胸のあたりから鋭い痛みと熱が走る。原初の魔法使い―――ノルザンツという名のダークエルフ―――は首を動かし胸部に矢が刺さっているのを目視する。それもただの矢ではない。魔力が込められている。そしてその魔力には覚えがあった。ノルザンツが敬愛してやまない人物の物だった。胸部に刺さった矢から方角を逆算し矢を放ったであろう人物がいる方向へ目を向ける。そこにはいまだにノルザンツが敬愛の情を向ける人物―――アヴェントゥラという名の女帝―――が弓を構えた状態で立っていた。それを見てノルザンツは静かに笑う。
「……やはり、貴方様も来ていましたか……。僕の予想通りです」
「……私の役目だ。アンタを止めるのは私であるべきだって……アンタが暴走したって聞いた時からずっとそう決めていた」
そう言いながらアヴェントゥラは弓に矢をつがえる。暴走を続けるノルザンツを今度こそ仕留めるために。それを見てノルザンツはさらに笑みを深める。そんなノルザンツの様子にアヴェントゥラは不可解だと言わんばかりの表情を浮かべる。
「何で笑ってるの? アンタはこれから死ぬんだぞ? 私が……殺すんだぞ?」
唇を震わせながら問いかけるアヴェントゥラにノルザンツは笑いながら答える。
「貴方様に殺されるのであれば本望だ」
なんて事のないような調子で答えられアヴェントゥラはその表情を悲しげに歪ませる。こんな結末しかなかったのかと叫びたかった。同時に原初の悪魔と同じくらいに目の前のダークエルフを恨みたくなり悲しくもなった。このバカが暴走したと聞いた時に真っ先に駆け付けていればこんなことにはならなかったのではないかと後悔が胸中に広がる。
「……私を恨んでいいわ。私もアンタを恨むから。一生……許してなんかやらないから」
恨み節をぶつけるアヴェントゥラにノルザンツは笑いながら言葉を紡ぐ。最期の言葉を。
「……恨みませんよ。僕は貴方様を恨めません。ああ、でも……」
アヴェントゥラは弓を構え頭部に狙いを定める。確実に仕留めるために。
「……ずっと貴方様の力になりたかった。そして貴方様の傍で仕えたかった……もう、二度と叶うことはありませんが」
ノルザンツが最後の言葉を吐き出す。同時にアヴェントゥラは矢を放ち狙い通りに頭部へ放たれ突き刺さった。そしてノルザンツ――――――原初の魔法使いと呼ばれたダークエルフは勢いよく倒れ伏した。満足げな笑みを浮かべたまま。
「……笑いながら殺されてんじゃないよバカ」
頭部と胸部に矢が突き刺さり横たわるダークエルフの死体を見下ろしながらアヴェントゥラの口から言葉が零れる。
「アンタはもう私の力になれてたよ」
「……やはり、貴方様も来ていましたか……。僕の予想通りです」
「……私の役目だ。アンタを止めるのは私であるべきだって……アンタが暴走したって聞いた時からずっとそう決めていた」
そう言いながらアヴェントゥラは弓に矢をつがえる。暴走を続けるノルザンツを今度こそ仕留めるために。それを見てノルザンツはさらに笑みを深める。そんなノルザンツの様子にアヴェントゥラは不可解だと言わんばかりの表情を浮かべる。
「何で笑ってるの? アンタはこれから死ぬんだぞ? 私が……殺すんだぞ?」
唇を震わせながら問いかけるアヴェントゥラにノルザンツは笑いながら答える。
「貴方様に殺されるのであれば本望だ」
なんて事のないような調子で答えられアヴェントゥラはその表情を悲しげに歪ませる。こんな結末しかなかったのかと叫びたかった。同時に原初の悪魔と同じくらいに目の前のダークエルフを恨みたくなり悲しくもなった。このバカが暴走したと聞いた時に真っ先に駆け付けていればこんなことにはならなかったのではないかと後悔が胸中に広がる。
「……私を恨んでいいわ。私もアンタを恨むから。一生……許してなんかやらないから」
恨み節をぶつけるアヴェントゥラにノルザンツは笑いながら言葉を紡ぐ。最期の言葉を。
「……恨みませんよ。僕は貴方様を恨めません。ああ、でも……」
アヴェントゥラは弓を構え頭部に狙いを定める。確実に仕留めるために。
「……ずっと貴方様の力になりたかった。そして貴方様の傍で仕えたかった……もう、二度と叶うことはありませんが」
ノルザンツが最後の言葉を吐き出す。同時にアヴェントゥラは矢を放ち狙い通りに頭部へ放たれ突き刺さった。そしてノルザンツ――――――原初の魔法使いと呼ばれたダークエルフは勢いよく倒れ伏した。満足げな笑みを浮かべたまま。
「……笑いながら殺されてんじゃないよバカ」
頭部と胸部に矢が突き刺さり横たわるダークエルフの死体を見下ろしながらアヴェントゥラの口から言葉が零れる。
「アンタはもう私の力になれてたよ」