光なき影 ア=バオ・ア・クゥー(遊戯王OCG)

登録日:2024/11/02 Sat 22:13:31
更新日:2025/01/21 Tue 10:52:34
所要時間:約 4 分で読めます





《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》は遊戯王OCGに存在するカードの1つ。


【性能】

リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
 
リンク4/闇属性/悪魔族/攻2800
【リンクマーカー:左/右/左下/右下】
悪魔族モンスターを含むモンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに、手札を1枚捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールドのカード1枚を破壊する。
●このカードをエンドフェイズまで除外し、自分の墓地から・闇属性モンスター1体を特殊召喚する。
(2):自分スタンバイフェイズに発動できる。
自分の墓地のモンスターの種族の種類の数だけ自分はドローする。
その後、ドローした数だけ自分の手札を選んで好きな順番でデッキの下に戻す。


【概要】

「SUPREME DARKNESS」で登場した新しいリンクモンスター。
イラストはゴスロリ風のドレスを着た少女が描かれているが、よく目を凝らして見てみると……。
リンク4と高めかつ悪魔族モンスターを含める必要があるが「トロイメア」リンクモンスターや《閉ザサレシ天ノ月》などの条件の緩い悪魔族を経由すればどんなデッキでも出すことが出来る。
無論悪魔族が主体の【イビルツイン】や【デモンスミス】、【暗黒界】等では問題なくリンク召喚できる。

そんな彼女の能力は、手札1枚を捨てるというコストはあるもののなんとフリーチェーンの破壊もしくはリアニメイト
敵ターンでも自由に破壊できるというのは《D-HERO デストロイフェニックスガイ》や《十二獣ドランシア》が環境で大暴れした過去が示す通り非常に強力。
単に敵の強力モンスターの除去を狙うだけでなく、相手の永続・フィールド魔法カードを発動時にチェーンして破壊し効果を無効化したり様々な使い出のある効果であり、その有効性、汎用性は今更説明するまでも無いだろう。
しかも対象を取らない破壊であるため、《双穹の騎士アストラム》などの「対象に取られない」効果を持つカードに対しても強いのは評価点。
余り狙う機会は無いかもしれないが、自分のカードや自身を破壊することもできる。

もう1つの効果が光・闇属性モンスター1体の墓地からの特殊召喚。
これは自分ターンでは展開の要に使えるだけでなく、敵ターンにも行えるのがかなり強力である。
先攻で《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》を含めた大量展開をし制圧盤面を敷いた後に、相手ターンに《昇霊術師 ジョウゲン》や《閃光の結界像》《深淵の結界像》アーティファクト-デスサイズ》などを出して妨害をするという使い方も可能。
これらは自分ターンでも邪魔をする事があるが、その場合はもう1つの効果で破壊しちゃうのも手ではある。
またそれらの属性であれば《墓穴の指名者》の回避に使うことも可能である。
更にこれ最初に手札から捨てるコストを払う都合上。手札から捨てた光・闇属性モンスターをそのまま蘇生することも出来る。
この手の効果にありがちな、効果や攻撃ができなくなるとかそういったデメリットも一切ない、やれることの多い強力な効果と言えるだろう。
ただしこの効果を使う場合《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》はエンドフェイズまで除外されるが、これはどちらかというとメリットと言える。詳しくは後述。
ちなみに意味はほぼないが墓地に落ちたもう1枚の《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》も蘇生出来る。

そして今まで説明した効果は全て(1)の効果であり、彼女は(2)の効果で手札交換手段まで持っているのだ。
それが「自分スタンバイフェイズに発動できる。自分の墓地のモンスターの種族の種類の数だけ自分はドローする。ドローした数だけ自分の手札を選んで好きな順番でデッキの下に戻す。」という読んだだけでやばい効果である。
現代遊戯王のデッキで種族が1種類だけというのは本当に稀であり、まず《光なき影 ア=バオ・ア・クゥー》をリンク召喚する際にすでに悪魔族はほぼ確実に墓地におり、更に手札誘発の皆さんの種族もバラけている為、普通にやってたら2、3枚くらいは楽に手札交換ができる。
ドローした枚数分カードをデッキに戻す必要があるが、必要なカードを引ける可能性を考えれば些細な問題と言えるだろう。

