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Polysynthでベースを作る方法 (Squareベース)

このページではPolysynthでSquareベースを作る手順を紹介します。


Squareベースの作成手順

Polysynthの起動
まずモジュレーターを削除し、 オシレーター1の Pitchを「16'」、Shapeを「-100%」、オシレーター2のPitchを「32'」にします。
  • Shapeを0%から-100%にすることで、Saw波からSquare波となります
  • Pitchの単位は倍音の分母で、8'は 1/8倍音 が基準のオクターブとなっています
    • 1' (+3オクターブ)
    • 2' (+2オクターブ)
    • 4' (+1オクターブ)
    • 8' (基準)
    • 16' (-1オクターブ)
    • 32' (-2オクターブ)
    • つまり上記設定は、オシレーター1が1オクターブ下、オシレーター2が2オクターブ下となります
モノラル・Trueモード
インスペクタからPolysynthの動作モードを設定します。
  • ボイスを「Mono」に変更
  • デジタルから「トゥルーモード」に変更
ADSRの調整
アンプエンベロープのトランジェント Sustain / Release を調整します
  • S: 12%
  • R: 12%
ローパスフィルターの調整
ローパスフィルターを 2-pole (12dB/oct) から 4-pole (24dB/oct)に変更します。

"2-pole" から "4-pole" への変化をスペクトラム (EQ+) で確認すると以下のとおりです。
Low-pass
2-pole
(12dB/oct)
Low-pass
4-pole
(24dB/oct)
次にFilter Requencyの値を「150Hz」あたりまで減らします。

これによりだいぶスッキリした音になりました。
フィルターエンベロープの調整
ですが少しスッキリしすぎなので、Filter Envelope Depthを「50 st」に上げて少しHighを戻し、Resonanceが高いの「12%」まで減らします。


これで音の雰囲気としては良くなりましたが、ペース音が間延びしているので、Filter Envelopeの DecayとSustaion を調整して歯切れを良くします。また、固い音となっているので AttackとReleaseと少し柔らかくします。
  • A: 10%
  • D: 50%
  • S: 20%
  • R: 10%
Filter Envelopeはこの 1:5:2:1 くらいが良い感じとなります。
フィルターエンベロープのさらなる調整
フィルターエンベロープのカーブには傾きを調整する機能があり、この部分をドラッグ操作で上下するとフィルターが適用される速度を調整できます。

カーブを下向きにするとタイトな音になり、上向きにすると間延びした音になります。
タイト 間延び
カーブの傾きとFilter Envelopeの Decay を組み合わせると、異なるニュアンスになるので作りたい音に合わせて使い分けしても良いと思います。
  組み合わせ1 組み合わせ2
カーブ 下向き (カーブが急になる) 上向き (カーブがなだらかになる)
Decay 60%に増やす 40%に減らす
画像
音の印象 フィルターのかかり具合が速くなるため、
キレが出て丸みのある音になる
フィルターのかかり具合が遅くなるので、
ゴリッとした音になる
Driveを加える
音に力強さを与えるために "Drive" を +6.0dBします。

そしてDriveによって上がった dB値を、"Voice gain" の値を -6.0dB に減らすことでサチュレーション適用前にゲインマッチします。
Unisonで音の厚みを増す
OscAの Unison を増やして音の厚みを増すことができます。

このとき、Unison Spreadの値を "9 cents" などわずかにピッチをずらすと音に広がりが生まれます。
ただベースでの Unison は低域に音が集まるため、楽曲に合わせて調整が必要となります。
Noiseでアタック感を強める
ノイズを加えることで音のアタック感を強調できます。

しかしそのまま加えるだけだと音が濁ってしまいます。

そこで、ModulatorsADSRで音の始まりのわずかな時間に加えるのが良いです。
  1. ModulatorsADSRを追加
  2. ADSRは、Dを "40%" にしてそれ以外は 0%にします
  3. また ベースはモノラルなので、"Polyモードは無効" にします
  4. そしてルーティングで "Noise" を「30〜40%」割り当てます
ノイズはほとんど聞こえませんが、これによってベース音を前に押し出す力が生まれています。
EQ+で音を調整
EQ+をFXスロットに追加して音域を整えます。

まずは「超低域」のカットです。
低域をクリックして Band を追加し、右クリックして "Low-cut 4P" にします。

おおよそ 30~50Hzあたりをメドに配置しますがここでは「35Hz」としました。

中低域は 300Hzあたりを -2.0dBほどカットします。

さらにQを "2.0" に上げてあまり広い範囲を削らないようにします。

また低域での存在感を強めるため、90Hzあたりに Bandを追加して、+2.0dB持ち上げます。

今回のベースではノイズを足しているため、それを消すために "High-cut 2P" で 6kHzあたりからハイカットします。

最後に 2kHzあたりにバンドを追加して、+1.5dBして EQ は完成です。
周波数 Band Type dB 目的 説明
35 Hz Low-cut 4P 0 dB カット 超低域をカット
90 Hz - +2.0 dB ブースト 低域での存在感を上げる
300 Hz - -2.0 dB カット 中低域の不要なブーミー音をカット
2k Hz - +1.5 dB ブースト 高域の存在感を上げる
6k Hz High-cut 2P 0 dB カット ノイズと超高域をカット
Compressorで音にパンチを与える
今回は「元の音をあまり変えずに安定感を上げる」といった目的でベースにコンプをかけるため、以下のパラメータとなりました。
1. Attackを最大にする
Attackを最大にすることで、アタック感(弦を弾いた瞬間の立ち上がり)を損なわず、ベースの存在感や輪郭を保ちます。
  • アタックタイムを長く(最大に)設定すると、コンプレッサーが音の立ち上がり部分にはすぐに反応せず、アタック成分がそのまま残ります
  • これにより、ベースのピッキングやスラップの力強さを維持できます
2. Releaseを最小にする
音のキレを良くし、余計な伸びや間延びを防ぎます。
  • リリースタイムを短く(最小に)設定すると、コンプレッサーがすぐに圧縮を解除し、音がすばやく元の状態に戻ります
  • これにより、ノートごとの粒立ちや歯切れの良さが強調され、タイトなベースサウンドになります
3. Thresholdを下げる(リダクション値を-2.0〜-1.0dB程度に)
ごく軽くコンプレッションをかけ、自然なダイナミクスを保ちつつ音量のバラつきを抑えます。
  • スレッショルドを徐々に下げていき、コンプレッサーが作動し始めるポイントを探ります
  • ただし、リダクション(音量をどれだけ下げているか)は-2.0〜-1.0dB程度に抑え、過度な圧縮による音のつぶれや不自然さを避けます
  • これにより、演奏のニュアンスや表現力を残したまま、音量の安定感を得ることができます

リバーブを加える
Reverbデバイスを追加して、プリセットから "Room Two" を選んで完成です。
作成したプリセット
今回作成したプリセットを添付しておきます。
SquareBass 1.bwpreset

参考

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最終更新:2025年04月29日 16:24