Mの憂い@-2nd.Stage★Perplexed hide-and-seek
Chapter6:舞踊る迷い子達
帆羽は、ふふん岬でどこまでも続く水平線を見ながら考えていた。
なぜこの島に呼ばれたのだろう。しかも社長命令まで、でてるし・・。
実は、社内に南の島への案内が来た時、参加するかどうか少し迷っていた。
帆羽の実家は北海道で酪農業を営んでいる。
去年の年の暮れに牛舎の脇の干し草が燃えるという騒ぎが起きていた。
一気に燃え上がる火の気にびっくりした牛たちが暴れ出したため、家人もすぐに気づき、火事の被害はさほど大きくなかった。どちらかというと現場に駆けつけてくれた近所の人や地域の青年消防隊のへの対応や、牛の世話の方が大変だった。
おかしなことに数日後位から、同居する祖母が気になる事を言うようになった。
「石がなくなった・・・」
そのころ祖母は少しぼけ始めていたから、家族も何の事かと思いながらも軽く流していた。
でも、やさしい帆羽は黙って祖母の話しの相手をしていた。と、いうよりも・・・。
年末休暇で実家に帰って来ていた帆羽だったが、性格がおっとりしている上に普段いないし、どうせすぐに都会に戻って行く娘だったからほとんどお客さん扱いだった。
まぁ、体よく祖母のお守りを押し付けられていた。
「石がなくなった。不思議な魅力を持ってる石でね、見てるだけで幸せになるような輝きを放つんだよ。じいさんから預かった大切なものなのに・・・。そうだ、せめて私が死んでしまう前に優しい帆羽に渡しておこう・・・・・。頼んだよ。」
箪笥の小引き出しの下の方から色褪せた一通の手紙を持ってきて、帆羽に渡した。
「ご飯の準備くらい手伝ってー。」台所から、母が呼ぶ声がした。
手紙はとりあえず大切にハンドバックのポケットにしまっておいた。
後日自宅に戻り、ほっと一息ついた時、思い出したように手紙を開いてみた。
「・・・・・・・」ほとんど消えかかっていた。
かろうじて読見とれる語句は「A」「シッタカ」「13の輝」「満月」「呪」「未来」だった。
「シッタカ」はシッタカ文明のそれなんだろうか。呪とは・・。
祖母が無くなったと騒いでいた石の輝きは、「13の輝」と関係あるのだろうか・・。
だが肝心の石が手元に無いんだから、やっぱり行ってもしょうがないと考えていた。
それなのに、いま、ここにいる・・・・・。
すると突然、岸壁の影から人の手がニョキッと出たと思ったら、もう一本。そして、血色を失い、目の玉を大きくひん剥いた形相の女が姿を現わした。
「ィギ・・、」声にならない驚きと恐怖で逃げ出すことも出来なかった。
梨生だった。
帆羽は、やっとの思いで息を取り戻すと気のせいだと言う事にしてその場を去ろうとした。
「お待ち!」
「ご、ごきげんよう」凍り付くような殺気立った視線を背中に受けながら、恐る恐る振り向いた。
梨生は、徐に這い上がると、不敵な笑みを浮かべた。全身びしょぬれで緩くウェーブのかかった髪が何かの海藻をつけてるかのようにも見えた。
「なにか・・・落とし物・・でも・・。」帆羽の問いかけに、梨生は顎で岸壁の向うを指した。
つい覗いてしまったその先にあったのは、ホテルのメイドの格好をした女性の横たわる姿だった。
再び全身の血が誰かに吸い取られるような感覚とともに気を失っていた。
意識の向うで、人の話し声がした。帆羽はホテルのベッドで目が覚めた。
「お、気が付いたみたいだぞ」黒田が梨生に告げた。
「まったくっ、意外と重いのね、あんた。」
帆羽の顔を覗きながらバスローブ姿の梨生が言った。
「ごめんなさい。・・・で・・・・・」「なにが?」
梨生のそっけない返事に、悪夢を見ていたのかと錯覚した。
そう願いながらしばらくベッドの上で呆然としていた。
「何が、SITTAKAよ・・。じゃあ、このQとFはどうしてくれんのよ。」
「まぁまぁ・・・。そう、あわてるなよ。」
「仮にAとIがだれかの手元にあったとしても、このQとFが今度は半端になるから、もっといっぱいあるんかなー、まさか26個全部じゃないなー、重なってるのがもう既にあるから・・。20個も30個も存在するとは考えにくいからな。」
7個の石がテーブルの上に置かれていた。
「もしかして、13個じゃない?」
のそのそと起き上がってきた帆羽がボソッと言った。
「ところで、この男の人誰?」帆羽が思い出したように聞いた。
「ああ、ホテルでこの前あったのよ。」
「この前さー。クリーニング出すついでに、暇もてあまして廊下を歩いてたらメイドがリネン室で光る石を並べながらシッタカがどうの・・ってぶつぶつ呟いてるのを、偶然見ちゃったのよ。面白そうだからこそっと棚の影から覗こうとしたら、コイツとコイツの女もそこにいたのよ。」
「へへっ。滅多にこないホテルだからさー、探検でもして少し遊んでいこーとおもって。」黒田が悪戯な目をしながら言った。
その後、梨生と黒田は意気投合して、IとAを持ってるといって真予を呼び出し取り返そうと企てたのだった。
実は何を隠そう、梨生自身も音無に代々伝わる光る石がある事を思い出していた。
一度、実家に帰り家人の目を盗んで金庫から持ってきいた。
だが、石に刻まれたいたのは期待していた「I」ではなく「F」だった。
「さぁ、どうしましょ。この石。」少し迷った顔で梨生は二人にきいてみた。
「そのQあいつに返さないと怒られる・・・・。」黒田が言った。
「そのAはもともと私のものよ。」帆羽が弱気ながらも必死に主張した。
「最近の島の様子見てるとこの石、いい事ばっかりじゃないみたいね・・。」
3人は相談して、ASは帆羽が、QKは黒田が、FTTは梨生が持つ事となった。
最終更新:2005年11月24日 11:49