ジョルノ、トリッシュ、小傘たち三人が軽い朝食を取りながら、大きな湖の畔にて対岸の紅魔館を見据え今後を考えていた時だった。
「ねえ二人とも。向こうから誰か来るよ」
小傘が西の方角を指差したその先をジョルノとトリッシュが振り返った。
手に持っていたおにぎりもすぐに飲み込み、気持ちを入れ替えて目を細める。
「あれは……子供? みたいですね。妙なモノに乗ってゆっくり近づいてきます。トリッシュ、警戒してください」
ジョルノもイタリアのギャング。子供が銃を隠し持ち、平気で命を奪うような世界で生きている。
たとえどんな者が相手でも油断は出来ない。殺し合いという環境がジョルノをいつも以上に慎重にさせていた。
トリッシュも傍に立ち、ジョルノに倣う。その背に小傘を隠れさせて。
向こうの参加者もジョルノたちに気付いたようで、ゆっくりゆったりとこちらまで向かってきた。
まず気になったのが相手の乗る『乗り物』……と表現していいのかどうか。
『蓮の葉』だ。何故か地面に浮かんでおり、その上に乗っている。
次に気付いたのが、子供の他に『もうひとり』乗っていた。寝ているのか、気絶しているのか。女性だった。
向こうに敵対心は無いのか、特に何を仕掛けるわけでもなく、そのままジョルノらの手前数メートルで止まり―――
「やあ」
片手を上げ、呑気な声で挨拶してきた。
それは能天気というよりもどこか『余裕』のある様子であり、ジョルノはその姿に多少違和感を感じた。
「おっと、お食事中かい? それは失礼したね。
あぁ、そんな警戒しないでよ。見ての通り、こっちには攻撃する意思なんてありゃしないから」
「見ての通りというのなら結構怪しいんですがね。
まず、その女性はどうしたのです? 気絶しているようですがキミの仕業でしょうか?」
「あー…うー…、これは話すと長くなっちゃうんだけどね……。まあ、まずは自己紹介といこうか。
私は
洩矢諏訪子。こっちの彼女は
リサリサ。ゲームには『乗ってない』から安心しなよ」
諏訪子と名乗った女の子は気さくに会話を続ける。
ジョルノも多少は凄味を出して質問したはずなのに、彼女はそれを少しも気にする風でもなく笑顔まで作っている。
それがジョルノの感じた違和感。彼女の物怖じしない様子が、とても見たとおりの子供には見えなかったのだ。
「私はあんた達が乗ってないと思って接触してきたのさ。それに後ろに隠れてる妖怪のお嬢さん。
あんた『付喪神』でしょ。前に早苗から聞いたことあるけど……『小傘』だっけ?」
突然自分の名を当てられた小傘はビクリと震えるも、相手の屈託ない様子に敵だとは思えなかった。
それに……どうやら彼女は見た目通りの年齢ではないことも何となく感じ取った。恐らく、自分よりももっと『上位』の存在。
妖怪である小傘は、諏訪子が永きを生きる『神』なのだと直感する。
「少し話をしよっか。お互いに今まであったことを、朝ご飯でも食べながらね」
おにぎりを取り出しながら諏訪子は、地面に降り立った。
彼女の様子に『敵意』は感じない。ジョルノもとりあえず、ここは諏訪子に従う形をとることにした。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
「―――そっか。お互い、難儀したね」
諏訪子の心からの労わりの言葉を締めとして、一通りの情報交換は終了した。
ジョルノはウェス・ブルーマリンとの激闘を。
諏訪子は
エシディシとの激闘を。
互いが互いに、ひとりの犠牲者を出している。その事実に、さしもの諏訪子も厳しい顔をした。
「アナタみたいな子供が『神サマ』ねえ……。全く幻想郷ってのはどこまでも摩訶不思議なところね」
呟いたトリッシュを含め、ジョルノですら俄かには信じられない、洩矢諏訪子の正体。
しかし妖怪である小傘の方は当然のように受け入れているので、恐らく真実なのだろう。それにしたって幼い容姿ではあるが。
「まあそれが外の人間の正しい反応さ。だからこそ私たち守矢はこの幻想郷に住処を移したんだ」
おにぎりを頬張りながら諏訪子はトリッシュの反応に理解を示した。
その器の大きさを感じる態度にジョルノはやはり確信する。目の前の子供は真実を言っているのだ、と。
「さてさて、私の方も食事を終えたことだし……あんた達は向こうに見える紅魔館に行くんだろう?
どうする? 私たちも同じ目的地だ。ここは一緒に向かうのが筋だろうけど」
館を指差し、諏訪子が提言してきた。
ジョルノが首のアザに感じる反応もいつの間にか『二つ』に増えている。
加えて先ほど確認した『空飛ぶ生物を操るスタンド使い』の存在。彼らが敵かどうかは見極めておきたいところだが……。
「―――お前たちッ!! ハァ……ッ ハァ……ッ! さ、参加者だなッ!?」
唐突に降って聞こえた、何者かの必死な声。
いきなりの乱入者の声の主を探すも、その姿は見えず。
「私は、ここだ……! ハァ……ッ 湖だ……ッ!」
その場の全員が声に導かれ、湖を見た。
水面から半身だけを覗かせ、頼み込むように両手を地に付けた『異形』。
「……な、なんだこいつ!? 水妖ッ!?」
「いや、違う……! スタンド、なのか……!?」
面長の外見に黒い色の体形。その異様な姿に諏訪子は妖怪かと驚き、ジョルノはスタンドかと警戒する。
だがどれも完全な正解ではない。その生物はひどく狼狽した様子で頭を下げて言った。
「詳しく話している時間はないッ! 私の名は……
フー・ファイターズ! 『F・F』とでも呼んでくれ……!
とにかく、お前たち5人を危険人物ではないと信じ、頼みがあるッ!」
その『F・F』なる生物は懸命だった。
息も上がり、よく見れば身体もボロボロ。
諏訪子よりも更に数倍怪しい存在に少しだけ迷ったが、どうやらかなり切羽詰っている状況のようだ。
「F・F……? わかりました、まずは話を聞きましょう」
「ちょ、ちょっとジョルノ? こんなヘンテコな奴の話を聞くっていうの?」
「……小傘の時のことを思い出してください、トリッシュ。
あの時、僕たちに助けを求めてきた小傘と今の彼……F・Fは様子が似ている。
どうやら彼にはのっぴきならない状況が迫っているようです。聞いてあげましょう」
「……恩に着るッ!」
ジョルノの返答にF・Fが頭を下げ、早口で現状を説明し始めた。
「時間がないから簡潔に言う! あそこに見える紅魔館、あの場でディエゴという男にやられた……!
恐竜という生物を操るスタンド使いだ。仲間の
博麗霊夢も殺される……! 私はなんとか『肉体の殻』をそっと捨てて、ここまで泳いできた。
他にも承太郎という仲間もいたが、彼もDIOなる敵と交戦中だろう。二人をどうか助けてやって欲しい……!」
「恐竜!? それってジョルノ……!」
「ええ、件のスタンド使いでしょう。それよりも……」
ジョルノは顎に手をあて考える。確かに状況はかなりクレイジーらしい。
そしてF・Fが言い走った『その男』の名。ジョルノは聞いたことがあった。
―――DIO。
碌に会話もしない母親から名前だけは聞いていた。写真も常に財布に入れて持ち歩いている。
同姓同名……であるのならどれだけ良かったか。
ジョルノはその男がどんな人物で、何をしたのか、何を企んでいたのかはまるで知らない。本当に名と容姿だけしか知らないのだ。
名簿で初めてその名を見つけた時、柄になく動揺した。そして『会いたい』とも思った。
何故ならそのDIOとは―――ジョルノ・ジョバァーナにとって正真正銘の『父親』だからだ。
その父親が今、あの館にいてF・Fの仲間を手に掛けようとしているという。
首のアザの反応から、DIOがあそこにいるということは事実だろう。恐竜のスタンド使いと一緒にいるという情報も一致している。
だが……すぐにそれを信じるわけにもいかなかった。
いや―――信じたくなかった。父がこのゲームで誰かを襲っているなどと。
「……F・F。ひとつだけ聞かせてください。
その霊夢さんと承太郎さんという方は、あなたにとってなんなのですか?」
ジョルノにしては判断を遅らせている質問だった。
時間が無いのは分かっている。霊夢も承太郎もF・Fにとっての仲間だということは既に聞いた。
だが、心のどこかでF・Fの言葉を信じたくないとも思っている。
もしかすれば、自分は今から父親と戦うことになるのかもしれないのだ。軽率な判断は出来ない。
だから、ジョルノはひとつ……F・Fの本心を聞き出したかった。
「……霊夢たちは、そうだな。……私にとっては恩人だ。
ついぞさっき共に行動し始めたばかりで、その同行も正午までという約束。
正直を言うと、命を懸けてまで助ける者達ではない―――はずだった」
「ではどうして?」
「……そこのところだが、私にはよくわからない。
実際、私はここまで必死に逃げてきた。貴重な死体という殻まで捨ててきてな。
DISCを守るためだけの操り人形だった私に、もし『恐怖』があるのだとしたら……
それは『仲間』を喪うこと、なのかもしれない。私に『自由』を教えてくれた、彼らという仲間を……
そのことを考えたら……途端に恐ろしくなった。 仲間など、以前の私には考えられなかったというのに……『感情』とは不思議なものだ。
私がその未知なる感情に悩んでいる時、お前たち5人を見つけたのだ」
F・Fが霊夢の体内に入り込み、共感した気持ちは強烈な『悲しみ』だった。
幻想郷の友達の多くを喪った霊夢の気持ちを理解するため。
そんな苦しみを抱えながら『自由』であることにこだわる霊夢へと近づきたいため。
霊夢という人間を、悲しいという感情を、自由を求める生き方を、理解したかった。
そして霊夢の体内に入り、擬似的に、間接的にだが、理解は出来た。
理解出来たが故に……F・Fは恐怖してしまったのだ。霊夢たちを……『友達』を喪うということに。
友という概念もF・Fからすれば複雑で難しい。しかしたったひとつ、確実に言えることがあるとするなら。
「―――霊夢と承太郎を死なせたくない。喪いたくない。……頼む! 私に手を貸してくれッ!」
たったひとつのシンプルな答え。
霊夢は自由へとこだわる理由を『証』だと言ってくれた。
友を喪って悲しむことができる感情は、その友を想っていた何よりの証なのだと。
F・Fは、自分にもその証を示せる感情を持っているのかもしれないと思い始めていた。
霊夢たちを死なせたくないと想う感情こそ、まさしく『フー・ファイターズ』が存在したというこの世にふたつとない証。
この感情、この証こそ、初めて生まれたフー・ファイターズの『誇り』なのかもしれない。
誇りは、守らなければいけない。
「あの、えっと……ジョルノ、トリッシュ! 私……この、人? 妖怪? いや……『F・F』さんを助けてあげたい」
そこで発言したのは小傘だった。
彼女はオドオドとしながらも、どこかハッキリした意思でジョルノに強く頼み込んできたのだ。
「私たちを助けてくれたあの赤い髪の女の人は……命を懸けてくれて、そして死んでしまった。
あの人は私のせいで、死んじゃったの……!」
「小傘!」
「聞いてトリッシュ! ……でも、でもね。最初に私を助けるために飛び出したあの人は……何というか、気高かったの。
綺麗で、カッコ良くって、困っている人を見かけたら迷わず助けるような、そんな女の人だった。
私、凄く羨ましかった! 私も誰か人の役に立ちたかった! あんな女の人になりたいって思ったの!
