クラエス(GUNSLINGER GIRL)

登録日:2012/07/06(金) 23:55:38
更新日:2025/04/13 Sun 20:50:11
所要時間:約 7 分で読めます




「でしたら…それまでの間、私が貴方の脚になります」


クラエスとは漫画「GUNSLINGER GIRL」の登場人物の1人。
CV:小清水亜美(アニメ1期)
水野理紗(アニメ2期)


社会福祉公社作戦二課の主要戦力である義体(サイボーグ)1期生の1人。といっても彼女は実戦に参加することは無く技術部の義体部品の開発の為の試験体という特殊な立ち位置にある。
その為、技術部の面々とは面識が他の義体より多く、二課所属というより技術部所属の義体といった方が正しいのかもしれない。
アンジェリカと同じ黒のロングヘアーと眼鏡が特徴。
担当官はある理由によりいないが一応はリーダーであるジャンが担当官代理として時折彼女の面倒を見ているようである。


義体の中ではトリエラと同じく精神年齢が比較的高めである。淡白で孤独を愛する性格故に1人でいるのを好むがなんだかんだで人付き合いは良い方。
条件付けの強さに関しては言及されている描写が無い為詳しくは不明だが、過去のエピソードや物静かな言動などから考えるとそれなりのレベルで施されていると予想される。
外見年齢も比較的高めで、それなりの化粧や服装をすればペトルーシュカと同じ様にハイティーンに変装することも可能。


読書が趣味で暇なと時には本を読んでいることが多い。実戦に参加してないので時間を持て余すことが多く、開発実験が無い時には菜園でハーブを育てたりピアノを弾いたりと義体の中でも飛び抜けて多趣味である。
そうした経緯からか知識量も豊富で文学、オペラ、神話などについても詳しくヘンリエッタやトリエラとの会話でそのことがうかがえる。


自分が義体であるということにはそれ程悲観的な考えを持っておらず寧ろ客観的で、自分には実験と趣味の繰り返す日常しかないと語っている。
部屋はトリエラと相部屋で彼女との交流も多く、ヘンリエッタとリコがそうであるように、義体としての在り方に時折悩みを見せるトリエラとは対照的な存在であると言える。


原作7巻の様子を見る辺り実戦参加に耐えうる能力は既に持ち合わせていないようである。が、アニメ1期11話では五共和国派の人質になった際にそこから脱するのに戦闘を行う描写がある。
過去には実戦にも参加していた描写があり、その時には自動拳銃のH&K VP70やサブマシンガンのH&K MP5Kなどを使用している。


義体化以前の過去についてはフレッダ・クラエス・ヨハンソン(Freda Claes Johansson)という名前の読書が好きな少女であったことくらいしか語られていないため、何故に義体となったかは不明である。


以下、ネタバレ



















義体化当初は今のような実験体ではなく他の義体と同じで戦闘用の義体であり担当官も存在していた。
彼女の担当官は元軍警察のクラウディオ・ラバロという中年の男性で脚の故障により軍警察を辞めさせられており、公社で3年働いたら軍警察復帰の根回しをするという約束の下、担当官となった。

そういった経緯からラバロは担当官という立場を軍警察復帰の手段程度にしか考えておらずクラエスにも突き放した態度を取っていた。
が、射撃訓練の際に「上達するまで帰ってくるな」と命じ、翌日まで雨の降る中本当にずっと訓練をしていたクラエスの姿を目の当たりにして彼女に対する態度を改めるようになる。
これに関しては義体となった少女が身体に慣れるまでに踏むサクセスを全てすっ飛ばしていきなり射撃訓練を行ってしまった事、担当官として先輩に当たるジャンがそれに関して一切アドバイスしていなかったのもある。
(本来、義体は身体に慣れる為に楽器演奏や座学による板書などを行うのだが、それらを完全にすっぽかしてしまっていた)

その後はジャンのアドバイスもありクラエスを自室に招いて自分の所持する本を与えたり、一緒に湖に出かけて釣りをするなどといったコミュニケーションを繰り返すようになる。
ラバロはクラエスに対し「軍警察への復帰が第一目的でお前には興味が無い」と語る一方、ロンバルディア、ヴェネト、ピエモンテといった様々な湖へと足を運ぶ内に次第に彼女に対する情が芽生えていく。
クラエスの方もそうやってラバロと接していく中で彼に対する信頼を深めていき、公社では大人しい担当官と教え子を演じる一方で湖に出かける時には仲の良い親と娘のように振る舞うようになる。
そしてVP70という旧式かつ癖の強い銃を使いこなせるようになったクラエスに、特注品であるGISのキャップをプレゼントする程に態度は軟化していった。

ある日、射撃訓練の際にヘンリエッタの使用していた拳銃がジャムを起こし、事態を飲み込めなかった彼女がジャムを起こしたままの拳銃の銃口を自分に向けるという危険行為を犯してしまう*1
そのことに激昂したラバロとそれを止めようとしたジョゼとの間で口論が発生、ジョゼをも殴打し掴みかかったラバロの姿を見たヘンリエッタが暴走を起こし、更にそれを止めようとしたクラエスも発砲するという事件が起こる。
この一件からジャンはヘンリエッタとクラエスの条件付けの書き換えを決定するも、義体の寿命を縮める行為を平然と行うジャンの姿に疑問を抱くようになる。
そして公社の実態を知り合いのマスコミにリークしようとし、その直前にクラエスと会い自分の部屋の鍵を与えて部屋の本を自由に読む許可を与える。
更にもう一つ、クラエスが義体化以前に使用していた眼鏡をレンズを変えた状態で渡し、「この眼鏡をかけている間はおとなしいクラエスでいてほしい」
という、義体の条件付けで簡単に書き換えられる命令とは違う血の通った約束をした。