だがこの(2)の効果の発動タイミングは自分スタンバイフェイズ。これを通すなら相手ターンにこのカードを守る必要があるが、(1)のリアニメイト効果でエンドフェイズまで除外すれば生存率は飛躍的に上昇する。
彼女の除外がデメリットではないと言った理由がこれである。
またこのような強力な効果を持っているために相手にも狙われやすいが、むしろこのモンスターを囮にして本命を通すという使い方をしても問題はない。

勿論このカードにも弱点がある。
まずは強力な(1)の効果は1ターンのうちにどちらかしか使えないということ。
状況により使い分けられるとも言えるが、双方とも強力な効果なために打ちどころはできるだけ考えたい。
もう1つが双方の効果で手札を要求されること。
手札が満足…もとい0枚の状態では(1)は使えず、(2)の効果もドローフェイズで1枚は引けたとしても効果で大量ドローしても1枚しか残すことが出来ない。
なんとか手札を温存し、相手に致命的な一撃を与えたいところである。
また悪魔族モンスターが主体でないデッキで彼女を出す場合は他の悪魔族リンクモンスターが必要なためEXデッキを圧迫するという弱点もある。
果たしてデュエリストは突如現れた影に対応できるのか、腕前が問われる一枚と言えるだろう。

そうそう発生しない状況ではあるが、墓地のモンスターの種族を統一するアンデットワールド》《輪廻独断》《不死武士の悼み》の効果が適用されている場合、(2)の効果で1枚しか手札交換できなくなる。


【余談】

タクティカルトライデッキ「怪盗コンビEvil★Twin」とのシナジーが考慮されたモンスターと思われる。
悪魔族縛りをクリアしてエースの《Evil★Twin's トラブル・サニー》と同じルートで出すことができ、あちらを先にリンク召喚して効果を使うなどして墓地へ落としてから出せば蘇生先となり、次のターンにはこのカードと並ぶことも可能。
(2)もカテゴリ内だけで最低でもサイバース族と悪魔族はほぼ確定、水族やアンデット族の追加も狙える。
とはいえ汎用性が広く取られたデザインであり、悪魔族や光、闇属性デッキを主体にしなくても十分に使えるカードと言える。

同じ悪魔族リンクモンスターである《閉ザサレシ世界ノ冥神》とは同じ世界観に属している可能性がある。
どちらも左肩の上に何かを伴ったドレス姿の少女で、配色も属性も対照的である。
しかしそれ以上に、このカードは綺麗にあちらに負けるようにできているのだ。
破壊効果の対象を取らないというメリットがちょうどデメリットとなって破壊できず、蘇生効果も無効化され、殴り合いでもギリギリ負ける。
あちらが冥界の神の立場だとしたら、こちらはそれに退治される魔物なのだろうか?
「光なき影」という二つ名は、日食という「光があってこその影」に対抗してのものなのかもしれない。


【名前に関する余談】

彼女の名前で某宇宙要塞を連想するプレイヤーは多かったが、元ネタはインドのマレー人の伝承に伝わる幻獣「ア・バオア・クゥー」。
「勝利の塔」という建造物に棲みつく不可視の怪物であり、塔を登る人間の影に取り憑いて塔の頂上へ登ろうとするが、頂上まであと一歩のところで影は消えてしまうため怪物が頂上に到達できたことは終ぞないとされている。

除外してモンスターを特殊召喚するのは幻獣がそのモンスターに取り憑いている事を表しているということなのだろう。
ということは「ア=バオ・ア・クゥー」というのはイラストに書かれている少女ではなく、その後ろに写っている半透明の悪魔のようである。
なので「ア=バオ・ア・クゥーちゃん可愛い!結婚しよ!」なんて言った際には少女ではなく怪物の方に求婚したことになるのだ。

だが本当に怪物を愛した人間に対しては、悪魔は姿を表し全力を尽くしてくれるかもしれない。
なぜならア=バオ・ア・クゥーは怪物と共に上を目指す物語なのだから。

因みに、原典がかなりマイナーかつガンダムの方があまりに有名だった事から、このカードの情報が公開された際にX(旧Twitter)では「ア・バオア・クー(「ア=バオ・ア・クゥー」ではない)」がトレンド入りした。
勿論原因は宇宙要塞ア・バオア・クーを連想する者が多数現れたためで、更に「(宇宙要塞)ア・バオア・クー」に関する呟きが突然増加した事を驚く者も現れ、更に「ア・バオア・クー」が造語ではなく悪魔の名前である事を初めて知って驚いた者も続々と現れたためである。









追記修正は、このカードの(2)の効果で26枚ドローした方がお願いします。


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最終更新:2025年01月21日 10:52