Mの憂い@-1st.stage★Puzzled of fragments
Chapter 1:沈黙の戯れ
「ケンちゃん、そっちは、岩があるから気をつけるのよー。」
「はあい。」
抜けるような青い空、太陽の光が海底まで降りそそぐ、南の島。
「あれぇ?ままぁー。人が寝てるよー。」
「・・・・ぎゃああああああああああああああああああああ」
彼女の名は、道沢ゆかり。27才。
この島のオーナーである、涼島瞳海の愛人であった。
血まみれで砂浜に誰かが横たわってるのが見えた。
「大丈夫ですか?」
ゆかりは、叫びながら倒れている人に近づいていくとその男の顔に見覚えがあった。
ゆかりの元彼 後藤蓮太郎だ。
「レンチャン レンチャン」
ゆかりは叫んだが、蓮太郎はもう何も反応しなかった。
後藤は、優秀な考古学者だった。
南の島にはこの島に2000年前に存在していたと言われている、シッタカ文明の調査のためにやってきた。
そして後藤は、ゆかりにとって一生忘れられない人物だった。
そう10年前当時17才だったゆかりが初めて愛を育ぐくんだ相手が後藤だった。
なによりケンちゃんには秘密にしていたが、ケンちゃんのパパでもあった。
不幸にもゆかりは初めての経験で妊娠してしまったのだ。
後藤は責任を取って結婚しようとしたが、まだ17才のゆかりの結婚をゆかりの両親は許さなかった。。
ゆかりは警察に連絡しケンちゃんを連れてホテルへ戻った。
部屋に戻ると、レンチャンとの思い出が、頭の中を駆け巡った。
そして、お酒の力を借りて悲しみから逃れようと、ウォッカをラッパ飲みした。
「ママーーーー助けてえええええ・・・」
ケンちゃんの叫びを聞いてゆかりは目覚めた。
ゆかりは、いつの間にか眠ってしまっていたのだ。
ドタドタドタ 誰かがドアから出て行った気配がした。
叫び声がしたお風呂場に行ってみると、ケンちゃんがシャワーのホースで首を絞められ上から吊るされていた。
「ケンチャン ケンチャン」
ゆかりは、泣きながらケンちゃんを抱きしめた。
ケンちゃんは、もう息をすることはなかった。
騒ぎを聞きつけ、部屋から顔を出した男が居た。
その男の名は、権田際。39歳。
どうしたの?と寝室から女の声が聞こえた。
彼女は、権田と不倫旅行に来ている、クラブホステスの光江だ。
「おい、ホテルで子供が殺されたらしいぞ。」
「ええええ、、大変なことになったりしないよね?」
「ああ、俺がついてるから大丈夫だ。」
その返事を聞いて、光江は心配になった。
権田の大丈夫は、まったくアテにならないのだ。
着替えを済ませた光江が部屋から出ると、大勢の野次馬と警察でそのフロアーはごった返していた。
特別室が並ぶ、その特別フロアーには不倫と思われるカップルや、お忍び旅行としか思えない宿泊客が沢山宿泊していたようだ。
リストを元に各部屋の、宿泊者がクラブラウンジに呼ばれた。
「ちょっと行って来る。」権田は光江に言った。
警察の話によるとこの階は、特別室に泊まっている客のキーでしかアクセスできないのだ。
必然的にこの階の宿泊者が疑われることになる。
事件のあった部屋で泣き崩れている女を光江は見た。
「ゆかりじゃない?」
「あ、光江。」泣きながら、ゆかりは光江を見た。
実はこの2人は、某クラブで1人の男を奪い合った過去があったのだ。
奪い合った男の名は、このホテルのオーナーでもある涼島瞳海である。
涼島に振られた光江は、権田と付き合いだしてたまたまこの島に来ていたのであった。
「この傷はどうしたのですか?」
クラブラウンジで警察から問い詰められている男がいた。
手首に真新しい紫の痕がある。急いで着がえたシャツの下にも、細かい傷が透けて見える。
「そんなこと言う必要があるのか!人殺しなんてするわけがないだろ!」
男の名は、緑田たかし。昔は不動産王と呼ばれた男だ。50で引退し、今は趣味だけの世界で生きている。
「私にやられたって言えばすむことじゃない。」
ラウンジに入ってきた女に一同が目を奪われた。そして納得した。
女は、六本木のSMクラブの女王、赤野亜梨葉。
たかしは何でも言う事を聞く奴隷だった。だから、この島に連れて来た。あの男に会うために。
最終更新:2008年09月30日 21:55