だから……だからね……! 上手く言えないけど、その……!」
「……そう。ええ、貴方の気持ち、わかったわ。小傘」
トリッシュの温かい言葉を聞いて小傘もパアっと笑顔を作る。
人に捨てられた古傘の付喪神だからこそ、人の役に立ちたいというささやかな願いを内に秘めていた。
その気持ちが、今のトリッシュにはよくわかる。
「でも貴方ひとつ忘れてるわよ。小傘は既に命を懸けてジョルノを救ったってこと」
「……あっ」
からかうように小傘の額をチョンとつつき、トリッシュは微笑む。
小傘もまた、頬を赤く染めて小さくなった。
「……どうやら決まったようですね。僕も腹を決めてF・Fさんを手伝いましょう。
諏訪子さん、僕たちは今から紅魔館に向かいますが……」
どうしますか? という問いが、ジョルノの表情には言外に表されていた。
諏訪子としても断る理由はない。乗りかけた舟である。
しかし諏訪子にもひとつ、気掛かりはあった。それは―――
「―――話は、聞いていたわ。ずっとね」
丁度諏訪子が返答を迷っていた時、心中の人物が話に入り込んだ。
いつの間にか、リサリサが半身を起き上がらせて全員を見渡している。
「リサリサ! あんた、起きてたの!?」
「おかげさまで、ね。頭も随分冷えてきた……と思ったのに、今またフツフツと煮えてきたところよ。
あの神父については一旦置いておくとして……F・Fとやら。さっき言ったことは本当なのかしら?」
リサリサの眼光は真剣だった。
今の今まで気絶していた女性とは思えない威圧感。その視線にF・Fは少しだがたじろいだ。
「あ、あぁ。私は霊夢たちをたすけ―――」
「―――違う。私が聞いているのは、あの紅魔館に『DIO』が居るのか、ということッ! ただのそれだけッ!」
リサリサは聞き捨てならなかった。
DIO。彼女にとってその男の名は何よりも憎い、全ての根源!
ジョースター家に『因縁の種』を植え付け、ジョナサンに倒された後もその『因縁』は愛した夫を間接的に殺害。
リサリサ――エリザベス・ジョースター――というひとりの人生を狂わせた最悪の男があの館にいるッ!
その情報が、冷え切ったリサリサの頭と心を再び滾らせたッ!
「リサリサ……? もしかして最初にあんたが言っていた『早急に倒す敵』っていうのは……」
「本当は別にもいるけど、もしそのDIOまでがこの会場にいるというのなら……
どうやら『ターゲットリスト』にひとり、加えられたようね。―――『最優先掃討人物』にッ!!」
立ち上がり、燃え上がるような瞳でリサリサは激情した。
その彼女の様子を見て、またも諏訪子は頭を抱える。
全く、冷静さを取り戻せていない。どころか更に焚き上がっている。
(ひえ~~~……だ、だめだこりゃあ……! ここまでくるともうリサリサの『気質』だよぉ~)
かくなる上はとことん彼女を支えてやるしかないらしい。
諏訪子は先知れぬ不安を胸に、疲れた顔でリサリサを見上げた。
しかしそんなリサリサに、ジョルノは険しい顔で疑問を投げ掛ける。
「……リサリサさん、でしたっけ? あなたはそのDIOという男がどのような人物か知ってらっしゃるのですか?」
「……ジョルノ・ジョバァーナだったかしら? 勿論、知っているわ。嫌というほどにね。
それより貴方……気になっていたのだけど、見た目が随分『あの男』と似ているのね……?
どんな『関係』なのか……聞いても?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ………… ッ !!!
諏訪子の耳にはそんな擬音が聞こえてくるほど、この場の空気は静かな『熱』に包まれていた。
なんか、ヤバイ気がする……!
諏訪子のそんな勘が働き、慌てて話題を遮る。ケロちゃんブロック!
「ちょ、ちょっとちょっと! 今はいがみ合ってる場合じゃないでしょ!
えーとF・Fっ! とにかく私たち全員、霊夢たちを助けることに決めたから! 早く向かうよホラ急いでッ!」
「あ、あぁ……すまない」
後半はすっかり蚊帳の外になっていたF・Fだったが、兎にも角にも同行してくれるらしい。
妙にモヤモヤするが、確かに諏訪子の言う通り、今は時間が無いのだ。
「むっ! 確かに今は時間がありませんね。僕は無駄が嫌いなので、まずは人命優先に動きましょう。
リサリサさんも、僕のことについては後で話します。いいですね?」
「……オーケー」
短い返答だが、これで全員の意見は決まった。
ジョルノはすぐにエニグマの紙からトラックを出し、運転席に飛び乗った。
「車で向かった方が早い! 僕が運転しますので、みなさんは荷台に乗ってください!
F・F、君は助手席に! 敵の能力、状況、館に着くまでに詳しく話してくださいッ! 作戦を立てます!」
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
舞台は紅魔館玄関口、エントランスホール。
F・Fが目撃した光景は、想像以上に深刻だった。
倒れた博麗霊夢。空条承太郎。
その承太郎の血を今にも吸わんとしているDIO。傍らに立つDioこと
ディエゴ・ブランドー。
恐竜の背に乗せられた死体は、先ほど捨てた
十六夜咲夜のもの。
こちらの戦力はジョルノ。トリッシュ。小傘。リサリサ。諏訪子。そして、F・F。
数の上では有利。だがあの二人―――特に吸血鬼DIOの能力は異常だ。
承太郎と同じく『時を止める』能力。その承太郎も見るも無残に焼かれている。
二人は……生きているのか!?
「ディエゴ……この紅魔館周りの恐竜網は重警備だったはずだが?」
「霊夢との戦いでここら一帯の翼竜共は、殆ど連れ戻して使っちまった。
それにアンタが持ってきた承太郎の焦げたニオイがオレの鼻を鈍らせてたんだぜ。お互い様さ」
突如の乱入者にも大した動揺を見せないDIOとディエゴ。
だがその表情はいかにも『面白くない』といった感じで、大いに不満が漏れている。
「……DIOッ!! 死ぬほど会いたかったわよ……! 貴方には大きな『怨み』があるッ!」
トラックの荷台に立ったのは波紋戦士リサリサ。
彼女とDIOとは直接の面識はないが、その容姿や出で立ちは恩師スピードワゴンから散々と聞かされた。
なにより、彼女の肉体がッ! 血がッ!
目の前の悪こそが、この世から絶つべき『諸悪の根源』だと伝えているッ! 奮えているッ!
「んん……? え~~~っと、失礼だが何処かで会ったことがあるだろうか? 麗しいマドモアゼル」
「かつては捨てたこの名を、再び名乗らせてもらうわッ! 我が名はエリザベス・ジョースター!
我が夫ジョージ・ジョースターの無念のために! 死した一族の魂のやすらぎのために!
そして我が養父ストレイツォを狂気に堕とした元凶DIOッ! 貴様は死をもって償わせてやるわッ!」
「ジョージに……ストレイツォ……なるほど、お前がエリザベス・ジョースターか。死んでいると思っていたが」
DIOは合点がいったと、軽く頷いた。
宿敵ジョースターの家系、そのルーツはとうに調べ上げている。
エリザベス・ジョースターは夫ジョージ・ジョースターⅡ世の無念を晴らすため、軍に単身乗り込み死亡したと聞いていた。
彼女は『それ以前』からゲームに呼ばれたのか、はたまた実はその後も生きていたのか。
それを判断する材料はないが、DIOにとってそれはどちらでもいいこと。
だがジョナサンのことについてはともかく、彼女の言うジョージⅡ世やストレイツォの件はDIOからすれば逆恨みもいいところ。
的外れの怨恨で討ち倒される謂れなど、ない。
「あの時、船でジョジョに救われた赤子がこうも成長し、私に牙を剥けて来るとはな。
ジョースターの恐ろしいところはまさに『そこ』よ。
どいつもこいつもがこのDIOを邪悪と決め付け、その『因縁』を私の運命にしぶとく絡めつけてくる。
こうして100年経った今も、奴らは仲間を揃え最期のその時まで私に立ち向かってくる。
自分たちこそが『正義』の人間なのだと正当してな。……反吐が出そうな精神だ」
「お言葉だけどDIO。今の私は正義などという大層な主義を抱えて貴様と相対しているのではない。
今のエリザベス・ジョースターは……恨みを晴らすためにDIO! 貴様を殺すのよッ!」
「フン……! どこかで聞いた風なことを……!」
「リサリサ……」
二人の会話を諏訪子は傍らで聞いていた。
それは初めて耳にした、リサリサの心からの吐露。本音。激情。
彼女の復讐を止められるものなどこの世には居ないのだろう。それほどに大きな怒りを感じる。
―――だが、誰かがどこかでストッパーを掛けてやらなければリサリサはそのうち身を滅ぼすに違いない。
(あーもー! どうして今も昔も人間って奴はみんな命を大事にしないのさ! 寿命だって短いくせして!)
