神秘を秘めている。
物語も終盤になると古代インカの超科学の名の下に数々の奇跡を引き起こす。

1000mの地下で岩に生き埋めにされた時は強烈な圧力を受けた腕輪が不思議な光を発し、体から鉄をも融かす高熱を放出。
その状態で背鰭やひれカッターを激しく震わせて岩だろうと1000m分の掘削だろうと一瞬で突き破る破壊力を得る。

獣人の爪で失明*3すると、腕輪に全精神を集中。腕輪の持つ謎の能力(ナレーション原文まま)を引き起こして視力を回復。

熱帯のアマゾン育ちかつトカゲなので冷気に弱いと見て氷詰めにしてみれば、もはやなんの説明もなく腕輪の不思議な光で氷を内側からブチ破る。*4

このほか、腕輪の機能かは不明だが、カニ獣人の泡攻撃を「アマゾンにはカニ獣人の泡など通用しないのである」ナレーション処理で攻撃を無効化。

古来より特撮ヒーローが持ち合わせる土壇場での逆転マジック、奇跡の力を、アイテムの引き起こす現象であると(一応の)理屈をつけた最初のライダー作品。
その時不思議な起こったの先輩である。

ナレーションにすら謎の力であると匙を投げられた腕輪の不思議パワーは全24話のうち18話で初めて登場とほぼ終盤であったため、その威力が発揮された事は数える程度。

放送局の腸捻転問題などのトラブルが絡まず、もっとアマゾンの番組が続いていれば、その理不尽な奇跡を更に見せてくれたに違いない。

【コンドラー】


普段の姿でいる時から、異様な型のベルトをしています。
このバックルは、取りはずし可能で、インカの古代人の使用した万能器具であります。


番組企画書「アマゾンライダーのベルトについて」より抜粋


アマゾンのベルト…にあたる器具で、野生児の暮らしの道具。
改造により付与された部位ではなく、アマゾンが昔から使いこなしてきたアイテム。

基本は鋸にハンドルのような握り手がついたデザイン。
目的用途によって様々な形に変形し、ジャングルでの過酷な生活を助ける。


変身機能に全く寄与しない非常に珍しいベルト。(より厳密にはバックル部分)
日常から常につけっ放し、普通にベルト部分から分離できるという点も異彩を放つ。

劇中で最も多用したのはロープ形態。
ベルトから取り外し、ハンドルを左右同時に引っ張ると鋸部分が割れてロープになって伸びる。
ハンドルの片方をフックがわりにして高所に引っ掛け、ターザンロープにしたり、敵の捕縛などに活用した。

毒の爪で変身不能となりダウンした状態で黒ネコ獣人の襲撃を受けた時にはピックに変形させ、右目を思い切り突き刺した。

アマゾンの異質さを象徴づける要素の一つとしての非変身・非風車ベルト。
制作側もこれを看板としてアピールしようとしていた。

設定上はコンドルの赤い目の部分を火打石として火を起こし、円盤のギザギザ部分は鋸を基本形態とし、物を切り擦り潰す。
ギザギザと握り手の組み合わせで手斧、シャベルにも変形。かつて古代インカ人も使用していたサバイバル生活を支える7つ道具。
やっぱりブルースリーのブームの影響を受け、ヌンチャクにして振り回すなんて設定もあった。


初めての主役ライダーの道具式ベルトという事で、スタッフ間でもその設定の使用に関しては慎重な討議が都度おこなわている。

結果、2クールの短命に終わった事情もあって映像作品の中では1度ピックを使った以外はロープしか登場せず最終回を迎えてしまう。

この「多機能ツール結局ロープしか使わない」問題はライダーマンもロープアームで通った道であり、平山Pの心残りでもあった。
これが最終的にファイブハンドとして結実するのだが、それはまた別の話。

鋸形態を薬研として使う姿はゲーム作品「バトライド・ウォー創生」などで実現した。
本編でも薬草を調合するシーンはあるのだが、そちらは現地調達した竹や葉っぱに乗せた材料をひのきのぼうで擦り潰しており、コンドラーは用いていない。

