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Mの憂い@-4th.Stage★Come back from Long journey
Chapter6:不本意な罪

*****橙に照らされるダイヤモンド鉱山で起きていたのは・・。
「石はあったのか?」
「鞄はあったんだけど、肝心の石はないってっ。」
「それより、例のことなんだけど、私もう下りるわ。」
「今更、おうりょ・・」「しっ、、誰かいるわ・・」
隠れているつもりでもスカートの裾が岩の下から風に靡いていた。
すばやく腕のあたりを掴んで引きずりだした。
「な、何してるのよ、帆羽。」瞬間、男は岩陰に隠れていた。
「仮病を使って事情聴取に来なかったり、コソコソそ出かけたりするから怪しいと思ってさ。」
一見、無邪気に見える笑顔を見せた。
「それより、誰かが、いたような・・」
その時、帆羽の後ろでは男が岩を握った右手を振り上げていた。
女の表情に、ただならぬ雰囲気を読み取った帆羽は後ろを振り返った。
振り落とされた岩は大きくはずれた、が、空振りの反動で引っくり返りそうになった彼の左肘が帆羽の頭を直撃した。帆羽はよろめき倒れた。気絶していた。
「もうい嫌よ。」死んでしまったと思って気が動転した女は横領の事も、子供の事件も、全部、自供してしまうと言いながら泣きだした。
どんなに宥めても、一向に泣き止まず取り乱す女に、もともと短気な性格の彼は男はキレタ。
「いい加減にしろ。」思わず、落ちてる石で女の頭を殴っていた。
血を流して倒れ込む女を横目にバックの中を乱暴に漁るとその場から逃げていった。
帆羽が気を取り戻した時には男の姿はなく、何事も無かった様に静まり返えっていた。
意識朦朧とする中、離れたところで倒れている女に気づくことも無くホテルへと帰っていった。

芳尾ががっくりと肩を落としていた。

「あれ?おかしいぞ。確か一個は紅緒が自分のだって言ってたのに・・。」
星人が思い出したように呟いた。
「あの手形のとこってさ、石を持っていれば誰でも良いって訳ではなかったよな・・。
実際、来子はクリアできなかったってことは何か特別な仕掛けがあるんだよなー。」
「んー、詳しくは解らないけど私の予想ではDNAで判別してる可能性が大きいわ。」
華子が確信はないが恐らく、という感じで答えた。
「じゃあ、誰かが紅緒と血のつながりのある人ってこと?」
「そういうことになるわね。」華子が答えた。

「ああ、そうさ。」芳尾が重く口を開いた。
「彼女、紅緒は一応血のつながった妹さ。ただし、俺は生まれてすぐ、親戚に養子に出されたから、基本的には他人のようなもんだな。紅緒が8年前初めて涼島に来た時、提出された健康診断の結果を見て驚いたよ。血液型が俺と同じ特別なものだったから。経理に配属されたのは偶然さ。それでもお互い兄妹と分かった頃から、なんとなくいろんな秘密を共有するようになっていって、いつのまにか横領にまで・・・」

「ねっ、子供殺しって、まさか・・・・。」ゆかりが話しを割って入ってきた。
「・・・・」芳尾は言いにくそうに少し黙っていた。
実は芳尾自身も思わず黙り込んでしまう程に、紅緒は彼に決して消えることの無い苦悩を語っていた。
「あれは、許してやってくれないか。」
「許すって、何を?」到底納得でない表情で芳尾を睨んでいた。

「もしかして、君たちは自分が犯した重大な罪にまだ気づかないのか?
君たちの戯れが原因で花火工場で亡くなった人々のことを考えたことは無かったのか?」
「え?だって、確か夜だったし、工場は真っ暗だったわ。もう誰もいないと・・」
「いいえ、亡くなった方が二人いるのよ。厳密に言うと大人一人、子供一人。」
「・・・・・・・・・・・・・まさか。」
「無理もないかもしれない、当時15.6才じゃ新聞もろくに見なかったんだろうな。」
「あの事故で紅緒は10才になる可愛い男の子と、婚約者を無くしたんだ。
彼女にとって、やっとの幸せと掴もうとした時に無残にも・・。
その哀しみは消えることは無かった、そして次第に恨みへと変わっていったのさ。
その復讐心は彼女の生きる支えになっていたといっても過言ではないくらいだったよ。
そして彼女の考えた復讐は、本人を殺すよりも自分と同じように、ゆかりさん、あなたから一番大切な物を奪うということだったのさ。」
一番哀しく残酷な選択をしたのだった。
だが、その想いを果たすこと無くこの世を去ったのだった。

「あら?でも、平川さんは確か、事件が起きた時、島にはいなかったわよね。」
真里菜が素朴な疑問を投げかけた。
「そこにいる若造にやらせたのさ。」芳尾が指差した先で、
「ひぃいいいい。」星人が悲鳴をあげて真里菜の影に隠れた。
「むっ、あんったっ、轢き逃げだけじゃなかったの?」星人の首根っこを掴みながら睨み付けた。が、自分が今、重大発表をしてしまったことに気がついた。
「ち、違うよ、僕じゃないよ。僕はあのフロアには入れないから、そこにいるメイドの人にお願いしたんだ。」
そういって首を竦めながら真予を指差した。
「殺そうなんて、とんでもない、、シャワーホースでぐるぐる巻きにして、ガムテープで口ふさいで、リネンカートに押し込んで連れ出すだけのつもりだったんだけど、暴れ出しちゃって、途中で・・」
懸命に言い訳する真予の言葉を切るように、蟹派が、
「轢き逃げとは、代田ココのあれですか?」鋭い視線を真里菜に向けた。
もはや真里菜は顔を上げることはできなかった。

最終更新:2005年12月31日 22:01