神として人間を永く見てきた諏訪子は、そんなリサリサに説教を説くような視線を投げた。
しかし今にもDIOらに飛び掛かっていきそうなリサリサを押し留めたのは諏訪子ではなく、運転席のジョルノだった。
「リサリサさん、敵は時を止めるスタンド能力者。迂闊に飛び掛かっていかないで下さい。
これは承太郎さんたちを救う作戦です。戦うことは二の次。辛いでしょうが肝を据えてください」
「…………ッ!」
敵に聞こえないよう小さな声で、ジョルノは言いきかせた。
しかしその腹で、ジョルノこそDIOに対し並々ならぬ思いを持っている。
自分と似た容姿。髪色。
なにより首のアザとはまた違うシグナル……言うなら『魂同士が感じる波動』。
トリッシュと
ディアボロのように、あそこに立つDIOに対しジョルノは親子の絆のような独特の感覚を理解した。
実際に目の前で対峙することでよくわかる。ゲーム序盤から感じていた謎の感覚は、あのDIOから発するものだ。
彼と拳でなく、言葉を交わしたい。
生まれて初めて会う父親を、もっとよく知りたい。
複雑な心境がジョルノの意志を揺らす。
だがしかし……
だがしかし―――ッ!
「―――F・F! 撃って下さいッ!!」
今はそんな個人の感情よりも優先するべき命がある。
その黄金に輝く瞳は決意の証。
父であるDIOとの敵対を意味するその言葉が、銃弾となってDIOへ迫る。
「F・F弾ッ!」
荷台から飛び出したF・Fが咆哮し、4発の銃弾全てを敵目掛けて撃つッ!
しかしそれを手もない軽やかな動作で避けたDIOは、続いて横のディエゴに話しかけた。
「あの面妖な生物……承太郎たちの仲間である『フー・ファイターズ』本体だろう。
君の隙を突いてそこのメイドの殻を捨て、他の参加者を呼んできたみたいだが……ちょっとした『ミス』を犯したなディエゴ?」
「…………チッ」
DIOの皮肉にディエゴは、返答の代わりに舌打ちで返した。
確かにメイドの肉体は死亡していた。完璧に頚動脈を切り裂いたのだ。
だがおそらくF・Fの寄生した肉体に、物理的ダメージの効果は薄いのだろう。
急所への攻撃程度なら水分を補充すれば何ということもないらしい。思った以上に厄介だ。
あの生物の情報の不足、これが原因で新手を呼ばれる結果になった。やはりスタンド戦で『情報』は重要だということを噛み締める。
苛立たしげにするディエゴをよそに、DIOはリサリサとF・Fから……次にジョルノへと視線を変えた。
「そこの黄金の輝きを持つ『キミ』……今、躊躇なく私を撃てと叫んだ君は『何者』だ?
是非、名前を教えてくれないか?」
「……僕が何者か、という問い。その答えは貴方も知っているのではありませんか?
僕が貴方の『正体』に気付いているように、貴方も僕の『正体』に気付いている。
この首の『アザ』の感覚もそうですが……もっと近しい『肉体』の繋がりという奇妙な『感覚』によって」
「私は感覚などという曖昧な波長ではなく、君自身の『言葉』を聞きたいのだよ。
何なら私の方から名乗らせてもらおう。私の名は―――DIO。
ディオ・ブランドーという。
スタンドの名は『世界 ―ザ・ワールド―』。君もスタンド使いなのだろう? ……是非、それを見せてくれないか」
そう言って惜しげもなくDIOは自身の具現……『世界』を繰り出した。
瞬間、この場に吹き荒れる威圧感が風となり、ジョルノの黄金の髪を揺らす。
「……ジョルノ。ジョルノ・ジョバァーナ、です。
そして僕のスタンド名は……『黄金体験 ―ゴールド・エクスペリエンス―』です。言えるのはそこまで、ですが」
DIOに続きジョルノも名乗り、その黄金に輝くスタンドを発現させる。
「ほう……どこか私の『世界』にも似ているな。―――流石は『親子』、といったところか」
―――親子。
DIOはそう言い、ジョルノもその言葉でようやく100%の確信を得た。
その瞬間、彼の中で何かが崩れた。どうしようもない、何かが。
心のどこかで『父』の残影を捜し求めていたジョルノにとって。
ギャング組織のボスとはいえ、15歳の少年であるジョルノにとって。
目の前で二人の尊い命を吸おうとしている男が『父』だという現実は、冷たい残酷だった。
「ジョルノ……。少し、話さないか? 私は別にお前に危害を加えようとは思わん。
どこか落ち着ける場所で、父と息子ふたりの会話がしたいんだ」
「……貴方が今まで家族を放って、何処で何をしていたのだとか……そんなことを今更問おうとは思っていません。
貴方と話がしたいという気持ちは確かにありますが、残念ながらそれは『次の機会』としましょう。
今はそこの『ふたり』をこちらへと渡してください。治療しなければ」
DIOの安らかにも聞こえる誘いを拒絶し、ジョルノはただただ現状を把握するのみに努めた。
個人的な感情よりも人命。猛るリサリサにそう言い宥めたのはジョルノ自身だ。
あそこに倒れるふたりの損傷状態は……おそらく極めて『危険』だ。
今すぐに治療しなければ死ぬ。そして肉体を治療する術を持つ自分こそがこの作戦の要ならば。
―――ふたりは必ず、救うッ! なんとしてもッ!
「……次の機会、か。残念だよ、ジョルノ。
悪いがこのふたりは今ここで死ななければならない。―――特に、こっちの承太郎だけはなッ!」
「させないッ!!」
DIOの腕が承太郎に向けて振りかざされる。
車を降りたジョルノは駆けた。スタンド『黄金体験』を疾走させ、『世界』にぶつかってゆくッ!
「来るかジョルノ。少し、父と遊ぶか?」
父と子。
両者が構えたスタンドの拳は、決して交えることのない『親子の絆』もろとも粉々に破壊した。
「「無駄ァ!!!」」
ガアアァァァンと、激しい重打撃音がエントランスホールに奏でられた。
『黄金体験』と『世界』の拳が。
ジョルノとDIOの拳が。
息子と父親の拳が。
無情に、対立した。
「ほお……中々のスピードだな。しかし……肝心のパワーがちと足りんな。ちゃんと食事はとっているか?」
「………くっ!?」
たった一発の拳を交えただけで身に染みた、『世界』の圧倒的パワー。
骨に響く、その豪腕。
ジョルノのゴールド・エクスペリエンスは、パワー自体はC。近距離型の中では下位に相当する。
まともにやり合えば『世界』の持つスペックに敵う道理はないのだ。
―――ならばまともに戦う必要など、ない。
「今ですF・Fッ!」
ジョルノが発した言葉はF・Fに向けて。
背後のトラックにいるはずの、ではなく。
『前方』……DIOらの後方で起き上がった『彼女』に向けて。
「―――ええ。グラッツェ(ありがとう)、ジョルノ」
その声の主は……ディエゴたちに刈り切られたはずの―――『十六夜咲夜』のもの。
確かに首を切られ、恐竜化した紫の背に乗せられていたはずの十六夜咲夜の死体。
その死体に再び乗り移った『F・F』が、咲夜の体を借りて起き上がった。
「悪いわね。最初に撃ったF・F弾はDIOを狙ったものじゃない。この私の体に入り込むために撃ったのよ」
同時に荷台に居た『分身』のF・Fがドロリと溶けた。
F・Fが初めに撃ったF・F弾の中には、既に本体の組織を混ぜ込んでいたのだ。
その本体組織が隙を見計らい、咲夜の体に侵入。負傷した肉体の首の傷もF・Fの能力にとってはかすり傷にしかならない。
―――おかげで承太郎と霊夢の体に近づけたッ!
「ディエゴ……貴方、ちょっとムカつくから―――これでも喰らってなさいッ!」
咲夜の肉体を手に入れたF・F は起き上がって間髪入れず、ディエゴの右側から強烈な回し蹴りを叩き込むッ!
その方向は霊夢が裂いたディエゴの右目。『死角』からの攻撃! 恐竜の動体視力でも『視えなければ』避けようがないッ!
「が……ッ!」
霊夢との戦いで万全ではない身体に思い切り叩き込まれた回し蹴りは、ディエゴをそのまま壁まで吹き飛ばした。
咲夜の肉体も元々は体術を得意としている。大の男を蹴り飛ばすことなど容易なのだ。
「ちぃ……ッ! プランクトンめ、味な真似を……ッ!」
「貴方の相手は僕ですよ……! ハァッ!!」
ジョルノも決してDIOを逃がさない。
今の自分に与えられた役目は、この男からF・Fを守ること。少しでも時間を稼ぐこと。
ゴールド・エクスペリエンスの第二撃目が、DIOを襲うッ!
そしてその間にもF・Fは負傷した霊夢と承太郎を担ぐ。
承太郎ほどの大男を担いで数メートルの距離を走るのは至難だが、筋力はF・F本体に依存できる。
霊夢を背負い、承太郎は引き摺ってでも敵から離す!
とにかくこのふたりは本当に瀕死なのだ。今のF・Fはもはや何が何でもふたりを救うつもりでいた。
傍に落ちていたデイパックも道具も抜け目なく回収し、全力でトラックまで走るッ!
―――が! 最後に立ちはだかるのはやはりこの男ッ!
「F・Fとやら。コイツらに随分ご執心みたいだが……だがその行為はキサマの寿命を減らすだけの虚しい行為にしかならないッ!」
ジョルノの拳を受け止めたまま、DIOが首だけをF・Fに回して高らかに叫んだ。
瞬間―――
『 世 界 ―― ザ ・ ワ ー ル ド ―― !!! 』
静止する世界。
その中を動ける者は今やDIOのみとなった。
動きを止めるジョルノを無視し、その体躯を一瞬でF・Fの前に移動させ……
『世界』の腕が ――承太郎に ――霊夢に ――F・Fに 振りかざされる。
「どんな足掻きを見せようと無駄だ、無駄。
この『DIOの世界』を認識できる者は……これから死ぬことになるからだ。
まずは―――承太郎、キサマの血を抜き取る。この『血』は貰っ……」
「――――――<咲夜の世界>――――――」
誰も動かないはずの。
DIO以外の誰もが動いてはならない世界で。
―――その『人間』は、確かにそう呟いた。
「―――――――――なに?」
『世界』の腕が止まる。
かつて十六夜咲夜であったその肉体が。その目が。
―――DIOを見ていた。
次に動いたのは、その女の腕。
スローモーションのように動いた彼女の手の中には、一本のナイフが握られ―――
―――ヒュン―――
音は無かったが、DIOの耳にはナイフが風を切る音が錯覚のように聞こえた。
気付けばすぐ目の前には空中で静止したままのナイフ。
―――そして時は動き出す。
「なにィイイッ!? こ、この女……『止まった時』の中を……!