NGスーツ(厳密にはスーツにあたる部分ではないが)赤目の部分が小さく、ハンドルがやたら長い。

当時ポピーから発売された変身ベルトは、鋸が回転し、赤目の部分が光る従来と同じ変身ベルトであるかのように作られている。
本来の変身アイテムにあたるギギの腕輪もついたセットだった。


【ジャングラー】


4話から登場したアマゾン専用のライダーマシン。
南米アマゾンで長老バゴーが考案・設計し高坂教授が仲介、日本に持ち帰り設計図を託された立花藤兵衛が実機を制作。
3人のおやっさんの共同作業である。


大抵はライダーを改造した博士らが一緒に作ってしまうパターンが常のライダーマシンにおいて、実は立花のおやっさんが新サイクロン号に続いて手ずから精魂込めて作り上げた2台目のバイク。*5

世を偲ぶいわゆる偽装バイクの概念はなく、アマゾンは変身の前後を問わずジャングラーに乗る。
劇中では人間体でも度々ジャングラーでのトレーニングをするシーンが挟まれ、その素質は立花のおやっさんを唸らせるほど。免許?ある訳ないじゃん…

顔を模し、口のようになっているフロントカウルは本当に口のように開き、大口をあんぐりと開けて紐付きの銛を射出可能。

【激しく危険すぎた文明の利器】


撮影にあたってのベース車輌はスズキTM250。ハリケーン、クルーザー、そして後のカブトローと、この時期のライダーマシンを総なめにした名機。
バイクスタントは同じくこの時期ではほぼ全てのライダー作品で担当していた熊沢敏明。

ライダーの顔を模したフロントカウルという初のコンセプトでキャラクター性を重視したジャングラーはとてもゴテゴテしていた。
素っ裸のアマゾンは言うに及ばず、足にカッターがついたアマゾンライダーの姿で乗るのも危険が伴う。

そのためオープニングの大ジャンプなど、見るからに危険なスタントはこっそり足だけ黒いモトクロスブーツに履き替えて撮影している。

後部の翼は当初はイメージ画を再現してエラを張るように白い幕で覆われていたのだが、空気抵抗に加えて横風に弱く、横転のリスクが高すぎたので廃止された。
その後も走行中に剥がれ落ちるなど、羽は何かとトラブルに見舞われている。

安全面をガン無視すれば意外と軽量なので、それほど操縦に苦労がなかったとは熊沢氏の弁。

この前衛的デザインに(番組初期は)ノーヘルどころかノー衣類で乗るという荒業を求められた岡崎氏は、翼のパーツで左膝を切ってしまい皿の骨が見えるほどの重傷を負うなど生傷まみれで撮影をこなしていった。ライダーの左足には何かが憑いている。

因みにNGになったデザイン画では三輪オートバイとなっており、座席には背もたれがつき、後部だけでなく正面にも広がるように羽根がついた更にゴテっとした外見だった。

企画段階では「ミラクルジャガー」という競走馬やパチンコみたいな名前をしていた。

【ガガの腕輪】


ギギと対になるもう一つの腕輪。
ガガとは古代インカの言葉で「右」を意味し、やはり右腕にはめるようにデザインされている。
基本的にギギと同じコンドルの顔を模したデザインだが、ギギは嘴のような末端のギザギザの刃が下向きなのに対し、ガガは上向きである。

物語開始時点では十面鬼が所持し、2つの腕輪を揃えようとギギを持つアマゾンの命を狙っていた。

2つの腕輪が揃った場合の効能について、初期は「古代インカ科学が秘密に開発した超エネルギーの眠る秘密の扉を開く2つの鍵」としていた。
まるで宝の部屋を開ける鍵のような扱いだったが、最終的には2つの腕輪を合体させる事で持ち主に超エネルギーをもたらしている。

これについて番組企画書では
「超エネルギー装置を人跡未踏の地下洞窟に封じ、この装置は善に用いれば食糧危機も氷河期も乗り越えられる平和の架け橋となるが、悪用すれば恐るべき最終兵器にもなる」
と超エネルギーを定義していた。
この地下洞窟の扉を開けるのが2つの腕輪の役割。

