原文
Au grand de Cheramon agora
1
Seront
croisez par ranc
2 tous attachez,
Le
pertinax3 Oppi4, & Mandragora
5,
Raugon6 d'Octobre le tiers seront laschez.
異文
(1) Cheramon agora : Chera mon agora 1606PR 1607PR 1610Po 1611B, Cheramonagora 1605sn 1628dR 1649Ca 1649Xa 1672Ga, Chera aussi de mon agora 1627Ma, Cherra aussi de mon agora 1627Di 1644Hu 1650Ri, Charamon agora 1650Mo, Cherra aussi le mon agora 1653AB 1665Ba 1720To, Chera aussi de mont agora 1650Le 1667Wi 1668, Cherra mon agora 1716PR, Cherra monagora 1840, Chera aussi mon agora 1981EB
(2) ranc : rang 1603Mo 1610Po 1611B 1644Hu 1650Mo 1650Ri 1650Le 1653AB 1665Ba 1667Wi 1668 1720To 1840 1981EB, rangs 1672Ga
(3)
pertinax : portinaux 1605sn 1649Xa, Pertinax 1672Ga
(4)
Oppi : Appi 1627Di
(5) Mandragora : mandragora 1568X 1590Ro
(6)
Raugon : Rogon 1650Mo, Reugon 1665Ba 1720To
(7) d'Octobre : doctobre 1650Le
校訂
1行目の音節が足りておらず一語欠けていると推測される。このことは
エヴリット・ブライラー、
ジャン=ポール・クレベールらによって指摘されているが、何を入れるべきかについては誰も指摘していない。前半律の切れ目からすれば、grand の後に何かが欠けていると見るのが自然だろう。
訳について
ケラモンの大いなる広場で、
十字軍参加者たちが順番に全員繋がれるだろう。
効き目の長いアヘンとマンドラゴラ、
身代金によって、彼らは十月三日に解放されるだろう。
訳について
1行目は grand と agora を関連させる
ジャン=ポール・クレベールの読み方に従った。強引なようだが、こういう繋がり方の詩は他にも指摘されている。
エヴリット・ブライラーは At the great [----] of the pottery market と訳している。これはこれで説得的で、本来ならば当「大事典」も、「ケラモン・アゴラの大きな・・・で」としたかったが、単語の欠落を強調するような読みを採用することは極力避けたかったため、ここでは採用しなかった。
2行目 par ranc (rang) は中期フランス語で「決まった順序に従って」を意味する成句。
既存の訳についてもコメントしておく。
山根訳1行目「シェラモン・アゴラの大立者に」は可能な訳。ただし、それに続く2行目「階級によるすべての十字が付属させられよう」はおかしい。2行目の seront croisez は「十字を付けられる」とも訳せるが、複数形の主語に対応しているので、単数の「大立者」は主語にならないし、前置詞 au の存在も不自然である。
3行目「鬼のながい阿片とマンダラゲ」の「鬼のながい」は根拠も意味も不明。ちなみに
エリカ・チータムの原書で当てられている英訳は long lasting である。
4行目「ルーゴンは赦免されよう 十月三日に」は、
エドガー・レオニもしていた訳である。ただし、上でも述べたように「解放される」は複数形の主語に対応しているので、不適切だろう。なお、「ルーゴン」はチータムの原書で Rougon と綴られていたことを踏まえたものだろうから、底本の訳としては誤りではない。
大乗訳1行目「ケラモナゴラの一人に」は、grand の意味合いが反映されていない。2行目「すべてをむすんで列を交差させ」や4行目「十月三日にローゴンは解放されるだろう」の問題点は山根訳とほぼ同じ。
信奉者側の見解
信奉者側ではほとんど解釈されてこなかった詩である。
川尻徹はいくつかの文字を抜き出して Dalai と並べ替えたり
Raugon をレーガン大統領(Reagan, 当時)とみなすなどして、ダライ・ラマが初めてアメリカ議会と対話した年(1987年)に起こった、チベット自治区での約30年ぶりの暴動を予言したものとした。
同時代的な視点
ケラモンないしケラモン・アゴラが現在のウシャク(トルコ)のことだとする点は一致している。この地名はクセノフォンによって言及されているという。
細部の読み方はともかく、出典を特定できないまま十字軍に関する知られざる逸話が元になっていると推測した
ピーター・ラメジャラーの読み方は、十分に説得力がある。
他方で、陶器市で知られた都市であったことからケラモン・アゴラを陶器市(pottery market)の隠喩とした上で、アヘンやマンドラゴラが登場していることを踏まえて薬学や錬金術に関する詩ではないかとした
エヴリット・ブライラーの読み方にも、一定の説得力は認められる。
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コメントらん
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- 満州人の清王朝で起こったアヘン戦争とアロー戦争などを予言。 -- とある信奉者 (2010-04-02 22:14:56)
- 実は「身代金」が開放される. -- とある信奉者 (2011-08-06 12:16:57)
- Raugon d'Octobre → GORDON OCTBRE [AU=O]: 太平天国の乱を鎮圧したチャールズ・ゴードンのアナグラム -- とある信奉者 (2011-08-06 12:27:03)
最終更新:2020年03月11日 03:05