『世界』ォォ! 弾き飛ばせェッ!!」
目前数センチで放たれた高速のナイフを、すんでのところで弾いた。
十六夜咲夜の……F・Fのカウンターは失敗。
しかし、DIOの防御行動の隙にF・Fはかろうじて距離をとることが出来た。
「―――! 一瞬は何とか、動けた、わね……! ハア……ハア……! まだほんの『一瞬』……程度だけれど……っ」
『時の止まった世界』に入門する術を持つ者はDIOと承太郎だけではない。
今や『器』のみといえど、F・Fが操る十六夜咲夜もその『資格』は所持している。
しかし『器』のみ故に、F・Fでは咲夜本人のように自在に時を操ることまでは出来ない。
彼女の『記憶』から時間を操る能力者だということは知っていても、それをいきなりコントロールするほどF・Fは器用ではなかった。
動けたのはたかが一瞬。
されどその一瞬こそが、F・Fにとって千金に値する一瞬。
止まった時の中で掴んだ須臾ほどの一瞬が、『世界』の拳から逃れるチャンスを作った!
「ジョルノ!!! F・F!!! 車出すわよッ!! 早く乗ってッ!!」
運転席に陣取ったトリッシュが叫んだ。
ジョルノとF・Fが倒れた承太郎と霊夢を荷台に乗せたことを確認し、すぐにアクセルを全開にする。
最後にジョルノはDIOをひと睨みし、そのままトラックは唸りを上げた。
排煙を煙幕のように一気に噴かせ、8人はあっという間に玄関から爆走し、紅魔館を脱出する。
それは見事と言えるまでの、逃走っぷりであった。
「―――逃げられちまったなぁ、DIO」
腕を擦りながら起き上がってきたディエゴの皮肉にも、DIOは反応しない。
今、彼の頭の中にある感情は―――
(―――我が止まった時の世界に入門してくる奴らが……一人ならず、二人も……ッ! 許せるものかッ!)
怒りだった。
こうも他人の庭に土足で上がり込まれては、さしものDIOも我慢ならない。
その怒りはなるべく顔に出さず、DIOは極めて平静に相方へと語りかけた。
「ディエゴ……知っての通り、私は太陽の下に出られない。
君には何度も申し訳ないんだが……もうひとつ頼まれてくれないか?」
「奴らを『追撃』しろってか? オレはそれなりにダメージを受けているんだがな」
ディエゴがその嫌な顔を全く隠さずにDIOを睨みつけた。
数秒、ピリピリとした空気が流れ―――
「―――『貸し』だ。これでひとつお前に貸しが出来た。
オレだって奴らをこのまま逃がすのはゴメンだからな」
「……すまないね」
互いに何かを感じ取ったのか。
奴らは共通の敵でもある。ディエゴとしても何とか始末したい相手だった。
すぐに紫を呼び、その上に跨る。その格好は天才騎手“貴公子”ディエゴ・ブランドーがレース上で見せる眼差しだ。
最優先ターゲットは『空条承太郎』『博麗霊夢』。そして『フー・ファイターズ』。
深追いはするつもりはない。せめて3人の『誰かひとり』でも始末したい所だが……。
周りの奴らが厄介だなと、ディエゴが思案しながらも紫を駆け出そうとしていた時。
後ろからDIOの待てが掛かった。
「―――それとディエゴ。奴らの中に『面白いヤツ』が混ざっていた。なんなら『そいつ』だけでもここに連れて来てくれてもいい」
「……『あの女』のことか? 承太郎とかはいいのか?」
「承太郎……そして霊夢には、これ以上ない『敗北』を刻み込んでやった。その心に完璧な『傷』をだ。
もし奴らが復活し、再びこのDIOの前に現れたとしても……奴らは勝てんだろう。
スタンドとは精神そのものだ。敗北によって心が弱くなれば、当然スタンドも弱くなる。
奴らを逃がしたというのなら、それはそれで構わない。……君に頼んでおいてなんだがな」
「………フン」
ディエゴは鼻を鳴らし、『馬』と共にトラックの後を追走し始める。
それはまるで、レースの開幕を象徴するようなディエゴのいつもの走りだった。
そんな彼の後ろ姿を見送るDIOの顔に、疲れは見えない。
あるのは土産の帰りを待つ、薄気味悪い笑顔だけだった。
なんにせよ、空条承太郎と博麗霊夢はもう『再起不能』だ。
どんなスタンド能力だろうが、肉体は治せても心に受けた『絶対的敗北』という傷は癒せない。
―――勝利者は、このDIOだ。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【DIO(ディオ・ブランドー)@第3部 スターダストクルセイダース】
[状態]:精神疲労(中)、吸血(紫、霊夢)
[装備]:なし
[道具]:大統領のハンカチ@第7部、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、頂点に立つ。
1:部下を使い、天国への道を目指す。
2:永きに渡るジョースターとの因縁に決着を付ける。承太郎はもう再起不能ッ!
3:神や大妖の強大な魂を3つ集める。
4:ディエゴ、メリーの帰還を待つ。
5:ジョルノとはまたいずれ会うことになるだろう。ブチャラティ(名前は知らない)にも興味。
[備考]
※参戦時期はエジプト・カイロの街中で承太郎と対峙した直後です。
※停止時間は5→8秒前後に成長しました。霊夢の血を吸ったことで更に増えている可能性があります。
※星型のアザの共鳴で、同じアザを持つ者の気配や居場所を大まかに察知出来ます。
※名簿上では「DIO(ディオ・ブランドー)」と表記されています。
※
古明地こいし、
チルノの経歴及び地霊殿や命蓮寺の住民、幻想郷についてより深く知りました。
また幻想郷縁起により、多くの幻想郷の住民について知りました。
※自分の未来、プッチの未来について知りました。ジョジョ第6部参加者に関する詳細な情報も知りました。
※主催者が時間や異世界に干渉する能力を持っている可能性があると推測しています。
※恐竜の情報網により、参加者の『6時まで』の行動をおおよそ把握しました。
※
八雲紫、博麗霊夢の血を吸ったことによりジョースターの肉体が少しなじみました。他にも身体への影響が出るかもしれません。
『ジョルノ・ジョバァーナ』
【午前】C-4 霧の湖のほとり
「ジョルノッ! ふたりの容態はどうなの!? 早く治してッ!」
「わかっています。落ち着いてF・F……!」
紅魔館を離れ、激走していくトラック。
幌は邪魔になるからと突入前に取り払っておいたおかげで、受け付ける風が全員の髪をなびかせている。
荷台の上には諏訪子、リサリサ、小傘、ジョルノ、F・F。
そして焼き焦げた空条承太郎。
深く切り裂かれ、血液を吸われた博麗霊夢。
運転席にはトリッシュが慣れない手つきでハンドルを握っている。
「ジョルノ! これからどこへ向かえばいいの!?」
「とにかく今は館から離れます。湖沿いを東回りに走らせてください」
運転席から大声で叫ぶトリッシュに対し、ジョルノの声は冷静なものだった。
しかし声に反し、彼の額には既に冷や汗が流れ始めている。
状況は……思った以上に最悪だ。
生命を操るゴールド・エクスペリエンスが承太郎と霊夢の身体を同時に触れ、『診察』しているが……
「―――まずい。ふたりとも『死にかけ』です……! 既に心臓が動いていない……!」
承太郎と霊夢が死にかけている。
その言葉にF・Fはいてもたってもいられなかった。
「彼の方は……臓器や骨といった、とにかく内部への損害が大きい。
火傷した皮膚も一から新しい皮膚を作らないと……!」
「こっちの霊夢は肩から腰にかけての裂傷が深いわ……! 全く『血』が足りていない……!
私の『プランクトン』が血液の代わりになれるけど、いつまでもは保たない! 急いでジョルノ!」
F・Fが煽るようにジョルノを急かし、自身も治療に加担する。
だがF・Fの能力は元々治療するためのものではない。精々が応急処置にしかならない。
それほどにふたりの容態は深刻だった。
「見たところ……緊急を要するのは彼女の方ですね。すぐに血液を作らないと……だが『治り』が遅い……!」
ジョルノは霊夢の巫女服もはだけさせ、デイパックの水を手に取り『血液』へと変える。
しかしさっきからやはり能力の治療が遅い。これもゲームの制限のようだ。
「―――ジョルノ・ジョバァーナ。お取り込み中失礼だけど、貴方にひとつ聞きたい」
そう言ってこの騒乱状態の中に割って入ったのはリサリサだった。
彼女の冷たい視線は治療するジョルノを鋭く見下ろしている。
「貴方がDIOの『息子』だというのは……本当なの?」
「リサリサ! 今はそんなこと言っている場合じゃあ―――!」
「―――本当、のようです。僕も先ほど知りましたが」
諏訪子の仲裁の声を遮って、ジョルノは真実のみを言った。
間違いのない現実……ジョルノにとっては多少なりとも衝撃の事実を。
「……そう。で、貴方は父親に対してどう思っているのかしら」
「…………………彼には色々と思うこと、言いたいこともありますが……
ただ、一目見た瞬間に『邪悪』だと感じました。僕の中で彼を“許せない”、という気持ちはあります。……複雑ですが」
リサリサにはこのジョルノが何者なのか、どんな人間なのかがわからない。
しかし、そう答えたジョルノの中に『真実』を見た気がした。
悲しみの心。怒りの心。正義の心。
それらが混ざり合ったジョルノ・ジョバァーナという少年に対し、リサリサは思う。
この少年は『悪い人間』ではない。あのDIOの最悪な遺伝子など、彼には受け継がれてはいないのだろう、と。
―――少し、安心した。
「こっちの彼の治療は私の波紋で治します。貴方は彼女をお願い」
リサリサはすぐに承太郎の身体を波紋で治療し始める。
本音を言えばDIOの前から逃げるというのも納得できなかった。
しかし―――特にこっちの制服の男……『空条承太郎』には何か、奇妙な親近感を感じる。
彼を死なせてはならない……そんな思いがリサリサの心に生まれたのだ。
「リサリサ……」
そしてそんな彼女を後ろで見つめるのは諏訪子。
今まで危なっかしかったリサリサの挙動もひとまず落ち着いたようだ(ジョルノに食って掛かった時はヒヤリとしたが)。
この場において諏訪子は微妙に蚊帳の外ではあったが、霊夢のことは勿論知っている。
結界の管理人である彼女が死ぬことは、幻想郷が崩壊することに繋がる。
しかしそれ以前に、親しい顔見知りが死にかけているのに自分は何も出来ないというのが悔しい。
ジョルノの治療を祈るように見つめ、見守っていく。神が祈るというのもおかしな話だと自覚しながら。
「諏訪子さん……霊夢とこの男の人、大丈夫かなあ……」
諏訪子の横で同じ様に見守る小傘が不安げに聞いてきた。
「きっと大丈夫さ。リサリサとジョルノを信じなよ。
信仰ってのは必ず誰かの力になる。祈りを聞いてくれない神様なんていやしないよ」
ニコリと笑って元気付けてくれる諏訪子の笑顔につられて、小傘も微笑む。
かつて自分もジョルノたちに命を救われた小傘だから彼らを信頼できる。きっと救ってくれる。
だから祈ろう。幻想の神にではなく、ジョルノを信じる自分自身の心に。
ド ブ ン ッ !