初期の宝の鍵としての説明は、この設定の名残だと思われる。


【持ち主の行方】


劇中で十面鬼がガガの腕輪を手に入れた経緯は不明である。

が、番組企画書では十面鬼となる前のゴルゴスこそが腕輪を守護する一族のガガの番人に選ばれた人物であり、ガガの移植後に一族を裏切り野心に目覚めた、という流れになっている。

劇中の姿や言動がアレなので何かとネタキャラな十面鬼だが、第2話の「神か悪魔か」という大仰なサブタイや、バゴーの弟子の科学者だったという設定など、嘗ては一角の人物だったのである。嘗ては。

以上の流れから十面鬼も恐らくアマゾンと同じく、死なない限り腕輪が外れない一族の秘術を施されている可能性が高い。
そのためなのか十面鬼の死後に腕輪を奪ったゼロ大帝は右腕に装着することもなく、別室に安置していた。


アマゾンを巡る物語のテーマの一つがこの腕輪争奪戦であり、"最終回まで"2つの腕輪が揃うことはなかった。


【必殺技】

野生の闘士であるアマゾンライダーには歴代ライダーのような必殺技のレパートリーはない。
しかしそれを補って余りあるのが、ライダー史に革命をもたらした唯一無二のフィニッシャーである。

下記の必殺技の他、戦闘ではコンドラーのロープ機能を使いこなし、ターザンロープにしてのキックや捕縛術を活用する。

・大切断

アマゾンライダー最大の必殺技。両腕のひれカッター、アームカッターを振るって敵を切り裂く。
見てくれの上では手刀であり、チョップをメイン技とするライダーは歴代でもほぼ唯一。

主に獣人の額を集中攻撃し、喰らった相手は文字通り切断された傷口から血のような体液のような何かが噴水のような勢いで吹き上がり、周囲に撒き散らしながら悶え苦しみその場で昏倒し絶命する。

ライダーキックのように爆発もせず、血みどろの死体が転がるというショッキング技。
獣同士の争いの最後を〆るに相応しい凄惨な一撃である。

ひれカッターは両足にもフットカッターとしてついているので、こちらでの大切断も可能。
華麗な右回し蹴りはある意味ライダーキックの一種。

その恐るべき切断には大量出血以外にもバリエーションがあり、腕などの部位破壊も容易くこなす。
黒ネコ獣人に横凪ぎで振るった時にはまるで鎌のように首を切り落とした。


しかし、アマゾンを象徴する大切断は、同時に多くの問題点を抱えていた。
上の項目で述べた野生の肉弾戦は必殺技としての絵出が難しく、敵とゴロゴロ転がりあっていつの間にかチョップしたら終わるという回が続いた。
更には主人公が日本語を喋れないので、技の名前を叫ぶ事もない。

そう、必殺技としてのカタルシスが著しく欠如していた。

定義としてはアームカッターで切り付けて出血なり部位破壊なりすれば大切断として成立するのだが、そもそも視聴者には必殺技として認識すらされていなかったのだ。

この点は放送開始1ヶ月後の11月の時点で議題に上がった。
番組を代表する看板役者である事はそのままに、如何に大切断を必殺技として確立させていくかが番組の課題となっていく。


後年でもアマゾンを代表する必殺技として大活躍するが、流石にそのまま斬首や失血死は現代のテレビ画面には流せないので、ゲーム作品のガンバライドあたりを皮切りに「出血の代わりに火花や弾着で切断面やダメージを表現」という現代文明の工夫で対処するようになった。

  • アマゾンキック
コンドルジャンプと思わしきジャンプで空高く飛び上がり、右足で渾身の飛び蹴り。
飛び蹴りでの攻撃はそれ以外でも何度かしているが、明確に必殺技として名前を叫び使ったのは22話のみ。

要するに何ら変哲のないライダーキック。
しかし大切断のインパクトが大きいからこそ普遍的なキックが逆にアマゾンにおいて異彩を放つという、製作陣の構成の巧緻さが光る技。
大切断以外で獣人を倒した数少ない必殺技でもある。