そして数日後クラエスに対し、ジャンの口からラバロが偶 然 に も 轢 き 逃 げ に 遭 っ て 死 亡 し たという事実が伝えられる。
担当官が死亡したというショックからクラエスは精神に異常をきたし、通常の義体としては使い物にならなくなってしまう。
また、一度条件付けによって定められた担当官を変更するのも不可能であった。

そして義体の技術開発担当医師から「担当官の変更はできないが、条件付けの書き換えで担当官の記憶を消し、今まで義体全員で分配していた技術開発実験をクラエスに全て担ってもらう」という提案が持ちかけられてその案が採用され、現在に至る。


条件付けの影響でラバロのことは忘れてしまっているが、読書や家庭菜園などで無為に時を過ごすことに喜びを感じたりすることを「遠い昔、誰かに教えてもらったような気がする」とぼんやりとではあるが記憶している他、自分の使用している眼鏡に理由のわからない思い入れを持っている。
事実、シャワーを浴びている時に眼鏡を外し、その間にペトルーシュカに無断で眼鏡を触られた際には普段の彼女からは想像もつかない程に激昂しペトラから眼鏡を奪い取っている。

これはラバロとの約束である「眼鏡をかけている間はおとなしいクラエスでいてほしい」という血の通った約束が彼女の中に強く残っていることも影響している。
原作7巻で戦闘を拒んでいる様子や、アニメ第1期12話で戦闘を行う前に眼鏡を外している描写もこの約束によるものである。
7巻での一件では公社からの命令に逆らえず、ペトラとペアを組んでいた為見かねた彼女からの「クラエスの代わりに撃つ」という約束の下で行動する。
…が、ペトラが目を離している隙に標的にペトラに渡された銃を持っている事がバレてしまい、一度は銃を突きつけたが引き金は引くことは出来なかった。


また、ラバロとよく湖に出かけていたことから湖を見ると理由もわからずに落ち込んでしまうという影響も出ている。
趣味の一つとして絵を描いたりもしているのだが、その際に描かれる風景画も全て湖である。
ただしラバロと湖に出かけていた事は忘れている為「湖には行ったことはない」と発言している。

原作4巻18話では全編に渡って彼女の日常が描写されており、それを元にしたアニメ2期8話とエンディングテーマの「Scarborough Fair」は黒歴史とされている2期の中で唯一評価の高いエピソードとなっている。


以下、更なるネタバレ



















15巻において社会福祉公社の存在を闇に葬るためにイタリア内相が独自に動かした陸軍部隊と対峙。
その時、戦闘可能なフラッテッロを含めた一課・二課員は全て原発戦に出払っており、居残っていたのは研究職を始めとした非戦闘員と彼女のみだった。
自分の庭とささやかな生活を守るためにただ一人で奮闘するも、敵軍指令が嘗ての担当官であるラバロ大尉の名前を出した瞬間、いつものように理由が分からぬまま泣き崩れる。
それがきっかけとなって両軍の戦闘意欲が削がれ、結果的にクラエスは一滴の血も流さずに残った公社職員を救うことに成功した。


公社本部が研究部門を残し事実上解体され洋上へと移動した後も今迄通りの生活を送り続け、義体1期生最後の生き残りとした余生を過ごした。
そして船から海を眺めるジャンを見て、遠い日に似たような光景を見たかも知れない事を彼に告げた所で、物語の本編は幕を閉じた。
「戦闘経験が大幅に減少したため、大規模な治療目的の投薬が殆どなくなった事で結果的に寿命が伸びたのでは?」という説が有力である。



  • 作中での主なセリフ

「いいんじゃない? 『若者よ 若い内に愉しめ』よ」

「幸せなおちびちゃん? 私がサミシイかどうかは私が決めるの」

「彼は自分とロール夫人をモデルに恋愛話を書いたんだけど、その小説のヒロインはヘンリエッタって言うの…」

「ジャンさん…泣きたくても涙が出ない――そんな事あります?」

「やめて下さい。中途半端な優しさが、私を一層虚しくさせるんです」

「私には日々の暮らししかないから…本を読み検査に行って、畑に水をやるだけの」

「トリエラには無理だよ。あなたは色々なものを持っているから」

「そうね…種を蒔いて冬を越して繰り返す流れに自分も加わる…生産的で、心が満たされる」

「『長生きし……喜び満ちたる時も、やがて暗き日々が多く来ること忘るるなかれ。若者よ若い内に愉しむべし。心にかなう道を心の赴くまま進め。人よ知れ。神はそれらすべても裁きの座に連れ行かん』」

「聞け兵士たち! この中には一歩たりとも踏み入らせないぞ!」









いいんじゃない? 『wiki篭もりよ 若い内に追記・修正を愉しめ』よ。

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最終更新:2025年04月13日 20:50

*1 何らかの拍子で詰まったままの弾が発射されてしまう恐れがあり、非常に危険な行為である。後述の口論に発展した原因も「ジャムった時はまかり間違っても銃口を覗き込まないという銃を扱う上で基本的な事を教えないまま、実弾を使った射撃訓練に臨ませたジョゼの教練不足」とラバロが判断したためであり、銃を取り上げるならまだしも、問答無用でヘンリエッタを殴ったラバロの対応にも問題はあったが、ジョゼの訓練方針にも問題がある事案であった