「………!?」
頬に感じていた風が、突然止まった。
地から伝わる振動は一瞬の無重力を与え、それはこの場の全員が理解する。
この“アクシデント”にジョルノは、運転していたトリッシュに事態の現状を聞く。
「トリッシュ!? どうして車を止めるんだ!?」
「ち、違うわよ! タイヤが泥に嵌まって動かないの! てか私、免許なんて持ってないんだから車のことなんて聞かないでよ!」
泥……? 雨も降っていないのに何処にタイヤが取られるほどの泥などあるのだろうか。
しかし現にトラックは完全に動きを止め、どころかズブズブと地中に“埋もれて”いっている。
異様な事態にジョルノは霊夢の治療を一時中断、荷台から顔を覗かせ周りを見渡すも……沼らしきものはない。
地面が『泥』のように溶けだし、見る見るうちにトラック全体を飲み込んでいるのだ。
「な、なによこれぇぇぇーーーーーーーーッ!?」
トリッシュの叫喚が響く中、ジョルノだけはこの光景に『覚え』があった。
地面をドロドロに泥化し、地中を泳ぐスタンド。かつてそんなスタンド使いと戦ったことがある。
だがそのスタンド使いの名前など名簿にはない。考えられるのは……!
「トリッシュ! これは恐らくスタンド攻撃です! 僕たちがローマで戦ったスタンド使いと同じ能力……『地面を泳ぐスタンド』ッ!」
「え……ブチャラティが倒したっていう、あの!?
じゃあこれは誰かが『スタンドDISC』によって手に入れた能力だっていうの!? 小傘と同じように!」
獣のように鳴り続けるアクセル音がひたすらに空回りする。
敵襲ッ! DIOの追っ手か、はたまた別の危険人物か……!
「ジョ……ジョルノ~!? こ、これ大丈夫なの!?」
「新手のスタンド使いッ!? こんな時に……!」
「……敵の姿が見えないわね」
小傘とF・Fとリサリサがそれぞれの反応を示し、周囲を警戒したその時……
「せーの…………え~~~~~~~~~いっ!」
「……!?」
雰囲気に合わない気楽な声と共に傾くトラック。荷台の全員が横倒しになろうとする車体に掴まるが、その行為は空しく失敗に終わる。
意識のない承太郎と霊夢を筆頭に、次々に荷台から滑り落ちるジョルノたち。眼下には底無し沼と化した地面が大口を開けているッ!
(やばい……何者かがトラックを地面の下から持ち上げているッ! 引き摺りこまれたら身動きが取れないッ!)
「れ、霊夢ッ! 承太郎ッ! 今助けるわッ!」
『沼』に落ちた二人をF・Fが飛びつくように救出に向かう。
F・Fの本体『フー・ファイターズ』の能力は、元々水の中で真価を発揮する。
しかし下にあるのはあくまでドロドロの『地面』。F・Fといえど果たして無事で済むのかわからない。
「F・Fッ!! 迂闊に飛び込んではいけないッ!! この敵は―――ぐあッ!?」
手を伸ばしたジョルノの後頭部を突然襲う痛み。
吹き飛んだジョルノは重力に抗うこと出来ず、無情にもそのまま沼に落ちてしまったッ!
「ごめんなさい。『貴方』はなるべく傷付けたくなかったのだけど、少し引っ込んでてもらうわね♪」
反転しながら落ちゆく視界の中、ジョルノが聞いたのは透き通った女性の声。
刹那に見えた彼女の姿はスタンドの『スーツ』で覆われており、それはまさしく以前ローマで見たスタンド『オアシス』のヴィジョン。
(ふむぅ。紅魔館から飛び出してきたこの獰猛な乗り物をとりあえず『罠』に嵌めたは良いけど、まさか『彼ら』が乗っていたなんてねえ)
青娥はゲーム序盤に覗いていた光景を想起する。
天候を操る男と激闘を繰り広げた金髪の少年。そしてその仲間である赤毛の女。
何故彼らが紅魔館から逃げるように出てきたのはわからないが、ここで出会ったのも何かの縁。
遠目から見えた走る乗り物が通るであろうこの位置を泥と化し、何となく仕掛けてみた。
しかし青娥はDIOに心酔しているとはいえ、『王者の風格』を持つジョルノに対し敵対しようとは思わない。
彼女からすれば“面白そうだったので少しちょっかいをかけてみた”だけの軽い気持ちである。
―――そう、『最初は』そんな軽い気持ちだった。だがそんな時、彼女の耳に聞き捨てならない単語が入ってきて『気が変わった』。
(えぇ~~~っと、『あの娘』は、と……いたいた♪)
既に3分の2以上、沼に浸かってしまった横倒れのトラックの荷台に立ちながら彼女は『ターゲット』の姿を探す。
……居た。沼に半分溺れ、泣きそうな顔であっぷあっぷしている。
それを目撃した青娥は、途端に顔を喜色満面に変えて飛ぶ!
目的人物の目の前に着水、いや『着地』した彼女が楽しそうな笑みで語りかけた。
「―――ごきげんよう。不躾ですが、先ほど運転席の娘が叫んでいた『小傘』というのは貴方のことね?」
「………え、ええ!? なな、何か用っ!?」
その返答を“YES”と受け取った青娥は……不気味なほどに妖艶な笑顔を作った。
ぞくり、と。
小傘の背筋が震えた。
それは『殺気』といったモノではなく、まるで『面白いオモチャ』でも見つけたような、底知れぬ無邪気な笑顔だった。
トラックを沼に沈めた青娥はさっき、確かに聞いた。
運転席の娘――トリッシュがはっきりと叫んだその言葉を。
その瞬間、青娥の目的は決まってしまった。もはやジョルノなどどうでもいい。
「―――ちょっとその可愛いおでこ、失礼~~~♪」
ズ ブ リ ……!
「…………………………え」
青娥の可憐な指が、小傘の額に『侵入』し、そして―――
「出て来た! これが貴方の『スタンドDISC』! も~~らいっ♪」
小傘の能力DISC。
小傘の生命線。
小傘の魂の欠片。
今の『
多々良小傘』という存在をこの世に繋ぎ止めている唯一の『希望』―――
―――『キャッチ・ザ・レインボー』のDISCが、青娥の手に握られていた。
「これさえ貰えればもう貴方たちに用は無いわ~。グッバ~~イ♪」
「――――――ぁ、待っ
小傘の声はそこで途切れた。
DISCによって補っていた、己の魂の欠片が奪われた。
身体から抜け出るのは、小傘の透明な魂。
DISCが無ければ、ただの抜け殻に逆戻り。
あれが奪われるということは、小傘の肉体が『死亡』することと同じ。
伸ばした手が、だらんと果てる。
意識が―――消失する。
「な、なんですってえええぇぇぇぇぇぇェェェェェーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!」
その一部始終を運転席から弾き飛ばされたトリッシュは見ていた。
突然現れた謎の女に、仲間の『命』を奪われた。
あまりにも、一瞬。何ひとつ抵抗できなかった。
敵を追わなければ。
小傘を救わなければ。
しかし、無尽蔵に漂う泥の海がそれをさせてくれない。
「私が離れれば多分、泥も元通りになるわよー! それじゃあ後は何とか頑張ってね~~」
対して、青娥の調子はというとあまりにも悪気の無い様子。
小傘のDISCがまさか彼女の命を繋ぐ無二の希望だとは、青娥は当然知らない。ちょっとした強盗のようにしか考えていないのだ。
しかし例えその事実を青娥が知っていたとしても、彼女なら迷わず喜んでDISCを奪うだろう。
それこそが霍青娥。それこそが邪仙。
だからこそ、そんな『邪悪』を許せない神様がいた。
「―――待ちなよ、邪仙。こんなことしでかしてグッバイの一言で済ませようなんて、ちょっと調子に乗りすぎでしょ」
「……!」
地中の中から足首を掴まれる感覚。
そのまま引きずり込まれた青娥の前には―――洩矢の土着神『洩矢諏訪子』が睨みをきかせていた。
「地面の下は私の『庭』だ。アンタじゃない。……出ていきな」
―――源符「諏訪清水」
「―――うッ!?」
諏訪子の口からうねる水流がまるで蛇の如く発射されるッ!
地中でまともに喰らった青娥は大きく吹き飛び、地面から飛び出して数メートル転がったッ!