  • スピンキック
巨大な首を取り外して横回転させるガマ獣人の攻撃に対し、コマで遊ぶ中でヒントを得た必殺技。
空中で体を丸めて縦回転で突撃するローリングアタック。回転するガマ獣人の首を弾き飛ばした。

…キックじゃないのでは?というツッコミが真っ先に出てくる。
書籍などでは回転中の足に当たったからキック、というファジーな解釈をしている。

  • ジャガーショック
噛みつき攻撃。人間体でも使う。
獣人の腕や足を食いちぎる獣の牙。

  • モンキーアタック
オープニングの出だしなどでもやっているジャンプしながら威嚇するようなポーズで相手に飛びかかり、爪で引っ掻く。

人間体のアマゾンは演者の人間の普通の指では表現しにくく、アマゾンライダーになると切り裂き系でアームカッターとキャラが被っているのでやや影が薄い。

  • コンドルジャンプ
両手を拳法の鶴のポーズように頭上に掲げ、両膝や片膝を曲げて鳥のような姿勢でジャンプをする。

このジャガー、モンキー、コンドルのアニマル三部作は本編では技の呼称がなく、判別が難しい。

取り敢えず噛みつけばジャガーショック、取り敢えず奇妙な体勢で飛び上がればコンドルジャンプとうち2つは分かりやすい特徴はあるが、どの場面でモンキーアタックをしているか判断するのは至難。


・スーパー大切断

最終回限定。ギギとガガの腕輪を合体させ超エネルギーをその身に宿したアマゾンライダーの最終兵器。
すれ違いざまに両腕を切り落してから相手に背を向け、右手を左斜め水平に上げる仮面ライダーお馴染みのポーズ*6で制止。
背後から迫る相手にカウンター攻撃のように振り向きざま横薙ぎの大切断を叩き込み、斬首する。


後年のゲーム作品ではとにかく2つ腕輪をつけた通常より凄い大切断という事さえ表現できれば再現に拘らず自由に作る作品と
通常の大切断との違いである振り向きざまの横払いのチョップや1号の変身ポーズなど、劇中のエッセンスを出来るだけ汲み上げつつ再構成するかの2パターンに別れる。

【2つの腕輪が1つになる時】


ギギの腕輪とガガの腕輪が合体したアマゾンライダー。
左右の腕に一対ではなく、アマゾンの左腕で腕輪の噛み口同士が合体する。

2つの腕輪の恐るべき威力は、劇中では最終回Bパートという終了直前での登場でさほどその描写は多くない。

合体の際のエネルギーで全身を拘束する鎖を引きちぎり、ゼロ大帝の変身機能を封じるビームランスを逆に無力化。
敵の首魁であるゼロ大帝や全能の支配者を全く寄せ付けずにスーパー大切断で撃破した3点のみ。(後は与太話程度にヘリウム爆弾のタイマーのスイッチを破壊したチョップが2つの腕輪の力説など)

合体の際はまるでガガの腕輪が意思を持ったかのようにアマゾンの左腕のギギに吸い寄せられている。

腕輪の移植をせずに戦利品として手で遊ばせていたゼロ大帝と、歴代の守護者の一族のように秘術で左腕と腕輪を一体化させていたアマゾンの差なのかもしれない。

本編終了後は基本的にガガの腕輪は登場しない。
そもそもバゴーら守護者の一族の使命が2つの腕輪が悪用されないように別々に分けて守る事なので、アマゾンもその使命を尊重していると言えなくもない。

本編外の他メディアでにガガの腕輪を「海に捨てた」としたり
腕輪の守人がもういないので実は密かに自身で2つとも管理しつつ、世の理を乱しかねないので濫りに乱用しないようにしつつ守っているなどの作品もある。

【フォームチェンジに含むか否か】


フォーマットが定まる時代の作品なので、この2つの腕輪を装着したアマゾンライダーをいわゆるフォームチェンジや形態変化に含むかはやや微妙なラインである。*7

基本的には通常時と特別に分けない事が殆ど。

一方、ゲーム作品では昭和ライダーの貴重な外見の変化なので重宝されやすい。
「バトライド・ウォー創生」では超必殺技の発動でガガの腕輪を召喚して合体し、スーパー大切断を放った後も2つの腕輪をつけた状態で操作可能。
通常時は切りつけるだけの大切断が切断面を飛び道具として射出するなどパワーアップし、他作品のライダーでいう所の最強フォームとして扱われている。

