内容
目次は以下の通りである。
- イオネスク解読の歴史的成功 - 日本語版監修・翻訳者序
- 序論 またも勝利したノストラダムス
- 第一部 「陽気主義者たち」の湾岸戦争
- 第一章 最大の謎「アダルンカティフ」
- 第二章 強者としての「悪(マル)」
- 第二部 黙示録のロシア
- 第一章 右手のかたに還らんとして・・・
- 第二章 「祝婚歌(エピタラム)」は流れても・・・
- 第三章 暴かれたロシア全土の核汚染地獄
- 第三部 二十一世紀の激闘と武勲詩
- 第一章 中国―アラブ枢軸軍、進撃す
- 第二章 「一九九九年七月(ななつき)」の贈物
- 第三章 近未来の賦―迎え撃つ「大君侯」
- 第四章 遠未来の賦―第三次世界大戦
- 第四部 ニューワールド
- 第一章 日・米・欧の卍ともえ
- 第二章 ノストラダムスは見た――「天孫の国ニッポン」
- 第三章 射手座の射手、三島由紀夫
- ヴライク・イオネスク博士来日記念講演 精神世界の使者―ノストラダムスの秘密と使命
- エピローグ
基本的には書き下ろしだが、同じ年のイオネスクとマリー=テレーズ・ド・ブロッスの共著 『ノストラダムスの最終的勝利』で示された解釈内容と重複する部分も少なからず見られ、監訳者の竹本も 『ノストラダムスの最終的勝利』 について、「本書の要約版といったもの」 と位置づけていた。
書名や章題に表れているように、湾岸戦争などの予言解釈を行いつつ、21世紀初頭にも起こるとしていた中国・アラブ連合軍とヨーロッパ諸国の戦争についてのシナリオを描き出している。
コメント
イオネスクのシナリオ (特にその基幹たる 「大君侯」 君臨によるフランスの王政復古) は現時点では未来に属する部分が残っているので、当たった、外れたというレベルの論評は控えておくが、解釈以前に基本的な事実関係の誤りが目に付くことについてだけ触れておきたい。
たとえば、アムステルダム版を現存最古の『予言集』として紹介しているが、明らかに誤っている。アムステルダムで出された版は
1667年版か
1668年版のいずれかしかない。しかし、
1555年の初版も含め、1665年以前に出されていた版は数十という単位で現存している。
また、ノストラダムスがモンペリエ大学で医学博士号を取得できた理由は 「革命的な医療法に関する論文」 によるものだったとしているが、そもそもノストラダムスが本当に医学博士号を取得できたかどうか自体に議論があり、今なお裏付ける史料が発見されていないくらいだから、イオネスクが講演した時点で学位請求論文の内容など特定できたはずがない。
ほかにも、
アンリ2世との謁見が1556年だったとか、
予兆詩集は
1567年11月向けが最後であるとか、あからさまに古い情報が散見される。
こうした事実は、「世紀別ノストラダムス文献目録」(『
ノストラダムス・メッセージ』所収) にも掲載されていた一部の実証的研究書に基づけば、容易に訂正できたはずの事柄である (厳密には、シャヴィニーの弟子入りの時期については、
ジャン・デュペーブの『
ノストラダムス : 未公刊書簡集』を参照する必要があるが、1983年刊行のこの文献は、イオネスクの1987年の目録からも漏れている)。
そうした文献が存在することを知らないというのならまだしも、参照しているはずなのに、明らかに誤っている旧説を墨守する理由が全く分からない。それどころか、アムステルダム版が現存最古などという主張にいたっては、イオネスク以外には誰も主張していない。こうした点は、研究者としての姿勢に疑問を投げかけられてしまうものではないだろうか。
書誌
- 書名
- ノストラダムス・メッセージII
- 副題
- 一九九九年七月 ― 二十一世紀篇
- 著者
- ヴライク・イオネスク
- 訳者
- 竹本忠雄
- 版元
- 角川書店
- 出版日
- 1993年8月10日
- 注記
外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire)
- Titre
- Nosutoradamusu Messêji II (i.e. Nostradamus Message II)
- Sous-titre
- Senkyûhyakukyûjûkyûnen nanatsuki - Nijûisseiki hen (traduction / De l'an mil neuf cens nonante neuf sept mois jusqu'au XXI siècle)
- Auteur
- Vlaicu IONESCU
- Traducteur
- TAKEMOTO Tadao
- Publication
- Kadokawa shoten
- Lieu
- Tokyo, Japon
- Date
- le 10 août 1993
- Note
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コメントらん
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- 手厳しいですね。ルーマニアは当時、共産圏だったから、予言集の情報が入手できなくても仕方ないと思ってる。 -- とある信奉者 (2013-12-26 22:21:26)
- この本の時点でルーマニアから亡命して数十年たっているわけですし、上にも書いたようにLeroyやRuzoなどの本を彼は参考文献リストに掲げているわけですから、ルーマニア出身であることはあまり関係ないと思います。 -- sumaru (2013-12-27 06:50:42)
最終更新:2013年12月27日 06:50