「みんなこの蓮の葉に乗って!」
すかさず得意の蓮の葉を生み出し、その浮力によって全員とトラックを地中にまで持ち上げた。
地中を潜るオアシスに対し、諏訪子の宿す能力は相性が良かったのだ。承太郎も霊夢もひとまず傷に触る事もなかったらしい。
しかし……
「小傘ッ!! しっかりしなさいよッ!! 小傘ァ!!」
ピクリともしない小傘を懸命に揺さぶるトリッシュ。
彼女の魂は、未だ青娥の手の中にある。
万事休す、か。
「―――いいえトリッシュ。小傘は助かりますよ」
如何なる状況も冷静に分析し、常に最良の選択を取るジョルノがトリッシュの肩を叩いて言った。
「ゴールド・エクスペリエンス……小傘のDISCには既に生命を植えつけてある。DISCは持ち主である小傘の元へ戻ってきます」
パチン、と指を鳴らしたその時、万物を司る黄金の能力が花咲いた。
青娥の持つDISCが『トンボ』へと姿を変え、その手を離れる!
「いった~~い……! あのチビ神さま、やってくれましたわね―――って、あららら?」
手を伸ばして捕まえようとするも、既に遅し。
あっという間に小傘の下に辿り着いたトンボは、元の円盤の形を取り戻して小傘の額に再び入っていった。
「―――ん……、あ…あれ? 今わたし、幽体離脱とかしてたような……」
「小傘……、馬鹿ッ! 心配かけさせんじゃないわよ!!」
泣くような声でトリッシュは小傘の頭をはたき、胸を撫で下ろす。
本当に危機一髪。ジョルノと諏訪子のおかげでこの急襲は何とか凌ぐことができた。
「三人共早く車に乗って! さっさとあいつから逃げるわよッ!」
F・Fが承太郎と霊夢の体を荷台に寝かせて叫んできた。
今はとにかく、安全な場所で瀕死の二人を治療することこそ第一。トリッシュも運転席に飛び乗り、エンジンを蒸かす。
ぐん、という衝撃がトラックを揺らし、泥ではなく固定された地面へとタイヤが擦れる。
法定速度なし! 目一杯にアクセルを踏み込み、全速を繰り出すッ
これで一安心―――としたいところだがそうもいかなかった。更なる“現実”が敵意を振り撒いて追撃をかけてくる。
「み、みんな見て! 後ろから……なんかいっぱい飛んでくるよ!」
小傘が指差した後方の空から、大量の『群隊』が猛襲して来るのが見えた。
空を隠すほどの大量なる生物。まさしく―――
「……早くも追っ手です。数え切れないほどの『翼竜』……F・Fと戦ったというディエゴが操る部下でしょう」
「ディエゴ……ッ! とことん追撃をかける気ね……!」
ギリリ、と歯を食いしばる音がF・Fから漏れる。射殺すような視線を敵へと投げるが……
「トリッシュ、加速してください! こっちには瀕死の二人がいるッ!
奴の狙いは彼らですッ! 絶対に追いつかれてはマズイッ!」
「翼竜を操ってるディエゴ本体を倒せばいいんじゃないかしら……?」
「あれほどの翼竜がいたのではそれも厳しいでしょう。隙を突かれてこの二人が攻撃されれば、それで終わりです。
それほどに二人の容態は“死にかけ”ですから。僕とリサリサさんも治療だけで手一杯。加勢は期待しないで下さい」
F・Fの意見をジョルノは一蹴する。
今なお目覚めない承太郎と霊夢の体をジョルノとリサリサは一心に治療を進めるが、制限のせいもあり思うように進まない。
とにかく、まずは追っ手から逃げ切ることが優先。
「……了解しましたわ。二人の治療は、ジョルノとリサリサにお任せします。
諏訪子、小傘。私たち三人が殿を務めるわよ。奴らから完全に逃げ切るまで皆を守り通すの!」
「おっけ! あんな空飛ぶトカゲ、ミシャグジ様が喰らってやるよ!」
「……え? え、えーーー私も数に入ってるのーーーッ!?」
F・Fはトラック後部に立ち、今度こそ霊夢を……二人を守らんと迎え撃つ。
彼らには恩があるのだ。まだまだ学びたいことが沢山ある。
その命は―――絶やさないッ!
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
「よお。酷い目に遭ったなぁ、邪仙サマ?」
「あら、ディエゴちゃん。貴方も彼らを追ってるの?」
腰を擦りながら起き上がる青娥の前に、紫に乗ったディエゴが現れた。
その頭上には数え切れないほどの翼竜が意志を持った霧のように羽ばたき、騒々しい鳴き声が飛び交っている。
「空条承太郎と博麗霊夢にトドメを刺すためにな。
それに―――あの『洩矢諏訪子』とかいうチビもターゲットだ」
「あの土着神を……? あぁ、そういえば神とか大妖の魂も集めてるんでしたわね。
ならば手をお貸ししましょう。私も―――小傘ちゃんの持つ『スタンドDISC』がどーしても欲しくってねえ」
ゾッとするほどの喜びに溢れた声が溢れ、青娥は『新しいオモチャ』を見つけた。
彼女は自分の望む物は何だって手に入れる。何をしてでも手に入れる。その目的のためには手段など選んでられない。
そして飽きたらあっさりと捨てるのだ。次なるオモチャを探しに、食欲でも満たすかのように。
「私にはディエゴちゃんみたいな馬は持ち合わせておりませんので……そろそろ『アレ』を使いましょうか。ねー蓮子ちゃん?」
「全く……お願いですから、ハア……ハア……、勝手にあちこち、行かないでくださいよ……!
DIO様にメリーを、ハア……ハア……、届けなくっちゃ、いけないんですから……!」
朗らかな声で呼ばれたのは肩でゼエゼエ息をする蓮子。青娥が好き勝手な行動するので付いて行くのもひと苦労らしい。
そんな蓮子の辛そうな様子を意にも介せず、青娥はニコニコと手を差し出してくるばかり。
文句を言う気力も無くなり、渋々とデイパックから支給品の入った紙を取り出して開く。
「青娥さんさっきはコレ、乗りこなせずに大苦戦してたじゃないですか。第一免許持ってないし」
「さっきは森の中だったから乗れなかっただけです~。それにここ幻想郷に免許は必要ありません。
この青娥が生まれた時代は馬車しか走っていなかったというのに、外の科学は随分発達しましたわねぇ」
紙から現われた物は、蓮子の支給品である鉄の馬・オートバイだ。
さっき魔法の森を通っていた時に、青娥が少しだけ試運転してみたが結果は惨敗だったらしい。
「今度は大丈夫ですわ! 絶対絶対DISCを手に入れて見せるんだから~!」
「そいつも小型の『自動車』の一種か? オレのシルバー・バレット(馬)とどっちが速い? ついてこれるか?」
ディエゴも未来の科学を半ば初めて目撃し、興味を示す。
トップスピードなら馬などよりは比較にならないだろうが、乗りこなす操縦者が多少心配ではある。
「なんにせよ、ひと狩りおっ始めるとするか。奴らに追いついて承太郎、霊夢を今度こそ始末する。ついでに諏訪子も捕らえるぞ」
「ラジャー♪ あっ 蓮子ちゃんはメリーちゃん連れて先にDIO様のもとに連れてってね。それじゃあ行ってきます♪」
言うだけ言って青娥もディエゴもトラックを追って行ってしまった。
けたたましいエンジン音と翼竜の鳴き声だけが余韻に残り、二人の後ろ姿を蓮子は呆然と見送るしかなかった。
最初から最後まで振り回されっぱなしの環境に、そろそろ嫌気がさす。
主であるDIOのためならば何だってするつもりの蓮子ではあるが、どうやら選ばれた相方というくじ運は無かったらしい。
『ご、ご主人様ァ~。や、やっと追いつきました、よ……!』
メリーを背負って今更ノコノコ現れたヨーヨーマッの声にイラッとしつつ、しかしその背に眠るプリンセスの寝顔を見ると怒る気も失せる。
代わりとばかりに大きな溜息をついて、まずは届け物を完了するためにその足を紅魔館へと向け歩き出した。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
「うっわわッ!? なにアレっ!? なになにアレなにっ!? 事件!? 事件ねこれはッ!!」
ネタを探して奔放するはたてが紅魔館近くを飛翔していた時のことだった。
眼下の陸では爆走する鉄の馬と何人かの参加者、それを追うオオトカゲやら小さな鉄の馬やらそれに跨る邪仙やら金髪の男やらなにやら。
極め付けには大量の空飛ぶトカゲまでもが追いかけてきており、明らかに参加者同士の追走劇、所謂『カーチェイス』が始まっている。
はたては興奮しながらカメラで何度もパシャパシャとシャッターを切る。
自身も飛行しながらの撮影だが鴉天狗にそんな悪環境は問題にならない。とにかく枚数を撮って撮って撮りまくる!
そう、はたては『生の』殺し合いというものを初めて体験する。
体験するというのは自分が事件の当事者になる、という意味でなく第三者として。
カメラや写真を通してではない、初めて自分の目で直接『生の殺し合い』というゲームを目撃しているのだ。
いわば岸辺露伴の言う『リアリティ』というものを今まさに体験している。それははたてにとって新しい世界。
なるほど、実際に体験してみれば彼の言ったことがよく理解出来る。
事件の熱。興奮。空気。感動。
そのどれもが間接的に念写していたものとはまるで別次元だ。
文はこれほどの現場を、毎日体験していたのか。
……自分が今までいかに無知であったかが分かる。
「しかも……あの荷台で死に掛けてるのって『博麗霊夢』じゃないっ!? ウワーオまじかぁ~~スッゴ!」
再びシャッター音を二回切る。
確かにトラックで倒れているのはこの幻想郷を代表する巫女、博麗霊夢で間違いない。
そしてもうひとり、横に倒れている黒焦げの男はリストで霊夢と一緒にいた『空条承太郎』、なのか? ……そういうことにしよう。
空条徐倫と同じ性なのは親類だからだろうか? まあ、そんなことはどうでもいい。
「『博麗霊夢、空条承太郎二名が完全敗北ッ!! 幻想郷の未来はッ!?』……うん! 記事の見出しはこんなところね!」
既に脳内では花果子念報最新誌が組み上がっている。
間違いなく大スクープだ。しかも今回は完璧に自分の実力での撮影。誰にも文句は言わせない。
「ウェスーーー!! ウェスウェスウェスーーー! 参加者参加者! 大量! 取り放題撮り放題よッ!