ソーシャルゲームの「バトルラッシュ」では「仮面ライダーアマゾン(ガガの腕輪装着状態)」*8という名称で通常時とは明確な別形態として登場。
スーパー大切断もゼロ大帝の両腕を切り落とした流れから完全再現しつつスタイリッシュに仕上がっている。

【スーツのバリエーションや比較】




※出典
画像左側:講談社『仮面ライダー VOL.6 KODANSHA OFFICIAL FILE MAGAZIN』 監修:東映、石森プロ(2004年8月発行)
画像右側:デアゴスティーニ『仮面ライダーDVDコレクション 39号』監修:東映、石森プロ(2020年12月22日発行)

・前期アマゾン登場期間:1話〜10話

画像左側。番組前半に活躍したアマゾンライダー。
緑色の体に、オレンジの胸
人間体のアマゾンは主に上半身裸で、取っ組み合いの野生的アクションをしていた時期のスーツ。

斑模様がビッチリと緻密に描き込まれている事が特徴。
ただし、10話という短期間で限界を迎え、下記の後期スーツにリニューアルされる。
ただでさえ大切断の血糊で洗濯を頻繁に行う必要があり、野生的な泥を転げ回るファイトでスーツの損傷や色落ちが激しかったのは想像に難くない。

・後期アマゾン登場期間:10話の変身バンク前後の数カット、11話〜24話

画像右側。番組後半に活躍したアマゾンライダー。
薄めの緑色の生地を採用したスーツは色落ちと共に水色になり胸は真っ赤
人間態は上着を着始め、スマートかつ激しいカンフーアクションで戦った時期のスーツ。
最終回で2つの腕輪が合体したのはこっち。

描き込みすぎた斑模様は制作側の負担も大きかったのか、前期と比べかなり少なくなっている。
以降もこの後期版だけで斑模様に変化が見られるのだがここでは割愛する。

比較すると分かるが、基本的に人間体の上着着用イベントと変化が連動しており
変身バンクも前期は半裸からオレンジ、後期は上着着用から赤に変身している。


  • 扱い
前期や後期というのは主にファン側から見た俗称であり、旧1号→新1号のような形体変化としては扱われていない。
アマゾンライダーを紹介する項目では同一の存在として扱われ、両者の写真が混在する。

パプリックイメージとしては前期アマゾンの印象が強く、そちらで描かれる事が多い。
しかしながら水色の体によく映える赤胸のアマゾンも捨て難いという意見もある。

繰り返しになるが、定義の境界線上を彷徨うギギガガ合体とは異なり、一貫してフォームチェンジや形態変化としては扱われていない。

最終回でギギとガガが合体した時は後期アマゾンなので、強いて言えば通常時は前期カラーで
ガガの腕輪を装着合体すると赤胸のアマゾンに変色する…なんて解釈すればチャージアップや平成以降の最強フォームっぽくなるだろうか。

  • 最近の両者の扱い
本編終了以降、昭和のTVシリーズでは後期アマゾンのカラーだったが
ディケイド以降の春映画では前期アマゾンが尊重されていた。
…が、これが更にシリーズ50周年のスーツ改修を受け、スーパーヒーロー戦記あたりから再び後期アマゾンが復活。


【対人関係】


【初期の協力者】


  • 高坂
考古学教授。かつて赤ん坊の山本大介だった頃のアマゾンの実父とは友人。
バゴーとは密かに連絡を取り合っていた。
入院時の岡村姉弟との会話を見るに、アマゾン=山本の息子という予感めいた確信があったようである。

残念ながらすぐに退場してしまうが、ゲドン対策に多大な貢献を果たした陰の立役者。

  • 長老バゴー
ギギの腕輪と守護していた一族の長老。
死の間際、アマゾンにギギの腕輪を移植し息絶える。

アマゾンとどの程度関わっていたかはハッキリと描写はされていない。
しかし連絡を取り合っていた高坂にアマゾンの情報を伝え、その高坂がアマゾンのルーツに気付きかけている。

