ア・バオア・クゥー

登録日:2011/12/31 Sat 14:30:49
更新日:2025/04/12 Sat 18:40:27
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ここで一つなぞなぞだ
いつもひとりで眠ってる
だれかがいるとついてくる
姿は見えず、全てを見てる
いつまでも完成しないものなーんだ?




A Bao A Que

インド出身と言われる怪物
「勝利の塔」というジャイナ教の建物に、時のはじまりより巣食うと伝えられている
(ちなみに「ジャイナ」の語源はサンスクリット語で“勝利、征服者”を意味する)

その姿は透明で誰にも見えず、桃の皮のような感触だが正確な形を知るものはいない
また全身に視覚があり、人間の影に敏感でもある


普段はこの塔の螺旋階段の最初の段で微睡んでいるが、塔にだれかが訪れると目を覚まし、その影に憑りつく
来訪者が塔の階段を一段上るたび、その形は完全なものになっていき、透明なその体は青みがかった光を放ち着色されていく

しかし“それ”が究極の姿になるのは塔の頂上においてのみであり、一方でそこへたどり着いた者は涅槃(一切の煩悩を断ち切った、仏教・ジャイナ教における理想の境地)に達した人間となって影を落とさなくなる
すると“それ”は拠り所を失い、最上段の一段手前で、あたかも麻痺したようにたじろぎはじめ、その色、形、輝きを失い始める
そのように完全な姿に到達することができなくなると、“それ”は苦痛に苛まれ、絹の擦れる音のような、ほとんど聞こえない悲鳴を上げる

そして来訪者が頂上から帰ろうとするや否や、最下層まで転がり落ち、再び透明な、形のない姿で倒れ伏し、つぎに塔を登る者を待ち続ける……



初出は『千夜一夜物語』英訳版の注
伝承そのものについて深く踏み込んでおらず、そのため詳しいことは不明
生息域である勝利の塔も、インドのラジャスターン州のそれや中国にある空想の建物など、正確なところはわかっていない。原典によれば少なくともチトールという土地にあるということだけは確かだが


ちなみに一度だけ最上階に上がったことがあるらしい。しかしそれでも正体は謎




日本でもアメリカ伝承のイシトクやウェンディゴと並び、何故か名前だけ妙に有名。
名前の特異な響きに加えて、「永遠に完成しない」という運命が創作で扱いやすいのか、たびたび使われるために記憶に残りやすいのがその理由といったところか。

もっとも、この名をメジャーにしたのは『機動戦士ガンダム』における敵組織、ジオン軍の最後の砦たる宇宙要塞「ア・バオア・クー」であろう。

ちなみに、ゲームワイルドアームズシリーズ』でもアバオアクゥというモンスターが登場する。
こちらは恐竜のようなモンスターだが、上から見ると背中の形がガンダムのア・バオア・クーそっくりになっている。




追記・修正は塔の頂点でどうぞ

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最終更新:2025年04月12日 18:40