ったくどこいんのよアイツ! 参加者みんな逃げちゃうわよっ!? 報道は新鮮さが命なんだからっ!」
上空を飛びながらはたてはウェスから聞いたアドレスにメールを打ち込む。
自分らの居場所と簡単な現状を書き込み、急いで発信した。来るかどうかはわからないが、来なかったら蹴り飛ばしてやる。
「もっと! もっともっと事件を起こすんだッ!
見てなさい文! 露伴! 絶対に最強の記事を書いてやるんだからーーーっ!!」
はたてはまだ、気付かない。
彼女は結局、自分の新聞を自分のために書いているということに。
報道とは第三者へ届けるもの。自分のためだけに作っているのでは勝つことは出来ない。
露伴は『読者』のためにマンガを描いている。自分の自己満足を満たすことを考えたことなど一度だってない。
勝負ばかりを見ているはたてのままでは、絶対に勝つことが出来ないだろう。
彼女がそれに気付けるのはいつになるだろうか。
今はただ、自身の記事にこれだけの『項』を筆走らせ―――事件を追走する。
――花果子念報第4誌――
【博麗霊夢】 ―――再起不能
【空条承太郎】 ―――再起不能
『両二名:生死不明』
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【午前】C-4 霧の湖のほとり
【博麗霊夢@東方 その他
[状態]:体力消費(極大)、霊力消費(極大)、右肩脱臼(処置済み。右腕は動かせますが、痛みは残っています)、
左手首に小さな切り傷(処置済み)、あちこちに小さな切り傷(処置済み)、右肩から腰にかけての大裂傷、失血、瀕死
[装備]:いつもの巫女装束(裂け目あり)、モップの柄
[道具]:基本支給品、自作のお札(現地調達)×たくさん(半分消費)、アヌビス神の鞘、缶ビール×8、
不明支給品(現実に存在する物品、確認済み)、廃洋館及びジョースター邸で役立ちそうなものを回収している可能性があります。
[思考・状況]
基本行動方針:この異変を、殺し合いゲームの破壊によって解決する。
1:現在、意識不明。状況はかなり深刻。
2:戦力を集めて『アヌビス神』を破壊する。殺し合いに乗った者も容赦しない。
3:フー・ファイターズを創造主から解放させてやりたい。
4:全てが終わった後、承太郎と正々堂々戦って決着をつける。
5:紫を救い出さないと…!
6:『聖なる遺体』を回収し、大統領に届ける。今のところ、大統領は一応信用する。
7:出来ればレミリアに会いたい。
8:暇があったらお札作った方がいいかしら…?
9:大統領のハンカチを回収し、大統領に届ける。
※参戦時期は東方神霊廟以降です。
※太田順也が幻想郷の創造者であることに気付いています。
※空条承太郎@ジョジョ第3部の仲間についての情報を得ました。
また、第2部以前の人物の情報も得ましたが、どの程度の情報を得たかは不明です。
※白いネグリジェとまな板は、廃洋館の一室に放置しました。
※フー・ファイターズから『スタンドDISC』、『ホワイトスネイク』、6部キャラクターの情報を得ました。
※
ファニー・ヴァレンタインから、ジョニィ、ジャイロ、リンゴォ、ディエゴの情報を得ました。
※ディエゴ、DIOから受けた傷は深く、回復したとしても時間が掛かると思われます。
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース】
[状態]:体力消費(極大)、精神疲労(極大)、全身何箇所かに切り傷(処置済み)
F・F弾による弾痕(処置済み)、全身骨折、全身火傷、瀕死
[装備]:長ラン(所々斬れています)、学帽、ミニ八卦炉 (付喪神化、エネルギー切れ)
[道具]:基本支給品、DIOのナイフ×5、缶ビール×2、不明支給品(現実に存在する物品、確認済み)
その他、廃洋館及びジョースター邸で役立ちそうなものを回収している可能性があります。
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の二人をブチのめす。
1:現在、意識不明。状況はかなり深刻。
2:花京院・ポルナレフ・ジョセフ他、仲間を集めて『アヌビス神』を破壊する。DIOをもう一度殺す。
その他、殺し合いに乗った者も容赦しない。
3:『聖なる遺体』を回収し、大統領に届ける。今のところ、大統領は一応信用する。
4:大統領のハンカチを回収し、大統領に届ける。
5:ウェザーにプッチ、一応気を付けておくか…
6:霊夢他、うっとおしい女と同行はしたくないが……この際仕方ない。
7:あのジジイとは、今後絶対、金輪際、一緒に飛行機には乗らねー。
8:全てが終わった後、霊夢との決着を付けさせられそうだが、別にどーでもいい。
※参戦時期はジョジョ第3部終了後、日本への帰路について飛行機に乗った直後です。
※霊夢から、幻想郷の住人についての情報を得ました。女性が殆どなことにうんざりしています。
※星型のアザの共鳴によって同じアザの持つ者のいる方向を大雑把に認識出来ます。
正確な位置を把握することは出来ません。
※フー・ファイターズから『スタンドDISC』、『ホワイトスネイク』、6部キャラクターの情報を得ました。
※ファニー・ヴァレンタインから、ジョニィ、ジャイロ、リンゴォ、ディエゴの情報を得ました。
※停止時間は2→5秒前後に成長しました。
※DIOから受けた傷は深く、回復したとしても時間が掛かると思われます。
【フー・ファイターズ@第6部 ストーンオーシャン】
[状態]:十六夜咲夜の死体寄生中、体力消費(中)、首に裂傷(処置済み)
[装備]:DIOのナイフ×11、本体のスタンドDISCと記憶DISC
[道具]:ジャンクスタンドDISCセット2
[思考・状況]
基本行動方針:スタンドDISCを全部集めるが、第2回放送までは霊夢たちと行動する。
1:霊夢たちを助けたい。一先ずDISCは後回し。
2:レミリアに会う?
3:墓場への移動は一先ず保留。
4:空条徐倫とエルメェスと遭遇したら決着を付ける?
5:『聖なる遺体』を回収し、大統領に届ける。
6:大統領のハンカチを回収し、大統領に届ける。
[備考]
※参戦時期は徐倫に水を掛けられる直前です。
※能力制限は現状、分身は本体から5~10メートル以上離れられないのと、
プランクトンの大量増殖は水とは別にスタンドパワーを消費します。
※ファニー・ヴァレンタインから、ジョニィ、ジャイロ、リンゴォ、ディエゴの情報を得ました。
※咲夜の能力である『時間停止』を認識しています。現在0.5秒だけ動けます。
【ジョルノ・ジョバァーナ@第五部 黄金の風】
[状態]:体力消費(中)、精神疲労(中)、スズラン毒を無毒化
[装備]:軽トラック@現実(燃料90%、荷台の幌は引っぺがしている)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1(ジョジョ東方の物品の可能性あり、本人確認済み、武器でない模様)
[思考・状況]
基本行動方針:仲間と合流し、主催者を倒す
1:追っ手を振り切りつつ、承太郎と霊夢を治療。
2:ブチャラティに合流したい。
3:トリッシュの道の一助となる。
4:小傘を連れて行くが、無理はさせない。
5:ディアボロをもう一度倒す。
6:小傘の様態をもう一度確認する。
7:あの男(ウェス)、何か信号を感じたが何者だったんだ?
8:DIOとはいずれもう一度会う。
[備考]
※参戦時期は五部終了後です。能力制限として、
『傷の治療の際にいつもよりスタンドエネルギーを大きく消費する』ことに気づきました。他に制限された能力があるかは不明です。
※星型のアザの共鳴で、同じアザを持つ者の気配や居場所を大まかに察知出来ます。
※ディエゴ・ブランドーのスタンド『スケアリー・モンスターズ』の存在を上空から確認し、
内数匹に『ゴールド・エクスペリエンス』で生み出した果物を持ち去らせました。現在地は紅魔館です。
※小傘の状態の異変を感じていますが、どういったものか、あるいはその有無は次の書き手の方にお任せします。
ジョルノだって勘違いするかもしれませんし
【
トリッシュ・ウナ@第五部 黄金の風】
[状態]:体力消費(小)、精神疲労(中)、スズラン毒を無毒化
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1(現実出典、本人確認済み、武器でない模様)
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を築き上げ守り通す、主催者を倒す
1:追っ手を振り切る。
2:ブチャラティに合流したい。
3:ジョルノ、小傘と共に歩んでいきたい。
4:ディアボロをもう一度倒す。
[備考]
※参戦時期は五部終了後です。能力制限は未定です。
※血脈の影響で、ディアボロの気配や居場所を大まかに察知できます。
【多々良小傘@東方星蓮船】
[状態]:???、体温低下、精神疲労(小)、妖力消費(小)、スズラン毒を無毒化
[装備]:化け傘損壊、スタンドDISC『キャッチ・ザ・レインボー』
[道具]:ジャンクスタンドDISCセット3(8/9)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:トリッシュ、ジョルノの二人のために行動したい
1:追っ手を振り切る。
2:自分を認めてくれた二人のために生きていたい
3:トリッシュの道の一助となる
4:そういえばDISC回収した方がいいけど、どうしよう?
5:あの仙人、私狙ってる!?
[備考]
※化け傘を破損して失った魂の一部を、スタンドDISCによって補うことで生存しています。
スタンドDISCを失ったら魂が抜け、死にます。
※ジャンクスタンドDISCセット3の内1つを現在地周辺に落としました。
草に阻まれて闇雲に探すのに時間がかかるので、見つけるなら一工夫必要です。
【リサリサ@ジョジョの奇妙な冒険 第二部戦闘潮流】
[状態]:健康、DIOへの憎しみ
[装備]:タバコ、アメリカンクラッカー@ジョジョ第2部
[道具]:不明支給品(現実)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:柱の男と主催者を打倒する。
1:追っ手を振り切りつつ、承太郎と霊夢を治療。
2:DIOは絶対に滅する!
3:スピードワゴンさん、シーザー!
4:ジョセフ……
5:この承太郎という男、ジョセフに似てる…?