このあたりから、飛行機事故で遭難した赤ん坊の頃からアマゾンを影に見守り、大自然の文化風習を教え現地で後見人代わりを務めていたと思われる。

【仲間たち】


  • 岡村まさひこ(5話クレジットからはマサヒコ)
高坂教授の甥っ子の小学2年。
両親を早くに亡くし、頼れるヒーローであるアマゾンに父性を感じつつ、その純粋さにトモダチとして懐く。
アマゾンと友情を育める純粋な子供の象徴で、歳の割にとても利発で野生児アマゾンをサポートする。
アマゾンの日本語の先生。

  • 岡村りつ子(5話クレジットからはリツ子)
まさひこの姉。
初期はまさひことは対極の、文明人の大人の代表としてアマゾンを拒絶していた。
両親を亡くしたため、まさひこを人一倍気にかけている。
アマゾンを嫌っていたのはまさひこを危険に巻き込むため。

しかし体を張って自分を守り続けてくれるアマゾンの献身に心を改め、上着をプレゼントしてくれたツンデレヒロイン。
本来はとても心の優しい女性。

  • 立花藤兵衛
われらがおやっさん。本作ではレーサーとして現役復帰。
その先で出会ったアマゾンに協力する。

野生児でバイクに乗れないアマゾンのコーチ役となる流れは早い段階で決まっていた。
3話ではその"特訓"でアマゾンに海辺を全力ダッシュさせている。
後に専用マシン・ジャングラーを製作。

以前からバゴーと連絡を取っていた高坂と更に情報を共有していた。
アマゾンを紹介された時も「高坂の言っていたあの男か!」と反応している。

今作は3枚目な描写が増えるが、なんだかんだ子供や獣人しかいない仲間たちの中では頼りになる年長者。

5話では逮捕されたアマゾンの身元引受人になって釈放させるという何気に凄い事をしている。

  • モグラ獣人
地底からきた変なヤツ。
当初は敵だったが、アマゾンの優しさに心を打たれ、ゲドンを裏切って平和のために戦う。
最初は怖がられていた岡村姉弟とも打ち解け、互いにぞんざいな応対で会話をする程に仲良くなった。
ゲドンの裏切り者にして情報通であり、アマゾンが苦手な情報収集や偵察をこなしてサポートする。
そして最期に、獣人は士(ひと)となった。

情報通の3枚目という設定は企画書から存在し、更にアマゾンの秘密を教える構想もあった。

【???】

  • 神敬介/仮面ライダーX
前作主人公。現役時代には直接の共闘はなかったが、ストロンガーで初共演を果たす。

メカニック野生で正反対な2人だが、これは企画当初から明確に意図された対比。

『スマート』『流麗』のカイゾーグが受け入れられ難いなら、その対極である『野獣性』『異形』をコンセプトとして誕生したのがアマゾンライダーなのだ。

更に没案の「ドラゴンライダー」は、最初期は芋虫がそのまま人型になったデザイン画で、前作の『X』後半からライダーマンのように登場するバディヒーローとして活躍させる想定だった。

この幻のダブルライダー案は紆余曲折を経てストロンガーの36話で実現し、頼もしいチームとなった。
共に1974年という激動の時代を駆け抜けた仲間である。

「アマゾン」
「ああ…よろしく!」


【自分の過去を思い出せたのか否か】


それが、まさひこ達が言う、母というものであったのだろうか…




0歳児の赤ん坊で飛行機事故にあい、ジャングルで育ったので、"山本大介"だった頃の記憶は無いに等しい。

暖かなベッドで眠り、幼稚園で楽しそうな子供たちを見て、母親に抱かれていた赤ん坊の記憶を断片的に感覚で思い出すかのような場面はある。
しかし、これ以降は過去を思い起こすような描写はされなかった。

