Compressor+

Compressor+ (コンプレッサープラス)


Compressor+(コンプレッサープラス)は、Bitwig Studio 5.2で登場した多機能・多用途の次世代型のDynamicsデバイスです。


概要

Compressor+は、4バンド解析・6種のキャラクター・VCAカラー・多様な圧縮モード・詳細なパラメータを備えた、Bitwig Studioのフラッグシップ・コンプレッサーです。
色付けから透明感重視、マスタリングからサウンドデザインまで、あらゆる用途に対応できる現代的なダイナミクスツールです。
主な特徴
オールインワン設計
  • 1台で幅広い用途(トラック、バス、マスタリング、サウンドデザイン)に対応できるよう設計されています
4バンド解析による柔軟なコントロール
  • 入力信号を4つの周波数帯に分けて解析し、各バンドごとに圧縮の強さ(Intensity)やタイミング(Timing)を個別に調整可能(ただし実際の処理は単一バンド)
  • これにより、特定の帯域だけ圧縮を強めたり、緩めたりすることができ、繊細なダイナミクス調整が可能です
6種類のキャラクターモード
  • 「Smooth」「Glue」「Smash」など、6つの異なる圧縮スタイル(キャラクター)を選択可能
  • 用途や好みに応じてサウンドの質感や挙動を切り替えられます
VCAカラーとアナログ風サチュレーション
  • 4種類のVCAカラーモードで、圧縮時のサチュレーションや倍音付加の質感を選択でき、アナログ機材風の色付けも可能です
3つのゲインリダクションモード
  • 「Standard(標準)」「Beyond(アップワード/ダウンワード圧縮)」「Dual(両方)」の3モードを搭載し、従来のコンプ以上のダイナミクス制御が可能です
オートタイミング&詳細パラメータ
  • Auto Timing機能で、選択したキャラクターに応じてアタック・リリースなどのタイミングを自動最適化
  • Knee(Lift)、Relax、Wet/Dryミックス、ステレオ独立性など、現代的なミックスやサウンドデザインに役立つパラメータも充実しています
ビジュアルな操作性
  • 各バンドの圧縮状態やゲインリダクションがカラフルなディスプレイで視覚的に確認でき、直感的な調整が可能です

マルチバンド処理の調整を行う方法

マルチバンド処理の編集を行う場合は、左下のデバイスビューのアイコンをクリックすると、各バンドごとの表示が行われます。
ここで指定可能なのはコンプがかかる入力値の判定のみで、帯域ごとの個別の圧縮設定はできません

Factoryプリセットまとめ

マスタリング用途
  • 「Focused Mastering」「Solid State Glue」「Tight Master」「Hip Hop Heavy Master」など
キャラクター変化・サウンドデザイン
  • 「Disto Glue」「Distorted Harmonics」「Synth Smasher」「Over Transistor」など
楽器別
  • ベース系:「Bass Compressor」「Bass Guitar Multicomp」など
  • ドラム系:「Drum Smasher」「Drum Tightener」「Kick Body」など
  • ボーカル系:「Solid Vocal Leveller」「Vocal Smoother and De-Esser」
  • ギター系:「Acoustic Guitar Comp」「Guitar Compressor」
  • ハイハット系:「Hi-Hat Fattener」「Hi-Hat Vanilla」
  • シンセ・鍵盤系:「Keys Crusher Comp」「Synth Smasher」)など
汎用・スタートポイント
  • 「Basic Hard Knee Compression」「Basic Soft Knee Compression」「Beat Resist Comp」

1. マスタリング・バス用途

プリセット名 機能・特徴 対象楽器・用途
Focused Mastering 透明感を保ちつつミックスをクリーンに整える。EQや色付け前のファーストステージに最適。 マスターバス、全体ミックス
Solid State Glue 有名なバスコンプレッサー系のグルー効果。ミックス全体やベース、パッドにも有効。 マスターバス、ベース、パッド
Tight Master パンピングを抑えつつミックスをタイトにまとめる。パンチと滑らかさを両立。 マスターバス、全体ミックス
Hip Hop Heavy Master 低域重視でインパクトのあるマスタリング。メイクアップゲインが高めなのでMixコントロール推奨。 ヒップホップ、ビート全体

2. 楽器別・トラック別

プリセット名 機能・特徴 対象楽器・用途
Acoustic Guitar Comp アコースティックギター向け。シンセや他のサウンドにも応用可能。 アコギ、シンセ
Analogue Compressor キャラクターと色付けを加えるアナログ風コンプ。ボーカル、ベース、ギター、ミックス全体に対応。 汎用(ボーカル、ベース等)
Bass Compressor 低域・低中域のコントロールで「ブーミーさ」を抑え、ミッド・ハイをタイトに。 ベース
Bass Guitar Multicomp マルチバンド設定のベースギターやシンセベース向け。 ベース、シンセベース
Bass Harmonics Up パラレルコンプ+ソフトクリッピングで低域の倍音を強調。 サインベース、低域楽器
Bass Slapper エレキベースやリズミカルなベース向け。アタック強調&全体をファットに。 エレキベース、リズムベース
Drum Smasher ドラムルームの「潰し」系。Mixを調整して大胆な効果も可能。 ドラム全体
Drum Tightener アタック強調&音量アップ。ドラム以外にも応用可。 ドラム、汎用
Hi-Hat Fattener アタックを抑え、残響や余韻を強調。ハイハット以外にも有効。 ハイハット、汎用
Hi-Hat Vanilla ハイハットや短いサウンド向けの基本コンプ。 ハイハット、短音
Kick Body キックのアタックを柔らかくしつつボディを明確に。 キック
Snare Tails Up スネアや短いサウンドの余韻を強調。 スネア、短音
Staccato Pressor 短いアタックを残しつつ残りを強くコンプレッション。 パーカッション、短音
Solid Vocal Leveller ボーカルの音量均一化。低レベル拡張と圧縮で聴感上のラウドネスを揃える。 ボーカル
Vocal Smoother and De-Esser サ行や高域の耳障りな成分を抑制。Kneeで挙動調整。 ボーカル
Guitar Compressor エレキ・アコギ用。アタックとサステインをタイトに。Liftでパンチ調整。 ギター
Keys Crusher Comp キーボード向けの歪み系コンプ。サイン波系サウンドを「古く」する。 キーボード、シンセ

3. キャラクター変化・サウンドデザイン

プリセット名 機能・特徴 対象楽器・用途
Disto Glue グルーモード+ショートアタック&リリースで歪み効果。マルチバンド。 ドラム、ミックス、特殊効果
Distorted Harmonics 入力音を大胆に潰し、倍音を強調したディストーション系。 サウンドデザイン、特殊効果
Over Transistor アタックを潰しつつ静かな部分を持ち上げ、クリッピング感を付加。 ドラム、ベース、特殊効果
Synth Smasher Smashモードのマルチバンドコンプ。シンセや他の素材にも。 シンセ、汎用、特殊効果
Bass Harmonics Up ソフトクリッピングで低域倍音強調。サインベース等に。 ベース、サウンドデザイン
Sub Mate パラレルコンプ+ソフトクリッピングで低域の倍音を強調。 サブベース、低域楽器

4. 汎用・スタートポイント

プリセット名 機能・特徴 対象楽器・用途
Basic Hard Knee Compression ハードニーの基本設定。汎用的なスタートポイント。 汎用
Basic Soft Knee Compression ソフトニーの基本設定。汎用的なスタートポイント。 汎用
Beat Resist Comp ビート全体に使えるコンプ。低域を保ちつつ全体の音量を底上げ。 ドラム、ビート、ミックス

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最終更新:2025年05月17日 09:20