[備考]
※参戦時期はサンモリッツ廃ホテルの突入後、瓦礫の下から流れるシーザーの血を確認する直前です。
※目の前で死んだ男性が『
ロバート・E・O・スピードワゴン』本人であると確信しています。
彼が若返っていること、エシディシが蘇っていることに疑問を抱いています。
※
聖白蓮、プッチと情報交換をしました。プッチが話した情報は、事実以外の可能性もあります。
【洩矢諏訪子@東方風神録】
[状態]:霊力消費(小)
[装備]:なし
[道具]:不明支給品×1(確認済み、@現実)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:荒木と太田に祟りを。
1:追っ手を振り切る。
2:守矢神社へ向かいたいが、今は保留とする。
3:神奈子、早苗をはじめとした知り合いとの合流。この状況ならいくらあの二人でも危ないかもしれない……。
4:信仰と戦力集めのついでに、リサリサのことは気にかけてやる。
5:プッチを警戒。
[備考]
※参戦時期は少なくとも非想天則以降。
※制限についてはお任せしますが、少なくとも長時間の間地中に隠れ潜むようなことはできないようです。
※聖白蓮、プッチと情報交換をしました。プッチが話した情報は、事実以外の可能性もあります。
※彼らがどこまで逃げるか、次の書き手さんにお任せします。
【ディエゴ・ブランドー@第7部 スティール・ボール・ラン】
[状態]:体力消費(中)、右目に切り傷、霊撃による外傷、首筋に裂傷(微小)、右肩に銃創(止血済み)
[装備]:なし
[道具]:幻想郷縁起@東方求聞史紀、通信機能付き陰陽玉@東方地霊殿、ミツバチの巣箱@現実(ミツバチ残り50%)、
基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る。過程や方法などどうでもいい。
1:青娥と共に承太郎、霊夢、F・Fを優先的に始末。諏訪子の身柄確保。
2:ディオ・ブランドー及びその一派を利用。手を組み、最終的に天国への力を奪いたい。
3:同盟者である大統領を利用する。利用価値が無くなれば隙を突いて殺害。
4:主催者達の価値を見定める。場合によっては大統領を出し抜いて優勝するのもアリかもしれない。
5:紅魔館で篭城しながら恐竜を使い、会場中の情報を入手する。大統領にも随時伝えていく。
6:恐竜化した八雲紫は護衛役として傍に置く。
7:
レミリア・スカーレットは警戒。
8:
ジャイロ・ツェペリは必ず始末する。
[備考]
※参戦時期はヴァレンタインと共に車両から落下し、線路と車輪の間に挟まれた瞬間です。
※主催者は幻想郷と何らかの関わりがあるのではないかと推測しています。
※幻想郷縁起を読み、幻想郷及び妖怪の情報を知りました。参加者であろう妖怪らについてどこまで詳細に認識しているかは未定です。
※恐竜の情報網により、参加者の『8時まで』の行動をおおよそ把握しました。
○『ディエゴの恐竜』について
ディエゴは数十匹のミツバチを小型の翼竜に変化させ、紅魔館から会場全体に飛ばしています。
会場に居る人物の動向等を覗き、ディエゴ本体の所まで戻って主人に伝えます。
また、小さくて重量が軽い支給品が落ちていた場合、その回収の命令も受けています。
この小型恐竜に射程距離の制限はありませんが、攻撃能力も殆ど無く、相手を感染させる能力もありません。
ディエゴ自身が傷を付けて感染化させる事は出来ますが、ディエゴが近くに居ないと恐竜化が始まりません。
ディエゴ本体が死亡または意識不明になれば全ての恐竜化は解除されます。
また、『死体』は恐竜化出来ません。
参加者を恐竜化した場合、傷が小さい程ディエゴの消耗次第で解除される可能性が増します。
それ以外に恐竜化に関する制限が課せられているかは不明です。
博麗霊夢は『空を飛ぶ程度の能力』を持っているので、今のところ半分ほどしか能力が効きません。
【八雲紫@東方妖々夢】
[状態]:全身火傷(やや中度)、全身に打ち身、右肩脱臼、左手溶解液により負傷、背中部・内臓へのダメージ、吸血、現在恐竜化
[装備]:なし(左手手袋がボロボロ)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:幻想郷を奪った主催者を倒す。
1:ディエゴの支配を受ける。
2:幻想郷の賢者として、あの主催者に『制裁』を下す。
3:DIOの天国計画を阻止したい。
4:大妖怪としての威厳も誇りも、地に堕ちた…。
5:霊夢…咲夜…
[備考]
※参戦時期は後続の書き手の方に任せます。
※放送のメモは取れていませんが、内容は全て記憶しています。
※太田順也の『正体』に気付いている可能性があります。
【霍青娥@東方神霊廟】
[状態]:疲労(中)、全身に唾液での溶解痕あり(傷は深くは無い)、衣装ボロボロ
[装備]:キョンシーの右腕、S&W M500(残弾3/5)、スタンドDISC「オアシス」@ジョジョ第5部、
河童の光学迷彩スーツ(バッテリー60%)@東方風神録
[道具]:オートバイ@現実、双眼鏡@現実、500S&Wマグナム弾(13発)、催涙スプレー@現実、音響爆弾(残1/3)@現実、
基本支給品×5
[思考・状況]
基本行動方針:気の赴くままに行動する。
1:DIOの王者の風格に魅了。彼の計画を手伝う。
2:ディエゴと共に承太郎、霊夢、F・Fを優先的に始末。諏訪子の身柄確保。そして何より小傘のDISC♪
3:会場内のスタンドDISCの収集。ある程度集まったらDIO様にプレゼント♪
4:八雲紫とメリーの関係に興味。
5:あの『相手を本にするスタンド使い』に会うのはもうコリゴリだわ。
6:芳香殺した奴はブッ殺してさしあげます。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。
※光学迷彩スーツのバッテリーは30分前後で切れてしまいます。充電切れになった際は1時間後に再び使用可能になるようです。
※DIOに魅入ってしまいましたが、ジョルノのことは(一応)興味を持っています。
【
宇佐見蓮子@秘封倶楽部】
[状態]:疲労(中)、肉の芽の支配
[装備]:アヌビス神@ジョジョ第3部、スタンドDISC「ヨーヨーマッ」@ジョジョ第6部
[道具]:針と糸@現地調達、基本支給品、食糧複数
[思考・状況]
基本行動方針:DIOの命令に従う。
1:DIOの命令通り、メリーを紅魔館まで連れて帰る。
2:青娥やアヌビス神と協力し、邪魔者は排除する。
[備考]
※参戦時期は少なくとも『卯酉東海道』の後です。
※ジョニィとは、ジャイロの名前(本名にあらず)の情報を共有しました。
※「星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力」は会場内でも効果を発揮します。
※アヌビス神の支配の上から、DIOの肉の芽の支配が上書きされています。
現在アヌビス神は『咲夜のナイフ格闘』『止まった時の中で動く』『星の白金のパワーとスピード』『銀の戦車の剣術』を『憶えて』います。
【
マエリベリー・ハーン@秘封倶楽部】
[状態]:気絶中(蓮子の肉の芽の中?)
[装備]:なし
[道具]:八雲紫の傘@東方妖々夢、星熊杯@東方地霊殿、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:蓮子と一緒に此処から脱出する。ツェペリさんの『勇気』と『可能性』を信じる生き方を受け継ぐ。
1:蓮子……どうして?
2:八雲紫に会いたい。
[備考]
※参戦時期は少なくとも『伊弉諾物質』の後です。
※『境目』が存在するものに対して不安定ながら入り込むことができます。
その際、夢の世界で体験したことは全て現実の自分に返ってくるようです。
※ツェペリと
ジョナサン・ジョースター、ロバート・E・O・スピードワゴンの情報を共有しました。
※ツェペリとの時間軸の違いに気づきました。
※竹林で落とした八雲紫の傘と星熊杯を回収しました。
【姫海棠はたて@東方 その他(ダブルスポイラー)】
[状態]:霊力消費(小)、腹部打撲(中)
[装備]:姫海棠はたてのカメラ@ダブルスポイラー、スタンドDISC「ムーディー・ブルース」@ジョジョ第5部
[道具]:花果子念報@ダブルスポイラー、ダブルデリンジャーの予備弾薬(7発)、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:『ゲーム』を徹底取材し、文々。新聞を出し抜く程の新聞記事を執筆する。
1:眼下の大スクープを引き続き取材。その後に記事の作成。
2:岸辺露伴のスポイラー(対抗コンテンツ)として勝負し、目にもの見せてやる。
3:ウェスを利用し、事件をどんどん取材する。
4:死なないように上手く立ち回る。生き残れなきゃ記事は書けない。
5:ウェスーーー! 早く来てーーー!
[備考]
※参戦時期はダブルスポイラー以降です。
※制限により、念写の射程は1エリア分(はたての現在位置から1km前後)となっています。
念写を行うことで霊力を消費し、被写体との距離が遠ければ遠い程消費量が大きくなります。
また、自身の念写に課せられた制限に気付きました。
※ムーディー・ブルースの制限は今のところ不明です。
※リストには第一次放送までの死亡者、近くにいた参加者、場所と時間が一通り書かれています。
次回のリスト受信は第2回放送直前です。
※花果子念報マガジン第3誌『隠れ里の事件』を発刊しました。
○支給品説明
<オートバイ@現実>
宇佐見蓮子に支給。
陸王RT-2型。サイドバルブ750cc、22馬力。前進4段ロータリー式フットシフト、ハンドクラッチ。
二輪駆動であるため当然、山道や森などの悪路の走行には向かない。
なお、本編には全く関係ないが『東方深秘録』では聖白蓮の使用するオカルトが『ターボババァ』である。
疾走するバイクを相手にブチ当てて轢くという鬼のような必殺技だが、かなり危険な技なので良い子も悪い子も真似してはいけない。
そして当たり前だが幻想郷には自動車学校も免許センターもない。良い子も悪い子も乗り回す時は必ず免許を取得しよう。(※慧音談)
<針と糸@現地調達>
ジョニィと蓮子がGDS刑務所の食堂で手に入れた、何の変哲も無い針と糸。
持ち合わせておくと色々便利かもしれない。
ホッチキスで腹の傷を治す激動のジョジョワールドにおいて、針と糸はまだ治療に向いている方である。
しかしゾンビ馬の糸でもない限り、普通は治ったりしない。普通は。
最終更新:2017年04月05日 00:58