言葉を覚え、徐々に日本に馴染んだアマゾン。
しかし、過去の記憶は戻る事なく、最終的には白いスーツに身を包んで自分を育てた南米アマゾンを選んだ。


本編後、アマゾンがどれくらい自分の出自を知る事ができたのか?という疑問に対して
「不滅の仮面ライダースペシャル」や「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」の総集編パートで立花藤兵衛や風見志郎がアマゾンの本名を呼んだ事を論拠にする意見がある。


だが、本編ではこの野生の日本人青年の名前は最後まで「アマゾン」のままであった。
自分を育んでくれた大自然と、トモダチのまさひこがつけてくれた名前こそが、この青年の現在を形作る記憶と思い出なのである。

【余談】

  • 野生児アマゾンを体当たりで熱演したのは岡崎徹。当時は日活の研究生を経て、東映ニューフェイスとなったばかりの新進気鋭。

  • 上半身裸の野人で危険アクションをするため生傷が耐えず「当初は2話か3話かくらいで格好いいスーツを着せてやる」と約束されたが、気がつくと10話近く裸で、後半も上着は増えたが真冬の半袖半ズボンだった。
    • これは裸のターザンスタイル演技をあまりにも熱演しすぎてしまい、毎日放送の映画部長(当時)の庄野至をはじめとして制作側のお偉いさんにも大好評で「いいですね!スーツ着せるのは早すぎですよ!」と続行を熱望され、引くに引けなくなったため。
      • けっきょくスーツ着用の約束が果たされたのは、最終回のラストシーンであった。この件について岡崎氏は打ち上げパーティーで「平山さんに騙されました…」と直接口にしたという。平山Pはめちゃくちゃ罪悪感を持っていた事を後年の著書で明かした。

  • 最終回の白スーツは岡崎氏の私物である。服装に拘りがありながらも最後までターザンスタイルを強いられた氏の、色々な何かが弾けて爆発した瞬間でもあった。
    • この白スーツは『ストロンガー』でのゲスト出演時でも用いられ、近年の氏がファンイベントなどで着る服装でもある。
      • 繰り返した通りスーツを着る野生児というのはリスペクト元のターザンからあるネタで、平山Pは映画『ターザン紐育へ行く』で親友のチンパンジーを助けにスーツでニューヨークに向かうシーンにインスパイアを受けていた。

  • 岡崎氏は76年『非情のライセンス』でのバイク事故で右足を骨折後、俳優を引退し、故郷の長崎で漁師業に精を出しながら暮らしていた。
    • 出演を希望するオファーは何度かあったが、煩わしさから最終的に電話を取らなくなった。さながら文明社会を厭うアマゾンのように。
      • その後、2005年あたりまでは消息不明であったが自著伝『アマゾンから帰った男』を出版し、再び表舞台に姿を現す。さすがにターザンパンツスタイルではないものの、白スーツを着こなす精悍な老紳士の姿は、ファンを大いに喜ばせた。


「本当に追記・修正してしまうの?」

「ああ…俺の故郷はアニヲタWikiだからな」



追記・修正は南米奥地の飛行機事故から生き残り
大自然で逞しく育って腕輪の守護者になってからお願いします。



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最終更新:2025年04月20日 19:50

*1 因みにこの練習用バイクはライダーマンマシンにして神敬介も乗っていた緑タンクのハスラー250。意外と由緒正しい機体…なのだが劇中では最終的に物干し代わりに使われた。

*2 元祖はライダーマンこと結城丈二。ヘルメットの装着により変身。

*3 普段は赤い複眼が黄色く変色した。複数形リメイク作品では、失明で白目になったライダーがいたりする

*4 アジトを知るためにわざと冷凍にされたと説明しているので、何かしらの仮死機能なのかもしれない

*5 新サイクロン号も本郷や滝との共同制作なので、単独で作り上げたのはこれが唯一。バゴーの設計や高坂の協力のお陰でもあるが

*6 要するに1号の変身ポーズの出だし。この時代の歴代ライダーも何かしらのアクションでこのポーズを取っている

*7 昨今の定義や言葉遊びでいう所の最終回限定フォームと指摘する向きもある。

*8 一度だけガチャ紹介で「ギギガガ同時装着状態」という名称が使われた